2010年06月12日
■無難な船出を選択した4チーム
いよいよ4年に1度の祭典、FIFAワールドカップが開幕した。開幕戦では開催国南アフリカがメキシコと対戦し、1-1のドローに。続いて行われたウルグアイvsフランスのゲームは両者とも決め手を欠き、0-0に終わった。
スカパーの放送では、コメンテーターとしてスタジオにトルシエ氏、そしてグラーツからの衛星中継でオシム氏という元日本代表監督の両者を招き、ハーフタイムと試合終了後にコメントを聴くことができた(オシム氏の出演は開幕戦のみ)。その中でオシム氏は、ハーフタイムの段階で両チームを「臆病」と評し、90分が終わった後でも「両チームとも、リードをしてもされても、“怖かった”。負けなかったので両者とも結果は不満ではないだろう」という旨のコメントをしていた。
これはその後のウルグアイvsフランス戦でも見られた傾向だが、この開幕に臨んだ4チーム全てが、まずは負ける事を恐れ、それを避けるために最大限とは言わないまでも、少なくとも自滅をしない程度にはリスクを取らない戦いをしていた印象を受けた。それは両SBが上がっていたメキシコについても言えることで、単純なポジショニングでは攻めに人数をかけていたとしても、最後の局面では及び腰になり、リスクを犯した攻撃が出来なかった。
その結果、2試合ともスペクタクルとはかけ離れた、散発的な攻撃が応酬されるゲームになってしまった。これは4チーム全てが、悪く言えば消極的な戦いをしたことになるが、それだけ各チームが現実的にベスト16進出に向けては、「どのチームも諦めてはおらず、またどのチームも油断はしていなかった」という事を、如実に表している。それがオシム氏の言う「恐れ」なのかは、分からないが。
■尊大な攻撃に出るべきだったメキシコ
まず南アフリカvsメキシコのゲームに関しては、前半をスコアレスで折り返したこと。これが全てだっただろう。トルシエ氏は試合終了後に「メキシコは前半にゴールを奪うべきだった」と言ったが、私もその見解に賛同する。
少なくとも前半キックオフ直後の時間帯に関しては、メキシコが南アフリカを圧倒していた事について、異論を唱える者はいないだろう。であれば、その時間帯にメキシコは一気に圧力をかけて、先制してしまうべきだった。如何に南アフリカがスピードのある選手を揃えているとはいえ、選手個々の技術力、総合的なチーム力という点では、メキシコの方が明らかに上である。であるならば、敢えて慎重な入りはせずに、序盤でその能力差を存分に見せつけ、相手が修正する隙を与える前にゲームを決めてしまうべきだった。
先発した南アフリカのLBスワラは、ドリブルへの仕掛けに対して簡単にタックルに行ってしまい、そこをドス・サントス、アギラール、ヴェラといった選手にいとも簡単にかわされるシーンが目立った。またその他の選手も、身体を当てて激しいタックルに行くというよりは、何となくゾーンでのディフェンスでもって自陣を固めるだけで、決してタイトなディフェンスをしていたわけではない。そしてメキシコは、チャンスを作ることは十分にできていた。
ところがそこでメキシコは、リスクを避けてポゼッションを重視する攻めをしてしまった。結果、サイドの崩しでチャンスこそ作るものの、MFの攻撃参加が少なく、ボックス内で人数をかけることができなかった。ギジェ・フランコの惜しいシュートシーンが目立ったが、逆に言うと彼くらいしか、ゴール前に走り込む選手がいなかったということだ。これに関しては、闇雲に両SBを上げてしまい、マルケスに攻撃参加の自由をまったく与えなかった事も、戦局の硬直化に繋がってしまった要因となっている。
結果として後半、CBのスピード不足を突かれ、南アフリカにゴールを奪われてしまった。オソリオ、ロドリゲスの両CBがムフェラへのマーキングを誤るシーンは前半から散見されたが、後半になってもそれは修正されることなく、逆に時間が経つにつれカウンター時のスピード差によって危ういシーンを作られた。最終的に南アフリカDF陣のオフサイドトラップのミスで1点を返したものの、慎重になりすぎてしまったがゆえにポイントを失うという、最も悔やまれる形でゲームを終えてしまった。
■満足なウルグアイ、閉塞感拭えないフランス
一方のウルグアイとフランスのゲームに関しては、前評判にしろ選手の意識にしろ、両者はほぼ対等であるという下で戦ったに違いない。何せフランスは予選での勝ち上がり方からしてあの有様である上に、テストマッチの結果も散々だ。あの、エゴを全面に押し出してくるとも思えるフランス国民の約半数が、決勝トーナメント進出の可能性に疑問を抱いているのである。日本もそうだが、フランスも近年では無かったレベルで、代表チームへの期待が落ち込んでいる。
そのフランスがゲームを優勢に進めることも、あくまでも想定内の事実だった。ウルグアイの戦術は、今も昔もカウンター一辺倒。フォルラン、スアレスという2トップは、おそらくゲーム中に3度も決定機があれば十分(もっともこのゲームでは、その決定機を外してしまったのだが)。逆にそのような意識があればこそ、フランスも後半になってもバランスを崩さず丁寧に攻めた感はあり、それが一層ゲームの停滞を招いた。
しかしそれを差し引いても、フランスの攻撃は寂しいものだったと言わざるを得ない。チャンスになりそうだったのはリベリーの個人突破くらいで、アネルカはゴール前で孤立しなかなかチャンスシーンを得られず、グルキュフはまったく推進力を発揮できない。対するウルグアイのカウンターもフランスがきっちり対応し、結果として両チームとも、遠い距離からのシュートが大きなチャンスになり、それ以上のシーンを演出することが出来なかった。
ウルグアイとすれば、この程度のゲーム内容になるのは織り込み済み。今日に関しては、73分のロングスローからのチャンスシーンでフォルランが外してしまったことが不運だったと言える。それだけの結果でしかない。しかしフランスの方は、やはりチームの構造的な問題があるように思えてならない。もし3トップのセンターでアネルカを起用するのであれば、パートナーゴヴのようなMFタイプの選手ではなく、マルーダやジニャクといった、よりゴールの近く、アネルカの近くでプレイしてくれる選手にすべきではないか。
■“同じ船出”の先行きは・・・・
開幕戦を見る限り、南アフリカもメキシコも、守備陣にやや問題があるように思われた。特にメキシコは、南アフリカのカウンターに対してスピードでやられる以前に、各DFの間のスペースに入ってくるFWをマークしきれていなかった。その点を見逃すフォルラン、スアレスではあるまい。ウルグアイにとっては、充分に付け入る隙があるだろう。
対して何も変える必要が無いのは、南アフリカ。彼らにできる戦いは、これしかない。フランスは勿論、ウルグアイ戦ではどちらが“受けに回れるか”という我慢比べに屈しさえしなければ、勝機が見えてくる。対して相手に関係なく、自らの内容を修正しなければならないのがフランス。メキシコに関してはとにかくメンタルで相手に負けないよう意識すること、またCBのマーキングの問題を早急に解決した上で、ギジェ・フランコのヘディングが枠に飛んでくれるよう祈らなければ、ベスト16進出は厳しい。
各チームが同じ意図を持って同じ船出をしたが、その結果が各チームにもたらした意味合いには、微妙に差が生まれた。このギャップをどう縮めていくか。残り2試合という短いグループステージの中で、各チームはそのミッションを達成し、次の港にいち早く辿り着かなければならない。
posted by Alan Hetarade |08:30 |
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2010年05月20日
ちょっと感覚が開いてしまいましたが、ジロについて。
さて泥だらけの第9ステージなどを経て、本格的な山岳ステージに入る前から総合が大きく動いている、今年のジロ。その流れも影響したのか、昨日の第11ステージでは今大会の行方を決定しかねない、致命的ともいえる大逃げが決まりました。
結局、ヴィノクロフ、バッソ、ニーバリ、エヴァンス、ガルゼッリといった辺りの総合優勝争いに“残っている”と思われた選手が誰一人として逃げに乗れなかったのが要因なのでしょうが、上記の選手たちを残したメイン集団を、逃げ集団が12分ほど引き離してゴールする、という衝撃の結果に。260kmという長いステージの設定、そして連日の悪天候が、追走の動きを鈍らせる要因となりました。
ステージを制したのはペトロフで、総合ではリッチー・ポルトがトップに。さらにグランツールで安定して総合10位以内に入る力を持つダヴィ・アローヨが2位に浮上。そして序盤で遅れて総合上位争いから脱落したと思われていたサストレ、ウィギンズも一気に浮上し、ヴィノクロフら前日までの総合上位陣を後ろに追いやりました。
同じような大逃げとして思い浮かぶのは、2006年のツール・ド・フランスでフォナックが集団のコントロールを放棄し、オスカル・ペレイロが30分近くの大逃げを決めて総合首位に浮上したステージが思い出されます。結局その後、あのどろどろのドーピング騒動があって、ペレイロが総合優勝した“事になった”のですが。
あの時との違いは、当時のフォナックが意図的に集団のコントロールを放棄したのに対し、今回のアスタナやリクイガスには、ここまでの差を逆転される意思はなかったという事。そしてペレイロ1人に逆転されたツールのときとは異なり、今回は複数の有力選手が逃げ集団に含まれていて、総合の順位が大シャッフルされてしまったという点。
とにかく、ウィギンズやサストレとの差はまだそこまででもない、そしてポルトは山での力が未知数というのはありますが、ダヴィ・アローヨとヴィノクロフ、エヴァンズ、バッソらの差が8分以上というのは、限りなく赤に近い黄色信号と言えるのではないでしょうか。
アローヨは山岳ステージで優勝することは無いにせよ、コンスタントに各ステージ、トップから1分遅れくらいではゴールできる、“まとめ上げる”力を持っている選手。だからこそグランツールでたびたびトップ10圏内に顔を出している選手です。今回はブルセギンが消えてしまい、この後絶対的なエースとして、本気で総合優勝を狙ってくるはず。力のある選手だったとはいえ、本格的にトップ争いをするモチベーションを持つのは初めてですから、06年のペレイロのようにそれまでには無かった力が沸き出てくる可能性もあります。
うーん、リクイガスはどうしますかねー。まだバッソ、ニーバリに賭けるのか、比較的総合上位が上で山岳も走れるアニョーリで勝負に出るのか。ただアニョーリはおそらくT.T.ではまったく勝負できないでしょうから・・・・うーん。厳しいなぁ。
何にせよ、これで今後の展開がまったく読めなくなってしまった今回のジロ。“大本命不在”の戦いがこれからどうなるのか、楽しみです。
posted by Alan Hetarade |17:41 |
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2010年05月14日
その後もジロは見ていたのですが、なかなか記事を書く時間が取れず、第5ステージまで飛んでしまいました(コメントのお返しは、今日の夜にやります・・・・)
そしてその第5ステージですが、ブイグテレコムの新城幸也が逃げに乗っているということで、放送開始時からテンションが上がりまくり(笑) Saschaさんは呂律が回らずエラい事になってましたが、そんなのも楽しみつつ観戦。
で、じつはその後途中で寝てしまったのですが、残り10kmほどの地点で親に叩き起こされまして「まだ逃げている」との事。うへー!
その後の展開は、もはや言うに及ばず。後方ではコロンビアがまずメイン集団をコントロール。それがバテてトレインが崩壊し、すわ逃げ切り成功か――と思ったところで、“黒い軍団”チームスカイが登場。T.T.スペシャリストのウィギンズが先頭を切り、猛烈な勢いで逃げ集団を追い上げます。
間もなく残り1km、逃げの選手たちも諦めたか・・・・と思われたところで、新城がアタック!!
いやー、昨年シャンゼリゼ通りで別府史之がアタックした時と同じ電撃が、身体を走りました・・・・・ その後も新城は、後ろにピノー、フシャールを従えながらも、そんなことは気にせず必死に踏み続けます。本当にこの間は、夢を見ているような不思議な心地でした・・・・
結局ラストのスプリントでピノー、フシャールにさされてしまい、新城は3位・・・・
いやもう、本当に凄かったとしか言いようがない。ある意味、狡猾とはいえない走りだったかもしれませんが、それにしても残り1kmのあの時点、ピノーとフシャールが明らかに諦めていた中で、唯一勝負を諦めていなかったのは新城でした。その新城のアタックに便乗する形で、後ろに2人が付いてきて、逃げ切りが成功した格好ですから・・・・
狡猾ではなかったけど、新城が勝てる可能性があったのは、唯一あそこでアタックを仕掛ける事だったと思います。そこで後ろにつかれれば確かにおしまいだったけれど、アタックが決まる可能性もあった。それにかけた新城は、まさしくアスリートとして素晴らしい判断をしましたし、その精神は称えられてしかるべきでしょう。
いやー、栗村さんじゃないですが、私も惚れましたよ(笑)
直後のインタビューで、新城は「後悔した」と言っていましたが、大いに結構。勝つチャンスはまた訪れるでしょうし、その時にこういった経験が必ず生きてくるはずです。今は大いに後悔して、また次がんばればいい。ロードレースとは、そういうものでしょう。
なんかまとまらない文章になってしまいましたが、とにかく興奮しました。これからもがんばれ!アレ・ユキヤ!!
posted by Alan Hetarade |17:49 |
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2010年05月14日
09-10シーズンのプレミアリーグは、チェルシーが優勝を飾った。
シーズン終了後の興奮もさめやらぬ、またFAカップ決勝を週末に控えた中ではあるが、改めて“数字”に着目し、今シーズンのプレミアリーグを振り返ってみようと思う。
■チェルシー 86ポイント
優勝したチェルシーが獲得した勝ち点は、86ポイント。これより低いポイントで優勝したチームは、02-03シーズンのマンチェスター・ユナイテッド(83ポイントで優勝)まで遡らなければならない。プレミアリーグ全体としては、00年代に入ってから優勝チームのポイントが多くなる傾向があったが、09-10シーズンはその傾向にストップがかかったと言える。
■チェルシー 27勝5分6敗
そのポイントが少なくなった要因の1つとして、優勝チームのチェルシーが6敗を喫したことが挙げられる。03-04シーズンにアーセナルが無敗優勝を飾ったのは今となっては懐かしいが、その他の歴代優勝チームも、最近はほぼ5敗以下で優勝を飾ってきた。上に挙げた02-03シーズンのユナイテッドも、25勝8分5敗である。
00-01シーズンのマンチェスター・ユナイテッドは24勝8分6敗、80ポイントという成績であり、チェルシーと同じく6敗で優勝している。プレミアリーグにおいては、その他に97-98シーズンのアーセナル(23勝9分6敗)、95-96シーズンのユナイテッド(25勝7分6敗)、92-93シーズンのユナイテッド(24勝12分6敗)といったチームが、6敗で優勝している。
なお最も多くの負けを喫しながら優勝したチームは、94-95シーズンのブラックバーン。このときは27勝8分7敗という成績で優勝している。
ただしこのシーズンまで、プレミアリーグはチーム数が22チームであり、シーズンで42試合を戦っていた。つまり今シーズンのチェルシーは、現行の20チーム制になってからは最多タイの敗戦を喫しながら、優勝した事になる。
■ディディエ・ドログバ 29ゴール
ドログバとルーニーが最終節まで熾烈な争いを繰り広げた、トップスコアラーの座。最終的にはドログバがウィガン戦でハットトリックを決め、29ゴールで得点王となった。2位のルーニーは終盤怪我で苦しんだが、ドログバもネイションズカップでの離脱機関があったために、最終的に両者はまったく同じ、先発32試合出場(ドログバは途中出場1試合あり)である。
ここ何年かのプレミアは、トップスコアラーのゴール数が30に迫るように各選手がゴールを量産するシーズンと、一転してトップが20ゴールに届くか届かないかといった、少ないゴール数で争われるシーズンが互い違いに続いている。
以下、ここ数シーズンの得点王を挙げてみる。
09-10:ディディエ・ドログバ 29ゴール
08-09:ニコラ・アネルカ 19ゴール
07-08:クリスティアーノ・ロナウド 31ゴール
06-07:ディディエ・ドログバ 20ゴール
05-06:ディエリ・アンリ 27ゴール
04-05:ティエリ・アンリ 25ゴール
03-04:ティエリ・アンリ 30ゴール
このように、アンリが3シーズン連続で得点王になった05-06シーズンを最後に、その後の4年間はゴール数が少ないシーズンと多いシーズンが続いている事が分かる。この傾向から言うと、来る10-11シーズンは“ゴール数が少ない年”となるはずだが・・・・
■マンチェスター・ユナイテッド クリーンシート19試合
最多クリーンシート(無失点試合)となったのは、マンチェスター・ユナイテッドで19試合だった。しかしこの数字は例年と比べ少ないものであり、以前に20試合を割ったシーズンとなると、02-03シーズンまで遡らなければならない。この年はブラックバーンが15試合が最多と、プレミア史上最低の数字だった。
ただしこの02-03シーズンまでは4シーズン続けてクリーンシートの数が20を超えたチームは無かった。最初の敗戦数のデータと合わせると、今シーズンのプレミアリーグは、上位と中位、下位のチームとの差が、比較的少なかったシーズンと言えるのではないだろうか。
posted by Alan Hetarade |15:39 |
FAプレミアリーグ |
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2010年05月13日
Atlético Madrid 2-1 Fulham
【A:32,116.Diego Forlán】
【F:37.Simon Davies】
第1回大会のファイナルを飾るに相応しい、素晴らしいゲームだったのではないでしょうか。
冒頭で1つ書いておきたいのが、今シーズンのCLではプレミア勢がベスト8までに敗退、バルセロナも準決勝で敗れたことで、「ここ数シーズン続いていたイングランド、スペインの2強という構図が崩れた」と言われていますが、このELの決勝はまさしくイングランドvsスペインなんですよね。
その辺り、CLでは勝てなかった2国のチームがELでは快進撃を続けた、というのが興味深いですし、そんな言うほどプレミアを目の敵にして「1つの時代が終わった!」ってことも無いと思うんですけどねぇ(苦笑) あくまで、ビッグクラブがピークを過ぎつつあるだけであって・・・・
ゲームの流れとしては、やはりフラムが守備的に、アトレティコが攻撃的に入りつつ、フラムがザモーラに楔を当ててカウンターを狙う、という予想された通りのゲーム展開。やはりCLに比べるとお互い技術的に粗い部分が目立った印象はありましたが、どちらにせよ熱戦と呼ぶにふさわしい試合でした。
まず、負けたフラムの方について・・・・
“グレート・ジャーニー”はついに決勝戦にして夢破れてしまいましたが、それでもここまでチームを率いてきたロイ・ホジソン監督の手腕、及び選手たちの頑張りについては、優勝したアトレティコに勝るとも劣らないものであった事については、誰もが認めるところでしょう。
2年前には残留がプレミアで絶望視される状況の中で最終節を迎え、70分過ぎにマーフィーが劇的なFKをたたきこんで、奇跡の逆転残留。そこから昨シーズンは一気に躍進して7位に入り、さらに今シーズンはELで決勝に進出。しかも驚異的なのは、その間これといった補強もせず、ほぼ現有戦力を生かす形で、ホジソン監督がチームを立て直してきた事です。
今日の試合に関しては、満身創痍のザモーラがやはり90分プレイできなかった事が悔やまれるところでしょうか。やはり彼の馬力と正確な落としにアトレティコはだいぶ手を焼いていた印象だったので、どちらかというとキレで勝負するデンプシーの方が、ペレアも対応しやすかったのかな、と。
まー、最終ラインの選手(特にCB2人)は、アグエロとフォルランを向こうに回してよく頑張ったんですけどね・・・・ 最後ハンゲランはばったりとピッチに倒れこんでしまいましたが、あの決勝ゴールのシーンでも、フォルランのシュートがハンゲランの内股に当たってゴールに転がっているんですよね。ホント紙一重というか・・・・
さてアトレティコ・マドリーの優勝に関して。
個人的にはやはりプレミア好きということでフラムに勝ってほしかった気持ちが大きいのですが、一方でディエゴ・フォルランという選手が世界的な舞台でもっと勲章を手にするべき・・・・という思いもあったので、このフォルランが獅子奮迅の活躍を見せてアトレティコ優勝、という結果は、嬉しくもあります。
普段リーガを見ているわけではないのであまり語れませんが、今日のゲームを見れば、彼が当代きっての名ストライカーであることは明らか。アグエロ、フォルランの2トップは本当に脅威というか、レジェス、シマォンも素晴らしいタレントではあるものの、やはりこの2人がいてこそのアトレティコだよなーという印象を受けました。ここぞ!という場面で体力を超越したパワーを発揮できることを延長戦で示しましたが、あの辺りの精神力はぜひとも日本人のストライカーにも見習ってもらいたいところ。
あと印象的だったのは、ゴールを決めた時にはあれだけ喜びを爆発させ、その後も夢見心地でユニフォームの襟を咥えるような仕草をしていたフォルランが、いざ試合終了のホイッスルが鳴るとまずは誰よりも静かに勝利を噛みしめ、すぐさまフルアムの選手1人1人と握手をしていた事。イングランドでのプレイ経験もある彼ですが、あの紳士的な態度は、これもやはり1人のアスリートとして、美しいものでありました。
という感じで第1回大会が終了したELですが、全体としてはUEFAカップからのリニューアルという中で、ひとまず成功したと言えるのではないでしょうか。
日本でもこうしてTV中継される事によって注目度は飛躍的に上がったわけですし、やはりコンペティションとしては、CLとはまた違った面白みもある。何よりリーグ上位の2,3クラブだけではなく、リーグ戦では中位に位置するクラブでもトーナメントで夢を見ることができる。そんなコンペティションが存在するのも、また一興なのではないでしょうか。
まさしく今回、到底CLに出場するようなチームとは予算規模が違うフルアムが、ユヴェントスやHSVといったスター選手をそろえるビッグクラブをなぎ倒して決勝にまで進出したことは、他の中堅クラブにとって大いに励みになったと思います。中継で下田アナも言っていましたが、イングランド、そしてヨーロッパのフットボールファンにとって、非常に印象深い戦いを見せてくれたフルアムには、心から賛辞を贈りたいものです。
posted by Alan Hetarade |15:04 |
欧州サッカー全般 |
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2010年05月10日
とりあえず、現段階でのポジション別の簡単な感想をば。
■GK
まぁ、妥当な3人でしょう。
川口の選出に関しては、正直なところプレイだけを取れば他に呼ぶ選手がいた気もしますが、やはり前回ワールドカップで失敗した要因の1つとして、チームのリーダー不在による団結力不足がある。そういった背景がある以上、明確に川口にその役割を与えるのは、悪くない判断でしょう。
現状、正GKが楢崎一択という状態ですから、ある意味では第3GKにそれとは違った役割を与えるというのは、全体のモチベーションのアップにもつながるはず。楢崎、川島、そして川口の3人がそれぞれ異なるモチベーションでもって臨めるというのは、良い事なのではないでしょうか。
ということで、ひとまずこのポジションに関しては「異存なし」です。
■DF
個人的にはRBの候補として田中隼磨に入ってほしかった思いがあるのですが、まぁそんなサプライズは起こるはずもなく(笑)
ここも順当なメンバーが選出されたと言えるでしょう。問題はこのポジションに関してはほぼレギュラーが確定している状況で本大会を迎える(闘莉王、中澤、長友は確定でRBは内田or駒野)。これらの選手はいいのですが、他の選手(岩政、今野、MF登録の阿部)のコンディションをいかに保つか。
東アジア選手権では岩政を事前の試合でまったく使わず韓国戦でいきなり使った結果、彼の試合勘の鈍りが如実に表れ、惨敗へと繋がりました。前回大会でイタリアが優勝できた要因は、ネスタの怪我、ザッカルドの出場停止といったアクシデントがありながら、控えのマテラッツィらが高いコンディションを保って試合に出場できたことが、1つあります。
この辺りのケアを、岡田監督が如何にできるか。これが、選ばれたメンバー以上に本大会に向けて、重要になってくるでしょう。
■MF
多くの人が「選ばれてほしい」と思っていた石川、小野が“順当に選ばれない”という結果になりました。
うーん、石川に関しては、やはりセルビア戦でゴールを奪えなかったのが全てでしょう。あの試合は、個人的には石川が点を取りさえすれば最悪何点取られるようが意味のあるゲームになると思っていたのですが、残念ながら石川はチャンスこそ作ったものの、得点できなかった。それはもう本人が痛いほど分かっていることでしょうが、あれが全てでしょう。
ただ石川に関しては、とにかく点が取れない、シュートを打たないという日本代表にあって、明確にゴールを狙った動きをする選手ですから、待望論があるのは当然ですし、個人的にも選ばれてほしかった。そういう点ではすごく残念です。
この辺りはFWの人選とも関係してくるのですが、結局ジョーカーとして使える選手として、誰を選んだのか。その辺りが、今回の人選での一番の疑問点といえるでしょう。
■FW
サプライズと言えるほどのサプライズは無かった今回のメンバー発表で、強いて1人を挙げるとするならば、このポジションでの矢野の選出でしょう。
ここでも、前田、佐藤、香川という代表選出が待望されていた選手が外れました。特に佐藤に関しては、ジョーカー役としての選出が有力という見方があっただけに、やや意外な結果といえるでしょう。実際自分も、この点に関しては疑問を持たざるをえません。
確かに矢野は高さとスピードを持ち合わせた選手で、トップでの起用のみならずサイドでも使える、良い選手です。しかし日本代表での彼を見てみると、岡田監督は彼を使いこなせていない。それも多少ではなく、ハッキリ言ってまったく使いこなせていない。そのような選手を敢えて選ぶというのは、ある程度戦術を問わずジョーカー的な動きができる佐藤を外してまでそうするメリットがあるのか?という点について、突っ込まれることは致し方ないと言えるでしょう。
まぁ、東アジア選手権だったかセルビア戦だったかは忘れましたが、玉田がある程度途中交代で良い動きをしていたことが、今回の人選に大きく繋がったのかもしれません。あと大久保も、直前のJリーグで結果を残しましたからね・・・・うーん。
でもなー。やっぱり玉田、石川、佐藤といった辺りで比較すると、そういった役割を担えるのが玉田だけっていうのは、ちょっと心もとないですね。せめて石川か佐藤か、どちらかを選んでいてくれれば、まだ片方を落とすことに関しては、納得できたのですが・・・・・
ということで、総括するととにかく“順当な人選”としか言いようがないです(笑)
posted by Alan Hetarade |14:16 |
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2010年05月10日
えー、今こそこの言葉を使うときも無いでしょう。生きてます(笑)
この4月から学業がかなり忙しくなった事、また週末に外出しなければならず、なかなかフットボールの生中継を見ることができなくなり、タイムリーなブログ更新ができなくなった事。そして何より、自分の勉強不足で昨今のスポーツについて諸々語れるだけの引き出しが無くなってしまった事です。
とはいえワールドカップも間もなく始まりますし、何よりジロがいよいよ開幕!ということで、そろそろ私も復活しようかと思います(笑)
さてそのジロですが、昨シーズンの王者メンショフは、悲願のツール制覇に照準を合わせ、出場を回避。さらに昨年2位のディルーカはドーピングスキャンダルで消えてしまい、昨年3位で今大会優勝候補の最右翼だったペッリツォッティは、大会直前にスキャンダルに見舞われ出場が不可能に。ペッリツォッティに関しては「限りなく白に近い灰色」であったにも関わらず、UCIが半ば一方的に情報を開示した事によって出場できなくなったわけで、かなり気の毒だなぁという気はするのですが・・・・
優勝候補としては、リクイガスのバッソとニーバリという2大エース、さらにエヴァンス(BMC)、サストレ(サーヴェロ)といった辺りの名前が挙がる中、第1ステージを制したのは、ツール制覇を目論むウィギンズ(スカイ)でした。
第1ステージを見る限り、伏兵のブックウォルター(BMC)はともかく、本気でステージを狙いに来たのはエヴァンス、ヴィノクロフ(アスタナ)、そしてこのウィギンズ辺りだったのかなぁ、という印象。おそらくウィギンズのスタイルとしては「T.T.で稼いで、山岳で耐える」という形をツールでは狙ってくるでしょうから、そういう点では上々の感触をつかめたのではないでしょうか。
さて、昨日の第2ステージは、ユーロスポーツのストリームでプレミア最終節と並行しながら観戦。
序盤から落車が相次いでいるなーとは思ったのですが、予想以上に多くの有力選手が巻き込まれていたようで、総合リーダーのウィギンズも脱落。自分が見たところだと、スカルポーニやポッツァートも巻き込まれていましたが、結果として40人ほどの中規模集団でのスプリントに。
で、そのスプリントを制したのはファラー(ガーミン)。昨シーズン、カヴェンディッシュに対抗し得るスプリンターの1人として話題を呼んだファラーですが、今年はジロのスプリント勝負でいきなり勝利という事で、幸先のいいスタートを切った模様。第1ステージのウィギンズといい、波乱がありながらも、結果としては本命中の本命がそれぞれのステージで勝利・・・・という結果になりました。
しかし今年のジロはオランダでのスタートということで、少し雰囲気が違うなぁ、と。
本格的な総合争いはイタリアに戻ってからという事になるのでしょうが、お世辞にもチーム力が高いとはいえないBMCのエヴァンスが総合リーダーになったことで、どのようなタイミングでマリアローザを“譲る”動きに出てくるかが、当面のレースの焦点となりそうです。
・・・・ということで、ジロが始まったので、またバリバリブログを更新していきますよ!と。
posted by Alan Hetarade |13:10 |
サイクルロードレース |
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2010年04月08日
Manchester United 3-2 (AGG:4-4) Bayern München
【M:3.Darron Gibson, 7,41.Nani】
【B:43.Ivica Olić, 74.Arjen Robben】
というわけで、またしばし潜っておりました。すみません。今年はずっとこんな感じかもしれない・・・・
さて、このカードのファーストレグ、そして先週末のチェルシー戦と公式戦2連敗を喫していたユナイテッド。いちおうセカンドレグ単体で見れば勝利したものの、アグリゲートスコアーではタイとなり、アウェイゴールの差でベスト8敗退という事になりました。
うーん。ファーガソンは負け惜しみじみた事を言ってるみたいですが(これからのプレミアの優勝争いに向けて、選手を鼓舞する意味もあるんだろうけど)、正直オリッチにやってしまったあのゴールが全てだったかなぁ、という気がします。あの場面は、明らかに気が抜けていたからなぁ・・・・
オリッチに簡単に競り負けたキャリックも勿論ですが、個人的にはあのシーン、リオの動きが気になりました。たしかオリッチにヘッドでボールを送ったのはミュラーだったと思うのですが、そのミュラーにパスが出た段階で、リオはハイボールをミュラーと競り合うでもなく、ただ漠然とシュートコースを塞ぐようなポジショニングを取ったという事。その時点でリオの頭には、ミュラーがあのような形でオリッチにヘッドでパスを繋ぐという事に対する備えは、“無かった”はずです。
もしミュラーがあのボールを胸トラップし、その後の展開を図るのであればあのポジショニングでも良いのですが、あの時のリオに関してはとてもそんな感じではなく、ただ単に気が抜けてミュラーと競り合うのを怠った、というように見えました。
まぁ結局ラファエルの退場にしろファーストレグでの失態にしろ、実力云々というよりは、とにかくユナイテッドの隙ばかりが目立った180分だったと思います。ユナイテッドがコンセントレーションを保ってゲームをしていたのは、このセカンドレグのキックオフから、ナニの3点目が決まる41分までの間だけだったのではないでしょうか。そのナニは、本当によく頑張ったと思いますが・・・・
そして個人的には、サー・アレックスの采配にも1つだけ注文をつけたいです。なぜマケーダを出さなかったのか。
確かにマケーダは、ベルバトフやギグスに比べれば経験も実力もまだまだ、バイエルン相手に通用するかどうかは疑わしいレベルでしょう。しかし、昨シーズンのアストン・ヴィラ戦、サンダランド戦で立て続けに決勝ゴールを決めてチームを優勝に導き、今シーズンもチェルシー戦でゴールを決めるなど、マケーダが“何かを起こす選手”であることは確か。かんっぜんに降着しきっていたあの展開では、ポストワーカーのベルバトフよりもマケーダの神通力に賭けてみる、という選択肢の方が良かったのではないか、と。
もしサー・アレックスが単なる戦術家ではなく、時には博打を打つような勝負師としての本領を発揮するのであれば、あの場面はマケーダ投入しかなかった、と個人的には考えています。そこでソリッドな交代に終始してしまったサー・アレックスには、正直少しガッカリしてしまいました。
うーん、これでプレミア勢は全て敗退。プレミア好きとしては残念ではありますが、そう5年、10年もプレミアのチームばっかりが勝ち上がってもCLがつまらないですし、他国もよく研究、強化を進めてきたという事なのでしょう。それについては、また今度書くかもしれません。
posted by Alan Hetarade |17:58 |
UEFAチャンピオンズリーグ |
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2010年03月24日
今のところ日本ではまったく報じられていない状態ですが、チェコのサッカー1部リーグ、ガンブリヌス・リーガに於いて八百長事件が発覚したので、ピックアップします。久々に書くチェコのニュースがこんな話題になってしまって、非常に残念なのですが・・・・
事件が発覚したのは、先週末から今週の始めにかけて。08-09シーズンの最終節、シグマ・オロモウツvsボヘミアンズ・プラハのゲームに於いて、当時EL出場権がかかる状態で最終節を迎えたシグマ・オロモウツは、ボヘミアンズに3-0で勝利。その結果、シグマ・オロモウツは4位となり、EL出場権を手に入れました。
ところがそのゲームの後、オロモウツ側からボヘミアンズ側へ、300,000チェコ・コルナ(日本円で約144万円)の不正な金銭の提供があった模様。この金銭の授受に関しては、ボヘミアンズの複数の選手、及びオーナーのカレル・カプルが、その事実を認めているとされています。
報道によると、ボヘミアンズに所属した経験を持つオロモウツのGK、ドロビシュが、ゲームに先だってボヘミアンズのMF、ドベシュに八百長を提案。しかしドベシュがこれを一旦断ったため、ドロビシュは再度DFのオベルマイェルを介して、その他数人の選手と共に八百長の話をオーナーのカプルに通し、交渉が成立。ゲーム後、300,000チェコ・コルナはオベルマイェルを介し、ドロビシュからカプルの手に渡ったとの事です。
現在のところ、誰がドロビシュを唆してこのような金銭の授受を行わせたのかは明らかになっていないものの、いち選手の一存でもってこのような金銭の授受が行われというのはどう考えても不自然であるため、オロモウツのクラブ上層部の関与が疑われています。
この件に関して、CMFS(チェコ・サッカー協会)は調査を開始。両クラブの幹部から聞き取りを行い、昨シーズンのリザルトの見直し、及び両クラブへの処分が検討されている模様です。また警察の介入も行われ、汚職事件を担当する部署が捜査を行うと見られています。
ご存知の通り、00年代序盤にはポボルスキー、ネドヴィェド、コレルらを擁してヨーロッパを席巻したチェコ代表も、近年の成績は下降線をたどる一方。ユーロ2008ではグループリーグで敗退すると、続くワールドカップ予選でもスロヴァキア、スロヴェニアの前に屈し、南アフリカ大会への出場を逃しました。
またクラブレベルでも、近年はヨーロッパの舞台でまったく活躍する事ができず、今シーズンからはCLへの出場枠が1つに減らされている状態。期待されたワールドユースカナダ大会の準優勝世代が思ったように伸びず、現在では海外のトップクラブで活躍する選手も、ロシツキー、ネツィトら限られた選手のみとなってきています。
チェコのサッカー協会も、つい最近まではかなり胡散臭い連中が巣くっており、明らかにおかしい選手選考や無能な監督の無意味な続投といった事が、まかり通っていました。昨年イヴァン・ハシェックがCMFS会長に就任し、徐々に立て直しを図っていこうというさなかでのこの疑惑の浮上は、チェコのサッカー界に多大な衝撃を与えているものと思われます。
ファンとしては月並みな事しか言えませんが、とにかくハシェック会長の下、しっかりと調査を行い、両クラブに然るべき処分を下す事。またこのような事がこれまでもまかり通ってきたのであれば、今後は決してこのような事が起こらないような体制づくり、再発防止策の検討を進めていってほしいものです。
この件についてはまた続報が入り次第、ピックアップしていく事にします。
posted by Alan Hetarade |14:05 |
ガンブリヌス・リーガ |
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2010年03月21日
Yokohama F Marinos 4-0 Kawasaki Frontale
【Y:8.Shunsuke Nakamura, 12,40.Koji Yamase, 60.Yuzo Kurihara】
う~ん。一言で言ってしまうと、川崎の研究不足。それで全てが終わってしまった感のあるゲームでした。
マリノスは2週続けての神奈川ダービー。スタジアムも、ホームの日産スタジアムという事で変わりなし。そして湘南も川崎も、フォーメーションは同じ4-3-3。選手の質は違えど、志向するフットボールの中身としては、似ている部分もあります。
先週のエントリーにも書きましたが、前節の湘南は前線と最終ラインの間の中盤がスカスカになってしまい、そこで数的有利を作ったマリノスに、好き勝手にやられてしまいました。4-3-3というフォーメーションの場合、MFが3人しかいないため、下手をするとミッドフィールドの攻防で人数が不足してしまう。さらにマリノスには中村俊輔というキープ力、展開力のある選手が加わったため、なおさらその点はケアーしなければならないわけです。
ところが、1週間前に湘南がある意味では良い“反面教師”になったはずだったのに、この日の川崎はその湘南の失敗を生かせず、逆に自分たちもほぼ湘南と同じような形で、マリノスに好き放題やられてしまいました。
まず最悪だったのは、川崎のMF3人が全員前がかりになってしまい、中盤のバランスが完全に崩れて、最終ライン前、1.5列目の辺りががら空きになってしまったこと。
序盤からアンカーの稲本が積極的に攻撃参加していて、それはそれで悪いことではないとは思いました。ただ、もしその稲本が攻め上がるのであれば、そのスペースをケアーしなければならない。ところが田坂も谷口もまるでその点を気にする素振りが無く、ここでポッカリとスペースが出来、そこをマリノスに好き放題に使われてしまいました。
これに関しては、明らかに川崎の戦略ミスでしょう。稲本個人にしたってやや攻撃参加が過ぎるところがあり、アンカーとしての本来の役割を果たせていない面がありました。これは中盤の厚みを持つマリノスにどう対抗するか、という点に於いて、全くの無策であった事を示しています。レナチーニョ、黒津はサイドに張り付いているわけですから、中盤のバランスを3人で如何に取るかということが重要だったはずなのに、まるでその点がケアーされていなかった。
さらに攻撃面でも、チョン・テセに単純に放り込むだけ、若しくはレナチーニョにボールを預けて1対1でどうにかしてくれ、という強引な攻撃ばかりが目立ちました。前者はフィジカルの強い中澤、栗原に潰され、後者は数的有利を作ったマリノスの前に為す総べなくボールを奪取されるばかり。そして一たびマリノスがボールを持つと、最終ライン前にある広大なスペースを使われ、攻め立てられる・・・・という、まさに1週間前の湘南戦とほぼ同じ光景が見られました。
湘南も田原という、ツボにはまればとんでもない爆発力を発揮する選手を擁していましたが、中澤の前に何もできず。サイドの馬場、新居も孤立しては潰される、という展開でした。そしてこの日の川崎のチョン・テセ、レナチーニョ、黒津という3人もまったく同じでした。
結局後半に入って、中盤の3人を3人ともよりディフェンスラインに近い位置で守らせることで何とか最低限のバランスは取り戻しましたが、守備の修正で手いっぱいだったのか攻撃に関しては何も改善点が見られず、マリノスに余裕の選手交代をされて逃げ切られてしまう始末。
ハッキリ言って、今回ばかりは川崎ベンチがあまりにも何も考えてこなかった事が、浮き彫りになったゲームだったのではないでしょうか。確かに川崎には、怪我人が多かった。しかし怪我人の有無と戦術面での指示、相手への対応策というのは別の要素です。むしろ怪我人が出ているからこそ、より戦術面でしっかり詰めてポイントを取れるようにしていかなければならないのに、その点が疎かになっていた。これは流石に、ベンチの失策と言えるでしょう。
再三繰り返していますが、何よりその前の週に湘南が一度失敗していた事の、まさに焼き直しのような事をした上で惨敗した事。これは流石にちょっとなぁ、と思わざるを得ませんでした。例えばレナチーニョ、黒津にもう少しチョン・テセに近い位置でプレイするよう指示を与えるだとか、田坂、谷口の2枚+SBが積極的にサイドで数的有利を作るようにするだとか、まず稲本には守備を重視させて、谷口にも稲本のサポートについて特に留意するよう伝えるだとか、そういったきめ細かな指示をしていれば、もっと試合の展開は変わっていたはずです。
マリノスからすれば順風満帆といった感じの2連勝ですが、今回の川崎はあまりにも無策で挑んできたので、もう少しきちんと対策をしたチームと当たった時にあのフットボールがどうなるのか、見てみたい気がしました。
posted by Alan Hetarade |09:44 |
Jリーグ |
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