2007年08月02日
続々・トータルフットボール
コリバノフさん、トータルフットボールの続きはこちらにどうぞ。 ↓過去記事をご覧になりたい方はコチラです。 トータルフットボール(1) トータルフットボール(2) >>このブログを応援してくださる方は、ココをクリックしてください
posted by サッカーニョ |22:50 |
トータルフットボール |
コメント(7) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/saccanho/tb_ping/21
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:続々・トータルフットボール
サッカーニョさん、どうもありがとうございます。
オランダをスパッと言い表せなくて、全面的に推敲しなきゃなあと思ってたんですがやめます。わかりづらいけど偏見のまま全部まとめて、ドンっ。これで最後です。
トータルフットボール (3) テレビの中のオランダ代表
ウィリー・マイスルはマジック・マジャールを読み解き、「渦巻き」として解釈・展開した素晴らしい本を著しました。「渦巻き」はパスを交わしながら三人以上がポジションチェンジを連鎖させていくもの。
GKにバックパスをした時にはどうする?
それほど流動的になり得る理論みたいです。
で、マジック・マジャールの攻め方と「トータルフットボール」が同じ...
オランダ「トータルフットボール」=アヤックスの流儀がハンガリーを分析したコーチングによるものだと、そう断言する論説はまだ見たことがありません。マイスルの本を精読した成果だと告白した関係者がいたかどうかも知りません。
たぶん誰かが何かを言ってるでしょう。調べてください。
結果的にマジック・マジャールに似ていた?あるいは、クォリティの高い攻撃は同じようなところに行き着く??
1974年FIFA技術研究メンバーは、錚々たる面々七名だったそうです。例えば、
ウォルター・ウィンターボトム
デットマール・クラマー
シュテファン・コバチ
この三名くらいはなんとなく知っていて、それぞれ
・イングランド初代代表監督(この協会は伝統的に監督をおかなかった)
・西ドイツ代表コーチ、日本代表コーチ(後にバイエルン・ミュンヘン監督)
・アヤックス監督(ルーマニア人だけど)
といったキャリアのトップクラスの指導者たちです。
ほかのメンバーもヨーロッパ系で、ブラジル人がひとり孤立してる感じの七人。
その人たちの結論だから「トータルフットボール」と50年代前半のハンガリーは同系統だとしておきましょう。
ちょっと気になるのは、当時随一の目利きだったエリック・バッティが、アヤックス=オランダをハンガリーと同じだと明言している論説を見つけてないことなんですけどね。
1974年FIFA技術研究メンバーによるオランダはというと。
「...いくつかの流動的なパス攻撃の動きを、あざやかに計画し、あざやかに実行してみせた。三人ないし四人のプレイヤーが、すばやく入れかわって動き、短いパスや長いパスを早いテンポで正確に使った...」
あまり明快でもない、か。
フィールドを横切るボールとそれに平行するような人の動き、そんな矢印をたくさん描いた図解も添えられてるんですが、わかりやすい説明文はありません。
とにかく、トライアングル・ポジションを保持し、それを伸び縮みさせてパスコースをつくるスタイルは、1974年のオランダとは反対の思考によるものですね。ポジション固定気味の大昔に先祖返りしたスーパー・モダン・スタイルです。
74オランダはポジションチェンジが中核になっている。
そして複雑な動きを純化したモデルとして観ることができる人には、オランダの攻撃にマジック・マジャール≒マイスルの「渦巻き」原理が見いだせるらしい、と。
うーん。
どうだったでしょう、オランダは。じーっと見たもんでもないんで。
テレビで見ると、グチャグチャにいろんなプレイヤーが攻めに顔を出してくるイメージでした。CBふたり以外は相手ペナルティエリアまで行かねばならない、そんな決まりでもあるかのように。
いや、決まりを見いだしづらいんですけどね。
それにいつもいつもポジションチェンジを繰り返してもいませんし、常に走り回ってるわけではないです。
とりあえずオランダのチーム事情をプレイバック。
西ドイツ大会前のオランダは監督交代があり準備期間もなく「戦術を浸透させ得る見込みなし」でした。
ミケルス監督は主要メンバーをアヤックスで固めます。クライフをアヤックスだとすると、スタメン・フィールドプレイヤーの内、六人がアヤックスということになります。
これをベースに、フェイエノールトの三人と、左ウィングにベルギーにいたアヤックス育ちでないレンセンブリンクを混ぜて、あとはうまくやってくれ、と。
ミケルス監督は偉大なチームの骨格を使って勝負に賭けたんですね。
しかし怪我をしてないアヤックス・メンバーすべてを使ったわけでもないんです。
チャンピオンズカップ三連覇のアヤックスには、クライフのほかに中核的存在としてピート・カイザーというプレイヤーがいました。その彼は西ドイツ大会で一試合しか出てないはずです。
ここらへん、それまで観察した選手の評価とコンディションを見て、勘を利かせてブレンドした模様です。
ちなみにカイザー、人によってはクライフ並みに高評価してたようです。
わたしのとりとめない印象は?
オランダは横パスが案外多かったと思います。一気に縦へ速攻!というのが眼につきはしましたが、常に相手が戻りきる前に勝負、などというせわしなさでもないんですね。
別に引かれちゃってもいいんです。
相手ペナルティエリアを囲んでロングパスを交わしたり、狭いコンビネーションを使ったりする遅攻もありました。
押し込んでるのは楽しいからいいじゃないか、どうやってシュートするか知恵を絞ろうみたいに。
でもまあ、ゴールは速攻からが多いと思います。
そして基本はセンタリングでしたね。
オランダで一番眼につくのは攻撃以上に守備でした。
相手ボールが奪えそうだと見るや、ゴミに群がるカラスのように三人、四人で集中する。
獲れそうでなければ普通のチームのように、ゾーンとマンマーク併用という感じでブロックをつくります。
常にプレッシングし続けというのではないです。
それと極端なオフサイドトラップ。
一気に押し上げるディフェンダーたち、それに向かって戻ってくるアタッカーたち。
これでプレイヤー密度が急上昇する。
オフサイドトラップをかいくぐった相手には、ウィングのヨニー・レップやクライフが追いかけていってピンチを防ぐとか。
だから守備時もポジションチェンジになったりするんですね。
ここらがマジック・マジャールと違うのかな?
オランダは、相手が引きこもればGKを除く全員が敵陣へ入るのは事実で、オフサイドトラップも多用しますが、金科玉条として最終ラインを上げたまま、ではありません。
前後の距離を常にコンパクト化してるというよりも、自在な伸縮を感じさせるものです。
広く横幅を使うチームで、人口密度が濃いことも多いですが、縦に間延びしてる時間もあるし自陣に引き上げることもあるんですよ。
象徴的なのはやはりオフサイドトラップで、極端に前後の距離が詰まる。で、ボールを奪い、ラインを上げた勢いのまま散らばっていくだとか。こういう伸び縮みをしてました。
律儀に前後の距離を何十メートルに保つなんて、そんなこと彼らはやってないです。
人間業でない運動量みたいに錯覚するかもしれませんが、四六時中走り続けてはいません。割合と休んでます。
休めそうにない?
攻めでも守りでもポジションチェンジしたら、平気で入れ替わったエリアに残っちゃうんですね。
クライフも「体力づくのスタイルじゃない」とかって、どこかで自慢してませんでしたっけ?この人はかなり休みますよー。
誰でもよくわかるのがサイドバック。今風に上下動に精を出すというのでなく、中へも流れに乗って入っていく。気が向いて(?)上がったら戻って来ない。逆サイドのペナルティエリアあたりで攻めに加わってたりするのは、全くタブーでなかったみたいですね。
とにかく、その場限りでないポジションチェンジが横行してました。
ただ、決して動きっぱなしではないですよ、しつこいけど。
動き出すと、ポジションチェンジを四、五人で、ひどいときは九人でやってたみたいです。たまに片方のCBまで上がってくることもあったんです。
でもテレビだと全体がわからないんですよね。
「動き出すと」っていうくらいだから、動いてないことがある。これはキーポイントかなと個人的には考えます。
チーム戦術とは別に、クライフ個人のプレーもそうなんですね。突然止まる。歩いてて、急に走り出す。
消えてる=お休みの時間もちゃんととってます。でも決定的なプレーをするから、中村俊輔さんみたいに非難されることは少ないみたいですね。エリック・バッティは駄目出ししてましたけど。
ヨハン・クライフですが、なんとなくエンソ・フランセスコリに似てます。どちらもテレビに登場する機会は少なめでしたから印象に過ぎませんけど。そしてベッケンバウアー同様にアウトを多用します。しかもこの人は両足。
クライフをFlying Dutchman と呼ぶきっかけはブラジル戦のジャンピング・ボレーらしい。
しかし飛ぶだけではなくて、CFの位置を空けてどこかへ行ってしまうという意味が含まれてます。Flying Dutchman は幽霊船を指す言葉で、「さまよえるオランダ人」と和訳することが多いです。ワグナーのオペラが有名ですね。
Dutch~ は悪い意がけっこうありますよね。でもクライフの場合は違います。
神出鬼没のクライフを掛詞でうまく表現したということでしょう。
でも神出鬼没はクライフだけでなく、ほかの人たちもけっこう変な場所にいたりしてます。
いやはや、これではオランダの攻撃の規則性なんてまるで汲み取ってないですね。すいません。オランダチームの背後にシステマチックな理論があったかどうかは常人にはわかりません。
ローテーション・フットボール、そういう言葉でオランダを評する人もいました。まわる、交代するサッカー。
決勝戦の生中継だったと思いますが、岡野俊一郎さん(かな?)がオランダはローテーションと言われてると発言し、金子さんが「時計と反対に回る?」と問い返してた記憶が。
バレーボールなんかは左回りなんでしたっけ?
何のこと?って思いましたね。
「ですから、ある意味オランダは案外守備的なんですよ」
岡野さんは誇張含みでこんな指摘もしてたような。
入れ替わり立ち替わりで多数のプレイヤーが相手ペナルティエリアに迫っていく。異常に攻撃的に見えるけど実際は後ろにも人数は残してる。
そんなお話でした。当時、現地で、鋭い!
さすが東大サッカー部ですねぇ。
今のくだらないお喋りたちも見習うべき。無理か。
アナウンサーもどうにかして欲しい。
ちと古い話ですが、気取って話すフリーのアナウンサーさん、「セレソン・ブラジレイ ロ(!)」だとか、単なるボレーキックを「シザース」だとか言わないでね。
中身わかんなきゃボールもらった選手の「ちゃんとした名前」だけ言ってろって。
いやまったく関係ないですね。すいません。
オランダが動き出すと、多方向へ走る選手たちのダイナミズムに眼を奪われます。それで「華麗な」とか印象表現になっちゃうんですよ。
たぶん現場でフィールド全部を見てても、コンセプトの神髄がわかる人は少なかったのでは?
ヨーロッパの記者も含めて、大方の人たちの記事は裏話と形容詞だけだった。って、嘘ですけど、まあ不明瞭にオランダを表現してます。わたしと変わらんじゃないかって、そう言っては不遜ですけどね。
その点、牛木さんとかの論説はきっちりしてような気がするんですが、よく憶えてません。とするとやはり納得はできなかったのか?
さて。
単発のオーバーラップや高いポジションへの押し上げが見られることは1970年でもあった。けれど、フォワードとバックが入れ替わってプレーするのは異常、フットサルのように入り乱れる時間帯が多かったから衝撃なんです。
ぐちゃぐちゃにポジションチェンジすることがあるけど、それで破綻しないから見事、そして攻撃的に見えるからいいんですね。意外性が魅力の大きな部分です。
ゆったりめの流れから一気にスピードアップするようなシーンが強烈でした。
走り込む複数のプレイヤーのベクトルが交差してたりとかで、変化に富んで見えて幻惑されたり。
これを2007年に再現すればやはり衝撃で、プレイヤーの技量が高度ならきっと絶賛でしょう。いや、リスクが高いぞ、逆襲されづらいように「サイドだけを使え」なんて?
でも、この「トータルフットボール」、なんとなくジェフ市原の方向性、オシム氏と近いような...
posted by コリバノフ | 2007-08-03 06:06
Re:続々・トータルフットボール
トータルフットボール (4) WM74 実は西ドイツも「とーたる?」
エリック・バッティは、1970年代のベストチームを72年前後のアヤックスだとし、72年の欧州選手権に優勝した西ドイツ代表も偉大なチームだと評価してました。
しかし74年のオランダと西ドイツは、72年の偉大な両チームには及ばないそうです。
アヤックスも西ドイツも絶頂期を過ぎてたときの勝負だったんですね。
付言しとくと、大会後、この人が攻撃のクォリティを高く評価してたのはポーランドとユーゴスラビアです。
わたしは72年の両チームがどれほど素晴らしいのかわかりません。
日本での74ワールドカップ下馬評は、最有力の優勝候補が西ドイツ、それを追うイタリアとブラジル、ダークホース的にオランダとポーランドあたりだったと思います。
これってたぶん海外の論調の受け売りだったんじゃないですかね。だから逆に、向こうの試合を見てた人たちの予想とほぼ同じと言っていいのでは。
これがワールドカップが始まると変わります。
イタリアが塵埃に沈み、ペレ抜きのブラジルは酷評されたようです。そして決勝戦に近づくころには圧倒的にオランダ一色になったらしい。
オランダ決定的に有利。この論調は決勝戦間近になって日本の朝日新聞にも載りました。
わたしなんかは途中経過がよくわかりませんから、順当に西ドイツが勝つんだろうと思ってたところ、急に風向きが変わったような気がしました。
現地ではもっと過激で、すでにオランダ優勝が決まった雰囲気すらあったそうです。
エリック・バッティは記者仲間と決勝戦前夜に賭けをしたそうです。本人曰く、全員がオランダに乗る勢いだった中、ひとりだけ西ドイツに張った、と。
ほんとかな?
ご本人は予想が得意だったようなこと言ってます。1958年ワールドカップでは大会開始前にスウェーデンに賭けて、決勝が近づくとブックメーカーから解約交渉をされた等々。
余談ですが、1978年ワールドカップ前、アルゼンチンが優勝すると書いたこの人の記事を読んだことがあります。そんな予想をする人は誰もいなくて、ホスト国だから可能性もある、なんていう保険程度だったのに。
優勝はアルゼンチン、ただし、マリオ・ケンペスとオズバルド・ピアッサが帰国できた場合。こんな調子だったと思う。ウォルフも必要だとしてたかな?
で、ピアッサ抜きでしたけど、ケンペスを加えたアルゼンチンが事実優勝しました。
ええと、バッティさんが決勝を前にして西ドイツに賭けた理由のメインは、オランダにとって完全なアウェームードになること、そしてクライフの働きに疑問があることだそうです。
さて西ドイツ。やはり72年メンバーが多数残ってました。しかし中核のギュンター・ネッツァーは不調。
必死に復活しようとネッツァーが努力してたことを鈴木良平さんは語ってくれましたが、結局それは叶わなかったんです。
一次リーグの東西両ドイツ対決で交代出場したことがあり、そのときの彼は全然印象に残りません。
西ドイツは、決勝などでは封印気味ですが、一次リーグでかなり滅茶苦茶をやってます。
ベッケンバウアーとブライトナーは、セントラル・ミッドフィールダーの趣で、オベラート並みに組み立てに加わってました。
当初はそれで相当に逆襲を食らってます。小さなフォクツと大きなシュバルツェンベックが必死に守り、CBのはずのベッケンバウアーが落ち着いたふりで戻ってくるとか。
しかしフォクツも攻撃参加するから始末に悪い。見ててはおもしろい。
オーストラリア戦でも決定機をつくられてたような。
「誰もが攻撃」というのと同様、オベラートやミュラーまで自陣ペナルティエリアへ戻ったりとかもしてます。
彼ら、マークの受け渡しがうまいというより、相手のボールなしの走り込みに対しては近くにいる選手が自主的に反応する感じ。
必ずしもオープンスペースを埋めてしまおうとはしてないです。外側は。相手が使いそうにないなら放っとけ、みたいな。
このカオスが偉大な72年西ドイツの劣化型らしいんです。
西ドイツを評するキーワードは「流動的」、そしてなんと「イマジネーション」でした。
つまり西ドイツもオランダと似たようなことをしてました。印象としては、西ドイツの方はどちらかといえば一時的ポジションチェンジというイメージ。
圧倒的な運動量は、ベッケンバウアーよりも右サイドバックのフォクツ、そして中盤のボンホフ、ヘーネスでしたね。左サイドバックのブライトナーもそうだったかな。
出だしは割とイケイケ的な西ドイツでしたが、このスリリングなスタイルは続きませんでした。一次リーグの出来が不評だったらしく、西ドイツは「流動」を減じさせていって優勝することになります。
ギュンター・ネッツァーはサブのメンバーにも洩れてスタンド観戦です。
74年最終型西ドイツはバイエルンとボルシアMG連合+オベラート、そしてフランクフルトのグラボウスキーとヘルツェンバイン。
オランダと似たようなブロック選抜になってます。
このころの人たちの方が今のドイツ選手よりずっと上手ですね。
ほんとはそうでもなくて、今が急ぎ過ぎだから技巧を発揮できないのかもしれないけど。
あ、唐突ですが、ベッケンバウアーは誰に聞いてもシェーン監督と仲良しです。
西ドイツの流動にはマンツーマン・マークの守備も影響してました。マーク相手に引きずられてポジションチェンジとか。
守備の基本が、相手の中心選手を特定してセミクローズドでくっつくことでしたからね。
まずはフォクツが一番のキープレイヤーを抑えて、と。
例えば決勝では、どこかに行ってしまいがちなクライフに右サイドのフォクツ。CBのシュバルツェンベックが、比較的下がらない左ウィングのレンセンブリンク担当だったような。そして中盤のボンホフがオランダのシューター、ニースケンスにくっつく。
左サイドバックとされているブライトナーがレップを追い回してたかどうか... そんなことしてなかったと思うんですがね。
まあいいや。
だから元来サイドバックのフォクツもクライフと一緒に左へ行き、中盤へも上がります。するとほかの選手が空いたスペースを埋める、あるいは放っておくという判断をしてます、基本ではね。
ところがずーっとマーク相手を追い回してもいないんです。
決勝戦のように、チャンスと見るとフォクツすらクライフを捨てて上がり、決定的なシュートをミスしたりすることが出てきます。
フォクツがどこかに行ってて、ウィングのヘルツェンバインがクライフについたりとかも。
ある面ではオランダ以上にフレキシブルで状況判断にもとづくアドリブ的要素がありました。
マーカーが相手を捨てて攻撃参加する。これもオシム氏のジェフに似ているのかな。
このころは三十歳過ぎでユーゴ代表には洩れてますが、どこかで見てたのは間違いなさそうだし。
ま、部分的に取りあげてもあまり意味はないですけどね。
フォクツですが、厳しいマークをする割にはファウルが少ない人でした。
クライフが立ち上がり一分でヘーネスにひっかけられてPKを得ます。このときフォクツは一旦かわされてもぴたりと追走してるんですよね。
今だったらもっと早くファウルしておけ、なんてことをそこらの子供だって言うんじゃないですか。
当時はプロフェッショナル・ファウルを忌み嫌う人々がちゃんといました。乱暴なプレーがある一方、不潔なことは嫌だという気分はあったんですねぇ。
それからこの両チームやポーランド、ユーゴなどには、はっきりしたかたちでウィングの復権が見られました。センタリング・マシンとは趣が異なるチームが多かったですが。
決勝では両者とも4-3-3的フォーメーションで、一方のサイドにウィング的・ゲームメーカー的プレイヤー、もう一方はCF的要素を持っているウィング。
中盤には第二ストライカー兼チャンスメーカー、走り回る下がり目の好選手、加えて左利きの将軍的ゲームメーカーがいるというのも似てます。
そしてどちらのサイドバックも本来は攻撃的。こういうのが乱暴な図式です。
極端な違いはクライフとベッケンバウアーという個性。加えて、衰えたとはいえ真に異常な天才ゲルト・ミュラーが西ドイツには残っていたこと。
これ、あまりに単純すぎますけどね。
ミュラーは本当は決勝の後半にもう一点とってますね。全然オフサイドじゃなかったはず。
そういえば蘭独にはほかにも違いがあったか...
西ドイツのイメージは壁パス=ダブルパス、つまり二人単位のコンビネーション中心に、ドリブル。そしてミドルパスという感じがしてました。もちろん三人目、四人目の連動もあるけど、それはオランダの方が色濃いような。
でも、決勝戦二点目は見事なブラインドサイド・ランをしたボンホフのセンタリングからミュラーがゲットだし。ボールなしの走り込みは多かったですね。
だから三人目をオランダより使わないというのも単に思い込みでしょうね。バイエルンの映像とかぶってしまい、頭の中で歪められてるかも。特にベッケンバウアーとミュラーの壁パスは、「うん、やってたなー」と記憶に残るんですよ。
両者とも足もとでつなぎつつ相手の間を通す縦パスを狙う。そしてスペースをつくりだしてそこを使おうとする姿勢は共通みたいです。スペースにパスをしたがる。
どちらかといえばオランダの方が肉体派でしょうか。なんと西ドイツの方がエレガント気味。
決勝のオランダには「トータルフットボール」がほとんど見られないんですけどね。
けっこう放り込んでました。
結局、負けたとはいえ勝ち進む内容からオランダが絶賛を手に入れ、西ドイツは新ワールドカップを獲得しました。
それはまるでハンガリーの唯一の敗戦、1954年ワールドカップの評価と同じだという識者もいました。勝った西ドイツより負けたチームの方が素晴らしいから。
当時は勝負より内容を評価する勢力が、今の時代よりも強かったようです。
ま、こういう流れは日本に住んでた人にとっては逆、という感じでした。
七夕の決勝戦生中継で、緊張感はあるけど夢の対決というにはちょっと疑問の試合を見る。そして三年以上(?)をかけて一次リーグからたどっていく。
決勝戦よりも、一次リーグの方が両チームの流動的なスタイルがわかりやすい感じでした。
このダイヤモンド・サッカー、放映時間帯が深夜だったりサッカーしてるときだったりして、あまり見れないんですね。ベータマックスとVHSが勃興してくる時期で、ビデオは普通じゃなかったようだし(?)。
でも放送打ち切り危機を何度か回避してくださった、三菱と東京12チャンネルと署名運動に携わられた方々などには深く感謝です。
とりあえず、センセーショナルだったオランダのみならず、西ドイツも伝統的な感じじゃなかったと思うんですがね。本来は流れるようなスタイルだったようです。そしてリスク云々なんて言いませんでした。
このあと、両国は欧州選手権に優勝したりワールドカップで活躍もしてますが、後続世代のチームが70年代前半を凌駕することはなかったと感じてます。
進歩と変化は混同されがちですよね。
以上、偏見による「トータルフットボール」メモリーでした。長すぎてごめんなさい。
追記;ハンガリーについてです。
バッティさんは基本的にテレビの試合を論じなかったので、どうしても南米チームの批評は少なくなる憾みがあります。しかしとにかくロンドン中心に、少年期から亡くなるまで各地の試合を毎週見ていて、しかも賢明で批判精神を堅持し続ける稀有なジャーナリストでした。(きっと誰かが研究してる最中かなと思います)
そこらの「ライター」とは次元の違う、試合内容や質・方針などを正面から批評する人です。
アヤックスを高く持ち上げるこの方が、1990年代になってもアヤックスやACミランやブラジルやディ・ステファノのレアルをさしおいて、プスカシュのマジック・マジャールを史上最高のチームと評してます。
遡って70年代後半には、こんな意味の文をサッカーマガジンに寄せてた記憶があります。
「1970年ワールドカップ決勝ブラジル対イタリア、1959-60年チャンピオンズカップ決勝レアル・マドリッド対アイントラハト・フランクフルト等々、一方のチームが群を抜いていた試合は幾度か眼にした。だが真に偉大なゲームは一度だけだ。1954年ワールドカップ準決勝ウルグアイ対ハンガリー、これこそが偉大なチーム同士の対戦だった。もう一度でいい、そういう試合を見てから私は死にたい」
これがワールドカップ史上初めてのウルグアイの敗戦なんですよね。
この試合の録画をご覧になった方はいらっしゃいませんか?
posted by コリバノフ | 2007-08-03 06:07
Re:続々・トータルフットボール
こちらにも、失礼して、コリバノフさんのコメントに思いついたことを…
ヨーロッパではどうなのかよくわかりませんが、極東の情報伝達経路の末端に位置する日本では1974年以前のことはほとんど伝説か神話みたいなようなもので、想像の域をでないのですが(笑)、わたしは74年のオランダ(アヤックス?)は戦術的にマジックマジャールの血を色濃く継いでいると思ってます。
カイザーですが、74大会での映像をチラッと見た覚えがあるのですが、あの動き回るオランダ選手達のなかでまったくついていけてないという印象を持った覚えがあります。この試合が唯一カイザーの出場したものだったと思うのですが。人気はあったんだろうけど、旧タイプの選手だったんだなぁという感想をそのとき持った覚えがあります。何を持って旧タイプなんだ(笑)
ネッツァーも同じような記憶があるのですが、当時はゲームメイカーというものがまだ厳然としてあって、オベラートとどちらを選択するかというところで、シェーン監督が後者を選んだという話を鵜呑みにしてます。まぁ両雄あい立たずだったのかなぁと。あと、ネッツァーが故障を抱えていたという話もあったような、なかったような…(笑)いずれにせよ、ネッツァーのプレーは「遅かった」印象があります。まぁ当時のゲームは今と比べると非常にスローですけど…
あと、フォクツのファールの少なさとか、ジャーナリストのお話とかもコメントしたいのですが、長くなるし主旨からはずれるので…
posted by クライフ | 2007-08-04 15:34
Re:続々・トータルフットボール
おおお!
これは読みたいですね、ぜひ。
と思うのはひとりだけでしょうか?
>フォクツのファールの少なさとか、ジャーナリストのお話とかもコメントしたいのですが、長くなるし主旨からはずれるので…
posted by コリバノフ | 2007-08-04 23:53
私も読みたい!
クライフさん、遠慮せずに書いちゃってください!
>長くなるし主旨からはずれるので…
こんなこと気にしてたら、コリバノフさんの立場が無くなっちゃいますって。
posted by サッカーニョ | 2007-08-04 23:57
Re:続々・トータルフットボール
ご指名ですので(笑)…
といっても、たいしたことじゃないんです。
フォクツの話は要するに
>当時はプロフェッショナル・ファウルを忌
>み嫌う人々がちゃんといました。乱暴なプ
>レーがある一方、不潔なことは嫌だという
>気分はあったんですねぇ。
これに同意したかっただけなんですが(笑)
フェアプレーキャンペーンなんかくそ食らえと思っているんです(笑)
ジャーナリストの件ともつながりますが、別記事にもコメントしたバッティさんなんかもこういうことを嘆いていたんじゃないでしょうか?
わたくし的にはやはりサッカーがあまりにビジネス化してしまった弊害だと思っています。
育成年代では子供が真似したり、はては指導者が容認したり教えちゃったりしてる場面を目にしますから…。
そういう部分でもサッカーは死へ向かっている、に同意します。
逆に、ジャーナリズムにはラフなプレーやシミュレーション(レフェリーを欺こうとすること)をもっと指弾してもらいたいです。
あと、日本では中条さん、牛木さんあたりがサッカージャーナリストの良心として思い浮かびます。(言い過ぎか?)
posted by クライフ | 2007-08-05 10:31
Re:続々・トータルフットボール
うーん、ビジネス化...
「鉄の檻」ですかね。
サッカー界のマックス・ヴェーバーだったり。
こっちのこれ、
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/saccanho/article/23#comment
適当に答えちゃったのですが、どうなんでしょう?
エリック・バッティを初めて気にしたのが、たしか中条さんの記名コラムで、ラムゼー批判をした気骨のジャーナリストみたいなやつだったと思います。
ただ、中条さんて試合の解釈とか、なんかおかしいなという気がしてました。サッカーは読売の方がいいのか?なんて。
プロフェッショナル・ファウルとか、どーんと持論を書いてください。
あれ、それは主旨からはずれるんでしょうか?
posted by コリバノフ | 2007-08-05 16:53


