2010年02月28日
■栄光の学生時代
藤原正和―――
長年の陸上ファン、及び箱根駅伝を見てきたファンにとっては、忘れられない名前である。
彼は中央大学在学時代、押しも押されぬ学生長距離界のエースであった。のみならず、今後10年の日本の長距離ロード界のエースに君臨するであろうと目された、紛れもない天才ランナーだった。
2000年の第76回箱根駅伝、1年生にして5区を任された藤原は、1時間11分36秒(当時の5区は現在より短く、柏原らとタイムでの比較はできない)で山を駆け抜け、見事に区間賞を獲得。鮮烈な箱根デビューを飾った。その後01年、02年も5区を走ってそれぞれ区間2位、3位と、安定して良い成績を収める。
そして4年生となった03年の第79回大会では、満を持して花の2区に登場。この時の2区には、昨年の実業団駅伝で劇的なトップフィニッシュを飾った松下龍治(駒澤、現富士通)や世界陸上のマラソンで11位に入った清水将也(日大、現旭化成)をはじめ、09年日本選手権10000m3位の尾田賢典(関東学院、現トヨタ)、独特の走法とクロスカントリーの強さで印象深い飛松誠(帝京、現安川電機)、後にホンダでチームメイトとなる三行幸一(東洋)、留学生のオンベチェ・モカンバ(山梨学院)などが出場していた。そんな彼らの中で、誰よりも早く2区を駆け抜けたのが、藤原だった。
さらに同年のびわ湖で、衝撃的なマラソンデビューを飾る。歴代屈指の高速レースとなった同大会では、翌年のアテネオリンピック代表となる国近友昭や諏訪利成らが次々と遅れる中、終盤で壮絶な3位争いを演じたのが、佐藤敦之、清水康次、そして藤原の3人だった。この中で終盤一気にスピードを上げたのが藤原で、当時次代のエースとして期待されていた佐藤、さらに安定感のあるベテランとして確固たる地位を築いていた清水を引き離し、堂々日本人最上位の3位入賞。2時間8分12秒という日本人初マラソンの歴代最高タイムをたたき出し、見事その年のパリ世界陸上のマラソン代表に内定した。
■怪我での低迷、ステップ・バイ・ステップの復活
しかしそのパリの世界陸上を負傷で欠場すると、04年に駅伝に出場するも、その後長らく表舞台から姿を消すことになる。その間、彼が日本代表のエースとして出場することが期待されていたアテネ、そして北京オリンピックが開かれたが、当然藤原はそこで走ることは出来なかった。その間に日本のマラソン界を牽引したのは、油谷、尾方、佐藤といった中国電力勢だった。
07年の東日本実業団駅伝、藤原はHondaの選手として6区に登場し、区間3位とまずまずの走り。地味ながらも、第一線に帰ってくる。08年の全日本実業団駅伝では、最終第7区で区間賞を獲得。その勢いをかって出場したびわ湖マラソンでは9位と振るわなかったものの完走を果たす。まるで一歩一歩、着実に感触を確かめながら往年の感覚を取り戻すように、藤原は歩みを進めてきた。
迎えた今シーズン。東日本実業団駅伝では、2番目に長い7区で区間賞を獲得。全日本実業団駅伝では最長区間の4区に登場して8位と、まずまずの走りを見せる。そして2年前のびわ湖とは違って勝利を期し、準備万端で臨んだ3回目のマラソンで、40kmすぎでスパートを決め、遂に優勝を飾った。
■真の“エース”と呼ばれるその日まで
これまでの藤原のキャリアでの全盛期という言い方をするのであれば、おそらく自他ともに中央大学時代を挙げるであろう。当時の藤原は、速さ、強さ、安定感を併せ持った、本当に隙の無いランナーであった。箱根駅伝での安定した成績、そして初マラソンながら叩きだした2時間8分台というタイムが、それを物語っている。
現在の藤原に、あの頃のようなスピードがあるかどうかは、まだ定かではない。今大会は最初から全選手が勝負に徹する(そうせざるを得ない)ほどの悪コンディションの中で行われた大会であり、レースの展開として、藤原のスピードが試される機会は無かった。そのため優勝したとはいえ、彼が完全に往年の走りを取り戻したかという事に関しては、評価する事は出来ない。
しかし、彼が持つロードでの“強さ”が戻ってきたことは確かだ。いや、怪我を乗り越えて円熟味を増した彼の心は、学生時代よりも強くなっているだろう。我慢を強いられる展開の中、序盤は常に集団の後ろで待機を続け、途中でダメージにならない程度の揺さぶりはしかけたものの、本当の力は40kmまで取っていた。あれを焦れて35km過ぎでスパートしてしまっていたら、今日の藤原の勝利は無かっただろう。そこまで勝負をガマンできたのは、やはり彼が貪欲に勝利に拘り、またその心を押さえつける事が出来る強さを併せ持っていたことを示す。
日本のマラソン界としては、失望の福岡国際の後、別大、そしてこの東京と、2レース続けて同じような展開のレースが続いた。その中で、福岡では新鋭の井川が活躍し、そして東京では藤原が復活劇とも言えるレースを完遂した。どちらも日本のマラソン界にとって、非常に明るいニュースである。
しかし優勝を飾ってなお、過去の彼を知っている者ならば、こう思うだろう。
―――まだまだ藤原は、こんなものじゃない―――
それはファンはもちろん、Hondaの明本監督も、そして藤原本人も思っているところだろう。彼は優勝直後にも関わらず、インタビューでロンドンオリンピックについて言及した。この優勝が、キャリアのハイライトになる選手ではない。そうなってはいけないし、そうはならないだろう。それほどのポテンシャルを、藤原正和は秘めている。
藤原正和の全盛期は、日本マラソン界のエースとしてのキャリアは、まだこれからである。
posted by Alan Hetarade |18:08 |
陸上競技 |
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2010年02月28日
Chelsea 2-4 Manchester City
【C:42,90(PEN).Frank Lampard】
【M:45,76.Carlos Tévez, 51,87.Craig Bellamy】
■ブリッジの決意
まず試合前に注目されたポイントの1つ、「ブリッジとテリーは握手を交わすのか?」という問いに対しては、テリーが差し出した手をブリッジがスルーするという答えが出ました。
これはこれで、心理戦という側面もあるでしょうが、ブリッジがこの問題に対して示した決意と見る事が出来るでしょう。既に「呼ばれる前からイングランド代表招集拒否」宣言にしてもそうですし、この件に関しては頑なな態度を押し通すというのが、彼の決意のようです。
べつに殊更この件を掘り下げるつもりもありませんが、とにかくブリッジが出した結論がこういうものだという事を内外に示す、1つの象徴的なシーンとなった事は間違いありません。といって、これでテリーが今後しなければならない事(家族の中で決着をつけ、プレイに専念していく)が何か変わるわけでもありませんし、そこはテリーがしっかりやっていけば良いのかな、という気がします。
ただなー。ブリッジにスルーされた時のテリーの表情が、何か物哀しそうに見えてしまったのは、私だけでしょうか?流石にショックじゃなかったと言えば嘘になるのかもしれませんし、自分でまいた種だと言う事は痛いほど本人が分かっているでしょうが、やっぱりテリーの置かれた立場、またチェルシーというチームを考えた時に、テリーにはこの件を乗り越えてもらわないといけないですからね。そういう点では、彼の心境というのは少し慮られるところであります。
■あとはプレイで払拭するしかないが・・・・・
そんなテリーですが、あの問題が発覚して以降、エヴァートン戦ではロングフィードの目測を誤って決定的なゴールをサハに決められたり、CLのインテル戦ではディエゴ・ミリートに対してシュートコースを空けるという一番やってはいけない対応をやってゴールを決められてしまうなど、ここ数試合はあまり精彩が無い、というより全盛期の彼であれば考えられない凡ミスとも言えるようなプレイを連発。それが不倫問題に関連しているかどうかはまったく定かではないものの、このようなプレイ内容になってしまう以上、その問題を引き合いに出されるのはいた仕方ないところでしょう。
それは本人も痛いほどよく分かっているのでしょうが、この試合でもジョー・コールの素晴らしいスルーパスからランパードが華麗なゴールを決めた直後の前半終了間際、ミスと言えるようなプレイでもって、テヴェスに同点ゴールを許してしまいました。
このシーンに関しては、まず背後にテヴェスがいる事にまったく気づいていなかったミケルが、相手のクリアーボールをフリックオンしてテヴェスにボールをプレゼントしてしまった事が、そもそもの間違いでした。この点で最大の責任がミケルにある事は確かなのですが、ただその後のカルヴァーリョとテリーは明らかに慌てふためいたような対応しかできず、簡単にテヴェスにゴール前までボールを運ばれてしまいました。ミケルのミスに対するリアクションも、テリーは遅かったですからね。
冷静に考えると、この後チェルシーの最終ラインが崩壊してしまった事からも分かる通り、彼個人というよりはチーム全体でコンディションが落ちている選手が何人もいるという事なのでしょう。ただ、あの問題以降テリーのプレイに精彩が無いということも“事実”なわけで、彼にとっては本当に苦しい時期を迎えていると言えます。
■何がそこまで駆り立てたのか・・・・
後半に入ると“攻めに掛かるチェルシー、カウンターを狙うシティー”という構図がハッキリしてきます。そして軍配が上がったのは、シティーの方。
51分、イヴァノヴィッチ、テリーが相次いでボックス内にまで攻め入ったところで、シティーのカウンターがさく裂。ベラミーは簡単なスピードの変化で持ってあっさりミケルを振り切ると、殆ど角度が無い位置からシュート。イラーリオは逆を突かれた形になってしまい、ゴールを許しました。あれはまずベラミーのシュートを褒めるべきでしょうが、一方でやはりチェフであれば、左脚が届いていたのかな、と。つまりアンストッパブルなシュートでは無かったように思えます。案の定、イラーリオ本人がすぐさま地面を叩いて悔しがっていたので、その辺は選手自身がよく分かっているのでしょうが。
60分、シティーはアダム・ジョンソンを下げて、よりスピードのあるライト・フィリップスを投入。対するチェルシーはジョー・コール、ミケルが下がって、スタリッジ、ベレッチがイン。ジョー・コールは今シーズン初めて輝きを見せたと言っても過言ではない内容でしたが、この時間に下がることは予め決まっていたのかな?と思わせるように交代となりました。
しかしこの交代は裏目に。75分、ベレッチの軽率なボールキーピングを見逃さなかったバリーがあっさりベレッチからボールを奪います。一気にゴール前まで駆け上がったバリーに対し、ベレッチは両手を挙げながら背後から体当たり。当然転ぶバリー、そしてベレッチは退場でシティーはPKで難なく3点目を入れたわけです。
このシーンのベレッチは完全に気が動転していましたし、直後にテヴェスに誰がどう見ても悪質なバックチャージを見舞ってセントオフとなったバラック共々、本当にプロらしからぬ態度を見せる事になってしまいました。
■ボロボロでも諦めない“9人”
ここまで酷い試合内容だと、スタンフォード・ブリッジの観客も次々に席を立って帰路につきます。バラックが退場になる直前にブリッジも交代(表向きはそけい部を故障した、という理由でしたが、ドレッシングルームまで戻っていた事を考えると・・・・)してしまい、もはや試合の見所は殆ど無くなってしまいました。
しかし殊勝だったのは、ここからのチェルシー。9人になってしまい、しかも2点のリードを奪われ完全に試合が決していたにも関わらず、一切手を緩めることなく、人数をかけて攻撃に打って出ます。絶好調のアネルカはもちろん、不振のドログバも奮闘。若いスタリッジも攻守にピッチを大きく走りまわり、何とか一矢を報いるべく、またゲームを諦めていない事を示すように、チーム全体が戦い続けます。
そしてまたもカウンターから4点目を奪われた直後のアディショナルタイムに、遂にバリーがアネルカを倒して、チェルシーがPKをゲット。ランパードがこれを入れ、意地で1点を返して試合終了となりました。
この時間帯のチェルシーのプレイには、本当に感心させられました。如何せんスタンフォード・ブリッジは“お上品”な観客が多いということもあってそんなに盛り上がりはしませんでしたが、あれはサポーターがサポーターなら試合終了のホイッスル後にスタンディングオベーション&チャント大合唱・・・・となるくらいの、素晴らしいスピリットだったと思います。この良い意味での諦めの悪さがあってこそ、初めて優勝争いが出来るんだろうなーということを感じさせる、ラスト15分ほどのチェルシーでありました。
■カギはやはり、ドログバ復活か
ここ数試合でのチェルシーのゲームを見ていると、やはり全体的にコンディションが低下している感は否めません。特に怪我人が続出している最終ラインは、イヴァノヴィッチただ1人がピンピンしているものの、テリー不調、カルヴァーリョも不調、ベレッチはこんな事になってしまいフェレイラはCLで使えない、マルーダは元々DFじゃない・・・・という事で、本当にボロボロの状態です。
ただ攻撃陣に関しては、この試合でジョー・コールが見せたプレイは、一筋の希望となり得るものだったと思います。やはり彼は、ランパードやドログバと縦の関係で光るプレイを見せる時が一番恐い。そういった点では、この日の先制ゴールはまさしくピタリと“型にハマった”ゴールでしたし、出場していた時間を通して、縦への推進力というものは発揮していたように思われます。そしてアネルカは絶好調。
あとはドログバ・・・・という事になりますが、こればかりは戦術云々でどうにかできるものではなく、彼のコンディションが上がるよう祈るしかないでしょう。幸いこのゲームでは、ゴール前で何度も決定的なチャンスに絡んでいました。そこで外してしまう辺りが彼らしくなかったのですが、ただ逆にそこさえ決まるようになればまた彼の恐さも復活するわけで、そういう点ではまったく希望が無いわけでもないと思います。
ただ何より、バラックが退場した後もチーム全体で戦う姿勢を見せたこと。これは絶対に、次以降のゲームに繋がるでしょう。またFAカップのストーク戦、そしてプレミアのウェストハム戦と、ホームゲームが続く中でインテルとのCLセカンドレグを迎える事になります。これもまた1つ、チェルシーにとっては良いポイントと言えるでしょう。
苦しい時に、如何に踏ん張れるか。まさしくチェルシーは今、シーズンの山場を迎えています。
posted by Alan Hetarade |17:15 |
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2010年02月27日
今シーズン初の現地観戦は、昨年と同じくゼロックス・スーパーカップ。小雨が降る中、11時過ぎに国立競技場に着きました。
まず、前座試合のU-18Jリーグ選抜vs高校選抜のゲームについて、軽く。
ほぼ後半しか見ていないようなものなのですが、その範囲で言うのであれば、やっぱり両者ともまだまだな部分が目立つゲームでした。これといって目覚ましい活躍を見せた選手というのもいなかったですし、時折光る技術やフィジカルを見せる選手もいたものの、全体的には1つ1つのプレイの判断だとか、精度だとかを欠くシーンの方が目立ち、お世辞にも良い内容の試合とは言えませんでした。
注目された柴崎ですが、鹿島のサポーターから「柴崎!柴崎!」としきりにコールが飛んで、本人もそれに応えるべく何度かおっと思わせるようなスルーパスなりシュートなりを見せていました。が、それ以外では特段目覚ましい活躍を見せていたというわけでもなく・・・・・
考えてみれば、昨年のこのゼロックスでは鹿島の大迫はすでにベンチ入りメンバーに入っていたわけで、ポジションが違うと言えど今回の柴崎はそこには入っていないのですから、昨年の大迫と比較してもまだまだこれからの選手なのかな、というのが現実でしょう。(柴崎選手は、現在まだ2年生でした。大変失礼いたしました)もっとも、じゃあこのゲームを見て誰が一番うまいかと思ったかといえば、それは柴崎なんですけど(笑)
まぁ、高校選抜は高校サッカーを終えた直後で、おそらくその後に受験をした選手もいたでしょうし、Jリーグ選抜の方も開幕に向けてコンディションを上げている最中。そういう点を考慮すると、こういう内容になるのも致し方ないかなーという感想を持ちました。
さて、それでは本編へ(笑)
Kashima Antlers 1-1 (PEN:5-3) Gamba Osaka
【K:26(PEN).Marquinhos】
【O:45.Akira Kaji】
■単調な鹿島の攻撃
選手紹介では、鹿島側はいつものように全ての選手に対しブーイング。対するガンバ側は、新井場に対してのみ凄まじいブーイング。そして今シーズンのJリーグのチーム紹介の際、セレッソのところでまたブーイング(笑)
試合はというと、まずは開始20秒ほどでその新井場のボーンヘッドからルーカスがシュートを打ち、ガンバが勢いに乗ります。最初は右にルーカス、左に二川という布陣でスタートしましたが、早くも6分ほどでこの2人はサイドをチェンジ。ガンバの中盤はかなり流動的に動いていました。
全体的な攻撃の組み立て方としては、ガンバは中盤の選手がワンタッチでボールを繋ぎつつ、リズム感を持ってサイドに展開。それも完全な横パスというよりはサイドのスペースにパスを出してSBを走らせる、というイメージのパスが多く見られました。遠藤や橋本にダイナミックな展開をさせるというよりは、密集してパスを繋ぎつつスペースにどのタイミングで出していくか、という事を重視していたと思われます。
対する鹿島の方は、序盤はイマイチ狙いがハッキリせず。何となく裏を狙いたいんだろうなーというのは分かったのですが、それがただ単に1本縦パスをぽーんと放り込むだけで、綿密なビルドアップというものができていませんでした。この辺りはガンバのディフェンス陣も上手く対応していた・・・・というより、まったく捻りが無い攻撃だったので、簡単に対応できたのではないでしょうか。
16分になると、ルーカスと二川は再びサイドを入れ替え、試合開始時のポジションに戻りました。
■不意の失点、フェリペ・ガブリエルの躍動
そんな中18分、右サイドから鹿島のFKというシーンで、高木が岩政を倒して鹿島がPKをゲット。スタジアムで見る限り明確なPKかどうかは分かり難かったのですが、すぐさまワンセグの映像で確認したところ、確かに岩政の肩に高木の手がかかっていて、不当判定とも言えないかなぁ、と。要するに、岩政が上手くやったという事なんですけど(笑)
このPKをマルキーニョスが入れて、鹿島が先制。しかしこれで鹿島が良くなったかというと全くそういう事もなく、上記のように煮え切らない攻撃に終始。
そんな中、20分過ぎから目立ち始めたのが、左サイドでスタートした新戦力フェリペ・ガブリエル。こう着状態にあったゲームの中で、新井場や中田と上手く連携して、左サイドからチャンスを作ります。余談ですがこの選手、序盤にクロスボールを全身でブロックした際にガッツポーズを見せてスタンドを沸かせ、なかなかファンの心を掴みそうな選手だなぁという印象を持ちました(笑)
そして前半終了間際の45分、まるで降ってわいたかのように加地が左足で見事なミドルシュートを決め、ガンバが同展に追い付きます。ただこの前に、新井場・・・・だったと思うのですが(違ったらごめんなさい)、鹿島の選手がルーカスのプレッシャーの前に簡単にボールロストしてしまい、そこの展開から平井が決定的なシュートを放つ、という“予兆”とも言えるようなシーンがあった事も、留意しておかねばならないでしょう。
■機能する鹿島の縦パスと遠藤康の投入
前半は手元の集計で鹿島がシュート2本、ガンバが4本と共に攻めあぐねた展開となりましたが、後半になるとマルキーニョスにボールが収まるようになり、鹿島が徐々にリズムを掴み始めます。
1つのポイントとなったのが、65分にフェリペ・ガブリエルに代わって投入された遠藤康。健闘していたものの決定的な崩しにまでは至っていなかったガブリエルに代わった遠藤は、ガブリエルのようなサイドに開いてのプレイはあまり無かったものの、2列目の効果的な位置でボールを受けると、思い切った縦への展開で何度もチャンスを演出します。
この時間帯、同じ縦に向かうのでも前半の鹿島と決定的に違ったのは、ただ単に放り込むだけではなく、きちんと手順を踏んでガンバを崩しにかかっていた事。まずキープ力のあるマルキーニョスにボールを預け、それを落とす形でMFがボールを受ける。そこからサイドが空いていればSBらの上がりを生かし、ここぞという場面では縦パスを通す。前半の縦へのパスは最終ライン近くからのロングフィードが中心であったのに対し、後半はよりピッチの中央で、余裕を持ってボールをキープしたMFがパスを出せた点が、決定的に違っていました。
さらに本来こういった“出し手”の役割は小笠原のみが担っていたものの、この時間帯に遠藤が投入された事により、その供給源が2人になりました。さらに遠藤が左サイドにとどまらず自由なポジショニングを取ったため、ガンバ側の対応は後手に回り、結果的に小笠原の負担も軽くなり、より有効な形で攻撃に絡む事が出来ました。
■オープンな展開も・・・・・
そんなこんなですっかり押し込まれてしまったガンバでしたが、決してノーチャンスだったというわけでもなく、カウンターになった際にはルーカスにボールを預けて遠藤が展開する、という形で何度か鹿島のゴールを脅かしました。
ただし両チームとも、まだまだコンディションが整わないためか、或いは日本人選手の傾向としてありがちなプレイの判断の誤りからか、凡ミスを連発してチャンスをゴールに結び付けられない場面が目立ちます。81分、内田が二川のプレッシャーの前に簡単にボールを失ってしまい、ガンバが決定的なチャンスを迎えるものの、二川はまだ余裕があったにも関わらず中の宇佐美へパス。まずこれで攻撃が1つ遅れてしまった上、宇佐美は余裕が無い体勢でボールを受け、しかも逆サイドから遠藤が良いタイミングで上がってきていたにも関わらずシュートを打ってしまい、しかもそれが枠から大きく外れるという体たらく。
最後の10分ほどはかなりオープンな展開になり、両チームとも何度もゴールに迫りましたが、それでいてイマイチ大熱戦とも言い難い印象になってしまったのは、度重なる両チームの単純なミスが多かったからでしょう。
■PK失敗による不安、そして試行錯誤の成果は?
PK戦に関しては、今更私が言及する事もないでしょう。割愛します(笑)
ただ、遠藤がシーズン1発目のPKを外しちゃったというのは、日本代表的にもちょっと不安になってしまうのは否めないところでしょうか。昨シーズン辺りからコロコロをやめた遠藤、もちろん日本屈指のPKキッカーである事に変わりはないのですが、ただ今年はしょっぱなでこれだと、悪いイメージが付きかねない。代表でのキックの際にも、そういった点が払しょくされているかどうかという事が、カギになってきそうです。
試合全体の評価としては、ガンバは後半失速してしまったものの、それぞれ試したいことはそこそこ試せていたのかな、という気がします。奈何せんチョ・ジェジンは流れの中では殆ど機能せず、期待された宇佐美もあまりにサッパリだったのが何だかなぁといった感じでしたが、その一方で選手個人で言えば、遠藤康に関しては今シーズン、かなり期待できるのではないか、という印象を持ちました。
何にせよ、やっぱり今年もこの2チームがJリーグを引っ張っていくことになるのでしょうね。まだ仕上がりきってはいませんが、選手のクオリティ、戦術面での熟成度といった辺りはさらに高めてきそうな気配は見てとれましたし。開幕が楽しみです。
とりあえず、内田、新井場、安田あたりは早々に試合勘を取り戻す必要があるでしょうけどね(苦笑)
posted by Alan Hetarade |16:32 |
Jリーグ |
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2010年02月24日
VfB Stuttgart 1-1 FC Barcelona
【S:25.Cacau】
【B:52.Zlatan Ibrahimović】
試合を総括すると、シュトゥットガルトとしては痛恨のドローということになるのかな、という気がします。とにかくバルセロナは、内容がどうのと言われることは仕方ないにせよ、ベスト8進出に向けては全く問題ないスコアーとなったわけで。
シュトゥットガルトの方はとにかく前半飛ばしまくって、そこでバルサのとんでもない凡ミスの連発の助けもあって、怒涛の攻撃を見せました。ただその前半のうちに2点のリードを築けなかったのが運の尽き、結局後半は運動量が落ちて、逆にバルサにほぼ一方的に攻め込まれてしまいました。
なんかこういう展開って、日本vsオランダの試合を思い出しますねー。あの時も日本の健闘以上に、オランダの前半が最悪としか言いようがない出来だったわけですし。結局そこでドローになるか4点取られて負けるかというのは、得点力と選手個人の力という事によるのでしょうが。
さて、この試合でちょっと疑問だったのは、グアルディオラ監督の采配。
おそらく先週末、4点を奪って勝利したラシン戦の出来を考慮して、トゥーレをアンカーに起用したのでしょうが、結局マルケス共々散々の出来で、ブスケッツ、シャヴィ、イニエスタあたりもまったく機能しませんでした。そこから後半、ミリートとアンリを投入して修正を加えた辺りは、流石なんですが。
問題としてはシステム的な面も勿論なのですが、なぜトゥーレとマルケスを使ったのかという事が、最大の疑問点です。確かに苦しいチーム状態の中で、最終ラインを弄りたくない、前節よかった選手を使いたい、というのは分かります。ただこの試合のトゥーレとマルケスの出来を見る限り、両者ともコンディショニングの面で90分まともにプレイできる状態ではなかった事は明らかでした。
結果的にシュトゥットガルトの決定力不足もあって1点しか取られませんでしたが、一歩間違えれば致命的な点差をつけられていたかもしれなかったわけで、その辺りグアルディオラ監督は2人のコンディションをどう見ていたのかなー、と。シュトゥットガルトが疲れたタイミングでの交代も結果オーライとも言えなくもないわけで、決して最初から意図していた交代ではないですからね。
苦しい懐事情と、試合ごとにコロコロとパフォーマンスが変わってしまうというのは、シーズン中盤~終盤にかけての、最もコンディショニングが厳しくなる時期特有の現象と言えるでしょう。おそらくもう2,3週間すればまたバルサのパフォーマンスも上向くとは思うのですが、ただ昨シーズン、ターンオーバーの採用で名を馳せたグアルディオラ監督にしては、今回は選手のコンディションの把握、及びそのターンオーバーの取り方がお粗末だったかな、という気がします。
あと余談になりますが、フレブが元気なプレイを見せていたのは、嬉しかったですね~。アーセナルを出て以来パッとせず、このまま終わってしまうのでは・・・・と心配していたのですが、今日は1対1の場面ではほぼ全勝と言っていいくらいでしたし、カカウ辺りとのコンビネーションも良さそうで、完全復活という評価を受ける日も近いのかなーと。
さて、あとはフラミニなんですけどね(苦笑) いい加減、ミランに見切りをつけないのかなぁ・・・・
posted by Alan Hetarade |12:15 |
UEFAチャンピオンズリーグ |
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2010年02月19日
Panathinaikos 3-2 Roma
【P:67.Dimitris Salpingidis, 81.Lazaros Christodoulopoulos, 89.Djibril Cissé】
【R:29.Mirko Vučinić, 81(PEN).David Pizarro】
CLも見るには見ていたのですが、ちょいと昨日ショックな事がありまして、ブログの方はスルーしてしまいました(笑) とはいえ、ELの方は見たので、とりあえず感想をば。ハイライトはこちらでどうぞ。
決勝トーナメント1回戦屈指の好カード、パナシナイコスvsローマ。シーズンの開幕時にはテン・カーテがチームを率いていたもののその後あっさり辞めてしまい、現在はギリシア人のニオプリアス監督が率いるパナシナイコスと、公式戦ここ20試合無配と、ラニエリ体制下で破竹の快進撃を続けるローマの対戦です。
まずラインナップから。パナシナイコスはジウベルト・シウヴァが怪我で使えず、シセの1トップ、シマゥンをアンカーに置いた4-1-4-1。注目はやはり若いながらも実力十分のニニス、レトの2人に加え、カラグーニス、カツラニスというベテランで構成される中盤の4枚が、如何に1トップのシセと絡んでいくかということ。
対するローマは体調不良でトッティがメンバー外に。そのためジュリオ・バチスタとヴチニッチが2トップを組み、フォーメーションは4-4-2。注目は攻撃陣も勿論ですが、パナシナイコスの強力なアタッカー陣を、モッタ、ブルディッソ、フアンら安定感のある選手がそろう最終ラインが如何に封じ込めるかという事になりました。
■4-1-4-1のあやを突くローマ
まずは前半。攻撃的な両チームとあってか、序盤からややオープンな展開に。
14分にはローマがゴールを脅かします。右サイドからのクロスがワンバウンドしながらファーに流れたところを、リーセが胸でトラップして強烈なシュート。しかしこれは惜しくも左のポストを直撃して、ゴールならず。パナシナイコスも27分、ニニスが強烈なミドルシュートを放ちますが、これはローマのGKジュリオ・セルジオが横っ跳びして片手で弾き出します。
そんな中、29分に先制点がローマに。ボックス中央の3m手前でボールをキープしたジュリオ・バチスタが、左でフリーになっていたヴチニッチにパス。ヴチニッチはワントラップした後、狙い澄ましたループシュートを放つと、ボールはファーサイドの枠の隅を捉え、ネットに吸い込まれました。
このシーンに象徴されるように、この時間帯のパナシナイコスは、ジュリオ・バチスタがボールを持った時の対応に苦労していました。4-1-4-1の場合、中盤の底はアンカーの選手1人で見なければなりません。当然1.5列目くらいのポジショニングを取ってくるジュリオ・バチスタはアンカーのシマゥンが見る事になり、最終ラインの選手がそれをサポートする形がベストとなります。
しかしローマはここで中盤の選手が積極的にフリーランニングをする事により、パナシナイコスの最終ラインを押し下げたため、ジュリオ・バチスタがボールを持った時にパナシナイコスは数的有利を作れなくなってしまいました。結果、バチスタは比較的楽にボールをキープできた上、得点シーンでのヴチニッチのように、少しサイドに流れたポジションでフリーになる選手が出てきました。
結局このような形でややローマ優勢のうちに、前半が終了。しかしジュリオ・セルジオが右足のそけい部を痛めてしまい、GKがドニに交代するというアクシデントも起きました。
■完全に流れを変えたサルピンギディス
後半に入っても一進一退の攻防が続きますが、試合のすう勢を決定づけたと言って良いのが、64分にカツラニスに代わって入ったサルピンギディス。彼の縦へ縦へというシンプルなプレイの前に、疲労が色濃いローマのイレブンは四苦八苦する事になります。
早速67分、左CKからのこぼれ球をそのサルピンギディスがボレーでゴールに蹴り込み、パナシナイコスが同点に追い付きます。ここからゲームは、めまぐるしい展開に。
ローマは70分にヴチニッチを下げてメネズを、75分にはタッデイを下げてチェルシをそれぞれ投入。この交代策が実り、81分、ボックス内にドリブルで進入したチェルシをスピロプーロスがたまらず倒してしまい、ローマがPKをゲット。ピサーロが落ち着いてこれを決め、ローマが再度勝ち越します。
しかし84分、パナシナイコスは右サイドでCKをゲットしたところで、ニニスに代えてクリストドゥロプーロスを投入。するとそのCKからの混戦の中、ボールはポッカリと空いたスペースで待ち構えていたクリストドゥロプーロスの下に流れ、クリストドゥロプーロスは身体を上手く捻りながらこれをゴールにねじ込み、またもパナシナイコスが同点に追い付きます。
これで試合終了か・・・・と誰もが思った89分、右サイドを突破したサルピンギディスがクロスを上げます。中央に走り込んだのは、ここまで殆どと言っていいほど消えていたジブリル・シセ。怒涛の勢いで突っ込んだシセは、この試合ほぼ完封されていたブルディッソをふっ飛ばしながら豪快なヘディングシュートを放つと、ボールは絵に描いたような軌道を描きながらゴールに吸い込まれました。歓喜のシセはすぐさまサルピンギディスの元に走り寄り、熱い抱擁。
結局このゴールが決勝点となり、パナシナイコスが劇的な大逆転勝利。スタジアムはまるで優勝したかのような大騒ぎとなりました。
■交代のタイミングとローマの疲労、そしてシセの一撃
さてこの試合の明暗を分ける要因となったのは、ローマのコンディションにあったのではないでしょうか。
前半のローマは上述した通り、前線でジュリオ・バチスタに上手くボールが収まり、そこに中盤の選手がフリーランニングを行う事によって、パナシナイコスを翻弄しました。しかし後半に入ると、パナシナイコスが守備を修正したという事はあるにせよ、前半のような運動量は鳴りをひそめ、チェルシら個人の突破に期待せざるを得ない状況となりました。
いくらギリシアとイタリアがイオニア海を挟んだだけの間と言っても、そこは海外遠征。ローマも楽な日程、及び選手層で戦っているわけではありませんから、20戦無敗という快進撃を続ける中で、やはり選手の疲労もたまっていたはずです。顕著だったのはやはりリーセの動きで、彼自身のプレイスタイルがダイナミズムを要するものであるために一層目立つという事はあるにせよ、後半に入ると殆ど目立たなくなってしまいました。
加えてローマの側で痛かったのは、交代枠の1つをGKの負傷交代によって使ってしまったこと。おそらく本来であればピサーロのPKで勝ち越した時点でバチスタを下げてメクセスを入れるなりして守備を固めに行きたかったのでしょうが、この時点で3枚のカードを切り終えてしまっていたがために、堅実に守りたい時間帯及びスコアーであったにも関わらず、攻撃的な布陣のまま戦う羽目になってしまいました。結果、そこをサルピンギディス率いるパナシナイコスのアタッカー陣に突かれ、逆転まで許してしまいました。
一方パナシナイコスの方はというと、そのローマの疲労がまさに出始めた64分という時間帯で、切り札サルピンギディスを投入。彼のプレイスタイルは、おそらく前半から出ていれば元気だった時間のローマのパフォーマンスでその効果が相殺されてしまっていたでしょうから、まさしく絶妙なタイミングでの投入となりました。
そして何より、試合を決定づけたジブリル・シセの一発。この試合のシセは流れの中ではほぼ消えていたと言ってよく、前半終了間際にレトの素晴らしいクロスをゴール前の至近距離で、しかもフリーの状態でヘッドに持ち込むこれ以上ないチャンスがあったものの、そこでシュートを外してしまうという“失態”もやらかしていました。つまり事実上、活躍したと言えるのはほぼ最後のあのシーンくらい。
マルセイユ、サンダランドでは散々で結局ギリシアへ行ってしまったシセでしたが、やはり恐さは衰えず。そしてそういう選手をピッチに残しておいた辺りが、ニオプリアス監督の何とも心憎い采配、といったところでしょうか。交代選手が活躍しつつも、最後に決めるのはやっぱりエースストライカー。
セカンドレグがどのような展開になるか、楽しみなスコアーとなりました。
posted by Alan Hetarade |12:57 |
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2010年02月16日
を、改めて考えてみようと思います。
これまで管理人は、日本代表については周囲よりかなり楽観的な見方をしてきたと思います。ネイションズカップでのカメルーンの守備崩壊も「それ見たことか」という感じでしたし、曲がりなりにもベストメンバーのガーナに勝った実績はもっと強調されるべきだと考えていました。またオランダ戦の後半の出来もコンディションの面で擁護すべきだという論調で、あの試合については評価していました。
ただ、この東アジア選手権を受けて、さすがにちょっと考え直さざるを得ないな、と思いました。
ベネズエラ戦、中国戦辺りまでは、点を取れないのもまぁシーズンイン前のコンディションの問題があるのかなと思っていましたし、香港戦まではむしろ無失点に抑えていた(楢崎のPK阻止に助けられた面があるとはいえ)事をポジティヴに考えるべきかな、と思っていました。ただ、韓国戦での失態(スコアー以上にあまりにも悲惨としか言いようがない試合内容)を鑑みると、流石に再考すべき部分があるのかな、と思いました。
これについては、スポーツナビ+の各ブログでも活発に議論が行われています。特にサッカー系では最も興味深い記事をいつも提供してくださるブログの1つである「サッカーの面白い分析を心がけます」さんのエントリーがとても参考になり、また自分の考えとも被る部分が多かったので、ここでリンクを貼って紹介させていただきます。
ということで、ここではそれ以外、或いはそこから先の段階で、現在の岡田JAPANが抱える問題について、考えていきたいと思います。
■岡田監督最大の欠点「選手起用の偏り」
私は岡田監督の戦術面や基本的な方針についてはこれまでも一定の評価をしてきました。が、その一方で一貫して疑問を呈してきたのが、このポイントであります。
「○○待望論」というのは、いつ、どこの代表でも聞かれるものです。例えば前回大会の日本代表でいえば平山や松井がそれに当たるでしょうし、現在もコートジボワール代表のドゥンビアだとか、ドイツ代表のミュラーなどは、代表経験がほぼ無いに等しいにも関わらず、本大会に向けての招集が期待されています。
では、現在の日本代表でこれに当たるのは、誰なのか。
おそらく名前が挙がるのは、森本、平山、前田という大型CF、そして本田、石川という攻撃的SHという事になると思います。いずれも代表にまったく呼ばれていないわけではないので“待望論”という言い方が当たるかどうかは疑問ですが、本大会で期待したい選手となると、ここら辺の名前が挙がるわけです。
つまり、彼らは現状では、実力に見合う立場を代表では得ていないと言えるでしょう。
これには確かに彼らのプレイスタイルが代表に合わないという点もあるのでしょうが、それ以外に、チーム作りの段階で彼らをほぼ戦力外という状態で扱ってきた岡田監督にも、彼らがフィットしない要因が1つあると言えるでしょう。
彼ら個人というわけではなく、岡田監督は就任直後から一貫して、新戦力のテストを苦手としてきました。もちろん戦術ありきでメンバーを組むのですから、実力はあれどそれに合わない選手が出てくるのは仕方ない事です。しかし今回、期待された小笠原及び平山を、フィットさせることができなかったどころかほとんど試合にすら出さなかった(しかも完全なテストマッチであったにも関わらず)ことで、改めて岡田監督の選手起用に、過度な偏重ともいえる性質があることがハッキリしました。韓国戦で岩政に明らかな試合勘の欠如が見られたことも、その前の試合で彼をまったく使っていなかった事が1つの大きな要因でしょう。
またこれと並んで選手交代もハッキリ言って下手くそで、例えばオランダ戦ではテストマッチにも関わらず交代枠を2つしか使わなかったりという事もありましたし、これまで彼がリードされた試合で選手交代によってそれをひっくり返したという事も、記憶に無いわけです。
■クラブでのプレイを考慮しているか?
私がもう1つ気になっているのは、このポイントです。
これに関しては前回のエントリーでも書きましたが、玉田、岡崎という2トップは、クラブではそれぞれケネディ、ヨンセンという大型CFにトップを任せ、セカンドトップ、3トップのサイドアタッカーとしてプレイしています。またこれ以外に長谷部も、現在ヴォルフスブルクでは完全に4-4-2の右SHとしてプレイしています。ところが代表では、玉田と岡崎はフラットな2トップの一角として、長谷部はCHとしてプレイしています。
つまり彼らは、クラブと代表では全く異なるプレイスタイルを求められ、代表ではそれに対応しなければならない、という事です。
長谷部はともかく、岡崎と玉田に関して言えば、クラブでのプレイを半ば捨てるような形で、代表ではプレイしなければなりません。そしてどちらのポジションに彼らの適正があるかというと、両者とも現在クラブでプレイしているポジションが、“本職”として相応しいのではないでしょうか。
岡田監督が、はたしてその適性を考慮しているのか。この点で言えば、今回のベネズエラ戦及び香港戦で、小笠原を4-4-2のCHというクラブで結果を残しているポジションで遂に1度も使わなかった事、またサイドアタッカーとして花開いた矢野を、昨年の代表戦で一貫してトップで使い続けた事などから考えると、岡田監督はその点をあまり重視していない、というより殆ど無視しているに等しい状態であると考えられます。
彼は頻繁にJリーグのゲームを視察していますが、そこで何を見ているのか。「選手がどのようなポジションで、どのような特徴を発揮しているのか」ではなく、ただ単に「コンディションが良いか悪いか」という点しか見ていないのか。この点を、大いに疑問に思わざるをえません。
何も、クラブと代表でまったく同じ使い方をしろとは言いません。しかし、普段クラブで彼らがどういったポジションでどういう役割を担っているのか、或いはその際どのような選手とともにプレイしているのかという点をまったく考慮せず、ガラリと変わったプレイを代表で求めるのであれば、より選手個々人がフィットしやすい環境づくりだとか、求めるプレイのレベルを多少下げてやるだとか、それなりの示唆をしてやらねばなりません。
この場合「代表で練習する時間が少ないから」という言い訳は通用しません。少ない時間で調整しなければならないことは最初から分かっているのですから、その中でどういうシステムが最適なのか、見出さなければなりません。理想を追い求めるのは簡単ですが、その理想がワールドカップに間に合わなければ、何の意味も無いのですから。「現実的に実現可能な到達点」を見出し、そこへ向けての努力をする必要があります。
岡田監督は、どうもこの“終着点”を見誤っているように思えてなりません。システムありきでそこに合う人を集めるのが理想であることは間違いありませんが、こと練習時間が限られている代表に関しては、そうも言いきれない部分があることも事実でしょう。
■現実的には、個の力に期待するしかない?
では、そういった問題を残る期間でどのように解決していけばいいのか。
サッカーで勝つためには点を取らなければならず、点を取るためにはシュートを打たなければなりません。現代表のメンバー、戦術を習熟していく事によってそれが実現できるに越したことは無いわけですが、どうも東アジア選手権での試合を見る限り、それでは無理なように思われます。
となると、もはや解決策としては、戦術的には多少フィットしていない選手であっても、より個人でゴールに向かう姿勢を持ち、得点力のある選手を起用していくしかないのではないでしょうか。勝つためには。
この場合、考えられう方策は幾つかあって、まずはSHの一角に本田或いは石川を起用すること。また玉田、岡崎の得点力をより引き出すという意味では、クラブで彼らがともにプレイするCFに近いタイプの選手、森本または平山を起用するという手があります(勿論彼らのスタイルはケネディ、ヨンセンとは少々異なりますが、贅沢は言っていられません)。これに関しては、長谷部、中村、松井といったメンバーを入れたところで解決する類の問題で無い事は、明白です。
この事を岡田監督が理解しているかどうか、或いは彼が私とは異なった見解を持っているかどうかは定かではありません。ただ1つ問題なのは、彼がそういうことを理解した上であっても、自らのスタイルを頑なに押し通すのか、或いはある程度現実的な妥協をするのか。どうもこれまでの岡田監督を見ていると一番不安になるのがこの辺りで、彼に柔軟な思考だとか現実的な対処だとかができるのかどうかということは、大変疑問に思わざるを得ないわけです。
確かに最後まで信念を貫き通すのも、1つ美しい事です。しかし言い方は悪くなってしまいますが、国際的に何の実績も、評価も得ていない日本代表“ごとき”がそういう点に拘る事には、何も意味が無いのではないでしょうか。今のスタイルを押し通して無残に敗れていったとしても、国際的にも国内的にも失笑の対象となるだけです。
今回の東アジア選手権の結果、及び反響を受けて、少しは岡田監督のお尻にも火がついたことでしょう。私としては、これで彼が少しでもその頑なさを解きほぐしてくれる事を、願うばかりなのですが。
posted by Alan Hetarade |10:16 |
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2010年02月15日
■もっと報道、検証されるべき問題
ヴァンクーヴァー・オリンピックが開幕し、2日が経った。ここまでジャンプ・ノーマルヒルでのシモン・アマンの驚異的な強さや、ショートトラックでのアントン・オーノらのドラマティックなメダル獲得、そして上村愛子が惜しくもメダルに届かなかったモーグルなど、様々な競技での熱戦が大きく報じられている。
そんな中、今大会に大きく影を落としているのが、リュージュ選手の死亡事故だ。ノダル・クマタシヴィリが公式練習中にクラッシュし命を落としてしまうという、あってはならない事故が起きた。
この日本ではこのような大きな事故が起こってしまったにもかかわらず、あまり大きな報道はなされていない。これもこの国のスポーツ報道(主にテレビ中心の)がバラエティ番組のように化し、絵として映える部分のみにスポットライトを当て、スポーツに対する真摯な追及をしていないことの、1つの表れであろう。
スポーツをやっていながら選手が命を落とすということは、あってはならないことである。スポーツにリスクは付き物だが、1つミスをすると命を落としてしまうようなものは、それはもうチキンレースの類であって、スポーツでは無くなってしまう。どのようなことがあったにせよ、競技中(この場合は練習中ではあったが)に選手が死亡してしまうことは、あってはならない。ましてやリュージュには、日本人選手も出場している。
まずは今回の件に関して、改めて日本のマス・メディアの資質を疑わざるを得ない程度の報道しかなされていないことが、誠に遺憾である。
■「事故の原因」と「死亡の要因」は別もの
さて、その上でこの事故後の、国際リュージュ連盟の見解、そして対策についてである。
まず国際リュージュ連盟は、「事故の原因は選手の過失であり、コースに問題はない」とした。これがあり得ない。
確かに“事故(クラッシュ)の原因”は、クマタシヴィリがミスを犯したことによるものだろう。だが、コースに問題が無いはずがない。ミスをした選手の身体がコース外に投げ出され、しかもそこに鉄柱があり、全身を強打してしまったのだ。
これが問題でなくて、何が問題であろう。
“コース”という言葉の範囲には当然、あまりにも激しいクラッシュが起こらないように、コーナーやバンクの角度などの設定、そしてスピードとの兼ね合いといった点が含まれる。そして当然、選手の身体に安全を脅かすほどの負荷がかからないようにしなければならないし、仮に事故が起こったとしても、その影響を最小限に食い止めるコース周りの安全対策も施されていなければならない。これらをひっくるめて、“コース”としての安全性が初めて確立される。
今回クマタシヴィリが亡くなってしまったのは、明らかにこの点に問題があり、すなわちコースに欠陥があったという事を示している。いくらクラッシュし難いコースを設計したとしても、不慮のアクシデントは起こってしまう事がある。そうなった場合でも最悪の事態を避けるように対策を施すのが、コースをデザイン、建設する者が負う責任だ。そして今回オリンピックに合わせて建設されたコースに対する責任は、国際リュージュ連盟が負うものである。
この「死亡の要因」までをもクマタシヴィリ個人に帰するような国際リュージュ連盟のステートメントは、まさしく自らの責任逃れそのものであり、死者に鞭を打つような、人間としてもあり得ない内容となっている。逆にこのコメントでもって、現在国際リュージュ連盟が抱える体質の問題、そして彼らが自らの責務を放棄し、安全対策を怠っていた事が、白日の下に晒される事となったのではないか。
■念には念を入れても、入れ過ぎは無い
F1のファンのみならずとも、バブル時代を謳歌した日本人であれば、忘れられない事故がある。1994年、サンマリノGPでアイルトン・セナがタンブレロ・コーナーでクラッシュし、命を落としてしまった。
1994年のサンマリノGPは、60年のF1史の中でも最も悲惨な週末だったと言っていい。金曜日のフリー走行では、ルーベンス・バリチェロのマシンが宙返りを打ってフェンスに激突し、バリチェロは鼻骨骨折の重傷を負った。土曜日には、ロランド・ラッツェンバーガーがトサ・コーナーでマシンを制御できずにクラッシュし、死亡。そして日曜日の決勝レースでは、セナがタンブレロに消えた。この2週間後に行われたモナコGPでもカール・ベンドリンガーが一時命を危ぶまれるほどの大クラッシュを帰し、後にF1からの引退に追い込まれる事となった。
F1では70年代にニキ・ラウダ、ロニー・ピーターソンらの事故(ラウダは全身に大火傷を負い、ピーターソンは事故後の医療ミスで死亡)を受けマシンの安全性に対する問題が取りざたされるようになり、1982年ベルギーGPでのジル・ヴィルヌーヴの死亡事故を機に、マシンの安全性に対する対策が施されてきた。ヴィルヌーヴの後12年間は死亡事故が起きなかったものの、悪夢としか言いようがない94年のサンマリノGP後、改めて安全性が見直される事となった。
その後のF1では、厳しいクラッシュテストの導入やHANSシステムの導入など、様々な議論を巻き起こしながらも、毎年のようにドライバーの安全性を確保するべく、ルール及びマシンの改正が行われてきた。その結果、セナの死後16年間、F1ではドライバーの死亡事故は起きていない(01年オーストラリアGPで、クラッシュに巻き込まれたコースマーシャルが死亡する事故は起きている)。
モータースポーツもリュージュも、生身の人間が非常に高速で走るという点では、共通している。しかもリュージュの場合、選手はほぼ守るものが無い状態で、そりの上に乗っている。
F1では94年のサンマリノGP後、統括団体であるFIA、ドライバー、チーム関係者、そしてそれを取り巻くメディアらが一体となって安全性に関する議論を進め、レギュレーションの改正や機器の開発に努めてきた。今でも大きな事故が起こるたびに、その原因究明、そして議論が為され、レギュレーションやコースの改良が進んでいる。例えば鈴鹿サーキットの名物コーナーだった130Rは、2002年のアラン・マクニッシュのクラッシュを受けて、85Rと340Rの複合コーナーに改正されている。
現在のリュージュに求められているのは、まさしくこのような姿勢でもって安全性の確保に取り組んでいくことである。選手が声を上げ、メディアが追及し、統括団体が責任を持って対策を施していくことである。そのような責任までも放棄しかねない今回の国際リュージュ連盟、及びIOCのコメントでは、まったくもって危機感が欠如している、というより問題に向き合おうとする姿勢すら感じることができない。
安全対策に関しては、念には念を入れても、入れ過ぎることはない。その点を見誤ってしまえば、スポーツの根幹が揺るがされる事になる。
posted by Alan Hetarade |05:59 |
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2010年02月14日
Japan 1-3 Korea
【J;23(PEN).Yasuhito Endo】
【K:33.Lee Dong-Gook, 39.Lee Seung-Yeoul, 70.Kim Jae-Sung】
■誰が点を取るのか?
結局この東アジア選手権を見ていて、まったく何も伝わってこなかったのが、このポイントだなぁと。
こと今日の韓国戦のみに限って言えば、どうにも一番点を取ろうとしているように“見えた”のは長友で、その次は内田というように思えました。もっとも2人とも、前に前にと出ていくプレイが得意なSBということもあるのでしょうが、普通SBの選手があれだけボックス内深くに侵入し、しかもそこに長くとどまるチームは無いでしょう。あるとしても片方のSBのみでしょうが、このゲームでは両SBがボックス内でストライカーのような動きをするシーンが、何度も見られました。
さて、そこで一概にFWのみを責めることができないのが、この試合でして・・・・
玉田にしろ岡崎にしろそうですが、クラブではそれぞれケネディ、ヨンセンという大型CFがいる中で、セカンドトップとしてプレイし、ゴールを挙げています。日本人でそれに当たる選手は前田、平山、森本辺りということになるのでしょうが、どうも岡田監督は、彼らを主戦力として使う気はないようで(前田はフィットせず、森本は呼べないということはあっても、平山なら使おうと思えば使えたでしょうから)。
となると、事実上の“ゼロトップ”のような戦いも考えられるわけで、それはそれで個人的にはアリだと思います。その考え自体が間違っているわけではない。
問題は、じゃあその場合、誰がどのような形でゴールを奪う、というイメージを抱いているのかということ。
この点がまったく見えなかったのが東アジア選手権での日本代表でして、これは玉田、岡崎の2トップに帰する問題ではなく、チーム全体のプランニング、戦術、そしてピッチで選手が共有するイメージの問題になってきます。本来であれば監督がそれを示唆するべきなのでしょうが、それが無い。その上どうも選手も、こういった問題の本質に気づいていないように思えます。
長友、内田がそこでゴールに向かう姿勢を示したのは、それはそれでいいことなんですが、流石にSBの選手のみでゴールを狙うというのは、無理な話。サイドの選手、あるいはCHの選手がいかにゴール前に飛び出していき、ゴールを狙うかということになってきますが、そういった姿勢がまったく見られなかったと言っていい内容となってしまいました。
■パーソナリティに懸けるか、戦術を見直すか
となると、この問題をどう解決していくかということになるわけですが、考えられる対策は2つ。
まず1つは、ゴールに直結するプレイスタイルを持っている選手を起用すること。この場合、上に挙げたCFの選手たちに加え、MFだと本田、石川という2人が代表格となってきます。彼ら2人を既存のシステムに合わせて起用し、ゴールを狙わせるというのが第1の方法。
2番目は、今までのメンバーを変えないで、どうゴールを狙っていくかという形をハッキリさせることです。この場合重要なのは、選手が誰であれ、どのような形でテンポを変え、縦方向への走り出し、及びパスを出していくのか。その絵をしっかりと描けるかということになります。
しかし現実的には、第2の方法を確立するにはおそらく多大な労力と時間が必要な事でしょうし、どうも日本の指導者にそれができるとは思えない。となると、もはやある程度、選手個人でもって「俺が点を取ってやる」という気がある者を起用せざるを得ないのではないでしょうか。
ただそこで問題となってくるのが、私が一貫して岡田監督のウィークポイントだと思っている選手起用でして、はたして本番で本田、石川、平山辺りを使うかというと、どうもそうは思えないんですよねー。個人的には平山、あるいは森本の1トップで、その下に岡崎、本田、長谷部を並べる4-2-3-1(石川はスーパーサブとして取っておく)というのが一番良いと思うんですが、まぁまずこういう布陣は敷かないであろうわけでして(苦笑)
守備に関しては試合勘の問題が大きかったかなという印象でしたが、さすがにちょっと不安にならざるを得ない東アジア選手権でありました。
posted by Alan Hetarade |21:59 |
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2010年02月11日
Arsenal 1-0 Liverpool
【A;72.Abou Diaby】
■ウェブの重大な“見逃し”
う~ん。まず始めに言及しなければならないのは、最後のジェラードのFKを、セスクが思いっきりハンドで止めて、しかもそれをレフェリーのハワード・ウェブが見逃してそのまま試合終了となったシーンが、このゲームの後味を悪くしているという事ですね。
確かにFK時のハンドのジャッジというのは難しく、どのレフェリーでもミスを犯す可能性はあるでしょうが、セスクに関してはジャンプすらせずモロに手だけ上げて止めていたわけで、流石にそれを見逃すのは怠慢という要素も排除できないだろうなぁ、と。
しかもジェラードのキックは壁を越えていれば枠に飛んでいた可能性が高い弾道を描いていましたし、直前に遅延行為でイエローカードを貰っていたセスクは、あのハンドを取られていればおそらく2枚目で退場になったでしょうから、そう考えるとウェブがあのハンドをスルーしてしまった事による影響は、単なるハンドの見逃し以上に大きいものがあるわけです。うーん、何だかなぁ。
ハワード・ウェブは基本的には良いレフェリーだと思うのですが、ユーロ2008やコンフェデレーションズカップの際にPKを巡る判定で物議を醸していますし、どうもこう、ビッグマッチで数多く疑問の残るジャッジをするというのは、どこか危なっかしい気がします。これでも、ワールドカップの“イングランド代表”レフェリーなので、しっかりやってほしいんですけどね・・・・
■低調な試合内容
これもタイトルの通りなんですが、正直なところ内容としては、両者ともあまり良くないゲームだったと思います。
まず勝ったアーセナルの方は、ここ数試合で見られたコンディションの落ち込みが、この試合でも解消されておらず。特にセスク、ロシツキー、アルシャフィンといった攻撃陣のイージーミスがあまりに多くて(これはベントナーも含めてという事にはなりますが)、ちょっとそこで試合のテンションを下げちゃったかなー、と。単純なトラップとか、パスとか、そういった面での技術的なミスはもちろん、プレイの選択の判断ミスも散見されました。
対するリヴァプールの方も、やはり何度やっても機能している気がしないエヌゴグの1トップがやっぱり機能せず、ラファの采配も迷走気味。確かにマキシは頑張ってはいましたが、まだ色んな意味でフィットしきれていないわけで、なんで試合終盤、彼に代えてゴールに直結する動きが出来るリエラを入れなかったかなぁ、と。
結局いくらリヴァプールが復調してきたと言っても、それは今のところアンフィールドに限った話であって、アウェイではストークとドロー、ウルヴズとドロー、そしてアーセナルに負けているわけです。守備陣に関してはキルギアコスがいなくなったこの試合でもまずまずやっていましたが、如何せん攻撃がなぁ・・・・ 持ち直してきたと言っても、要するにジェラードのコンディションが上がってきただけ、って気がするし。
■エヌゴグは何で勝負したいのか?
しかしエヌゴグが今のまんまだと、結局スカッド全体としてはトーレスの復帰待ちという事になっちゃいますし、この辺りラファはどうしてカイトをトップに起用しないのか、つくづく何を考えているのか分かりません。
確かにエヌゴグは若くて将来性のあるストライカーですが、その期待以上に不安になってしまうのが、彼が何を武器とするストライカーなのか、ゲームを通して見ても全く理解できないこと。
上背がある割にはポストプレイでは相手CBに全敗といって良いくらい全く太刀打ちできませんし、この試合でもギャラスのカットが良かったとはいえ、ゴール前で1対1になりかけたチャンスを不意に。前の試合でもドリブルで一気に駆け上がった後、そのままシュートに行けばいいのに切り返して相手DFにコースをふさがれてしまうシーンがありましたし、どうもこの辺を見てると並はずれた得点感覚があるようにも思えない。とはいえスピードで押していくタイプでも無いし、パワーがあるシュートや卓越した足元のテクニックがあるわけでもない。
もっとも、ポーツマス移籍後にポストワーカーとしての花が開いたクラウチのように、あれくらいの体躯の選手はふとしたきっかけで大きな飛躍を遂げる可能性もあります。しかし、現状のエヌゴグに関してラファの使い方を見ていると、どうも“現時点での実力”を見誤っているんじゃないかなぁ、と。確かに彼に経験を積ませることも大事ですが、一方的にゲームに出すだけでもいけないと思うわけで、もう少しその辺りを考えてほしいものです。
■“鉄則”は崩れたのか、崩したのか?
そんなこんなで、両者ともイマイチだったという割にはアーセナルの方が勝ったわけですが、そのカギとなったのは、リヴァプールの守備にあるのではないでしょうか。
チェルシー、ユナイテッドの2チーム相手に1点しか奪えなかったアーセナル。この両者が共通して布いた戦術は、ボックス周辺に人数を固めてスペースを消し、アーセナル得意のパス回しを“回すだけ”の状態にさせる。その上でボールを奪ったら素早くカウンターに転じ、ゴールを奪う。やや形は違ったにせよ、両者ともほぼ同じやり方で、アーセナルを打ち負かしました。そしてこの試合序盤のレッズも、同じように守っていました。
ところが、時間が経つにつれて徐々にレッズは前がかりになり、次第に最終ラインをサポートする中盤が手薄になっていきます。そして後半に入ると、中盤がスカスカになり、52分辺りでエヌゴグ、ロシツキーが互いに決定機を逸したシーンのように、中盤を省略した大味な試合展開となりました。
そしてその結果、アーセナルは得意のパス回しでリヴァプールの守備をたった1度とはいえ完全に撹乱し、虎の子の1点を取った。
この辺り、リヴァプールがアーセナル封じの鉄則を敢えて破ったのか、はたまた自然と破れてしまったのかは、定かではありません。ただかつて、CLでバルセロナやレアル・マドリーを相手に徹底した堅守速攻の戦術を敷き、見事に相手を掌の上で踊らせて陥れたリヴァプール。あの時と比べるとこの日のリヴァプールには明らかに、“芯”がありませんでした。
posted by Alan Hetarade |22:27 |
FAプレミアリーグ |
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2010年02月07日
日本代表戦も見るには見たんですが、まぁベネズエラ戦を見逃した自分がどうこう言うのも野暮だと思うんで、そちらの話は韓国戦まで取っておきます(笑)
Liverpool 1-0 Everton
【L:55.Dirk Kuyt】
うーん。序盤からちょっと荒れた展開になったのは、残念でした。キルギアコスのタックルは勢い余ってという側面があるにせよ、危険極まりないもので、1発レッドは妥当。最後のピーナールに至っては完全に自業自得で、ありゃあレフェリーがマーティン・アトキンソンじゃなくっても2人退場してた試合でしょう。熱いゲームになるのは良いんですが、こういう方面で盛り上がってしまうのは、ちょっと残念。
とはいえ、レッズの戦いぶりは見事なものでありました。敢えてアクイラーニを外したベニテスの采配は、この試合に関しては正しかったというか、激しいゲームになる場合、繊細なアクイラーニよりは、がっつり行けるマスチェラーノ、ルーカスをチョイスするのがやはりベターというものでしょう。
その判断が正しかった事をある意味象徴しているのが、相手方のエヴァートンの選手起用。とにかく“強い”フェライーニがキルギアコスの赤紙タックルを喰らって負傷退場してしまい、出てきたのが病み上がりのアルテタ。案の定アルテタは中盤の底で捌きに徹していましたが、あの選手交代以降、エヴァートンの攻守における鋭さや厳しさ、そして激しい展開の中での中盤の流動性というものに、何か1つ水が刺されてしまった。
結果、10人になったリヴァプールが、あの異様なテンションでもってエヴァートンに対抗でき、11人のエヴァートンを上回るパフォーマンスを見せる事が出来たのだと思います。たられば論は禁物ですが、もしあのままフェライーニがピッチに立ち続けていたら、ラスト20分のレッズはもっとへろへろになっていたはずです。
まぁあんまりこういう事は書きたくありませんが、退場者を出して本来不利になるはずだったリヴァプールが、そこで怪我人を道連れにしたことでエヴァートンのアドバンテージをも削り取ったというのは、何とも皮肉な結果だなぁ、と。
しかし何のかんので、ファイターのカイトが点を取ったという事でチームも盛り上がりましたし、ジェラードも今日のプレイを見る限り、ようやく復調気味。マキシ・ロドリゲスもまだ順応しきいれていないとはいえガッツを見せてアンフィールドのファンから一定の評価を受けたと言えますし、ここに来てようやくレッズも上向いてきたのかなぁ、と。
エヴァートンの閉塞感に助けられた感はあるにせよ、60分近くを1人少ない状態で戦いながら勝利を得たというのは、チームを盛り上げるという点では本当に意義深い事だと思います。ま、エヌゴグは相変わらずだったりと、課題もまだまだ多いんですけど(苦笑)
とりあえずアンフィールドでの強さは戻ってきましたが、次はエミレーツでのアーセナル戦。ELのウルジチェニ戦を挟んで、その次がシティー・オブ・マンチェスターですから、この2戦がリヴァプールの4位確保に向けての、1つの大きな山場と言えるでしょう。ベニテスがご乱心なされなければ、イケそうな気もするんだけどなぁ・・・・
Tottenham Hotspur 0-0 Aston Villa
そのレッズと4位争いを展開するスパーズとヴィラは、痛み分け。シティーがハル相手にずっこけたことはこの2チームにとっても幸いでしたが、如何せん上記のようにレッズが復調気味なだけに、両者に取って痛いドローとなってしまいました。
スパーズは終始ゲームを支配し、シュート28本(うちショッツ・オン15本)を放ちながら、結局ゴールを割れず。クラウチのポストからのキングのシュート及びそのこぼれ球をデフォーが狙ったシーン、ハドルストーンのロングシュート、クラウチのヒールなど幾多の決定機がありながら、最後までモノにできず。対するヴィラも、アグボンラホールの絶妙なシュートをゴメスが2度ブロックするなど、好機をゴールに結び付けられませんでした。
うーん。両チームとも頑張っちゃいたのですが、この辺り、まだまだ優勝争いをしている3チームとは、差があるのかなぁ、と。
例えば、チェルシーには2トップを軸とした圧倒的なパワーがあり、ユナイテッドにはカミソリのようにゴールを奪っていくスピードがあり、アーセナルには相手を完全に錯乱させるテクニックがある。その点スパーズにしろヴィラにしろ、強みはあるっちゃあるのですが、こういった競った展開で強引にそれでもって押しこみ勝利を奪ってしまう、というところまでは、まだその力強さが足りないのかなぁという気がしました。
確かにクラウチやカリュー、ヘスキーには強さがあるし、デフォーやアグボンラホールにはスピードと得点感覚が備わっている。モドリッチとベントリーには確かなテクニックに基づく精密なパスがあり、ダウニングやミルナーには他を圧倒するスピードがある。これは、個々で見ればトップチームにも十分通用する要素です。
しかし、チームとして見たときにはどうか。相手の影響を全く受けずに貫き通せるような、圧倒的な強さ、武器があるか。そのコンセプトはあるか。
結局ハリー・レドナップにしろマーティン・オニールにしろ、指揮官としてこの辺りの具体的な示唆が見えてこないんですよね。だからこそ彼らは有能な指揮官という評価は得ても、稀代の名将という評価は得られないわけだし、選手のクオリティで劣るとはいえ、イマイチ殻を破りきれないまま、4位争いから抜け出せない。
個々の選手は頑張っているし、それぞれが面白いモノを持っている。それは、このゲームでも十分に発揮されていました。じゃあ、それらを統一し、どういった示唆を与えて行けるのか。それはまさに、指揮官の腕にかかってくるわけです。
詰めの甘さは、指揮官の甘さ。それをひしひしと感じるゲームでした。
posted by Alan Hetarade |05:22 |
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