2008年05月14日
浦和レッズはトップモードになる可能性を秘めている? vol. 1
浦和レッズはトップモードになる可能性を秘めている? サッカーのトップモードと言えば、やはり欧州。 そして、その最高峰のCLに集約される、と言って否定する人は少ないだろう。 (トーナメントに入ると守備的だが) 対して、Jリーグを見渡せばどうだろうか? 序盤はもたついたが、今や首位の浦和レッズ。このチームをモダンだ、トップモードだ、と言う人はそうはいないと思う。 レッズは序盤、攻撃面とりわけ中盤での組立に苦慮していた。 長谷部、小野と言った中盤の低い位置でゲームを作れる選手が相次いで移籍し、さらに、サイドで起点を作れる三都主、高い位置でゲームを作れるポンテらを怪我で欠く中、山田、梅崎らにゲームメイクを託してみたが上手くいかず、ついに闘莉王を中盤に上げ、山田らともにゲームを作らせざるを得なくなった。 また、ゲームメイクが本職ではない選手達でゲームを作るのは心許ないため、1.5列目にポストプレイができたり、タメを作れる選手を置くことで、何とかポゼッションを高めようとしている。 ぎこちない組立に対して、守備は堅い。浦和の5バックと揶揄されるほどDFラインに人数を割きどん引きする。さらにボランチが二人とも吸収されて7バックになることもままある。しかしながら、Jで唯一、守ろうとして、守りきれるその能力は素晴らしい。 この堅い守備で相手の攻撃を受けきり、素早く前線の3人へボールを預ける。相手は人数をかけて攻撃しなければシュートレンジに入ることさえままならないので、先制さえされなければ、レッズのカウンターはより有効になる。昨シーズンはワシントンがいたので、ロビング系のボールを放り込めば、彼のフィジカルの強さで、高い位置でのマイボールを確保できたが、今シーズンは様相が変わっている。裏を狙う選手と低い位置に下がって相手DFラインとボランチの間のスペースを狙う選手がいて、そのどちらかにカウンターのボールを預ける。間のスペースで受けた選手はキープし味方の攻め上がりを待つか、3人でフィニッシュまで持っていく。先の川崎戦では上手くファールをもらっていて、組立部分を省略してセットプレイを多く獲ろうとしていたのかも知れない。 以上が現在の浦和レッズの主な攻守、トランジッションのまとめである。 さて、この5-2-3と取れるほどクラシックの香りがするシステムのどこがモダンなのか、欠片すら見えないのでは? 実はそのピース、「5バック」、「3トップ」、「ポストプレイ」のキーワードに隠れている。 話変わって、CL決勝に残ったチェルシーとマンチェスターユナイテッド。 この2チームに共通するのは4-3-3/4-1-4-1を用いていることである。 (ユナイテッドは4-4-2と併用但し右サイドのC・ロナウドを多く使う傾向があり実質3トップとも言える。だからといってギグス側も脅威だから、相手も右サイド固めをするわけもいかない) チェルシーは、モリーニョの時ほど顕著でないが、ウィングを使ったカウンターとカテーナ(SB-インサイドハーフーウィングで形成する三角形、チェーンとも言う)を使った崩しや、ドログバのポストプレイを主軸に戦っている。ユナイテッドの方はルーニーやテベスのポストプレイと何と言ってもC・ロナウドを使ったカウンターが主軸の攻撃である。ルーニーやテベスといったFWに入った選手が起点、ゲームメイクをするので、いわゆる0トップシステムでもある。 キーワードは、”4-3-3/4-1-4-1”、”ウィング”、”0トップ”、”カテーナ”である。 キーワードのすりあわせを、一般論を交えながら行っていこう。 4-3-3が改めてメジャーになったのは、チェルシー、バルサの功績が大きい。ただし、あくまでメジャー化に貢献したのであって、その概念のピースはそれまでの様々なサッカーの中にちりばめられていたのだと思う。 その中でも新たなコンセプトとして現在に強く影響しているものは、チェルシーの4-1-4-1、バルサのトレカンテだろう。 また、リーガの4-5-1を経て、この頃からサイドを強く意識したサッカーが発展していく。 チェルシーの4-1-4-1はウィングにサイドの守備をさせるという概念と、イングランド式4-4-2の改良形として出発しているのだと思う。ただ、それを普通に行ってしまうと攻撃力を削ぐだけである。それを避けるために、ウィングにスピードと運動量を、また、1トップで孤立してしまうために、高いフィジカルを求めた。蛇足だが、休むためのポゼッションをメジャー化させたのもこの頃のチェルシーであると言われている。それから4-4の間のスペースを埋める1(アンカー)を置くということの利点がメジャー化した。この概念の波及性は大きく、センターハーフをより高く位置させることが出来(メリットしてプレッシング・攻撃位置が高くなる)、センターの守備力が向上し、そして、「サイドの守備に2人以上を割ける様になった」。 ここで、重要視したいのは最後のサイドの守備の問題である。 4バックはペナルティ幅の守備が比較的容易に出来る。近年の欧州強豪のスタンダードになっている。しかし、サイド攻撃が発展し重要視されていく中で、4-4の守備ブロックでは守りきるのが難しくなっていった。4-4の守備ブロックでは、相手SB、SH(ウィング)がCHとの連携で高い位置まで攻め上がられ、ペナ角当たりから、FWなどと連携しそのままサイドを突破されたり、また、タメをつくってDFを引きつけてから逆サイドに展開されると全くフリーで相手の持たれる様になってきた。サイドを守備するために4-4のブロックは攻められているサイドによっていくため、逆サイドに比較的大きなスペースが出来る。先のガンバーアントラーズ戦などはその典型であろう。 このスペースを埋めるのに効果的なのが、「5バック」である。 5バックにする事で、ペナルティ幅よりさらに幅広くスペースをケアでき、相手のサイド攻撃のスペースを消すことが出来る。 4-1-4-1で一時的に5バックを作ることは難しくない。逆サイドのケアにそのサイドのSHが当たっても、センターに人数不利を招かない。また、アンカーがDFラインに収まっても良い。もっとも、明確に5の形に見えることも少ない。 レッズが5バックになるような3バックを採用するのは、サイドチェンジの時に逆サイドのスペースが出来るのを防ぐためでもある。 ただし、レッズの5バックでは、中央の守備に歪みを生じ易い。サイドケアにWB、CB、ボランチの一枚が当たるので、逆サイド側の中央が薄くなる。そのため3の真ん中(阿部)のカバーリング能力が重要になる。さらに、ボランチが低い位置になれば、バイタルエリアの前のスペースからのミドルシュートに対するケアが難しくなる。とは言え、中央に人が密集状態になるのでシュートコースがそれほど多いわけではない。 ここで「5バック」と”4-1-4-1”がサイドの守備という線で繋がる。 しかしながら、常時5バックでいる必要はない。むしろ5バックを保とうとしすぎるのは、攻撃への切り替えの面で多くのデメリットを抱えることになる。このことは、後述するビルドアップの話に譲る。 vol. 2へ続く
posted by same_frequency |08:18 |
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