2012年01月23日
フィギュアにこそ、シンクロナイズドスイミングの本質がある。
基本姿勢と基本動作を組み合わせたシンクロのフィギュアは、音楽に合わせて泳ぐルーティンに比較するととても地味だ。その地味さ故に現在はジュニアの競技会でしか行われていない。22日・東京辰巳国際水泳場で行われたナショナルトライアル2012(2012年度ジュニアナショナルチーム代表派遣選手第1次選考会)では、あまりない機会と思い前半の選考課題であるフィギュアを凝視していた。しかし、フィギュアは数回しか見たことのない素人に良し悪しが分かる代物ではない。音楽はなく、静かなプールで、ゴーグルをかけた選手が入れ替わって淡々とこなされていくフィギュアは、率直に申し上げて素人が集中力を保って見るのは相当に難しい。
しかし、シンクロの基本がまさにフィギュアにあることは良く分かる。ナショナルトライアルに参加しているのは1994年~97年生まれの選手たちで、決して面白いとは思えないフィギュアの練習に若い彼女たちが耐えられるのは、この基本を身に着けないことには国際舞台での華麗な演技はあり得ないことを熟知しているからだろう。世界ジュニア選手権でのフィギュアの成績を見て、上位にロシアの選手がずらっと並んでいるのに驚いたことがある。ジュニアの競技プログラムにフィギュアが残されていることには、大きな意味があるのだ。
ただ、今の日本のジュニア世代にとり、ナショナルチームの魅力が薄くなっていることは否定できない。日本代表入りがすなわちメダル獲得の使命を背負うことを意味したのは、もう昔のことになってしまった。四月のロンドン五輪最終予選での出場枠獲得が最大の目標である現在の日本は、ドイツオープンで最終予選でのライバルとなるウクライナに勝ったことが良い知らせとなっているような状況だ。
日本の若いシンクロスイマーが厳しい練習に耐えられる動機となるような、明るい未来を日本代表には描いてほしい。
posted by satoko |11:54 |
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2011年10月19日
酒井麻里子(東京シンクロクラブ)が、再び日本代表デュエットに帰ってきた。
9月19日に行われたロンドン五輪予選会代表選考会で乾友紀子(井村シンクロクラブ)に続く2位となった酒井は、現在乾と組むデュエットを磨いている。過去に立花・武田のデュエットを振り付け、最近では足立のソロも担当したステファン・メルモン氏にルーティンを作ってもらうため渡米するなど、4月の五輪予選会に向けて鍛え続けている。
北京五輪後、乾と共に次の日本代表デュエットとして期待されていた酒井だが、精神的な問題もあって競技を離れた時期もあった。しかし今夏の世界選手権で代表に復帰、新たな意欲を見せていた。
素人目にも垢抜けた動きの足技を持つ酒井が、紆余曲折を経てようやく代表デュエットに戻ってきた。心・技・体、全てを併せ持つ日本のエース・乾とともに、ロンドンで日本復活の狼煙を上げてほしい。そのためにも、五輪予選会では石にかじりついてでもロンドンへの切符を掴まなくてはならない。
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2011年09月20日
「オリンピック出場枠を取るというのもあるが、私たちが目指すのはロンドンでいかに上位に近づいていけるかというところなので、それを忘れないようにしたい」
ロンドン五輪予選会代表派遣選手選考会(19日、国立スポーツ科学センター)で1位となった乾友紀子(井村シンクロクラブ)は、目標は五輪出場ではなく、本大会で世界のトップ国に迫ることだと強調した。目標を高いところにおいていたからこそ、乾は選考会を全ての課題でトップという好成績で通過したのだろう。ただ北京五輪以前の日本なら、五輪で上位を狙うのは当然の意識だった。
選考会で選手たちは、7月・上海での世界選手権で披露したテクニカルルーティンを7回泳いだ。
「基本的にはこのルーティンを使うので、これが五輪予選につながっていく」
本間三和子シンクロ委員長はそう狙いを語った。五輪代表の最終選考が従来よりも早く行われたのも、今の日本が五輪最終予選(来年4月、ロンドン)に全力で臨まざるを得ない状況にあるからだ。本間委員長は、世界選手権当時より選手個人のスキルは上がっていると評価し、「何が何でもオリンピックの出場枠を獲得する」と述べた。
「今回の選考会を通して、まだまだ自分に足りないものが分かった。基本的な技にしても見せ方にしても、何か甘いところがあるので…自分自身のことをもっと良く知らないと。もう一度何を目指すのかをしっかり見つめ直したい」
日本代表のエース、乾の強い気持ちに今は希望を託したいと思う。乾自身、「上を目指していく姿を見せて」代表を引っ張りたいという意志を示した。
五輪とはどんな場かと問われ、乾は答えた。
「自分自身にとって挑戦の場」
世界に挑戦する権利を得るために、選ばれた日本代表の選手たちはまず4月のロンドンで最善を尽くさなくてはならない。
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2011年08月08日
演技は「生もの」…世界水泳選手権・上海大会での「天国への階段」(スペイン・フリーコンビネーション)を見て、改めてその感を強くした。
二年前のローマ大会で、中国「白鳥の湖」とのレベルの高い戦いを制して金メダルを勝ち取ったスペインの「天国への階段」。私にとっては、ローマ大会で一番印象に残っている演技である。決して完璧ではなかったが、スペインにしか出来ない情熱的な表現、ロックの名曲という選曲の妙にうならされた記憶は今も鮮明だ。しかし、上海でも同じ演目で臨んだスペインは、今回表彰台に乗ることすら出来なかった。
二年前よりミスは少なかったように見えたスペインの演技だったが、シンクロの中で最もエンターテイメント性が高いフリーコンビネーションで、二年前と同じ演目を持ってきたことが評価に影響したとも考えられる。また銀メダル争いで中国にことごとく敗れ続けた今大会、勢いに乗る中国の地元という目に見えない逆風がスペインに吹いたことは間違いない。それと同時に、フリーコンビネーションについてはメングアルの不在が大きいように感じられた。ローマでの「天国への階段」で、アクセントとなり金メダルを決定づけたのは、名ソリスト・メングアルの情熱がほとばしる泳ぎだった。
かつて最高と認められた演技に、二年後にはメダルすら与えられない。移り変わっていく採点基準、目に見えない流れのなかで上を目指していかなければならないシンクロの厳しさを見せつけられる。
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2011年08月01日
シンクロ最後の種目であるチーム・フリールーティンを泳ぎ終えたとき、ロシアの何人かの選手は立ち泳ぎすら出来ずにプールに浮かんでいた。チームを指導するタチアナ・ポクロフスカヤコーチの言葉を思い出す。
「私は、才能がある子よりも努力家の選手を選ぶ」
上海で行われていた世界水泳選手権で、シンクロナイズドスイミングのロシア代表は全種目を制覇、7つの金メダルを獲得した。ロシアを追う存在として浮上してきた中国の勢いが注目されたのも、ある意味女王ロシアの強さが絶対的であるからこそともいえる。
卓越した技術に加えて芸術性も身につけたエース・イシェンコが先頭に立つロシアチームは、上海でも無類の強さを見せた。国としての強さが際だつのは、やはりチームでの泳ぎだ。アクロバティックな動きに富む一方で、バレエや舞踏の要素を取り入れた芸術的な振り付けは、音楽と一体になっている。そして選手たちは、強い体と心で過酷なルーティンを最後まで泳ぎ抜く。
躍進する中国の地元での大会でも、ロシアの泳ぎに素直な驚嘆の声が上がるのが、テレビでも聞き取れた。評価されるものが変わっていく芸術スポーツで長年勝ち続けるのは難しいと考えるが、自分たちの演技が世界最高であることを有無を言わさず認めさせ続けているロシアは本当に凄いのだ。
「私たちは毎日10時間ずつ水の中でトレーニングを積んでいる。上海での勝利は、その成果だ」
かつてデュエットの選手として表彰台の頂点に上り続け、現在はチームの泳ぎ手としてロシアを引っ張るダビドワはそう語ったという。華麗な演技を支える強い心、選手だけでなくコーチ陣にも備わった強靱な精神-ロシアの強さの秘密は、そこにあるように思える。
posted by satoko |11:12 |
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2011年07月21日
足立夢実の小さな体には、日本のソリストとしての意地と誇りがつまっている。
予想はしていたものの、シンクロ日本代表はやはり世界水泳選手権上海大会で苦しい戦いを強いられている。ソロに出場した足立も、テクニカルルーティン・フリールーティン共に5位に終わった。だが、足立の演技には見応えがあったと私は思う。
非五輪種目であるソロを、足立は得意としている。2年前のローマ大会でメダルを獲得できずに終わり、今大会でも5位という位置を守るのに精一杯の日本にあって、ソリストとしての足立にも逆風が吹いていることは否定できない。しかし、ソロを泳げる喜びが足立を輝かせている。
数々の栄光を手にしてきた日本歴代のソリストに続き、足立は今その歴史に連なっている。苦難の時代のソリストということになるのかもしれないが、苦境の中でも自分なりのソロを見せたいという気持ちが、足立の泳ぎからは滲み出ているように思えるのだ。
結局今大会では五輪出場権を獲得できなかった日本だが、足立の泳ぎは日本代表ソリストにふさわしいものだった。もっと高く、もっと個性的に、と限界に挑戦しているかのような足立のソロは、記憶に残り続けるだろう。
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2011年07月11日
「既に日本は変わっている」
ガーナ・マキシモーバコーチはそう言った。
9日・東京辰巳国際水泳場で、世界水泳選手権(中国・上海、16日~)に出場するシンクロナイズドスイミング日本代表の公開演技が行われた。公の場では初めての披露となったチームのテクニカルルーティン(以下TR)は、今季から正式にコーチに就任したロシア人コーチ、ガーナ・マキシモーバ氏が振り付けている。しずくが落ちるような音に合わせた入水前の動作から印象的で、メロディではなく打楽器の音に合わせて「嵐」を表現する、前衛的とすらいえる斬新なルーティンだ。ただ個人的には、印象に残ったのは日本の泳ぎというよりルーティンそのものだった。やはりガーナコーチの振り付けによるチームのフリールーティンでは、昨年から泳いでいるせいか日本の選手の顔が見えたので、時間をかければきっとTRも日本チームを印象づけるものになるだろう。
ガーナコーチのルーティンは素晴らしいと思う。本間三和子シンクロ委員長も言っていたように、後は選手たちがルーティンをどれだけ泳ぎこなすことが出来るかにかかっている。小林千紗は、いかにも日本の選手らしく生真面目にルーティンに取り組んでいる様子をうかがわせた。
「最初はどの音をとっていいか分からず、ガーナさんの言っていることにはまらなかったが、みんなで繰り返し聞いて大分はまるようになってきました」
報道陣の囲み取材に根気よくつきあったガーナコーチは、「内面から出てくるものと外面が一致してこそ芸術」という意味のことを何度も口にした。とても真面目で、個人的な感情をあまり表に出さない日本の選手たちにとっては、自らの人格に向き合うような厳しい練習が続いているに違いない。
北京五輪でも、日本は芸術性に挑戦した。鈴木絵美子・原田早穂のデュエットではそれが功を奏したが、チームでは難しいルーティンを結局泳ぎ切ることが出来ず、五輪で初めてメダルを逃した。高い技術を武器にして表彰台に立ち続けてきた日本にとって芸術性への挑戦は危険も伴う。しかし、世界選手権での実際の目標が、中国を抑えて五輪出場権を獲得することではなく、来年の五輪予選に向けての足場固めである苦しい立場の日本は、変化を遂げなければ前に進めない。
6月に日本代表が出たバルセロナでの大会では、泳ぎ自体は発展途上だったがジャッジからの評判は良かったという。ガーナコーチがいうように、「スペインと同じくらい芸術的に、そしてスペインより同調して泳ぐ」ことが出来れば、日本のロンドン五輪への道は見えてくる。
※冒頭のガーナコーチのコメントにつきまして、訳する際の誤りがありましたので後日訂正致しました。申し訳ございません。
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2011年04月07日
井村雅代氏が、ロンドン五輪でも中国を率いる。
今やロンドン五輪に出場できるかどうかが焦点となっている日本を、井村氏がなんらかの形で支えてくれることへのかすかな期待も空しかった。井村氏自身、「昨年のアジア大会後、日本を支援するというかすかな期待を持っていたが、日本水連からは声がかからず、最初に依頼してくれた中国を選んだ」と朝日新聞の取材で語っている。
7月に上海で行われる世界選手権で、日本はロンドン五輪のアジア枠を井村氏が指導する中国と争うことになる。ロンドン五輪への道程が厳しいことは間違いないが、零からのスタートという思いで臨むには、いい状況だと考えることも出来る。上層部には、選手が最も力を発揮できる環境を、全ての手を尽くして整えて頂きたい。
一番苦しいところまで追い込まれたら、新しい日本が生まれるかもしれない。
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2011年03月04日
シンクロ日本代表にとり、ロンドン五輪は出場を「目指す」大会となってしまった。
報道によると、2012年ロンドン五輪のシンクロ代表選考は従来より早く行われることが発表された。以前は五輪前年の9月に代表候補12~13人を選び、最終的に代表の9人を選ぶのは12月だったが、ロンドン五輪に関しては今年9月に最終9人を選考するという。
今年7月に上海で行われる世界選手権は五輪の大陸予選も兼ねており、日本チームがアジア1位となれば五輪出場権を得ることが出来る。だが現状を見ると、このところ国際大会で負け続けている中国に地元開催の大会で勝つのが厳しいことは明らかだ。世界選手権で五輪出場内定を逃した場合は来年4月の五輪予選会に回ることになるが、開催国・イギリスがヨーロッパの代表に決まっている影響で、ロシア・スペインなど強豪国と競い合う中で上位3位までに入らなければならない。
シンクロの日本代表チームにとり、五輪の表彰台こそが目指す場であり、五輪自体は出るのが当然であるはずだった。しかし、ロンドン五輪に関しては出場も危ぶまれる事態となっている。チームの出場がならなければ、五輪に出るという夢が遠ざかり、日本におけるシンクロの競技人口が減少することも考えられる。なんとしてでも、五輪への出場権は逃してはならない。今、日本代表は予選会に照準を合わせなくてはならない立場なのである。
「世界選手権で何が足りないかを見極めて、9月に選びたい」
本間三和子シンクロ委員長はそう話したという。何が足りないかを見極めるためには、まずは上海で実のある戦いをしなければならない。
posted by satoko |13:32 |
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2011年01月07日
酒井麻里子が、日本代表に帰ってきた。
今年7月に上海で行われる世界水泳選手権のシンクロナイズドスイミング日本代表が、5日に発表された。昨年、代表に選出されながら主要な国際大会であるワールドカップ・アジア大会に出場しなかった酒井麻里子(東京シンクロクラブ)は、先月26日の選考会で三位になり今回も代表入りした。
選考会の際、酒井は再び代表で挑戦する意欲を語っていた。気持ちを前に向けていくのが難しかったという状況を抜け、「自分の気持ちに正直にチャレンジしよう」という心境に至ったことを語る酒井には、悩んだ末に腹をくくった強さが感じられた。
三か月のブランクがあった酒井は、大学に通う日々を送る中、ワールドカップ・アジア大会は「ニュースでちょっとだけ見た」という。応援する気持ちで日本代表を見守った酒井は、いろいろな人の意見を聞いた上で「自分の気持ちに正直に、もう一回始めよう」と決意する。酒井の気持ちを大きく動かしたのは「自分の気持ちを見ないで、逃げていくようなことはしない方がいい」という言葉だった。
希有な素質を持つと言われ続けてきた酒井は、苦しい時期の日本代表に早くから選ばれ、エースとしての活躍を期待されてきた。豊かな才能と同時に、やる気を露わにはしない性格も持つ酒井が初めて出場した2009年の世界選手権ローマ大会は、日本が初めてメダルを取れなかった屈辱的な大会だったが、酒井は「その経験を少しでも生かして、いい演技が出来るようにこれから頑張っていきたい」と言う。
もっと日本が強いときなら、酒井ももう少し楽な気持ちで泳げたのかもしれない。しかし、酒井は以前は聞けなかった強い言葉を口にした。
「どんどんチャレンジしていきたい。もう一回、自分自身にも世界にもチャレンジしていきたい」
現在の日本シンクロは厳しい状況にあるが、だからこそここでの奮闘は大事になってくる。今の酒井なら、苦境の日本代表を背負うエースとしての役割を全うできるに違いない。
posted by satoko |06:17 |
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