2010年02月22日
高橋大輔、転倒して得たメダルの意味
四回転を試みた高橋大輔の転倒は、見事だった。 バンクーバー五輪のフィギュアスケート男子シングル・フリーは、各選手の緊張が伝わってくるような試合だった。完璧といっていい出来栄えのショートプログラムで三位につけた高橋は、フリーで四回転に挑むことを公言していた。プログラム「道」の冒頭、報道によれば練習でも決して成功率が高くなかった四回転に果敢に挑んだ高橋は、豪快に転んだ。 恥ずかしい話だが、全てが終わってメダルの行方が決まった後「もし四回転を跳ばなかったら、高橋の得点はどうなっていただろう」という思いが頭をかすめたことを白状させて頂きたい。しかしこれこそ外野の雑音というものだ。高橋の「見事な」転倒は、彼のアスリート魂の現れにほかならない。 初めて高橋の演技をテレビで観たとき、彼は何度も転んでいた。人目を引く独特の雰囲気に豊かな将来性を感じると同時に、精神的な脆さもまた感じたことを思い出す。その後日本のエースとなった高橋は、不完全燃焼のままトリノ五輪を終え、選手生命にかかわる大怪我を克服し、遂にバンクーバー五輪で快挙を成し遂げた。 高い演技点が高橋のメダル獲得につながったことは間違いない。しかし高橋は、素晴らしい芸術性とともに、アスリートとして五輪に臨んだことを四回転への挑戦で世界に示した。バンクーバーでの転倒は、溢れる才能を発揮できるだけの心のたくましさを、メダリスト高橋大輔が身につけたことの証だ。
posted by satoko |12:03 |
フィギュアスケート |
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高橋大輔、転倒して得たメダルの意味
コメント投稿者ID : NID00002018
心の強さ ~ ~ さすがの観点だと思いました。
高橋選手は、日本男子フィギュアでは、史上初のメダリストとなった訳ですが、そういう快挙を成す人には、やはり、心の強さ ー 精神力 が何よりも必須であるかもしれません。本当に、冒頭4回転の高難度の技へ飛翔(ジャンプ)した瞬間に、そして、失敗した後、何事も無かったかの様に、次の演技へ、更に更に、その次へ、と、滑り続ける姿に溢れ出ていたものは、心の強さだった と思います。
才能と努力を支える心の強さ、それを彼にもたらしたのは、紛れもない、オリンピック という舞台だった、とも思います。
折角のその舞台、無難な戦略 という名の鎧に力を隠してしまうのは つまらないことなのではないか とは、選手ではない、テレビ観戦者の私でも思うことです。
posted by 五節句 | 2010-02-22 18:26
高橋大輔、転倒して得たメダルの意味
コメント投稿者ID : NID00000111
元カナダ選手ストイコ氏の発言が物議を醸しています。現行ルールにきわめて否定的で、今回の男子フィギュアの結果に忌憚のない言葉で異議を唱えていますが、概ね正論と納得できるものです。
発言の中で彼は、高橋選手の演技を讃美し、四回転への挑戦を素晴らしい気合と認めた上で、ライザチェク選手より上位に来るべきと位置づけています。また一方、小塚選手のことも素晴らしいエッジワークとスピンを褒め称え、その演技に合った評価がされていないと嘆いています。
ストイコ氏によれば、「全力を尽くさないで勝利するスポーツなど他にあるだろうか」と、リスクを回避して勝利することのみを優先する今のフィギュアの現状を、その凋落とともに憂いているのです。
彼はリリカルで女性的過ぎる男子の演技にも否定的ですが、五輪のウィアー選手の滑りについては偏見なく、チャン選手よりも上に来るべきだったと評価しています。そして、そのウィアー選手自身は、ジャッジへの不満を引き出そうとする報道陣に対し女々しいコメント一つすることなく、「ダイスケの演技を観たのかい?」と自らの演技を客観的に洞察しているのです。
ストイコ氏はさらに男子スケートには「力と強さ、男らしさと集中と潔さ、音楽の解釈が大事」と述べていますが、それは単に演技やジャンプなどの要素について言っているのではなく、試合に臨む心の持ち方、生きる姿勢全ての面において、必要だと考えているのだろうと思います。
四回転論争の行く末は分りませんが、少なくともただ演技を無難に美しく魅せるだけでは、フィギュアの「リサイタル化」は免れない。強く、集中した心でリスクを乗り越えていく演技が正しく評価されない限り、スポーツとしての再生はないだろうと感じます。
posted by まさきつね | 2010-02-23 20:02
高橋大輔、転倒して得たメダルの意味
コメント投稿者ID : satoko
皆様ありがとうございました。
お返事が遅くなりまして失礼致しました。
「五節句」さん、またコメントを下さいましてありがとうございました。
確かに高橋選手は転倒後全くダメージを感じさせずに素晴らしい滑りを見せましたね。精神的な成長を強く感じました。
おっしゃる通り、戦略としての無難な滑りには感動は覚えませんね。同時に、結果を受け止めるのも選手であることを考えると何とも言い難い複雑な気持ちになりますが…
「まさきつね」さん、またコメントを下さいましてありがとうございました。
個人的に、ウィアー選手の演技にどうしてもっと高い点が出ないのかは不思議に思いました。また、キスアンドクライでより高い点数を求めるブーイングを静めるような仕草をしていたウィアー選手に、繊細な滑りから受ける印象とは違う潔い男らしさを感じました。
フィギュアスケートはスポーツですから、より難しいことに挑戦する選手の姿勢が高く評価されてしかるべきだと感じます。採点上でもそのための工夫がなされることを望みます。
ありがとうございました。今後とも、何卒よろしくお願い致します。
posted by satoko | 2010-02-28 14:15
高橋大輔、転倒して得たメダルの意味
コメント投稿者ID : OOH00002485
かなり遅くなりましたが、またお邪魔させていただきます。
高橋選手は今季ずっと「四回転を組み入れての自分の滑り」をすることにこだわってきましたね。 高い技術と豊かな表現力の調和、まさにフィギュアスケートの理想ですね。 大怪我を乗り越えた彼は、自分のやりたいことをはっきり持って帰ってきました。(以前はモロゾフコーチの操り人形のような印象があったものですから)
管理人さんは「もし四回転を跳ばなかったら…」が頭をかすめたそうですが、私は「もし四回転が成功していたら」と思います。 直近の練習では成功していたのですよね。 もし四回転が成功していたら、(メダルの色に関わりなく)技術と表現の両立というフィギュアスケートの理想型を目の当たりにできたわけで、プルシェンコ選手の発言から火のついた四回転論争も、ここまでこじれなかったのではないかと思ってしまうのです。 同じように女子の浅田選手にも思いました。もし彼女があのままミスなく演技を終えていたら、採点についてここまで揉めなかったのではないかと。 大舞台で頑張った両選手には勝手で酷な言い分でごめんなさい。 お二人の演技にはじゅうぶん感銘を受けています。
また、今回の銅メダル獲得は「チーム高橋」の獲得だったと思います。 本田武史さんからバトンを受け継いでのリレー、関わる人すべてが「高橋選手を復活させる」「日本に男子史上初のメダルをもたらす」ということに団結した日本で最強のチーム。 もっと言えば、観ている私たちもチームの一員でした。 一試合ごとに勘を取り戻し、演技が安定していく高橋選手を応援することによって、リハビリに付き合っているような連帯感が湧きましたから。 以前管理人さんが書いていらっしゃったように、怪我から復活して自らのすべてをさらけ出せるようになったからこそ得られた応援であったと思います。
ショートプログラムはすべて和製ということでしたが、振り付けも衣装も、身近にいてこそ分かるような高橋選手の魅力をじゅうぶんに発揮できるものでした。 フリーでは今までにない魅力を引き出せ、高橋選手の溢れる思いと相まって、オリンピックの場にふさわしい感動的なプログラムでした。 銅メダルは、本人はもちろんチームの大きな功績です。
受賞後、自分の滑りをようやく掴んだので、とりあえず来季までは続けたいと嬉しいことを言ってくれました。 トリノでの世界選手権では、ぜひ四回転入りの「道」が観たい。 来季はまたどんな新しい高橋選手を観せてくれるのだろうかと今から楽しみです。
posted by 夜想曲 | 2010-03-08 19:33
高橋大輔、転倒して得たメダルの意味
コメント投稿者ID : satoko
「夜想曲」さん、またコメントを下さいましてありがとうございました。お返事が大変遅くなりまして申し訳ございません。
そうですね、高橋選手が四回転を成功させたら、「道」は非の打ち所のないプログラムとなることと思います。世界選手権でそれが実現するといいですね。
フィギュアスケートにおいて日本は今や世界でもトップクラスの強国になりましたが、やはり伝統的にフィギュアスケートは欧米文化に属するものという意識は、一般的に、また私自身のなかにもあるように思います。そんななか、日本製にこだわった「チーム高橋」が掴んだ銅メダルには大きな意味があるのではないでしょうか。これこそが日本流、と胸を張れる「日本のフィギュアスケート」の確立につながる大きな一歩だと感じるからです。
ありがとうございました。今後とも、何卒よろしくお願い致します。
posted by satoko | 2010-03-15 23:09
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