2006年11月19日
気温との戦い ~寒さから暑さへ~
とにかく今日の東京国際マラソンは、雨、それによる低温との戦いであった。 タイムが伸びなかったのは、気温と雨が選手の身体を冷やしたからであるというのは、誰もが分かることである。そのためにタイムが伸びなかったというのは致し方ない部分があり、寒いレースはあまり経験していない高橋がうまく対応できなかったために負けた、という見方も出来る。 しかしそれでも、前半のハイペースは少し興味深い。解説でも言っていたが、低温時のレースではまず身体が温まるまではそこそこのペースで走り、後半に勝負する、というのがよく見られる展開だ。 典型的なのが、箱根駅伝の5区や6区であろう。5区の場合、山登りを控えているという点もあるが、それでも箱根の山を一気に駆け上がるにつれて標高も高くなり、気温も自然と低くなる。復路の6区はましてやそこを、朝にスタートする。時には雪も舞うようなあのケース、選手達の“入り”は自然と慎重になる。 だが今日の場合、土佐は多少は自分の記録が落ちようとも、まずは高橋を“潰す”レースをしたのではないか。後半に高橋の体力が残っていれば土佐には不利。序盤で出来るだけ消耗させるには、多少の犠牲は止むを得なかったのではないか。そう考えると、土佐の思い通りのペースとなった。 アップダウンという点では、東京もスタート直後、そしてレース終盤には四谷の坂がある。今日のレースを見て、箱根駅伝とあわせ、改めて低温時のレース、そして高低の克服が、ランナーにとってどれだけ大変なことかというのを実感させられた。 低温、そして強風によってさらに体感温度が下がる箱根駅伝の5区や6区の選手は、多くの場合、半袖や長袖のユニフォームを身に着けて走る。今日の東京も、土佐がインタビューで語っていたように、風によって更に体感温度が下がったはずだ。となると、やはりアームウォーマーを着けていなかったり、途中で手袋を取ったりした高橋は、寒さ対策が万全で無かったと言えよう。 こんな中レースを勝った土佐だが、タイムがあれくらいなのは仕方ないし、きっちり勝利を収めたという事で、本人がどう思っているかは別としても、良いレースだったのではないだろうか。寒さに打ち勝った、と言ってよい。 これで出場を確実にした来年の大阪での世界陸上は、一転して酷暑との戦いとなる。日本の夏は湿度が高く、その上大阪という大都市ともなると、オフィス等から排出される熱で、更に過酷なレースになるだろう。野口みずきが出場回避を宣言するなど、選手達も相当な覚悟が求められる。 “精神力の勝負になれば土佐”というイメージもあるが、戦略的に高橋の体力を奪い、寒さ対策もしてきた上での勝利。次は一転して暑さ対策が求められるが、今日のクレバーなレース展開を見る限り、世界選手権でも土佐に期待して良いのではないか。
posted by s_co_log |16:17 |
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