2007年07月29日

74年ワールドカップについて

このブログ開設当初は新シーズンに向けての各チームの補強についてだとか書いてみようと思っていたのですが、その前に自分のルーツに少しだけ触れておこうとしたところ、プラティニを契機にだんだん時代を遡ってきてしまいました。だんだんコメントの数も減ってきたのですが、私より筋金入りのサッカーファンもいらっしゃるようなので、こうなったら新シーズン開幕前に行き着くところまで行ってみようかなと思ってます。

 <<コリバノフさん、前回のコメントありがとうございました。こちらを確認してください>>)

'70メキシコの話も出てきたのですが、その前に、やはり'74西ドイツについてて触れておきたいですね。といっても私のワールドカップ観戦デビューは86年からなので、以下はいろんな文献からの聞きかじりによる『知ったか』なので、あらかじめご了承ください。

この大会はなんといっても未来のサッカーと言われたオランダのトータルフットボールとその中心選手クライフ、そして皇帝ベッケンバウアー率いる西ドイツとの決勝戦ですよね。トータルフットボールの申し子・クライフとリベロの概念を変えたベッケンバウアー、この二人は所属チームの戦術面での確立に多大なる影響を与えたと言われていますが、現在ではちょっと信じられないですよね。

 詳しい情報はコチラをご覧ください

現代サッカーでは一人の能力で相手の戦術を破壊してしまう凄腕の選手はいても、自分の所属するチームの戦術を進化させてしまうほどの影響力を持った選手はいないのではないかと思います。当時の映像を見た人には是非そのへんのところを語っていただきたいと思います。また、私と同様に見なかった人も好き勝手にコメントしてみてください。

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posted by サッカーニョ |00:16 | ワールドカップ | コメント(2) | トラックバック(0)
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Re:74年ワールドカップについて

コメント投稿者ID :

フランツ・ベッケンバウアー
(長くて申しわけないけどまとめて全部です。いや、足りないのか?)

この人は、コーチとしては???ですね。現実的になっちゃったんでしょう、お歳を召されて。このころはご存知でしょう。今は子育てに勤しむお金持ちらしいです。

プレイヤーとしてはどうか。
以下、偏見ですので、不適切・誇大妄想などと思われたら伏せ字にしてください。

史上最高のプレイヤーはマラドーナ。ジダンとの比較とかって聞くと、ええーっという感じですね。(もちろんジダンは素晴らしいですけど)
日本開催のワールドユースで世界中に知られたときから、早くも世界一でした。
FIFAの大会公式レポートで、ロン・グリーンウッドだったか、技術部門の権威が、ロメロとかタランとかパスの名前を挙げ、それぞれパラグアイ・ソ連・ウルグアイ、自国の名手たちの系譜を継いでいる素晴らしい若手だ、などと報告してたらしいです。ところがマラドーナだけは「特別」、Only Oneであり誰とも似てないと書いてたようです。
でもペレの身のこなしはそれ以上。トータルでマラドーナにはちょっとだけ劣るかなという気はします。が、両脚・ヘディングとも自在に使えるので、晩年のメキシコワールドカップでも流れるようなPoetry In Motionでした。若いころはさぞや、と思います。マラドーナ以上なのかな?

この人たちは真に偉大でした。まあ、テレビ化以前の時代に、ディ・ステファノという伝説的怪物がいるようなんですけど。

でもでも、将来もし完全なフットボーラーが降誕したとしたら、きっとベッケンバウアーに似てるでしょう。
ペレやマラドーナの俊敏さはなく、異常なほどのボールコントロールには欠けるでしょう。だけどターンは上手だしテクニックも最上級クラス。ヘディングは強いけどお嫌いなのか、シュートシーンはなかった気がします。
それから、ここ十数年わけもわからずに使われる「身体能力」みたいなのに秀でてました。
稀に見せるダッシュは速く、ブロヒンとか、限られたスプリンターだけしか追い抜くことはできなかったと思います。

この「まれ」にしかダッシュしないというのが少し重要でして。結局八分の力で済ませて全力出しません。たいていはあらかじめ居るんです。どこにかって、もちろん必要な場所に。で、テレビで見る限り、いや、国立競技場で見ても、汗をかいてない。ように見える。
ご真影とかを見ると当時のコットンジャージには汗が浮かんでたりすることはあるんですがね。(内緒ですが、フォクツとかヘーネスとか、ときにはブライトナーまで代わりに汗をかいてあげたことはあったようです)

ボールをトラップするのも音がしない。蹴るときも常に楽々。と思えるんですよ。小野伸二タイプでしょうか。
もともとゴールを挙げるミッドフィールダーで、ディフェンスラインに下げられてからも、エリック・バッティはじめ心ある識者は才能の無駄だから中盤に戻せと言ってました。その後も重要な得点を右足から生み出してましたけどね。

たとえば、彼は調子に乗って相手陣に入ってドリブルしたりするんですね。マラドーナみたいに意外なことはまったくしません。だけどスルスルとシュートするところまで行ってしまう。まあ独力でもなく、ゲルト・ミュラーたちとダブルパスも交えるんですけど。
で、その様子は、相手が避けてくれてんのか(?)、そう感じるのほほんとした脱力ぶり、スマートさ。スローモーション・スラローム。いや、足は速いんですけどね。
マティアス・ザマーが似たようなことをやって割とゴールを稼いでましたよね?あのゴツゴツ感を取り去って、姿勢をよくして、もっと偉そうにしたような。

インステップアウトサイドのキックをする選手がいると、テレビのアナウンサーが難しい技術だとか言いませんか?
当時はこれがけっこう市民権を得てました。ほかにも何人も使ってましたけど、大方はベッケンバウアーの責任です。ほとんどアウトで蹴ってました。
サッカー少年の何分の一だろう?かなり影響があったと思います。ま、議席の多数派はペレのバナナシュート、インフロントインサイドでしたけどね。
練習すると、これが自然なキックだなと思えるんですね。ベッケンバウアーを見てたおかげで、わたしもアウトサイドキックでコーナーキックを直接決めることができました。意味ない校内球技大会のハーフコートマッチでしたけど。非力なんで遠いとずれちゃいます。

このような踏み込んで右脚一閃っていう場合もありましたが、ドリブルしながらスイッとアウトフロントで押し出して、ビィーンとボールが走っていくシーンも多かったです。
たしかサッカーマガジンだかで、「前足で蹴る」技術として紹介してたような。わかりやすい表現ですよね?
走る脚の運びと繋がった動作だから相手はタイミングがつかみ辛いでしょう?動きながらパスをするときはこれだ、みたいな感じだったかな。
ベッケンバウアーだけのテクニックじゃありませんが、彼が手本とされてました。無論まだ日本ではこういうのが珍しく、ヨーロッパでもさほど盛大に使われてなかったのではないでしょうか。ん、今でも?

エリック・バッティはベッケンバウアーのことを「悪い手本だ」と褒めてました。あまりに楽々とプレーするので、見てるとみんな自分でもできそうだと思う。だけどベッケンバウアーのクオリティでなければ相手へのプレゼントになってしまう、真似してはいけない、という風に。

ベッケンバウアー引退後、テレビで見れなくなったプレーはチップキックです。ボールと地面の間に足を打ち込むやつ。
そんなの俺だってできる。はずでしょう?お願いします、練習してください。
ベッケンバウアーは直接フリーキックに使ってゴールを挙げてました。アウトかインフロントでカーブをかけて曲げながらバーぎりぎりに落とすんですね。有名になるとけっこうフィスティングされてましたけど。
えー、これを読んだJリーガーの皆様、それを目指す皆様、女性の方々も。ぜひこのフリーキックを決められるように励んでください。
わたしが死ぬ前に、トップクラスのゲームでもう一度見せてください。
これを決められてしまうゴールキーパーの方、お気の毒だけれど、あなたは馬鹿でも下手でもない。それなのに「お前なにやってんだ」って言われるかもしれませんね。

プレイヤーとしてのベッケンバウアーはこういう人です。

posted by コリバノフ | 2007-07-29 04:10

Re:74年ワールドカップについて

コメント投稿者ID :

トータルフットボール (1)

当時のサッカーは、ダッシュの繰り返しというよりは、ジョギングとダッシュの組み合わせという感じだったでしょうか。けっこう歩いてもいます。さほど慌ただしくはなかったです。
どちらかといえば体力競争よりは、技術戦術の勝負です。そして各国のテクニックには大差がありました。

日本の底辺での実感は少し違いましたよ。走り回れというムードが強めだったような。
1973年、わたしの学校の先生が、オベラートの1FCケルンの来日戦を見に行きました。
「オベラート、歩いてるぞ」
そう教えてくれました。それから技術を重視する練習を模索し始めることになります。
チェンジ・オブ・ペース、そしてテレテレとドリブルをするという概念が、底辺にはなかったのです。
(余談。オベラートの影響は大きく、その卑近な一例として「オベラート巻き」というのがありました。ストッキングの上端を折り返さずに、くるくる巻いてとめるやつです)

だいぶ脱線してすいません。
二十一世紀同様、サイドを攻め上がるディフェンダーというのは一般化してたというのが、1974年当時の実情でしょう。

今ほど世界中が均質化してはいません。が、1974年大会、どちらかといえば旧式とされたウルグアイでも、左サイドバックのリカルド・パボニが、ペナルティエリア内まで侵入してのゴールを挙げてます。
2007年アジアカップの駒野選手も、外したとはいえシュートを見せてくれました。でもペナルティエリアの外からでしたね。
(この大会のウルグアイ、右サイドバックはパブロ・フォルラン、中盤にはフリオ・モンテーロ・カスティージョがいました。ディエゴ・フォルラン、パオロ・モンテーロのお父さんだと思います)

1974年ころの日本でも、オーバーラップという語は一般的に使われてました。フルバック=サイドバックがタッチ沿いにポジションを上げ、前方の味方を追い越すという意味です。
(それを本来の意、中央でも前線でも、縦方向に入れ替わることを指す言葉として使ってるのを見たのは、かのエリック・バッティの記事だったと思います。英国人だから当然ですが。今でも日本ではタッチ際以外でオーバーラップという語を使いませんよね)

さきごろ亡くなられたインテルナツィオナーレのジャチント・ファケッティなどが、当時オーバーラップするフルバックとして日本でも有名でした。
有名だということは珍しかったからですが、それはセンタリング要員としてではなく、得点する左サイドバックということで称揚されてたのです。内側に入り込んでたのですね。

名古屋グランパス8に来ていた素晴らしいディフェンダー、トーレス。その父上は右サイドバックとして1970年メキシコワールドカップに出たカルロス・アルベルトです。決勝戦の四点目を、トスタンの指差しに従ったペレのアシストから蹴り込んでます。
すでにシュートするサイドバックもかなり存在してということです。

1974年大会で名を上げたのは、三点取った西ドイツの左サイドバック、パウル・ブライトナーです。ひとつはPKでしたけど。まあ、元来この人はミッドフィールダーなんですけどね。

一方、センタリングするディフェンダーは、日本リーグでも珍しくはなかったように思います。世界的には普通のことだったでしょう。

イングランド流儀を汲むスタイルの問題のひとつは、4-4-2システムの内容に関してで、アウトサイド・フォワード=ウィングがいないじゃないか、というものでした。
イングランド系だけでなく、世界的にもウィング・プレイヤーが少ないとされてました。
サイド前方に位置するテクニシャンがいないとサッカーの質が低下する、そんな見解がエリック・バッティなどによって述べられました。

どういうことか?
2007年アジアカップの日本代表のように、ペナルティエリアにさしかかるかどうかの位置から放り込むこと、それが駄目だということです。
ゴールライン近くまで切り込んで戻すクロスが高質だ、それがたくさん欲しい。それにはオーバーラップしてくるプレイヤーではなく、技巧に富んだアタッカーが必要だ。そんな言い分です。
つまり、サイドはウィンガーではなく、ミッドフィールダー、ディフェンダーの領分になってたのです。

イングランドを引き合いに出すのは違和感があるでしょうが、なんとこの国が、少し前までの、一方のイメージ・リーダーでした。
1966年、イングランドがワールドカップで優勝したからです。このチームをウィングレス・ワンダラーズと表記したりします。
まあ、1972年あたりでかなり失墜してみたいですけど。そして西ドイツ大会の予選でポーランドに負けて、以来立ち上がれないですね。

結局、走り回ることによるスペースの圧縮、せわしなさ以外は、2007年とたいして違わない。
まあ見比べればスピードの大差は印象大でしょうけど。
三十年前はゆったり気分のサッカー、しかし戦術の概要としては似たり寄ったり。そのように言い切っちゃった方が近いと思います。

そんな中で衝撃のトータルフットボールがテレビに登場します。
つまり?
今、高速にした「トータルフットボール」を完全に見せることができれば、たいていの人は驚くだろうということです。

二十世紀末のファン・ハール型アヤックス、3-4-3サッカーのことを、かつての偉大なアヤックスの「トータルフットボール」と混同してはいけません。
サッカー選手の平均的テクニックや体力は、当時と比べると格段に向上しました。システマチックにもなってます。
でも、ある面から見ると「トータルフットボール」から退化してしまいました。

真の流動的ポジションチェンジの創造性。それが衝撃的「トータルフットボール」のエッセンスです。

posted by コリバノフ | 2007-07-30 08:28

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