2008年10月02日

魔裟斗と佐藤嘉洋の長い一日

10.1のK-1 MAXはコメントルームにずっと居ました。
合間合間でけっこう試合も見れました。
魔裟斗の根性すごかった!!
佐藤嘉洋もすごかった!!
K-1甲子園さわやかだった! 日下部竜也すげー!
そしてコヒはコヒでした。
勝つまで改名すればいいのではないかと個人的には思います。

コヒはともかく、この日のコメントで印象に残ったことを書きたいと思います。
敗れた佐藤嘉洋の言葉の中に
「僕だって盛り上げたいんですよ」という言葉がありました。
試合前の、激しい挑発合戦は見物でした。

「アイツなんかに俺が負けてみ? K-1終わっちゃうよ?」

これは試合の煽りVの中で流れた魔裟斗の言葉。
たしかに魔裟斗は誰よりもK-1 MAXを背負っていて
魔裟斗はおいそれと負けるわけにはいかない。

だけど

「でも、僕だって盛り上げたいんですよって。
 いま僕はK−1に生かされてるんだし」。

佐藤だって、自分が支えることが出来るならと思ってたんだ、と。
当たり前のことを感じました。

私は、かつて全日本キックに居て、やや強引にそこを抜けていった
佐藤のことが、あんまり好ましく思えない時期がありました。
辞め方もそうでしたけど、ずっと何か、
自分の存在さえも持て余しているように見えてて、
そのくせ自分が何をしたいかは言わないように感じていたのです。

だけど、今回の舌戦、試合を経て、敗れて、
そのうえでコメントルームにやってきて漏らした
「でも、僕だって盛り上げたいんですよ」という言葉は、
ちょっと何か、佐藤のことが見えた気がする言葉でした。

人を支えるのは
「自分が、何かの役に立っている」という意識だと思います。
自分がやりたいから、と言う動機で最初はなんでも始めるのでしょうが
それを継続させるために必要なのは
自分が、なにかの役に立っている、と思わせることなのでしょう。

そしてそれは選手だったら
「あなたの試合が見たい」
と、思われることなのではないでしょうか。

だけども人からそう思わせるというのは大変なことです。
そんなことを思わせる選手というのはすごく少ない。
そのために必要なのは、勝ち続けて、面白い試合をし続けることしかない。

佐藤は、最初まったくK−1で居場所がない選手でした。
だけど、結果を出し続けることで、ようやく認められて、
ブアカーオ戦、魔裟斗戦で、
人から見たいと思われる試合のリングに立った。

そして最後の最後に、すべての記者からの質問が終わった後に、
佐藤は「本当は優勝して言うつもりだったんですけど」と前置きして、自ら

「NJKF、全日本キックで海外遠征をずっとやってきました。
 こうして日本で一番K−1が盛り上がるときに
 主役のひとりになれたっていうのは、NJKF、全日本キック、
 海外遠征の時に助けてくださった皆さんが
 居てくださったおかげだと思ってます。
 各団体の皆さん、育ててくださってありがとうございました」

と言いだした。

背を向けてきたからこそ、本当はずっとそれを言いたかったのかなぁ、と。
言える自分になりたかったのかなぁ、って。

前回のブアカーオ戦、そして今回の魔裟斗との試合で、
佐藤は、K−1を支える側に「なれた」ことで、
ようやくそれが言えるようになったのかなぁ、って。

だけど本当は、優勝して言いたかったとも言っていた。
優勝することが本当の恩返しだと考えていたのならば。
優勝することで、自分の歩んできた道が正しかったと証明したかったなら。

その悔しさときたら。

そして勝利した魔裟斗。
魔裟斗だってそもそもK−1に来たときは
自分の居場所が全くない人だった。
そこから自分で勝利を積み上げていくことでMAXを作り上げた。

「俺は天才でも何でもないし、99パーセントの努力です」

自分の努力で、自分の存在、自分の力を必要とされるようになった。
それはとてつもなく大きい財産。

判定には納得していますか、の問いに
佐藤が言った言葉は
「しょうがないですよね。自分が弱かっただけです。
 自分が強ければ、もう一回ダウンをとってKO勝ちしていたはずなんで」
でした。

ほんとうに酷だけど、これも事実。

佐藤はきっと長いこと、もしかしたら一生、
今日の3Rで重ねてダウンを獲れなかったことを後悔するのだと思います。
後悔しないようにするには、この敗北を大きな物語のヤマにすべく、
次にでっかく勝つしかない。
そして魔裟斗は、とにかく今日を頑張り抜いたことを
宝として生きていくのでしょう。

私はしがないフリーライターにすぎませんが
なにかにくじけそうになったときに
「ここはもしかして人生におけるあの3Rじゃないのか」
と考えて、頑張り抜くべきところでは頑張り抜ける強さを持とうと決めました。

どんなに苦しくてもそれはあの3Rだと思えば、当然なのです。
そこで頑張らなかったら後悔することになるのです。
苦しくても凌ぐだけじゃなくて、これまで以上のことを
やらなければならないときが、誰の人生にもきっとあるはずです。

魔裟斗と佐藤嘉洋の、濃密な人生の一日を見届けられたことを、幸運に思います。

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フリーライター佐々木亜希がときどき更新するブログ
「ときどきキックアウト」は
K−1 MAXもときどき応援しています。


posted by sasakey |04:29 | K-1 |
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