2008年05月12日
時系列で振り返る、プレミアリーグ最終節
注目されたプレミアリーグの最終節。結局、マンチェスター・ユナイテッドが優勝、エヴァートンが5位をキープしてUEFAカップ進出、そしてフラムが残留してレディングとバーミンガムが降格、という結果になった。 全試合が同時進行で行われる故の緊張感があるのが最終節。スタジアムでも携帯電話を片手に一喜一憂するファンの姿が見られるが、私もウィガンvsマンチェスター・ユナイテッドの試合を見つつ常に目の前にPCを置き、チャンネルも変えつつ常に全試合の動向をチェックしてこれを味わった。 そこで今一度、各チームに“答え”が出た過程を、振り返ってみることにする。
◆まず5位争いが動く◆ 最初に変化が見られたのは、ウェストハムvsアストン・ヴィラの試合。8分にソラーノのゴールでウェストハムが先制した。5位獲得に向けては勝利が必要条件となるアストン・ヴィラとしてはよくない展開となったが、再び動いたのもこの試合だった。14分、ヤングのゴールでヴィラが追いつく。これで再び、勝負は分からなくなった。 しかし1ポイントでも取れば5位が確定するエヴァートンも、24分にヤクブのゴールで先制。結局この状態のまま、前半が終了。この時点では、エヴァートンが優位に立っていた。 ◆先手を取ったレディング◆ 続いて動きがあったのは残留争い。ダービーに乗り込んだレディングが15分、ハーパーのゴールで先制。今シーズンのレディングにあって一番の働きを見せている選手のゴールで、まず他チームにプレッシャーをかけた。 これで暫定ポイントでレディングに劣ることとなったフラムだが、ポーツマスとのゲームは一向にスコアーが動かず、そのまま前半戦を終了。こうなると勝つしか無いバーミンガムはなかなか得点を奪えなかったが、32分にマーフィーのゴールで先制。こちらも暫定のポイントではフラムを上回り、前半を終えた。 ◆値千金のPK◆ 優勝争いの2試合は、ジリジリとした展開が続く。ウィガン、ボルトンとも予想以上に高いモチベーションで試合に臨み、スコアレスのまま時間が流れた。ウィガンの中盤、クーマス、パラシオス、ヴァレンシアといった辺りの奮闘により、序盤から多くのシュートをウィガンに打たれた。決定的なピンチまでは至らなかったが、攻撃面でもロナウドは濡れたピッチに足を取られ、病み上がりのルーニーの動きも今ひとつ。なかなかゴールを奪えない、嫌な展開となった。 しかしそんな中、32分にルーニーがボイスに倒されPKを獲得。怪我を押して出場したルーニーだったが、あまり良くない流れにあって決定的なセットプレイを獲得したということで、非常に大きな働きだった。実際あのシーンが、ユナイテッドがあの試合初めてボックス内でパスを繋ぎ、相手の守備陣を完全に混乱させたシーンだった。そして名手カークランドをものともしないPKをロナウドが決めて、ユナイテッドが先制。 一方のチェルシーは、開始直後にテリーが負傷。前半はその後も得点を奪う事ができず、スコアレスのまま終えることとなった。
前半終了時のスコアーは Wigan Athletic 0-1 Manchester United Chelsea 0-0 Bolton Wanderers Everton 1-0 Newcastle United West Ham United 1-1 Aston Villa Portsmouth 0-0 Fulham Derby County 0-1 Reading Birmingham City 1-0 Blackburn Rovers 暫定順位は 1 Manchester United +57 87 2 Chelsea +39 85
5 Everton +21 65 6 Aston Villa +20 60
16 Bolton Wanderers -18 37 17 Reading -28 36 18 Birmingham City -19 35 19 Fulham -23 34 となり、優勝争い、5位争いに変化は無いものの、残留争いでは順位の変動が発生。このままゲームが進めばレディングが残留しフラムが降格、という状態だった。
◆ヴィラに射した一筋の光明◆ 後半に入って真っ先に動いたのが、エヴァートンvsニューキャッスルの試合。46分にオーウェンがPKを決め、エヴァートンが同点に追いつかれる。このままでもエヴァートンは5位が確定するものの、追いつかれる試合展開は良い流れであるはずがない。 しかもこの直後、アストン・ヴィラが54分のバリーのゴールで勝ち越しに成功。アップトンパークでの試合がこのまま終わり、ニューキャッスルがあと1点取ってエヴァートンを封じ込めるような事があれば、アストン・ヴィラが5位となるシチュエーションになった。 ◆開く一方の点差◆ 残留争いにも、早々に変化が。49分、ブラックバーンのペデルセンがゴールを奪い、バーミンガムが同点に追いつかれる。勝利が絶対に必要なバーミンガムとしては痛すぎる展開だ。 これに救われたのがレディング。15分のゴール以来なかなか追加点を奪えずに苦しんだが、60分にキットソンが追加点を奪う事に成功。点差を2点とし、ようやく安全圏に入ってきた。そして69分にはドイルが決めて3点差となり、ダービーを圧倒。自らの勝利を確実なものとし、あとは他会場の運任せ、という状態になる。 3ポイントを手にすればポイントでバーミンガムを上回れるため、これで残るはフラムがポーツマス相手に勝利できるかどうか、という状態になったが、ポーツマスvsフラムのスコアーは一向に動かない。 またこの時、順位争いには関係の無い試合で大花火大会が勃発。前半にダウニングとアウヴェスのゴールでミドルスブラはマンチェスター・シティーを2点リードしていたが、後半に入ると58分にまたもダウニング、60分に今度はアウヴェスが再びゴールを奪い、4-0に。その後もジョンソン、ロシェンバッキ、アリアディエールが立て続けに点差を広げ、最終節にして一方的な試合を演じることに。 散々なシティーは終了間際にエラーノが一矢を報いたが、その直後にはアウヴェスにハットトリックを決められ、その1点すら霞んでしまう始末。この試合は最終的に8-1というおよそフットボールのスコアーとは思えないような点差となり、解任が噂されているエリクソン監督にとっては泣きっ面に蜂と言う他無い気の毒な結果となってしまった。 ◆ここに来てシェフチェンコ?!◆ ウィガンとユナイテッドの試合は、後半に入ってから両者とも疲れが顕著になりだす。ウィガンの方もパラシオスの運動量が著しく落ちた上、セットプレイやサイドからのクロスの精度が低く、なかなかチャンスを作れなかった。 そんな最中、チェルシーが遂にシェフチェンコのゴールで先制。ユナイテッド戦ではあわやというボールを見事にクリアーしてチームを救ったシェフチェンコのここに来ての活躍で、チェルシーはユナイテッドにプレッシャーをかける。そのユナイテッド、守備陣は基本的に組織を崩さなかったが、セットプレイでのヘスキーの強さには苦戦。クーマスのピンポイントであわせるキックをヘスキーが頭で叩くという形で、肝を冷やす。まだまだ1点差、安全圏ではない。 そしていよいよ、試合は残り20分へ。遂に、決着の時が訪れた。
◆最後の力を発揮したエヴァートン◆ まず決着がついたのが、5位争い。68分、レスコットのゴールでエヴァートンがリードを奪い、81分にはヤクブがPKを決めて安全と言える2点差に。これで自力で5位を確保できる。 当然この報を聞いていたであろうアストン・ヴィラとしては、どうしようもない展開。結局気落ちしたか、88分にアシュトンに同点ゴールを奪われ、最終戦を引き分けで終える事となった。 ◆全てをひっくり返したマーフィーのゴール◆ 残留争いでは、レディングが点差を広げた事でもはや絶望的になったバーミンガムが、73分にジェロームのゴールで勝ち越しに成功。レディングとしてはこのゴールはべつに決まっても構わなかったのだが、その直後に生じた動きは、彼らの息の根を止めるものとなった。 ポーツマスvsフラムの試合は0-0のまま76分間続いたが、遂にダニー・マーフィーがゴールを奪い、フラムが先制に成功。得失点差の関係上、勝てばほぼ残留できるフラムがリードを奪った事で、レディングにとっては絶望的な展開となった。自力で得失点差を埋めるためには残り時間でさらに4点を奪う必要があったが、さすがにそれは非現実的。となると、他力本願になるしかない。 しかしいつまで経ってもポーツマスはゴールを奪えず、フラムがリードしたまま時間は流れる。セント・アンドリュースではジェロームとムアンバが、プライド・パークではリタがそれぞれ追加点を奪ったが、もはやどんなに素晴らしいゴールであろうと、何の意味も成さない。 結局フラムはそのまま1点を守りきり、残留が決定。最後に健闘したバーミンガムとレディングだったが、前者は僅か勝ち点1、後者に至っては得失点差3の違いに、泣く事になった。 ◆チェルシー、力尽きる◆ そして優勝争い。チャンスを作ってもカークランドのビッグセーブの前に阻まれるという展開が続いていたユナイテッドが、80分、遂にルーニーとギッグスのコンビネーションで追加点の奪取に成功。シャルナーが引き出されたところでブランブルが完全にマーキングのミスをしてのゴールであったが、途中出場し、ユナイテッドでの通算出場試合数がボビー・チャールトンと並んだギッグスが劇的なゴールを決めた。 この後ウィガンが、ホームのファンの前で最後の抵抗を見せるも、ユナイテッドの選手は冷静にこれを封じた。そしてスタンフォード・ブリッジでマシュー・テイラーの同点ゴールが決まった直後、ベネット主審がホイッスルを吹き、試合終了。最後は燃え尽きた感のあるチェルシーを押さえ、ユナイテッドが優勝を飾った。 試合終了後は、最終節ならではのファンへの挨拶が行われた。スタンフォード・ブリッジでは腕を吊ったテリーも姿を見せ、ファンへの挨拶。今シーズンはチームに手厳しかったスタンフォード・ブリッジのサポーターも、悔しさを見せつつもあからさまにチームを批判するようなアクションは起こさなかった。一方JJBスタジアムでは、ウィガンのファンが挨拶をした後、ユナイテッドのセレモニー。ギッグスがトロフィーを掲げたときは勿論、怪我で厳しい1年を過ごしたギャリー・ネヴィルがスーツ姿で現れトロフィーを手にした際にも、選手とスタンドは一際盛り上がりを見せた。
プレミアリーグの最終順位は、以下のようになった。 1 Manchester United +58 87(優勝、CL出場) 2 Chelsea +39 85(CL出場) 3 Arsenal +43 83(CL出場) 4 Liverpool +39 76(CL出場) 5 Everton +22 65(UEFAカップ出場) 6 Aston Villa +20 60 7 Blackburn Rovers +2 58 8 Portsmouth +8 57 9 Manchester City -8 55 10 West Ham United -8 49 11 Tottenham Hotspur +5 46(UEFAカップ出場) 12 Newcastle United -20 43 13 Middlesbrough -10 42 14 Wigan Athletic -17 40 15 Sunderland -23 39 16 Bolton Wanderers -18 37 17 Fulham -22 36 18 Reading -25 36(2部降格) 19 Birmingham City -16 35(2部降格) 20 Derby County -69 11(2部降格) 最終的にビッグ4がまたしてもCL出場権を独占することになったが、エヴァートンやアストン・ヴィラをはじめとした中堅チームの躍進、シティーのスタートダッシュとその後の急降下、激動のシーズンを送ったトッテナムとニューキャッスル、そして一時は絶望的かと思われたフラムの残留・・・・など、見応えのあるシーズンとなった。 その一方、最下位のダービーはシーズン僅か1勝に終わり、勝ち点は11、得失点差は‐69という燦々たる結果に。さらに昇格組で残留できたのはサンダランドのみ、もう1チームの降格チームであるレディングにしてもプレミア2年目での降格ということで、20チームの間でも資金、戦力などの総合的なチーム力の差が顕著であることは明らかだ。毎度の事ではあるが、メガクラブが大量に資金を投じてチームを拡大させる一方、20チームでの運営を含め、リーグ全体に歪が生じている事は間違いなく、今後はそちらについても真剣に考えて行く必要があるだろう。
posted by Alan Hetarade |19:52 |
FAプレミアリーグ |
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