2008年05月07日
“経営資源”で見る、スーパーアグリ消滅の理由
レスの返信が滞っております。ちょっとGW明けにドタバタしているので、あと1日か2日、お待ちください・・・・ 申し訳ございません。 さてさて。ちょっと個人的な話をしますと、私は現在、大学の商学部で勉強をしています。べつに公認会計士になりたいとかそういう希望があるわけでもなく、高校3年生時に留年のラインすれすれの点数で進級したがために、文系で行ける学部がここと文学部くらいしか残っていなかったから、という何とも打算的な理由で進学したわけですが(苦笑) ともかくそんなこんなで商学部の授業を受けているわけですが、やはり商学部らしく、企業の経営云々についても学んでいます。その必修系の授業の一つに「商業学」という授業があるのですが、今日の授業で“マーケティング戦略プロセス”という図が出てきて、その中に「経営資源」というものがありました。 経営資源というのは、マーケティング戦略を立てる上で、企業のうちに蓄積された要素の事を言い(なにぶん授業で一度聞いただけですので、間違いがあったらすみません)、人的資源(ヒト)、物的資源(モノ)、財務資源(カネ)、独自能力(ノウハウ)の4つから成るようです。 さてタイトルにある話に戻るのですが、この表をパッと見たときに「あれ、これってスポーツのチームにも当てはまるのではないか?」と思ったわけです。ヒト、モノ、カネ、ノウハウ・・・・ どれも現代のスポーツを戦うチーム、組織には必要な要素なのではないかな、と。 マーケティングの場合はこの経営資源と、組織の外での“環境”がマーケティング戦略に影響を与えるようですが、スポーツの場合は環境の話まで入れるとかなり面倒くさくなりそうなので、さくっと経営資源だけの方がとっつき易いかなぁと思いました。 そしてパッと頭に浮かんだのが、昨日F1からの撤退を決断したスーパーアグリ。この経営資源を、現代のF1チーム間で比較した場合、スーパーアグリは明らかに劣っているのではないかなと思いました。 ここでの“ヒト”は、チームの構成スタッフ数やドライバー、エンジニアの質などが問題となります。“モノ”はファクトリー力。風洞、スーパーコンピューターなどを持つチームが有利でしょう。“カネ”はそのまま、スポンサーや親会社からの出資等、チームの財務基盤がどれほど安定しているかどうか。“ノウハウ”はそのままという事でいいでしょう、経験あるチームやスタッフがいるところほど評価は高くなります。総合的なマシン開発能力もコレに入りますね。 という事で、個人的なイメージでの判断ということになりますが、これら経営資源の4つの要素について、F1のチーム別に評価(◎、○、△、×)してみると フェラーリ ヒト・・・・◎ カネ・・・・◎ モノ・・・・◎ ノウハウ・・・・◎ BMWザウバー ヒト・・・・○ カネ・・・・◎ モノ・・・・◎ ノウハウ・・・・○ ルノー ヒト・・・・○ カネ・・・・○ モノ・・・・○ ノウハウ・・・・○ ウィリアムズ ヒト・・・・○ カネ・・・・△ モノ・・・・△ ノウハウ・・・・◎ レッドブル ヒト・・・・◎ カネ・・・・○ モノ・・・・△ ノウハウ・・・・△ トヨタ ヒト・・・・○ カネ・・・・◎ モノ・・・・◎ ノウハウ・・・・△ トロロッソ ヒト・・・・△ カネ・・・・△ モノ・・・・× ノウハウ・・・・× ホンダ ヒト・・・・○ カネ・・・・◎ モノ・・・・○ ノウハウ・・・・△ フォースインディア ヒト・・・・△ カネ・・・・△ モノ・・・・△ ノウハウ・・・・△ マクラーレン ヒト・・・・○ カネ・・・・◎ モノ・・・・◎ ノウハウ・・・・◎ 主観が入っているかもしれませんが、大体こんなものになるはず・・・です。ご意見等あったらコメントください(笑) で、スーパーアグリについて細かく見てみると ヒト・・・・× ただでさえF1で最小規模のチームだったのに、資金難でオフにそこからさらにスタッフを解雇。エンジニア云々という以前に、まず絶対的なチームスタッフの数がぜんぜん足りない。 カネ・・・・× サマンサタバサを除けば、ドライバーとオーナーの持込以外で開拓したスポンサーは皆無。昨シーズン頼りになると思われたSSユナイテッドには逃げられ、ホンダの支援で何とか運営できていたという状態。あまりにも不安定すぎる。 モノ・・・・× 自チームでマシンを開発するだけの資金が無いため、事実上ホンダのカスタマーシャシーを使用。1年落ちのため、前年度のホンダの出来に大きく左右される。一昨年のホンダのRA106はポテンシャルが高く、昨シーズンはポイントの獲得に成功も、ハッキリ言って失敗作だったRA107を掴まされた今シーズンは完全にスカ。おまけに資金不足からスペアパーツの作成すらままらない極限状態で、圧倒的に物量不足。 ノウハウ・・・・○ とはいえ、限られた予算とスタッフの中でのチームの仕事ぶりは、目を見張るものが。昨シーズンは上手く旧車をチューンナップしてポイントを獲得、今シーズンも極限状態ながら、開幕戦までにレギュレーションに対応したマシンを作り、酷暑のマレーシアで完走させたのは見事。 ・・・・ということで、ヒト、カネ、モノの3要素について、どう考えても他チームと肩を並べられるレベルにはありません。フォースインディアも今シーズンはインドのオーナーが積極的に投資をしてそこそこの予算で活動しているようですし、レッドブルの傀儡トロロッソは、マシンが遅かろうがとりあえず親会社が安泰である限りは大丈夫。まぁ、そのレッドブルが売却先を探しているというのが現在の状況だそうで、今後どうなるかは分かりませんが。 ノウハウがあるのは素晴らしいのですが、ノウハウがあってもヒトがいなくてカネがなくてモノがなければそれを引き出すことも適わないわけでして・・・・ こう考えると、残念ながらスーパーアグリの消滅は避けられなかったのかなぁ、と言わざるを得ません。 厳しいことを言うようですが、ハッキリ言って彼らのマーケティング活動は、失敗続きでした。特にSSユナイテッドに逃げられたことで、ホンダ側の信頼も大きく損ねたと言えるはずです。もちろん今回のトルコでの騒動では色々と不運なこともありましたが、ここ2年間で大口のスポンサーを見つけることが出来なかったというのが、あまりにも致命的すぎたでしょう。これに関してはニック・フライの言うとおりで、2年間駄目だったものが2週間で突然契約がまとまるというのは、あまりに不自然な話です。 2000年以降、F1に相次いで自動車メーカーが参入した事により、F1は「企業がやるスポーツ」へと様変わりしました。古参のオーナーたちが設立したチームである、ザウバー、ジョーダン、ミナルディといったチームは、2005年ごろに次々とメーカー系の企業に買収されていきました。これは私が昨年、卒業研究の文に書いたことですが、今のF1はまさに“ワークス時代”と言える状態になっています。 そんな中、古くからの行われてきたように、元ドライバーである鈴木亜久里がチームを設立しました。現代の流れに逆行する行為ではありましたが、今でもまだ彼のように熱意を持ってチャレンジすることが、F1では可能なのか・・・・と多くのファンが夢を抱いていた事も事実。しかし今回、その夢がこうして弾けた。スーパーアグリは、F1で生き残れませんでした。これが2008年のF1の現実、という事なのでしょう。 残念ながら、こればっかりは諦めるしかないですね。
posted by Alan Hetarade |23:55 |
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