2008年01月03日
6区
◎加藤創大(早稲田)
○佐藤雄治(学連選抜:平成国際) 細谷祐二(東京農業)
△大西一輝(東洋) 藤井輝(駒澤)
渡辺監督が全幅の信頼を寄せただけのことはある力を見せた加藤。1時間を切ることが一つの指標となる6区で、見事にそれを達成した。さすがに平地に出た後にスピードは落ちたが、しかしそこで意識を再び高めて力強く駆けようとしている姿勢が伝わってきた。
快走して復路でも流れを作った佐藤も素晴らしかった。細谷もその佐藤のタイムに迫る素晴らしい走り。昨年の借りを返した東海の皆倉、チーム浮上のきっかけを作った大東文化の佐藤匠、帝京の赤木、神奈川の的場らも光った。
対して藤井は山を下ったところで失速。6区の罠にはまってしまった。大西も然り。最後は故障したのか定かではないが、実力を出せなかった。
7区
◎西村知修(帝京)
○佐藤悠基(東海) 豊後友章(駒澤)
大きなミスをする選手がいなかった区間。佐藤は彼の実力からすれば、区間新を出しても驚きではない。豊後は実力を発揮して早稲田との差を詰めたが、早稲田の石橋も区間4位と、仕事はキッチリした。
チームへの貢献度という点で素晴らしかったのは、西村。区間3位の快走で、シード圏内に突入して襷を繋いだ。結果的に以後の帝京の選手はこの順位を守り切るような走りとなり、西村の走りが活きた。
8区
◎深津卓也(駒澤)
○井村光孝(学連選抜:関東学院) 栗原圭太(山梨) 五十嵐祐太(専修) 辻茂樹(中央学院)
△芳村隆一(東海) 丸林祐樹(日大)
×木水良(順天堂)
意外と差がつきやすいこの区間にあって、逆転の足掛かりを区間賞の快走で作った深津は見事。ただ早稲田の飯塚のタイムも悪くはなく、実力を発揮した。猛烈な追い上げを見せた井村、その井村に引き離されたものの東海の前に出た栗原、前との差を詰めた辻らも目立った。また下位では五十嵐が健闘。
芳村は失速してしまい、佐藤が稼いだ順位を吐き出してしまった。丸林はシード圏外に転落。木水はブレーキになってしまい、襷を繋ぐのがやっと。とことんついていなかった順天堂を象徴するかのような走りになってしまった。
9区
◎篠藤淳(中央学院)
○堺晃一(駒澤) 野口功太(日体大) 与那覇大二郎(亜細亜)
△阿久津尚二(日大) 前川雄(東海)
×椎谷智広(東京農業) 住田直紀(大東文化)
この区間では頭一つ力が抜けている感があった篠藤だが、実力を発揮して見事に区間記録を作った。これだけの実力者ではミスが許されないという点でプレッシャーもあっただろうが、その中でも自分の走りをしっかりすることができた。
安定感のある堺は着実に早稲田を捕らえ、こちらも期待どおりの走り。昨年に続いて順位を上げた与那覇、チームをシード争いができる位置まで押し上げた野口の走りは目立った。
阿久津は中田との競り合いに負け、後退。今年の駅伝シーズンで彼本来の走りを見ることは出来なかった。前川も失速。住田はおそらく昨日の小野と同じような症状と思われるが、残念な結末となってしまった。
10区
◎永岩義人(城西) 加田将司(中央) 笹谷拓磨(日大)
○太田行紀(駒澤) 羽島駿介(国士館) 田部貴之(帝京)
△出口和也(日体大)
×荒川丈弘(東海)
シード圏ぎりぎりの選手たちが壮絶な走りを見せた。田部が東洋をかわせば、ここまでのシーズンで苦戦続きだった笹谷は激しい追い上げ。加田はその争いに巻き込まれまいと一気に差をつけた。
そんな中後方で、永岩が意地の走り。猛烈なラストスパートで区間賞を獲得。最後まで全力で勝負する素晴らしい精神を見せた。その他では羽島が健闘。
ポテンシャルが高い出口は前が見える位置で襷をもらったが、残念ながら失速。この経験を来年以降に活かしてもらいたい。そして荒川は最後の最後で棄権。状況が判然としなかったが、一先ずシード獲得は間違いない位置で走っていただけに、衝撃的だった。
総括
駒澤、早稲田共に、完璧なレース運びだった。やはり総合力では駒澤が上だったが、早稲田も竹澤が本来の調子ではなく、本多や阿久津といった主力を欠いた状態で2位に入れれば、満足できるはずだ。駒澤は後半の追い上げ、早稲田は山での貯金にかける戦略がはまった。
3位と躍進した中央学院も、作戦どおりか。木原は2区として、ツインエースのもう1人である篠藤の区間配置が注目されたが、9区という区間だった。それまでの区間である程度の位置につけられると踏んでの9区起用だったろうが、見事に良い位置で彼に繋ぎ、快走とあいなった。昨年まで苦戦した山の登り下りをうまく乗り切れたのが、大きかった。
10位以下では、国士館の好走が目立った。高久、阿宗、川崎というエース格の選手をすべて往路に突っ込みながら、復路でも順位を落とさなかった。昨年繰り上げを避けるために復路に戦力を投入したことを考えると、それなりにチーム全体の力に自信があったのだろう。
今回はリタイヤが3チームも出てしまう残念な結果になったが、特に順天堂と東海については、つくづく駅伝では前後の区間での“流れ”が重要だと思い知らされた。
駒澤、早稲田、中央学院、学連選抜、山梨といったチームは序盤の区間で流れに乗り、最後までそれを失わなかった。対して山でつまづいた東洋はその後も挽回できなかったし、浮沈の激しいレースに終始した日大は最後まで安定感なくレースを終えた。序盤で遅れた城西も流れを取り戻せず。区間賞2人が虚しい結果となった。
東海は8区の芳村が失速すると前川、荒川とずるずると後退、最後は止まってしまった。そして最悪だったのが順天堂で、まともに走れたのは9区と10区の選手だけだった。
今大会を見ても脱水症状に陥る選手が多かった。箱根駅伝はただでさえ、我々には考えられないようなプレッシャーがかかる舞台だ。そのような場で自分が襷をもらうシチュエーションというのは、非常に重要になる。良い位置なら精神的に良い状態でレースに入れ、力を発揮できる。逆にもし前の区間で順位が落ちたような状態で襷をもらおうものなら、精神的には不安になり、焦りも生まれるはずだ。そのような心労は確実に走りに響くし、体力の消耗も激しくなる。その結果、時には脱水症状に陥る。
改めて、そんな駅伝の怖さを見せられた。そんな大会だった。
posted by Alan Hetarade |17:44 |
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2008年01月02日
1区
◎佐藤直樹(城西)
○池田宗司(駒沢) 尾崎貴宏(早稲田)
△藤原昌隆(東海) 中原知大(日大) 関戸雅輝(順天堂)
予想どおり競った展開になった中、スパート合戦を制した佐藤はきっちり仕事をした。城西は昨年も高橋が1区で3位に入っており、難しい駅伝の入りにおいて素晴らしい流れを作っている。また池田や尾崎、或いは山梨の松村といった選手は、チームを勢いづけた。
一方、強豪チームで1区を任され区間賞の期待もかかった藤原、中原、関戸らは失速。少なからずそれ以降の展開に響いた。
2区
◎メクボ・ジョブ・モグス(山梨) 木原真佐人(中央学院)
○宇賀地強(駒沢) 外丸和輝(東京農業)
△北村聡(日体大) 高久佑一(国士館)
×伊藤一行(城西)
3年目にして初めて“余裕を持って”襷をもらったモグス。遂にその力を発揮したばかりか、チームリーダーとして次の選手に笑顔で繋ぎ、山梨の流れを作った。ダニエルと伊達は期待通りの走り。木原はモグスの力をうまく使い、自分の実力を100%発揮。駅伝では重要となる他の選手との駆け引きを巧みに使い、モグスのペースを有効利用した。
その他では、今年も安定した走りを披露した東洋の黒崎、他校のエースと堂々渡り合い実力を示した外丸が良かった。区間賞の期待もかかった北村は、不本意な走り。高久はチームを押し上げられず。そして伊藤は昨年に続きその実力からは程遠い走りをしてしまい、同じようなパターンで順位を大きく落とした。
3区
◎竹澤健介(早稲田)
○ 上野裕一郎(中央) 若松儀裕(東洋) 田中僚(山梨学院)
共に万全でない状態で臨みながら順位を上げた竹澤と上野は、さすがの走り。本来の形とは違えどチームにしっかり貢献した辺りに、意地が見えた。上野は序盤からこまめに水を取り、苦しいながらもブレーキを予防し、1年生時の失敗を繰り返さなかった。
また調子の良さをそのまま箱根でも発揮した若松、最後の走りで実力以上のモノを発揮しチームの流れを決定づけた田中の走りは、印象に残った。
4区
◎阿宗高広(国士館) 久野雅浩(学連選抜:拓殖)
○池淵智紀(亜細亜)
△田中圭佑(城西)
差が出にくいこの区間にあって、チームを押し上げた阿宗と久野は見事だった。阿宗は一気に前との差を詰め、川崎に前が見える良い位置で襷を繋いだ。久野は思うような走りができなかった昨年の借りを返すと共に、こちらも福山に目標が見えるところでリレーした。
ここまでピリッとしなかった亜細亜は池淵が区間3位と快走し、シード圏が見えるところまで浮上。対して期待された城西のルーキー田中はタイムが伸びなかった。
※当初の記述で久野選手について間違いがありました。第83回大会で久野選手が走ったのは5区ではなく2区でした。お詫びして訂正いたします。
5区
◎駒野亮太(早稲田) 福山真魚(学連選抜:上武) 川崎健太(国士館)
○小澤信(亜細亜) 高瀬無量(山梨) 阿部豊幸(日大)
△姜山佑樹(法政)
×小野裕幸(順天堂)
駒野は完璧な走り。コンディションが良かったとはいえ今井が出した驚異的な区間記録に迫るタイムは、最大級の賛辞に値する。オーバーペースかと思われたのだがしっかり後半にもスタミナを取っておけたのは、昨年までにも山を登っていた経験が生きたのだろう。また昨年は大失速して最下位となってしまった学連選抜は、福山が快走。今年はよい流れを作れた。川崎はエース格の選手として責任を果たす走り。阿宗の流れを受け継ぎ、チームにすばらしい結果をもたらした。
駒野と安西に抜かれはしたものの高瀬は区間5位の好走。1年生でのこの走りは、5区のスペシャリストになりえる素質を見せるものだった。経験者という点では、小澤や中央学院の伊藤も健闘。阿部は順位を上げ、復路へ希望を繋いだ。姜山は順位を上げたものの、彼の力からすればやや物足りないタイムか。
最後に小野について。今年の順大の浮沈はこの小野と7区にエントリーされている松岡の双肩にかかっていたと言っても過言ではなく、それだけに彼としてもあのような位置で襷を受けた段階で、自分がやらなければ、という大きなプレッシャーがあったはずだ。結果としてあのようなことになってしまったが、チームメイトの涙からも、彼が自分の役割を果たそうと必死になり、何かが行きすぎた結果ああなってしまったことが伺えた。
復路展望
駒澤にとって非常に有利な展開になった。同じく復路に戦力を持っている東海、日大は遥か後ろ。総合力では早稲田を凌駕しており、優勝の可能性は高い。6区の藤井、9区の堺は昨年も同区感で実績を残しており、エントリー変更で入ると思われる豊後と深津も実力者。あとはブレーキに注意するのみだ。
注目は上記の2校、日大と東海。共に補欠に力のある選手が揃っている。日大は阿久津、松藤、田中、東海は皆倉、荒川、前川、佐藤といずれも大半のメンバーを入れ替えてくるだろう。その配置が注目される。
シード争いでは中央学院は篠藤を補欠に置いており、逃げ切りが濃厚。亜細亜や中央も伝統的に復路で強く、東洋も底力がある選手を揃えている。往路の上位10チームがそのままシード入りする可能性が高いか。
posted by Alan Hetarade |16:37 |
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2008年01月01日
完璧だったコニカミノルタ
文句の付けようが無い勝ち方だった。中国電力の坂口監督が評したように、これでは他のチームが対抗しようがなかった。1区が終了した時点で、上位にいたチームの中で2区の区間賞が狙えそうだった選手は、松宮か旭化成の佐藤くらいだった。その佐藤が失速したのに対し松宮が完璧な走りを見せては、他のチームはどうにもできなかった。
後半も坪田が区間2位と、絶頂期までとはいかなくとも着実に復調していることをアピール。そして素晴らしかったのが、初のニューイヤーで区間賞を獲得した池永。山田とともに、箱根駅伝での活躍以来、しっかり力を付けていることを示した。育成がうまくいっていることを見せ付けた後、ベテランの磯松が締める。ベテランと新戦力が融合した、素晴らしいチームだった。
力は出し切った中国電力とホンダ
その他のチームについて。2位に入った中国電力はミスらしいミスもなく、これが精一杯の結果だったろう。マラソンで名を馳せたランナーがすべて実力を出し切った辺りは、さすがというところ。特に佐藤は過酷な条件の中でも大差で区間賞を獲得し、タフさを見せた。
3位に入ったホンダは、昨年のリベンジを果たした。地味ながらも実力者が揃っている。確実に今井を捕らえたエースの堀口やルーキー奥田など、前半から後半の選手までこちらも万遍無く力を出し切った。
魅力的な安川電気とトヨタ九州
それに続いた安川電気は見事だった。2区では信じられないような追い上げを見せた三津谷の前に飛松がペースを乱され不利な展開に陥ったものの、小畑、立石、北島、下森ら、後半区間の選手が素晴らしい走りを見せ、見事に挽回した。全国的な知名度を誇る選手はいないものの、若手を中心にチームとして良い方向に進んでいることを示した。指導がうまくいっているのだろう。
そしてトヨタ九州。やはり三津谷が殊勲の走りだった。あそこまで突っ込んでしまうと後半に失速しかねないのだが、尾方と野口がついてきたところで自重できたのは、彼が冷静さを保って走っていたことを示している。最後は井川や井幡の力をうまく使い、次の区間に繋げた。今井は後ろに佐藤、堀口、白柳という実力者を背負った状態ながら自分の走りをきっちりして最後に堀口を突き放し、満点の出来を見せた。
三津谷、ワンジル、今井と知名度のある選手が多いが、その他の区間では地元九州から高卒で入った若手選手が走っている。3人に比べれば力不足の感は否めないが、しかし入賞圏に留まれるくらいには、しっかり走った。このような地域に根付いた実業団のチームには好感が持てるし、そういったチームが活躍することで、各地方の陸上界全体のレベルアップに繋がるだろう。
その他では、1区で果敢にトップに挑んで復活を予感させた旭化成の大野、尾方を区間順位で上回った四国電力の野口、チームを押し上げた日清の3区以降の選手たち、富士通の太田らの走りが目立った。
残念だったエースたち
今回は特に2区で、力を出せなかったエースが目立った。旭化成の佐藤、日清の徳本、カネボウの瀬戸は、いずれも大きく遅れてしまった。瀬戸に関してはアクシデントの中、よく襷を繋いだといえる。あのような突発的な怪我は、文字通り不運としか言いようが無い。
佐藤に関しては、昨年はマラソンを2度走りながらニューイヤーでも好走出来ただけに、東京マラソンに向けて調整中とはいえ残念な走りだった。しかし昨年の旭化成復権の2位、及びその前の苦しかった数年間をエースとして精一杯引っ張ってきたのが、この佐藤だった。今回は悔しかろうが、しかし実力は折り紙付き。来年のリベンジに期待したい。
posted by Alan Hetarade |20:21 |
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