2008年05月26日
オシムイズムの体現者たれ! ~7~
「長谷部と今野のビルドアップ」と「啓太と憲剛のビルドアップ」と松井大輔の取り扱い。 「メッシやロナウジーニョが守備をするならば、彼らが出る意味はない・・・」 とはサッカーという競技の本質を語ろうとするときのオシムの良く使う言い回しであった。松井大輔はメッシでもロナウジーニョでもないが、日本では数少ない特別な攻撃性能を持った一人である。 今シーズンの彼はベストシーズンと言っていいほどの出来だったと個人的には思っています。基本は左のウイングと言っていい位置取りをしながら、右にまわってチャンスメイク、クロスに対する動き出し・・・見ていてレベルアップを意識しようとしているように思えて、素晴らしい出来だったと感じています。 守備に関して言えば、引いて守るのは強くはない・・・と言えるのだと思います。しかしながら、前から蓋をする守備、相手の死角からボールをさらう守備は非常にセンスを感じることの出来る選手だというのが僕の印象です。量的にも彼のようなタイプにしては決して少なくはないレベルです。行くべき時には行ける判断も持っているという印象。 「君を出すときは守備というよりも、どちらかと言えば攻撃の事を考えたい。あまり下げたくはない。」 といった趣旨の事をスイス戦の前に、オシムは松井に伝えたといいます。対面のベーラミは攻撃に特徴のある選手ですが、彼(ベーラミ)に守備をさせる選択をオシムはしたという事だと思います。そして、それが可能だとも・・・ベーラミと松井ならば、松井で、日本のビルドアップならばそこに到達できるというのが、オシムの判断だった・・・と僕は思います。 そう意味ではきちんとしたビルドアップか、守備の免除が松井の輝く方法だと言えると思います。力が上の相手ならばなおさらそうです。守備の免除に関して言えば、日本にはまだ守備の免除をしてまで、収支がプラスになるタレントはいないといって良いと思います。そうであるならばビルドアップか、松井をあまり下げない守備のメカニズムが必要ですが、今の日本代表にはそれがないと言ってしまっていいのだと思います。 ゲームが始まったときは松井が高い位置取りが出来ていたせいか、スリートップのような布陣に思えました。何故?遠藤がピッチの左半分にいるのか?松井は何故右ウイングのような振る舞いなのか?逆にしたほうが上手くいくと思います。玉田はこの試合ではベストプレーヤーだったと思いますが、彼は右でも左でも制限さえなければ、輝ける選手ですからなおさら、意味がわかりませんでした。 それからこのゲームでボランチを務めた長谷部と今野が、攻撃を停滞させた原因だったと僕は思います。故に世間の長谷部への高評価は頷き難いものがあります。彼のよさは、量を保障してくれるという事、長い距離を走ることで、バランスをとりチームを押し上げるという能力にあると思います。ボールロスも少なく、パスが上手いとは思いませんが、技術は高く、動きながらでも質が高いところに彼のよさはあると思います。 ただ、細かいパスを繋いでビルドアップをするというサッカーをした経験がなく、ビルドアップの際に効果的な動きが全く出来ません。駒野と中澤のところでパス交換のミスがありましたが、原因の多くは長谷部と今野の動きのなさにあります。二人が横並びになってDFラインに蓋をする場面があまりにも多すぎました。トゥーリオのところでボールが止ってしまうのもそこが原因だと思います。スペースを空ければトゥーリオはそこに進出できる稀有なプレーヤーです。同時に高いラインを保てて、コンパクトなサッカーが実現できます。 今野に関して言っても、彼をアンカーに推す人が多いのもイマイチ僕には納得できないところです。彼のボール奪取技術は日本でトップクラスだと思いますが、前に出られるという条件付きです。バランスをとるのが決して上手な選手では無いと思います。 「4バックの時は、DFラインの前に守備の専門家を置きたい。」 マリノス時代の岡田さんの言葉です。そしてその時は那須がその役割を任されていました。今野はそういうプレーヤーではありません。苦しいときでも前に出れる、ボール奪取に関わった時に最後まで行ける。そういう反転力が彼の良さです。その切り替えの素晴らしさと、馬力、シュートの上手さ・・・そういう彼の良さが殆んど出ていませんでした。恐らくはDFラインの前の番人としての役割を強く言われたのだと僕は考えます。故にDFラインから上手にボールを引き出せない。ポジションを離れることでスペースを作れない。そういう選手がDFラインの前に二人いては、縦ポンにならざるを得ず、それを日本がやってしまえば、重心は下がらざるを得ないのだと思います。 オシム時代は基本的に、攻守が切り替わった瞬間に、DFラインの前には一人、啓太が動く、憲剛が動く、遠藤も、俊輔も降りてくる・・・時々トゥーリオが前のスペースで起点になる。特に啓太と憲剛が、縦横無尽に敵を動かすことで、常に受け手が半身の体勢になることに成功していました。苦しいときは、サイドハーフを務める遠藤や俊輔が降りてきたスペースをFWが使うことで、起点を作り陣地を挽回していました。実に合理的なスペースの使い方だと言えると思います。 オシムはよくサッカーを言えに例えてこう言います。 「つくるよりも壊すほうが簡単だ。」 サッカーにおけるビルドアップはまさに「作る」作業だと言えると思います。日本はどのようなサッカーを作り上げようとしているのか?監督が変わったくらいで右往左往している現状が今なのか?それとも単に組み合わせの問題なのか?いずれにしても「ビルドアップ」が出来ていないのは間違いのないところだと思います。決して出来ないわけではないにも関わらず・・・
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posted by モーリー |12:30 |
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