2008年08月15日
北京五輪サッカー 日本代表 総括
■ビルドアップについての達成点と問題点 自陣の低い位置から、自陣の高い位置までのビルドアップは相手のプレッシャー如何に関わらず、ほぼ出来ていた。 ・相手のプレッシャーが少ない状態 (DFラインへのチェイスがFWのみで、チェイシング開始位置が低く(センターサークル辺り)、あまり追って来ない時) については、 左右にボールを振って、相手守備ブロックを動かした後、SBから縦にボールを供給する場合が多かった。 1ボランチの形になったときはFWに挟まれていたいたせいか、そこへのDFラインからのパスがほとんど見られなかった。 相手のFWチェイスによりSBへボールを追いやられて、やや不正確な(クリアのような)長いボールを蹴らされる場面も見られた(目立ったのはナイジェリア戦)。 パスは本田圭や香川が下がって来てボールを受ける場合もよく見られた。 オランダ戦に限れば、細貝が縦への長いパスや裏への長めのボールの供給にチャレンジしていた。 ・相手のプレッシャーが強い場合、 オランダ戦失点までや、(相手限らず)自陣まで押し込まれた場合(ショートカウンター気味の状態) においても、相手をかわして、自陣の高い位置まで短いボールを繋いで持ちあがれた。これは、壮行試合から見られたシーンだったが、本番でもそれが実現されたことは、日本全体としてのプラス要因である。 ジーコ時代から始まった、日本の短いパスを繋いでの低い位置からのビルドアップ(ポゼッション)は、ジーコ時代はそこらかしこでパスワークがノッキングしていて危うかったが、オシムに変わり進歩が見られていた。 しかし、オシム以降、本気のトップチームと試合をしていなかった。(本気の試合はアジアカップ位で、相手はアジアレベル。トップチームの相手とは壮行試合だった。) つまり、ビルドアップが本当に通用しているのか、判断が出来なかった。 オランダが高い位置からプレッシャーをかけて来ていて、それをかわせていたので、計算できることは証明された。 欲を言えば、せっぱ詰まったナイジェリアがフィジカル満載のチェイシングをかけて欲しかった。それ以上のチェイシングはなかなかないので、通用するかの判断をより明確にしたかった。 ただし、 ①あくまで、自陣の低い位置から、高い位置までの話で、それより高い位置(要は相手陣内)へ運ぶことがなかなか出来なかった。 ②人数をかけてのビルドアップであって、前線へ人数を割けるものではなかった。つまり、相手のプレッシャーに対し、自陣深くで数的有利をつくることで相手をかわしていたと言うことである。これは①にも関係する。 ①は②の要因と、FWがポストプレイをワールドレベルにこなせていないこと、また、FWのスピードが規格外ではないことが原因である。 ・ポストプレイは、ナイジェリアやアメリカのものが参考になると思う。 楔のパスを受けてから味方がフォローに来るまで、相手を寄せ付けず、ファールにもさせずボールをキープし、確実に前を向いている選手に渡すプレイをしていた。(さらに渡した後、走り直す) ・あるいは、相手DFとよーいドンでちぎれるスピード(と駆け引きのうまさ)があれば、プレッシャーをかけるためにライン高めのディフェンス人数少なめの相手DFラインを突破出来る。あるいは、相手が高めのラインを保持できず、プレッシャーをかけている選手達との間にギャップが生まれるのでそこを使えるようになる。 ②、ポストプレイ、スピードの問題は、概ね”個”の問題であろう。 ■自陣からアッタキングサード(相手陣内高い位置)までの組立について 正確には、アタッキングサードは、3分割の内のひとつであることを断っておく。ちなみに、私は4分割でしゃべっている。自陣低い位置、自陣高い位置、相手陣内高い位置、相手陣内深い位置(アタッキングサード)の4つ。 相手が、高い位置からプレッシャーをかけてきていた場合は先に述べたようにこの位置にボールをなかなか運べなかった。 相手が引き気味の時は、この辺りからプレッシャーが強くなる。 この位置での不用意なミスからのカウンターが目立ったので、もっと確実性が必要だろう。 サイドでの組立が多かったように思う。 ■アタッキングサードでの振る舞いについて ・サイド 五輪代表の攻撃パターンで一番多かったのがサイドからのクロス。 得点の臭いが一番したのは、GKとDFラインの間を狙った速いパス。 こちらがペナ内に人数をかけても、相手も引いていて、競り勝って得点になったシーンはついぞ無かった。クロス供給者から見て、最初のDFに当たる、あるいはクリアされる場面も多かった。要は、味方が競る状態になることが少なかった。 サイドからドリブルでペナ内に侵入するシーンは少なかった(あったけ?)。 ナイジェリア戦、香川の股抜きぐらいか。 ・ペナ角よりやや中央に入った位置 EUROでトーレスが決勝で決めた位置(横位置)といえばよりわかりやすいだろうか? あれほど、深い位置に侵入出来る場面は少なかったが、得点チャンス生まれた場所でもある。 最も惜しかったのが、アメリカ戦、豊田が倒されて、笛が鳴らなかったシーン。 このシーンは、選手3人をこの辺りに縦に重ねて放り込んだことから生まれた。 ・ペナ内に入ったのに、 シュートの形に持ち込めず、下がってペナから出てきてしまう場面が結構見られた。相手はファールが出来ないので、有利であるはずだ。相手が人数多く引いている場面ばかりだったので、難しかったのかも知れないが、個人技で何とかならないかな。 ・中央 豊田の得点シーンは、ほぼ中央。 中央を崩すシーンは少なかった。遅攻で中央を崩すことは難しいので、それを考えないとしても、カウンターの場面では中央を狙うことがファーストチョイスでも良いはずだ。中央攻撃の少なさは、カウンターが上手くいっていなかったことの証でもあるのではないだろうか? ミドルは、それなりにあったかな。 ■シュートを打った選手について 豊田以外のFWがフリーあるいは、準フリー(?)、1対1でシュートを打つシーンを思い出せない。 MFあるいはSBのシュートシーンが多かった。人数の割合を要因とすれば、妥当ではある。 しかし、一般的にFWの方が、点を獲る技術が高いはずなので、もっとFWがいい形で打つ状態に持っていくことが必要かも知れない。 今回のMFやSBがシュートを打ったシーン程度の相手のプレッシャー状態で、FWに打たせて、MFらはもっとフリーな状態でシュートが打てる状態をつくらないと、ゴールは難しいだろう。 ■ディフェンス アメリカ戦失点、ナイジェリア1失点目、オランダ戦PKをもらったシーンは、崩れていたが、ペナ周辺を数えれば、人数は同数以上であった。 1対1で確実に守れないことが解決していない問題であることが、示唆される。 ・アメリカ戦失点シーンは、本田圭がそのままついていれば良かったのに、長友の1対1をフォローにいったことがポイントと見られる(但し、本田だけの問題とは言えない)。 ・ナイジェリア戦は相手を褒めるべきではあるが、最終的に4対4の同数ではあった。 ・オランダ戦は本田圭の1対1のシーンである。 数的優位をつくることが、他のチームより顕著な日本の守備の欠点かも知れない。1対1あるいは少数の同数対同数の時どう守るか、切り替えるかが重要になるだろう。 ■カウンターのキレについて カウンターには正直期待できなかった。 スタイルは主に自陣のなるべく高い位置で奪って逆襲のハーフカウンター。 日本のハーフカウンターはトルシエ時代にその有効性と限界が示されていて、トップレベルを相手にしたときには、守備的なメンバーを多く起用する必要性があり、オープンな相手には有効だったが、そのメンバー構成では引いた相手から点を奪うことが出来ない結果が示された。遅攻に問題を生じるとも言える。 今回の代表は、トルシエ時代よりは、攻守に貢献できる選手が揃っていて、遅攻からの得点に可能性はあったが、その分カウンターの切れは落ちていたとも見られる。 導かれるものとしては、トルシエ並に徹底したハーフカウンターでなければ、有効に機能しないことが、今だ変わっていないことが証明されたとも言える。 カウンターはやはり、得点の可能性が高いものである。点がなかなか取れなかったのも、このことが関係していそうだ。 守備の善し悪しは、カウンターの切れの善し悪しとも比例するだろう。 相手が、カウンターをケアすれば、相手の攻撃力を削ぐことになるからだ。 守備面を楽にするためにもカウンターの質を上げることが必要かも知れない。 これには、ビルドアップの成否、精度も関係する。 ■まとめ ・遅攻の質を下げずに速攻の質を上げること。 ・遅攻に関しては、FWがもっと打ちやすい形にさせること。 そのために必要な個の能力 ・ポストプレイ ・スピード ・プレッシャー下における単独でのボール捌き 『GL最初の先制点の重みを思い知ること』 まず、点を獲ることは非常に難しい。そして、”先制点”はその後の試合展開を有利にする(カウンターの出来にもよる)し、初戦を勝つことは、2戦目、3戦目の勝ち点計算を楽にして、余裕を持ったゲームプランを立てることが出来る。この余裕は”先制点”に準ずる有利さである。
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posted by same_frequency |08:45 |
日本代表 |
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北京五輪サッカー 日本代表 総括
コメント投稿者ID :
読むの疲れるわ
posted by なげー | 2008-08-15 10:12
北京五輪サッカー 日本代表 総括
コメント投稿者ID :
>なげー 様
まとめの項だけどうぞ。
posted by 管理人 same | 2008-08-15 10:25
北京五輪サッカー 日本代表 総括
コメント投稿者ID :
仰っていることは分かるのですが、そこまで細かく分析しなくても同じ結論は出るような気がします。
ただ、守備面にも着目している点は好感を持ちました。
攻撃しか考えない論調が多いのに辟易していたので。
必ずしも賛成ではないのですが、トルシエのショートカウンターを例に取られていたのは、うまいな、と思いました。
でも、上記のような技術(っぽい)面以外にも着目すべき点はあったような気がします。
・・・あ、気持ち、とか、シュートを打つ気がない、とかそういう似非メンタル面(笑)ではないですよ?
芝の荒さや温湿度といった環境面の応用度、敵の良さを出させないために何をしたのか、敵がどういう状態にあるのか踏まえた試合運び、等の戦略面です。
これらがもう少し良ければ、1勝1分1敗(勝ち点4)くらいにはできた可能性が十分あったと思います。
それで決勝トーナメントに行けたかどうかは分かりませんが。
posted by ジダ | 2008-08-18 04:36
北京五輪サッカー 日本代表 総括
コメント投稿者ID :
>ジダ 様
いつもコメントありがとうございます。
そうですか、細かいですか。
個人的には、こんな大雑把でいいのかな、と思っているんですが・・・
むー、世間様と感覚がずれているのかなぁ??
好感を持っていただいた守備面に関しても、
プレスの効き具合とか、獲られてすぐのプレスが出来ていないとかetc. まだまだ見るべき所はありますよね。
うまい、とお褒め頂いたトルシエの例ですが、
トルシエの時は、ショートじゃなくてハーフカウンターかな、と。
私が間違っているのかも知れませんが、自陣のなるべく高い位置で獲るのがハーフで、相手陣内高い位置で獲るのがショート、と思っているので、それにお付き合い願えたらな、と。じゃないと岡田ジャパンは何カウンター?となってしまいますので。まあ、最近はチェイスの開始位置が下がっているんですが。
確かに、他にも着目点はありますね。
芝の荒さについては、湯浅さんHPのオランダ戦の書き物が面白いですね。ちょっと今の話とは違いますが。
温湿度は、どうなんでしょう?最後まで走れていたように見えたので、対応という面では問題なかったのでは。
相手への対応ですが、アメリカ戦は結構色々見えましたよね。
データスタジアムさん(スポナビblog)のアメリカ戦データとか見ると森重の位置とか面白いですよ。多分相手FWのポストプレイ潰しの為に頻繁に高い位置までついて行ったせいだと思うんですが、やたらと高くに位置してます。
あと、4-1-4-1気味だったりして、相手ボランチのケアを狙っていたのかな、とか。アメリカの戦略にやられたとか言う意見もありますけど、どっちかというと変にボールを失って、カウンター喰らっていて、単なる自滅のよーな。後半立ち上がりの入りが悪かったとかも言えますけど。
一戦目を負けたせいで、二戦目は自分達の型に重点を置いていたのかな。前にも書きましたが、安田起用とか結構、肝だと思いますよ。
三戦目はねぇ、どうなんでしょう?うそだかほんとだか知りませんが、反乱説とかあるし・・・^^結果的になのかも知れませんが、CBを背の高い吉田に変えましたよね。右サイドの運動量対決も面白かったし。
・・・ほら、全然書き足りてない^^
GL突破に関しては、初戦をせめて引き分けてもらわないと、確率的にその先を話すのは難しいですよ。
posted by 管理人 same | 2008-08-18 12:35
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