2008年05月15日
浦和レッズはトップモードになる可能性を秘めている? vol.2
浦和レッズはトップモードになる可能性を秘めている? Vol.2 Vol.1はこちら 前回は5バックを場合に応じて使うことがサイドの守備に必要であることを述べた。 次はトレカンテからキーワードの結び付けを行おう。 ロナウジーニョのように、トップ(とりわけサイドを意識しているようだ)でゲームメイク・ドリブル突破が出来、点を取れる選手をプレッシャーの少ないサイドやDFラインとボランチの間等で使うことで、新しいサッカーのソリューションを得たのがトレカンテという概念である。もっとも、古くはストイチコフ、クライフといった選手がこの概念に近い選手であったと推測される。バルサには遥か昔から素養が眠っていたわけだ。 中盤重視の傾向やオフサイドを破る概念の発達と共に下がったDFライン、そのためもあって1トップが多くなる。1トップが孤立しないために、MFのフォローが必要になった。また、味方の攻め上がりの時間を稼ぐために1トップのボールキープの重要性が増した。そして、キープからボールを散らす(ポストプレイ)だけではなく、展開をさせようという意図、1トップのフォローに走るより、1トップからの展開のパス、とりわけ相手DFラインの裏に出るパスを受けようと走った方が攻撃スピードが上がる。これらが”0トップ”カウンターの概念の登場に繋がると推測される。トレカンテ、ポストプレイ、トレクアルティスタ、相手のボランチとDFラインの間のスペース利用などが0トップへの発展に寄与している。所詮という言い方を敢えてすれば、0トップはポストプレイの発展形でしかなく、トップの選手にゲームメイクさせるという案も遥か昔に考慮されていた概念なのだ。 ユナイテッド(やローマ)は、トレカンテを利用した0トップといえる。特にユナイテッドはルーニー、テベス、C・ロナウドの三人がトレカンテの役割を交換しながら攻撃できる。というより、ヘディングに強い選手達ではないため、浦和の場合と同様に裏を狙う選手と低い位置に下がって相手DFラインとボランチの間のスペースを狙う選手がいて、そのどちらかにカウンターのボールを預ける。パクチソンを入れる場合は守備とパスに対して走る、パスコースを作るために走るなどのハードワーク要員を増やす意味合いであろう。 ちなみに、トレカンテの名称自体は、0トップ以降に出てきたもののようだ。 浦和レッズの「3トップ」は単純な「ポストプレイ」というより、ゲームメイクを助けるためのタメを作ることが求められている。これはキープして散らす作業より一段難しいタスクで、展開、ゲームメイクより一段簡単なタスクである。高原、エジミウソンに展開までを求めるのは酷だが、永井、そして、ポンテ、三都主(あるいは闘莉王)といった選手はトレカンテの役割をこなせる可能性が有る。ともあれ、純粋な0トップにはならないだろう。 「3トップ」、「ポストプレイ」と”ウィング”、”0トップ”がここで繋がる。 最後は”カテーナ”をキーワードにした理由である。 これまでは、5バックを利用した堅い守備から、カウンターまでの流れにそって話してきた。次に問題になるのがカウンターが上手くいかなかった場合の遅攻、ポゼション、組立、ビルドアップの話である。 5バックを一時的にでも利用すると言うことは、ディフェンスに人数をかけると言うことである。従って、自陣深くに人数をかけていることと同意であり、そこからボールを高い位置にまで運んでいかなければならない。また、相手がそれだけ人数をかけてくるということでもあり、相手のプレスが強いということでもある。 低い位置からのビルドアップには、パサーの存在が不可欠である。低い位置でプレッシャーの中、タメと展開が出来ないと守勢の状況を攻勢に持っていくことが難しいからである。 それから、フォーメーションでもある程度パスを回しやすい状況を用意できる。3角形はパス&ムーブをするための基本形であり、3-4-3、4-3-3は理論的に3角形が最も多いフォーメーションである。ポセッション・組立に向いているということでもある。4-1-4-1、5-4(ダイヤモンド)-1はそれぞれ、4-3-3、3-4-3へのトランスフォーメーションが容易で、形状的には組立に向いている。4-4(ライン)-2においてもSB-CH-SHにカテーナのような形状機能性が見られる。ウィングを使ったカウンターとカテーナによるビルドアップの相性も良い。ボールの保持には成功し、カウンターに失敗しても、ウィングに渡そうとした準備は進んでいて、即座にカテーナによる崩しに移行できるからだ。 浦和レッズはこの部分のシステムの完成度が明らかに低い。 低い位置のパサーが現在暫定の闘莉王または、山田で、フォーメーションも3-4-3、4-3-3への変形がシンプルにできるものでなく、且つ、ボランチの位置が低すぎて、WB-ボランチ-ウィングの三角形を形作るのに時間もかかる。現在のレッズにおいて、丹念なビルドアップ、組立は二の次にされている。 少し脱線するが、川崎Fの3センターの3-5-2はFWがサイドに開くことによって、ウィング的な振る舞いをし、且つアンカーのおかげで、谷口、憲剛の両ボランチが比較的高い位置を取れる。カテーナのような形状を作ることが出来るし、Jでは有数の低い位置のパサー、レジスタと言い換えても良いが、憲剛がいるのでビルドアップには事欠かない。 ちなみに、パサーがいなくても、ビルドアップ、組立を問題なくする方法はあるのだが、ここでは割愛する(要はオシムがジェフでやったこと)。 以上が、私が考察した現代サッカーのトップモードとレッズとの相違である。 一言で言ってしまうと、4-1-4-1か5-4(ダイヤモンド)-1がトップモードであるということだ。 もう少し箇条書きすると ・サイドの守備に対する5バックを如何に実現するか ・ウィングを使ったカウンターとそのウィングがパスを展開出来ること ・そして、押し込まれた際のビルドアップを如何に実現するか それから矛盾するようだが、5バックを如何に使わないかということも同時に追究されている。DFラインに人数が多くても、ビルドアップに寄与しにくいし、攻撃へのトランジッションが遅くなるからである。 デポルティボ・ラコルーニャが5-4-1でリーガを戦っているらしくそれなりにうまくいっているようだ。 それから、3バックベースに現代サッカーのエッセンスを加えていくやり方はイタリアの中堅チームの発想に近い。こういったチーム(ウディネーゼ、サンプドリア、ジェノアなど)がかなりの大きな力の差があるビッグクラブからも勝ち点をもぎ取っていき、高い順位に立っている。 浦和レッズはJでは強者であり、欧州トップチームのように4バックを求める声も多い。しかし、現代サッカーの潮流は、4バックベースに2(両SBの攻撃参加),3(SBのつるべの動き),5バック(両サイドの守備を重視したいとき)を適宜使えることにすることであり、その点レッズは3バックベースに2(CBの一枚の攻撃参加),4(WBのつるべの動き)、5をある程度実現している。今回注視したように、サイドの守備に対する5バックの適用は中盤に歪みを生じる難易度の高い問題である。しかし、5-4-1にトランスフォーメーションしやすい3-5-2(3-6-1)は、サイド攻撃重視の4-4-2が多くなってきたJリーグにおいて非常に効果的なシステムであり、時代錯誤のシステムではない。4バックベースの戦術が成長するように、3バックベースの戦術もまた成長しているのだ。ただ、システム的な成長が必ずしもサッカーを強くすることには繋がらない。最終的にものを言うのは個人の能力とそれを常に発揮しようとするハードワークとメンタルである。さらに逆説すると、戦術面の不備が選手の能力を潰しているのに、戦う気持ちが見えないなどと個人の問題にしてしまうことも多い。 欧州ビッグクラブと比べるとJは個人のスピード、パワー、テクニックといったものが劣るのは事実なので、システム的にはモダンとなっても、チームとしての強度がトップモードであるというわけにはいかない。 また、ACミランの4-3-1-2、4-3-2-1はこの流れとは違うサッカーを構築していく気がしているのだが、それはまた別の話で。 最後に、古いと思っていたものが、新たな見方でリバイバルされたり、その次のモードのピースになっている。サッカーは常に変化している。その点において、サッカー以外のものと何ら代わりはない。 この項了 参考とインスピレーション得た媒体 ※ちなみにsameは私のことです。 浦和レッズの分析 ”Football Memorandum”より 【TV観戦Review】浦和レッズ vs 大宮アルディージャ コメント欄 by same ”サッカーの面白い分析を心がけます” より サイドチェンジでフリーになることについて 鹿島対ガンバの雑感 Sameと管理人様とのやりとり 5-4-1を採用しているデポルの分析 デポル対バルサ ~デポルの復活~ サラゴサ対デポル ~アルゼンチンの意地~ 4-1-4-1や5-4-1についてまとまったものに ”attaking phase” より 現代フォーメーション講座(1) 4-5-1概論 majestic blue(attaking phaseの前身サイト) スコットランド戦 生真面目なスコットランドと意図がかみ合った日本 Jリーグ優秀選手から考えたベストイレブン/マルセイユ中田浩二の現在 韓国の3-4-3と日本のサイドアタック 4-3-3の歴史を知るには ”VarietyFootball”より 世界のサッカーシステムの変遷 【チャンピオンズリーグ分析】 チェルシーvsバルセロナ 04-05 Numberweb 色々 トレカンテ出展元でもある Number 色々 ワールドサッカーダイジェスト No.263 他
posted by same_frequency |02:20 |
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レッズについての好意的な考察(?) 【ꓣ膮该놋】
same_frequency さんによる。 面白かったので紹介しておきます。 題して 浦和レッズはトップモードになる可能性を秘めている? vol. 1&vol.2 ...
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