2008年01月03日

“流れ”の重要性が見えた駅伝 【箱根駅伝・復路】

6区
加藤創大(早稲田)
佐藤雄治(学連選抜:平成国際) 細谷祐二(東京農業)
大西一輝(東洋) 藤井輝(駒澤)
渡辺監督が全幅の信頼を寄せただけのことはある力を見せた加藤。1時間を切ることが一つの指標となる6区で、見事にそれを達成した。さすがに平地に出た後にスピードは落ちたが、しかしそこで意識を再び高めて力強く駆けようとしている姿勢が伝わってきた。
快走して復路でも流れを作った佐藤も素晴らしかった。細谷もその佐藤のタイムに迫る素晴らしい走り。昨年の借りを返した東海の皆倉、チーム浮上のきっかけを作った大東文化の佐藤匠、帝京の赤木、神奈川の的場らも光った。
対して藤井は山を下ったところで失速。6区の罠にはまってしまった。大西も然り。最後は故障したのか定かではないが、実力を出せなかった。

7区
西村知修(帝京)
佐藤悠基(東海) 豊後友章(駒澤)
大きなミスをする選手がいなかった区間。佐藤は彼の実力からすれば、区間新を出しても驚きではない。豊後は実力を発揮して早稲田との差を詰めたが、早稲田の石橋も区間4位と、仕事はキッチリした。
チームへの貢献度という点で素晴らしかったのは、西村。区間3位の快走で、シード圏内に突入して襷を繋いだ。結果的に以後の帝京の選手はこの順位を守り切るような走りとなり、西村の走りが活きた。

8区
深津卓也(駒澤)
井村光孝(学連選抜:関東学院) 栗原圭太(山梨) 五十嵐祐太(専修) 辻茂樹(中央学院)
芳村隆一(東海) 丸林祐樹(日大)
×木水良(順天堂)
意外と差がつきやすいこの区間にあって、逆転の足掛かりを区間賞の快走で作った深津は見事。ただ早稲田の飯塚のタイムも悪くはなく、実力を発揮した。猛烈な追い上げを見せた井村、その井村に引き離されたものの東海の前に出た栗原、前との差を詰めた辻らも目立った。また下位では五十嵐が健闘。
芳村は失速してしまい、佐藤が稼いだ順位を吐き出してしまった。丸林はシード圏外に転落。木水はブレーキになってしまい、襷を繋ぐのがやっと。とことんついていなかった順天堂を象徴するかのような走りになってしまった。

9区
篠藤淳(中央学院)
堺晃一(駒澤) 野口功太(日体大) 与那覇大二郎(亜細亜)
阿久津尚二(日大) 前川雄(東海)
×椎谷智広(東京農業) 住田直紀(大東文化)
この区間では頭一つ力が抜けている感があった篠藤だが、実力を発揮して見事に区間記録を作った。これだけの実力者ではミスが許されないという点でプレッシャーもあっただろうが、その中でも自分の走りをしっかりすることができた。
安定感のある堺は着実に早稲田を捕らえ、こちらも期待どおりの走り。昨年に続いて順位を上げた与那覇、チームをシード争いができる位置まで押し上げた野口の走りは目立った。
阿久津は中田との競り合いに負け、後退。今年の駅伝シーズンで彼本来の走りを見ることは出来なかった。前川も失速。住田はおそらく昨日の小野と同じような症状と思われるが、残念な結末となってしまった。

10区
永岩義人(城西) 加田将司(中央) 笹谷拓磨(日大)
太田行紀(駒澤) 羽島駿介(国士館) 田部貴之(帝京)
出口和也(日体大)
×荒川丈弘(東海)
シード圏ぎりぎりの選手たちが壮絶な走りを見せた。田部が東洋をかわせば、ここまでのシーズンで苦戦続きだった笹谷は激しい追い上げ。加田はその争いに巻き込まれまいと一気に差をつけた。
そんな中後方で、永岩が意地の走り。猛烈なラストスパートで区間賞を獲得。最後まで全力で勝負する素晴らしい精神を見せた。その他では羽島が健闘。
ポテンシャルが高い出口は前が見える位置で襷をもらったが、残念ながら失速。この経験を来年以降に活かしてもらいたい。そして荒川は最後の最後で棄権。状況が判然としなかったが、一先ずシード獲得は間違いない位置で走っていただけに、衝撃的だった。


総括
駒澤、早稲田共に、完璧なレース運びだった。やはり総合力では駒澤が上だったが、早稲田も竹澤が本来の調子ではなく、本多や阿久津といった主力を欠いた状態で2位に入れれば、満足できるはずだ。駒澤は後半の追い上げ、早稲田は山での貯金にかける戦略がはまった。

3位と躍進した中央学院も、作戦どおりか。木原は2区として、ツインエースのもう1人である篠藤の区間配置が注目されたが、9区という区間だった。それまでの区間である程度の位置につけられると踏んでの9区起用だったろうが、見事に良い位置で彼に繋ぎ、快走とあいなった。昨年まで苦戦した山の登り下りをうまく乗り切れたのが、大きかった。

10位以下では、国士館の好走が目立った。高久、阿宗、川崎というエース格の選手をすべて往路に突っ込みながら、復路でも順位を落とさなかった。昨年繰り上げを避けるために復路に戦力を投入したことを考えると、それなりにチーム全体の力に自信があったのだろう。

今回はリタイヤが3チームも出てしまう残念な結果になったが、特に順天堂と東海については、つくづく駅伝では前後の区間での“流れ”が重要だと思い知らされた。

駒澤、早稲田、中央学院、学連選抜、山梨といったチームは序盤の区間で流れに乗り、最後までそれを失わなかった。対して山でつまづいた東洋はその後も挽回できなかったし、浮沈の激しいレースに終始した日大は最後まで安定感なくレースを終えた。序盤で遅れた城西も流れを取り戻せず。区間賞2人が虚しい結果となった。

東海は8区の芳村が失速すると前川、荒川とずるずると後退、最後は止まってしまった。そして最悪だったのが順天堂で、まともに走れたのは9区と10区の選手だけだった。

今大会を見ても脱水症状に陥る選手が多かった。箱根駅伝はただでさえ、我々には考えられないようなプレッシャーがかかる舞台だ。そのような場で自分が襷をもらうシチュエーションというのは、非常に重要になる。良い位置なら精神的に良い状態でレースに入れ、力を発揮できる。逆にもし前の区間で順位が落ちたような状態で襷をもらおうものなら、精神的には不安になり、焦りも生まれるはずだ。そのような心労は確実に走りに響くし、体力の消耗も激しくなる。その結果、時には脱水症状に陥る。

改めて、そんな駅伝の怖さを見せられた。そんな大会だった。

posted by Alan Hetarade |17:44 | 陸上競技 | コメント(5) | トラックバック(4)
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