2009年10月26日

浪口修の引退

10.24ZERO1後楽園ホール大会を最後に
ZERO1の浪口修選手が引退。

デビューから見ている選手ということもあり
引退を見届けたくて行ってきました。

橋本真也最後の弟子である浪口修。
いいところもダメなところも含めて
印象深い選手でした。

その「橋本真也最後の弟子」という点含めて
応援したくなるポイントは非常にたくさん持っているのです。

持っているのですが
ほめようとか評価しようと思った時に限って
なにか余計なことや残念なことを言ったりしたりするので
どうも、ほめづらい。

たとえば
ディファカップに日高郁人選手と組んで参戦した時は
初日、負けたけど非常にいい試合をしていたのです。
よく頑張っているな と思いました。

彼も彼なりに思うところあって参戦したのだろう
でもこのディファカップを通じてきっと何か成長したはず
負けても何か残ったはずだよ
そう言ってあげたいと思わせるような試合でした。

うっかりそう思わせたりする試合を
やる選手ではあるのです。
それは本当です。

しかし浪口修は翌日、ちょっと調子に乗った試合をしてしまって
試合後、パートナーの日高選手から思い切り平手打ちをされていました。

こうなると、前日の良かった分が帳消しにされてしまうのですね。
帳消しになるだけでなく、なんか「この野郎」と思う。
うっかりほめようと思った自分が馬鹿だった、というような感じ。

思い起こせば彼はいつもその繰り返しだったように思います。

周囲も彼をまっすぐほめられなくてきつかったし
彼は彼で、やっていることに対して評価が出なくて
きつかったのではないかと思います。

悪口じゃなくてまじめに浪口修のことを書こうと思ったのですが
どうも悪口みたいになってきてしまいました。

浪口修の面白かった試合、といって思いつくのは
ZERO-ONE時代の前座の、当時は全日本だった石狩太一選手や、
山笠Z”選手らとがちゃがちゃやったりやられたりしていた頃、
メインのセコンドでプレデターに投げられたりしていた頃の試合、
あと、本人にとっては屈辱だったでしょうが、
夏樹☆たいよう選手とやった試合、
そして彼と新日本の裕次郎選手の試合は、どれも非常に面白かったです。

いくらなんでも、ここまでやられれば何か気づくだろう、
と思うようなシチュエーションで試合が組まれていて、
それでも負けてしまうというような、しんどい試合が
彼にはいくつもいくつもありました。
裕次郎選手に3度負けたりしたのもそうだったと思います。

それでもどうやら気づかなかったりするので、
浪口修の浪口修ぶりは底なし沼なのだと逆に感心することもありました。

でも辞めてしまうのだなと。

引退試合は、デビュー戦と同じ金村キンタロー選手が相手で、
ボコボコで大流血して、
最後はなぜか、本人の希望で
リングでブリブラダンスを踊っての引退でした。
XWFの若手の引退セレモニーみたいでしたが、
まぁ、本人がいいなら。

浪口修には「どっこい魂」というキャッチフレーズがあって、
見る側からすれば彼を表現するのにあっている言葉なのですが
それを引退の挨拶で「実はあまり好きな言葉じゃないんですが」
と言い出したり「皆さん前向きに、足下を見て頑張りましょう」
と言って、前向きなのになんで下を見なきゃいけないんだ、
どっちなんだ、第一おまえに言われたくないよと
聞いている側が全員心で突っ込みたくなるようなことを言い出したり、
「悔いが残らない人生を送れる人になりたい」と
いまさらなことを言い出した上に
「未練はあるけど自分で決めたことなんで」と
現役に未練があることをあっさり言い出したり
「橋本さんも小川さんとのことで一度は引退したし」と、
引退試合でいきなりカムバックを示唆するようなことを言ったりして
最後は報道陣から拍手を贈られて
強引にコメントをフィニッシュされていました。

天下一Jr.の出場メンバー発表がこの日、あったのですが
あの様子じゃ普通に名乗りでてくるんじゃないかと思って
ちょっとどきどきしました。

引退試合を振り返って、浪口修は
「求めていたのは、今日みたいな試合だった」
と言っていました。

全力を出し切って、ボロボロになって、
それでも見ているお客さんが笑顔になってくれるような試合を。

もしそう思うなら
どうしてそれが最後の最後でできたのか、
いままでそれが出来なかったのはどうしてなのかを
考えて、今後の人生に生かしてほしいと思いました。
何時間、何日、いや何年かかってもいいからそれを考えてほしい。

きっとそれが、彼のやってきたことに対する
答えであり、プロレス界が、彼に教えてくれたことであり、
浪口修に対するプロレスからの贈り物でもあると思うのです。

見ている側はいつだって、心からの拍手を送りたいのです。
できることなら。

sasakey-120075.jpg

フリーライター佐々木亜希がときどき更新するブログ
「ときどきキックアウト」は
プロレスとZERO1と
浪口修のこれからをときどき応援しています。


posted by sasakey |15:29 | ZERO1 |
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2009年10月17日

彼女たちはなぜ殴るのか〜「新潮45」に女子格闘家が掲載されています

本日、10月17日発売の「新潮45」11月号に
辻結花、HIROKO、及川千尋、藤井恵の4選手が
登場しています。

文章は私、写真は杉博文さんです。
(杉博文さんHP)
はい。宣伝ですみません。
久々の更新が宣伝。一番いやなタイプのブログですが、
それだけのものにはならないように努力します。

新潮45というのはこんな雑誌です(新潮45HP)
文芸誌といわれるタイプの雑誌に
女子格闘家が登場することは、たぶん初だと思います。

半ページとか4分の1とかじゃないですよ!
写真つきで10ページですよ10ページ!

自分にとって、いままで書いた中で
一番長い文章で、
いちばん苦労した文章でした。

少し内容について書きたいと思います。

自分が女子格闘技を見るようになって
気がつけば8年です。ひゃあ。

最初の年は観客で、翌年からは仕事として訪れるようになって、
選手にも接するようになって、インタビューもするようになって、
一昨年、フリーになってからは
リングや金網の中にいる彼女たちは、どういう人間なのか、
自分なりに、彼女たちがどういう気持ちで試合に臨んでいるのか、
試合に、戦うことにどんな意味があるのか、
それを考えて伝えてきたつもりです。

媒体によって、格闘技界の中で伝えるべきことと、
外に伝えるべきことがあって、
ずっと取材をしていると、中に伝えていくほうが楽になります。

いざ外に伝えようとしたとき、
何を伝えればいいんでしょうねと、妙に引っ込み思案に
なっていたりします。

長く接しているので、逆に分からなくなってたりするのです。

なんでこれを見なくてはならないのか。
なんで伝えたいのか。
女性が格闘技をやるって、どういうことなのか。

でも別に、選手はやりたいからやっているんであって、
選手に聞いたところで、出てくるものではないのですよね。

そして、見慣れてきたりもするんです。
いいじゃない別にやってたって、と。

だけどやっぱり、女性が格闘技をするのって、
普通じゃないとは思うんです。
それは何度見てもそう思うんです。
確信に近い気持ちで、そう思う。

そして普通じゃないけど、どこか、自然な気もする。
そうしたくなる気持ちもわかる
と思っている自分も、確かにいる。

その「普通じゃない」感じ、
いちばん見ていてヒヤッとしたりするのは
どういう時なのか、インパクトがあるのは
どういう瞬間なのか。
そしてなぜ、それが「わかる」と思うのか。

その原点に帰って、聞いてみたことが
「なんで殴るんですか、なんで殴りたいんですか」
ということでした。

普段は聞けないようなことをあらためて聞きました。

文章を完成させるまで、ものすごく書き直しました。
正直、もう出来ないんじゃないかと真剣に思いました。
自分は文章が下手だったのだと思い知りました。

普段書いているものと、まったく求められているものが違う。
フルボッコと言っていいくらいに文章を直されて
呆然として、あまりの自分のダメっぷりに
「速報だったら絶対、他の作家さんより早いのに」
と、ふてくされたりもしましたが、
そういう問題ではない。
今ここでは自分は一番下手なのだと理解して、
そこからまた書き直して、の繰り返しでした。

「殴る」ということを聞いてはいますが、
他は、ぜんぜん奇をてらったことは聞いていません。

「こんなかわいい子が格闘家!?」というアピールは、女子格闘技が
いま一番一般誌に取り上げられやすい方法だと思うし、
それはとても有効だと思いますけど、
今回のテーマは、なんで殴るのか、ということ以外、
彼女たちの生き様、そのまんまです。

どうしようもなくレベルが低かった自分の文章を
丁寧に直して、ここまで引き上げてくださった上、
掲載を認めてくださった編集部の皆様には
感謝の言葉しかないです。
そしてたくさんのことを語ってくれた選手の皆さん、
ありがとう。

でも、掲載されたことで、
4選手だけじゃなくて、女子選手のやってきたこと、
自分がやってきたことが認められたようで、
自分は、すごく嬉しいです。

ぜひ読んでください。
よろしくお願いします。

フリーライター佐々木亜希がときどき更新するブログ
「ときどきキックアウト」は
女子格闘技をときどき応援しています。

posted by sasakey |16:41 | 女子格闘技 |
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