2008年11月18日

ナビスコ杯をU-23に?

 報道によると、日本サッカー協会の犬飼会長は一昨日、ナビスコカップを23歳以下の大会とすることをJリーグに提案している事を明かした、とのことです。「北京五輪ではJリーグのレギュラーが少なくて勝てなかった。実戦の場を増やすためにナビスコ杯をU-23とし、オーバーエイジ枠を3人と考えている。スポンサーと非公式に話したが前向きだ」とのことで、「Jリーグの秋春制移行」の検討に続く「J改革」案の第2弾だ、とのことです。

 プロ野球の2軍に倣った形でサテライトリーグを行っているJリーグですが、「若手育成」と言うお題目の通りにはいかずに形骸化している、と言うのは誰もが思っていること。タイトルにも昇格にも降格にも関係のないリーグ戦と言うことで、単なる練習試合以上の意味はない、と言って良いでしょう。真剣勝負の経験量が選手の成長を決める、と言っても良いことを考えれば、現状に何らかの手を打たなければならないのは確かです。もともとナビスコ杯は代表選手がいない時にやっている大会で、控えだった選手が成長する機会にもなっています。従ってそれを制度化することによって若手の出場機会をより増やす方向にする、と言うのは悪い考えではなりません。

 しかし、だからと言ってナビスコ杯をいきなりU-23の大会にする、と言うのはいささか強引過ぎるのではないでしょうか。なぜならクラブによっては、U-23だけでは(オーバーエイジを認めるにしても)人数が揃わない、と言う事は十分にあり得るからです。例えば今年の東京Vはシーズン開幕当初の保有選手は34人でしたが、その中で23歳以下の選手は7人だけ。オーバーエイジを入れても11人揃えることはできません。京都はもっと苦しくて30人中U-23は5人しかいないわけで、これではナビスコ杯に参加することすら不可能だ、と言って良いでしょう。ついでに広島ですが、開幕時の保有選手28人のうち23歳以下は16人なので、今年なら十分にチームを組むことができます。でもこのU-23には「ユース黄金世代」である86年生まれが多いので、再来年には大きく減ってしまう可能性があります。仮にナビスコ杯がU-23の大会となるならば、そのへんも考えて今後のチーム作りをしなければならない、と言うことになってしまいます。

 そもそも「秋春制問題」にしても「天皇杯のベストメンバー問題」にしても、良く考えずに思いつきで発言しているように見える犬飼会長ですが、このナビスコ杯の問題についても似たような事が言える、と思います。そもそもの話の前提である「北京五輪ではJリーグのレギュラーが少なくて勝てなかった」と言うことだって認識違いもいいところ。五輪代表の18人のうちクラブでレギュラーではなかったのは山本海(清水)と豊田(山形)ぐらいのもので、他は各クラブの主力級の選手ばかりでした。だいたい五輪は予選段階からJリーグクラブの迷惑も顧みずにチームを作り本大会に参加したと言うのに、その反省もなく逆にJリーグのせいにする姿勢には到底納得できません。また、この提案は明らかに「天皇杯にもベストメンバーを出すべきだ」と言う考え方と矛盾しています。24歳以上の選手だけでなく代表組(場合によってはU-23代表のこともある)が不在で戦う試合は、「ベストメンバー」からは程遠いことになることは明白。天皇杯はベストメンバーで戦うべし、ナビスコ杯はメンバー落ちで戦うべし、と言うことで本当に良いのでしょうか?

 では、若手育成のためにはどうすれば良いか。たぶん一番簡単なのはどの大会からも「ベストメンバー規定」を無くすことだと思います。クラブにとって公式戦で負けて良い試合なんてないわけで、それでもメンバーを落とすと言うのには必ず正当な理由があるものです。今回の天皇杯でも大分がメンバーを入れ替えたのは、ナビスコ杯決勝の疲れがあったから。ハードな日程で選手が怪我をすれば損をするのはその選手とクラブなのですから、そうならないようにメンバーを休ませたからと言って外部がどうこう言うのは大きなお世話というものです。逆にこのような「ターンオーバー」により出場機会が少なかった選手が貴重な経験をできたわけで、それこそ「若手育成」にも繋がることなのです。年間34試合のJ1リーグ戦に加えてナビスコ杯、天皇杯とあり、更に代表やACLもあるわけでそれらに優先順位を付けるは仕方のないこと。その中でどこを優先するかはクラブに任せるべきであって、協会がとやかく言う必要は無いのです。

 どうしてもナビスコ杯を「改革」したいのであれば、いっそのこと現状を追認して「非ベストメンバー規定」を作ってはどうでしょう?すなわち、ナビスコ杯の試合ではレギュラー選手の人数を制限するか、あるいは「レギュラーでない選手」の起用を義務づけるのです。どうせ代表選手はナビスコ杯には出場できないのです。このような規定を設けるならば、逆に代表選出による有利・不利を避けることもできると言うわけです。

 日本サッカー協会は天皇杯にも「ベストメンバー規定」を設ける方針だとのことですが、下らないことはいい加減にして欲しい。サポーターが見たいのは疲れてへとへとになった選手たちの試合ではなく、やる気のある元気な選手による魅力的なサッカーなのですから。
 

posted by sanfreccediary |22:29 | ナビスコカップ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年07月16日

広島×鹿島2nd leg

 サンフレッチェがクラブ史上初のナビスコ杯ベスト4を賭けて戦った昨日の鹿島戦は、終盤追い上げたものの及ばず得失点差に泣くことになりました。
 この試合のポイントは、どちらのチームも1週間前の結果をどのように生かすか、と言うことだったと思います。戸田が「この試合を覚えておいて欲しい」と言うほどの好内容だった広島は、そのままの流れを生かすべく同じメンバーで戦ったのに対して、鹿島は11人中5人を入れ替えてきました。そして立ち上がりは前の試合の内容そのままに、サンフレッチェが何度もチャンスを作りました。ここで広島が点を奪うことができていれば、おそらく試合の流れは全く違ったものになっていたでしょう。ところが先制点は鹿島。本山からの1本のパスからマルキーニョスにあっさりと決められてしまいました。また2点目も中盤でのパスカットからあっという間にゴール前でフリーにさせてしまった、と言うもので、あまりにもあっけない失点でした。更に3点目も、柳沢と野沢の2人で取られてしまったようなものでした。変える、と言うことはリスクを伴うものですが、その賭けに勝ったのが鹿島で、広島は結局のところそれを打ち破るだけの力がなかった。それがこの試合の簡単な総括だと言えるでしょう。
 そしてこの結果は、現在のサンフレッチェの到達点として正面から受け止めなければならない、と思います。この試合のスタッツを見ると、シュート数は鹿島の13に対して広島は12で、決定機の数もそれほど変わらなかったどころか広島の方が上だったかも知れません。しかし広島は枠内シュートがゴールを含めて2つしか無かったのに対して、鹿島は11本が枠内でした。試合展開的に鹿島が落ち着いて進める事ができた時間帯が長かったからかも知れませんが、それにしてもゴール前での落ち着きと言う点で鹿島が上だった、と言わざるをえません。またそれは、試合の流れを読む目、と言う点でも言えるように思います。鹿島は相手の攻勢を受け止めてカウンターから先制点を奪い、つかんだ流れを失う前に追加点を奪って2試合トータルでリードを奪い、後半開始早々に突き放す。そしてその後は守りを固めてそのまま逃げ切ると言う、「アウェイで負けたチームはこう戦うのが理想です」とお手本を示したような戦い方でした。選手一人ひとりのクォリティの高さだけでなくチーム全体での戦術理解が高いからこそできるやり方で、その点で広島は鹿島に一歩も二歩も前を行かれていた、と言わざるをえないでしょう。
 とは言え、この結果を悲観する必要はない、とも思うのです。3点のリードを許しながら後半途中から逆襲し、あと1点取ればトータルで勝ち抜きできる、と言うところまで行ったと言うのは、前回のアウェイの鹿島戦を考えれば決して悪くは無かったと思います。実際ある時間帯は鹿島も相当慌てていましたし、後半から投入されたU-20代表組もチームを活性化させるのに貢献しました。経験豊富な選手が多く、代表にも招集されていなかった鹿島の方が上を行っていたのはある意味当然のこと。その相手に20歳前後の選手を中心に食い下がったのは確かなのです。敗戦は悔しいのですが、しかしこのような悔しさを味わうことができたのも準々決勝まで進出したからこそ。本当に強いチームになるためには何をしなければならないのか、選手とクラブ、そしてサポーターがこの敗戦から学ぶことが、何より重要なのではないでしょうか。

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posted by sanfreccediary |08:53 | ナビスコカップ | コメント(2) | トラックバック(0)
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