2011年09月30日
完璧ではなくとも見事な戦いぶりで、日本代表はロンドン五輪への道を切り開いた。
ロンドン五輪への出場権がかかる新体操の世界選手権で、団体の日本代表は5位に入り、6位までに与えられる出場権を獲得した。世界トップクラスの国にもミスが頻発し、五輪切符がかかる世界選手権での重圧が実感されるなか、日本にも小さなミスやひやりとさせられる場面があった。しかしぎりぎりで踏みとどまることが出来たのは、日本の選手たちが自らを信じていたからだろう。
日本ならではの個性や特徴を洗練された形で演じた日本代表には、美しさと同時に現実的な強さもあった。高難度を追求すればするほど失敗のリスクが上がるのは全ての採点競技に共通する点だが、新体操の団体には特にその難しさが顕著であるように思う。ぎりぎりのところでもちこたえられる日本の強さには、五輪での演技を楽しみにさせてくれる魅力がある。日本の選手たちが、ロンドンでも美しく、そして強く舞ってくれることを信じている。
posted by satoko |13:58 |
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2010年12月20日
メダルを獲るためには、本気で狙わなくてはならない。
テレビで「ティーンエイジDREAM 新体操フェアリージャパンPOLA完全ドキュメント」を見る。ロンドン五輪でのメダル獲得を目指して結成され、ロシアでの長期合宿でロシア人コーチに磨かれて成長する若い新体操日本代表を追ったドキュメントだった。まだあどけなさも残る十代の選手たちが少しずつ日本代表としての自覚を持ち始める姿が印象に残ったが、更に感銘を受けたのは強化スタッフの「本気」である。
今一番強い国であるロシアでの合宿を実行に移した背景には、山崎浩子強化本部長を中心とする強化スタッフの並々ならぬ強い思いを感じる。「そこまでやるか」と端から見えるようなことまでやってのける熱意がなければ、採点競技で序列を覆して五輪でメダルを獲得することは出来ないだろう。
ロンドン五輪までの年月を、いかに有効に使い切るか。新体操の首脳陣が切実にとらえている課題を、シンクロナイズドスイミングの上層部はどう考えているのだろうか。
posted by satoko |12:25 |
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2009年09月14日
アンナ・ベッソノワは本当に素晴らしい。ベッソノワのメダルが何色であろうと、その演技の価値が揺らぐことはない。
三重で開催されていた新体操の世界選手権で、前女王のベッソノワは個人総合で三位に終わった。しかし、最後の種目であったというリボンは、ベッソノワの新体操への思いが伝わってくる気迫溢れる名演技だった。会場中が魅了されたことが、テレビで見ていてもよく分かった。
素人目にも決して完璧という演技ではなかったと思う。しかし、ベッソノワの真価は点数に反映しきれないところにある。点数が表示されると、悲しげな表情のベッソノワを会場のブーイングが包み込むという光景を、何度も過去に見てきたような気がする。それでも自らの信じる新体操を追求し続けてきたベッソノワが、2007年の前大会でやっと手にした金メダルには、大変大きな意味があった。
今大会、大きなミスもあり苦しい戦いが伝えられてきたベッソノワ。再び頂点に立つことは出来なかったが、自分の新体操が観衆の心を揺り動かした手応えを、最後の種目・リボンで得たことは確かだと思う。鬼気迫る表情で演じていたベッソノワは、演技の最後では笑っていたからだ。
posted by satoko |11:57 |
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2008年10月15日
ベッソノワは、やはり存在感に溢れていた。
10月10~12日にかけて行われたイオンカップの、第1日・最終日を取材する。北京五輪後で、選手にとっては体調を整えるのが難しいと思われる大会だったが、北京の金メダリスト、エフゲニア・カナエワ(ロシア)と銅メダリスト、アンナ・ベッソノワ(ウクライナ)はさすがという出来栄えの演技を披露した。カナエワは正確な難度だけでなく美しさも充分兼ね備えたチャンピオンで、新体操の方向性としても理想的な女王という印象を持った。ただ、個人的にはやはりベッソノワに惹かれてしまうのが正直なところである。
ベッソノワを同じフロアで見ると、大柄な体躯もあってそのスケールの大きさに圧倒されてしまう。なかでも、決勝の最終種目・リボンはやはり素晴らしかった。リボンは北京五輪の最終種目でもあり、ベッソノワの本領を発揮する見事な演技で銅メダル獲得を決めている。ベッソノワ本人も、大会後の記者会見で「私自身、リボンの演技はとても好き」だと語っていた。ウクライナの民謡を使っているため「ウクライナ魂みたいなもの」が出てくるのだそうだ。
「陽気な音楽なので、それがファンだけでなく私の気分も盛り上げます」
軽やかで楽しげな演技は、新体操を愛する思いが伝わってくるものだった。会場からの大喝采が、ベッソノワの魅力を証明する。カナエワに続く二位という成績だったが、彼女自身自らの演技の出来栄えに満足出来るイオンカップとなったようである。
ベッソノワは「来年またトレーニングをするかどうかについては、まだ正確には言えない」と語っている。来年世界選手権が開催される三重で、彼女が演技するかどうかは分からない。日本での演技は最後かもしれないベッソノワ、その魅力を堪能出来たこの大会の取材は、それだけで大きな意味があったと思う。
posted by satoko |15:50 |
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2008年08月29日
ベッソノワを見ると、芸術スポーツのあるべき姿を体現しているようで嬉しくなる。2007年の世界選手権で優勝したときも、新体操がチャンピオンとして彼女を選んだことを心から喜ばしく思った。
美しさと表現力に満ちたベッソノワの演技は、しかし難度をカウントしていく採点方法においては難がある。北京五輪の決勝でも思うような点が出ず、二種目終えて五位。三種目目のクラブでも、小さなミスがあったことも響いてか点が伸びない。得点が表示されるとベッソノワの味方である観客は大きなブーイングを浴びせ、ベッソノワは頭を抱えて大きな瞳でテレビカメラを訴えるように見た。その後0.05点高い点に変更されるも、三種目終了時点で四位。
メダル獲得のためにはミスが許されない最終種目はリボン。ベッソノワはウクライナの音楽に乗り、大きなジャンプと美しい回転、魅力ある動きを見せて力の限り演じた。最高の出来栄えに、演技終了後は満面の笑みで片方の拳を突き上げる。
「審判泣かせ」であるらしい演技の採点には時間がかかり、待つベッソノワは立ち上がって声援に応えた。得点が出ると大きくガッツポーズ。18.225、四種目目で初めて出た18点代の得点だった。
ベッソノワは、アテネ五輪に続く銅メダルを獲得した。アテネの金・銀メダリストが引退している状況でのベッソノワのメダルには、大きな価値がある。
追いつめられた状況で臨んだ最終種目のリボンでベッソノワが力を出し切れたのは、北京五輪までの競技生活を通して信念である「美しい新体操」を貫いてきたからだろう。自分を信じて、時には思うように出ない得点と、また新体操の世界で君臨し続けるロシア勢と戦い続けてきたベッソノワは、ぎりぎりのところでも自分を信じ切ることが出来たのだと思う。
ベッソノワの類いまれな美しさは、その美貌と完璧なスタイルから生まれているのではない。自分の信じる「美」を追求し続ける、アスリートとしての真摯な姿勢が、見る者を魅了するのだ。
posted by satoko |15:47 |
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