2009年05月25日
日本シンクロを率いるヘッドコーチにかかる重圧がどれほどのものか、想像を絶するものがある。
世界水泳選手権(7月・ローマ)のシンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチに、片山満津芳コーチ(広島シンクロクラブ)が就任した。片山コーチがクラブで指導してきた日本代表の飯田咲紀(広島シンクロクラブ)は、派手さはないがしっかりと練習を積んでいるなと思わせる選手だ。「地方でも広島でも勝てる」と選手を励まし、広島代表として国体のデュエット種目で2007年3位、08年2位という成績を残してきた片山コーチは、昨年の世界ジュニア選手権ではヘッドコーチとして現日本代表の中心選手を教えた。そして今、メダル圏内に残れるか否かという立場にある日本代表を率いる大役を担う。
東京・大阪という大都市圏の名門クラブが牽引してきた日本のシンクロにおいて、地方都市の広島から日本代表にコーチ・選手が名を連ねるのは画期的なことといえる。金子正子前委員長の時代から、地方も含めた日本全体の底上げを図ってきたシンクロ委員会の取り組みが功を奏した結果といえよう。
カリスマ的な名伯楽、井村雅代氏が日本代表を退いてから、ヘッドコーチは定まらないままだ。あまりにも偉大な井村氏の後任となり、表彰台に上り続けてきた日本シンクロを率いるのは大変な重責といえるだろう。片山コーチとお話しさせて頂いたことはないが、プールサイドで選手に声をかける姿からは、シンクロへの深い愛情が感じられる。地方から世界に通用する選手を育て上げてきた反骨心が、瀬戸際にある日本を再びメダル圏内に押し戻してくれることを願ってやまない。
posted by satoko |12:00 |
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2009年05月18日
7月19日・ローマで、日本代表ソリスト・足立夢実が本格的にデビューする。
足立(東京シンクロクラブ)は、シンクロの日本選手権・ソロで、乾友紀子(井村シンクロクラブ)を抑えて優勝し、世界選手権ソロ代表の座を勝ち取った。2006年・世界ジュニア選手権で三位にもなっている乾は、身長169センチ、真っ直ぐな長い足が魅力の選手だが、それよりも10センチも小さい足立が新しい日本代表ソリストとなった。
小さな身体を大きく見せる高さ、柔軟性といった身体能力がソリスト・足立の強みであることは言うまでもないが、個人的には最大の魅力は精神面だと感じる。シンクロのなかで唯一人に合わせなくて良いソロという種目を、自分を見せる場として心から満喫していることが、足立の泳ぎからは伝わってくるのだ。「自分を見せたい」という欲求は、どんな名コーチでも教えられるものではなく、選手のなかから自然に出てくるものだろう。自らの個性をアピールする能力は、天性のものに左右される部分が大きいと思う。もちろん歴代の日本代表ソリストのなかには、努力でアピールする力を身につけていった選手もいたが、未完のソリスト・足立の人を惹きつける力には大きな可能性を感じる。強烈な個性が必要なソロにおいて、足立の醸し出す独特の雰囲気は得難い才能であるといえる。
足立自身も目標とする、最高のソリスト・デデュー(フランス)が世界女王として君臨し続けた理由は、ソロについての自らの理想を真摯に追求し続けた姿勢にあると思う。足立が、目指すソリスト像に向かって自分を磨き続けることが出来れば、国際舞台でも魅力を発揮するソリストになれるのではないだろうか。初めての大舞台・ローマでの、ソリスト・足立の本格的なデビューが楽しみだ。
posted by satoko |11:55 |
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2009年05月11日
新生シンクロ日本代表の若さは、弱点であると同時にこの上ない強みにもなるだろう。
5月2~5日、東京辰巳国際水泳場で行われたシンクロナイズドスイミングの日本選手権で、7月の世界選手権(ローマ)に臨む新生日本チームの演技が初めて披露された。北京五輪代表が一人もいない、19.9歳という実際の年齢と同時に経験値の面でも若いチームだ。
日本チームが最初に登場したテクニカルルーティンは、素人目にも不出来な演技だった。はっきりと同調性を欠く部分が複数回目につくというのは、日本代表にはありえないことだ。選手にとっても練習以下の内容だったようで、ノーズクリップが外れてしまったというアクシデントも含め、悪い意味で若さを露呈した。
しかし、フリールーティンでは日本は見事に立ち直った。予選・決勝ともリフトは今ひとつの出来だったが、曲とマッチした若さ故の勢いが好ましく、荒削りななかにものびしろを感じさせた。点数は表彰台に上がるためには苦しいものだったが、若い日本は成長も早いはずだ。
五輪後、各国の代表は世代交代の時期に入る。北京五輪でも抜きんでた強さを発揮したロシア代表だが、新しいチームで臨んだ2001年・世界選手権福岡大会は苦しい戦いだったという。前年のシドニー五輪で日本に肉薄された危機感から、ロシアは美しさから力強さへと目指すものを変え、以前とは違うスポーティなタイプの選手を代表メンバーに選んだ。ロシアを率いるタチアナ・ポクロフスカヤコーチは
「子供のような選手たちを育てなくてはならないので、ここへ来るまで面倒を見るのが本当に大変だった」
と語ったそうだ。しかし、2001年を育成の一年として耐えたことが、現在に至るまでロシアが世界最強であり続けている要因になっている。
北京五輪で初めてチームのメダルを逃し、日本のシンクロは正念場にある。若い選手たちにとり、メダル奪還という使命がときには重圧となってのしかかるだろう。しかし、歴代の日本チームと違って挑戦者として臨むことが出来るローマでは、若さは大きな強みとなるのではないだろうか。今年の我慢が、ロンドン五輪では成果になると考えたい。
ロンドン五輪への第一歩である今夏の世界選手権。攻める気持ちで、のびのびと新生日本をアピールしてほしい。走り出したばかりの日本代表には、たくさんの可能性があるのだから。
posted by satoko |14:58 |
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