2009年12月02日
既に一般の報道でも大きく報じられている通り、昨日オリンピックのメダリストらが一堂に会し、記者会見が開かれた。先に行われた事業仕分けでスポーツ関連の予算が「削減が妥当」と判断された事に対する、抗議を表明した。
JOCが主導したにせよ、このようにアスリートたちが自ら前面に出てその言葉で事業仕分けの見直しを訴えた事には、まずそれ自体に価値があったと言えよう。残念ながら連日報道された事業仕分けの中で、このスポーツ関連予算はあまり話題に上っておらず、不肖ながら私も昨日の記者会見で、初めてこのような事があったというのを知った。おそらくそのような人が、殆どのはずだ。
さて、このようなブログを運営している者として当然ではあるが、私は今回の件に関して、全面的にアスリート、JOC側の主張を支持する。予算の削減など、もってのほかだ。そしてそこには、もちろんアスリートたちが主張するような面もふくまれているが、これまでも全くと言っていいほどスポーツに興味を示してこなかった政治が、今回このような立場でアスリートたちを切り捨てるような暴挙に出た事に対する、強い憤りもある。
そもそも、日本の政治家たちは、あまりにもスポーツに無関心である。無関心と言うと言いすぎかもしれないが、少なくとも諸外国に比べ、政治としてスポーツに関する取り組みを行ってこなかったことだけは確かだ。
ヨーロッパや南米、またはアジアなど、多くの国では“スポーツ大臣”という役職が存在する。もちろん内閣の中での役割、パワーバランス等については議論の余地があるだろうが、少なくとも日本に“スポーツ大臣”はいない。一応JOCを統括するのは文部科学省であり、文部科学大臣だが、彼らが何か日本のスポーツの問題に対し、政府として介入してきたかというと、そういった過去は無いと言っていいだろう。
昨日アスリートたちが訴えたように、そもそも日本はスポーツ関連の予算が非常に少ない。それを支えてきたのは、企業の支援だ。「実業団スポーツ」という日本独特の文化に支えられているスポーツは非常に多い。
だが昨今の不況で、スポーツから撤退する企業が相次いでいる。実業団スポーツの花形として栄えてきた駅伝などの陸上部は、名門の日産自動車や沖電機が廃部となるなど、如実に影響が表れている。それは社会人野球でも同じだ。F1からも、ホンダ、トヨタ、ブリヂストンが相次いで撤退を決めている。
さらにこの影響をモロに受けているのが、ウィンタースポーツだ。元々日本国内での関心度がそれほど高くないウィンタースポーツの世界は、数少ない企業の支援によって何とか成り立ってきた。だがその数少ない企業の中でも撤退する会社が相次ぎ、もはや日本国内で選手が活動を行うことすら難しくなってきている。スキージャンプの日本代表選手ですら、所属先が廃部となって退社した後、再就職するまでに半年もの期間がかかっている。
つまり今こそ、政治の力でアスリートたちを支援する時なのだ。これまで政府がないがしろにしてきたと言っていい、メダリストを官邸に招いて人気取りの駒として使うことしかしてこなかった政治家たちが、アスリートのために動くべきタイミングである。
ところが、だ。政治家たちが下した判断はその逆で、この不況時にさらにアスリートたちの首を絞めるような判断をした。
もちろん世論の動向を見れば、生活に直結しないアスリート支援より子供手当を、といった声もあるだろう。だが、何もかも生活生活と言っていては、スポーツ界にもロストディケイドが訪れてしまう恐れがある。不況の中だからこそ、スポーツで明るい話題を・・・・と思うのは、何も私だけではないはずだ。
またトップアスリートの活躍は、それ自体でスポーツ関連産業の業界の刺激にも繋がる。例えば北島康介らがアテネオリンピックで活躍した直後は、水泳ブームが訪れた。子供をスイミングクラブに通わせる親が増えたという。もちろん幼少期にスポーツを通じて子どもが学ぶ事は多く、心身の成長に繋がるし、全国のスイミングスクールは多少なりとも、その恩恵に肖ったはずだ。経済効果はあったと言えよう。
今回の事業仕分けが何より腹立たしい、と言うよりハッキリ申し上げて間違っているというのは、この判断が全くスポーツに関して無理解としか言いようが無い仕分け人、及び政治家たちによって下されたことだ。
「有名なスポーツならともかく、リュージュ、ボブスレーなどマイナーな競技にも補助が必要か」
まさに、スポーツに関して全く無知な輩にしか言えない発言だ。むしろ野球やサッカーなど、プロスポーツとして既に大きなマーケットを獲得しているスポーツほど、支援を必要としない。先ほど挙げた陸上や水泳なども、まだ状況はマシな方だ。不景気のあおりを真っ先に受け、協議継続が困難になるのは、マイナースポーツの選手たちだ。むしろマイナーなスポーツを行う選手ほど、補助が必要なのだ。
スポーツは常に我々の心に、興奮と、そして元気を与えてくれる。選手たちが国境の垣根を越えて奮闘する姿を見て、何か感ずるところがあるという人が、殆どのはずだ。
そのスポーツが何になるかというのは、分からない。トリノオリンピックでは、それまではそれほど関心が高く無かったカーリングが話題になったし、先の北京オリンピックでの大田の活躍も印象的だった。どの競技でも、世界を目指して戦っている選手たちはいる。少なくともJOCの下にある競技に対する補助は、行うべきだ。
もちろんそういった中で、以前協会が不祥事を起こしたテコンドーのような事件が起きないように、しっかりと予算のみならず、管理を行っていく必要がある。だが本来そういった役目を果たすべきなのにそれを怠り、挙句仕分けだ何だと声高に叫んで有識者でも何でもない烏合の衆をかき集めて予算を削るのは、まさしく政治の横暴だ。
このような場ではあるが、断固スポーツ関連予算の削減に反対することを、私は強く訴えたい。
posted by Alan Hetarade |07:44 |
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2009年07月31日
えーと、あまり特定の放送局を名指しで批判するのとか嫌いで、フットボール中継に関してもそういう事は出来るだけ避けるようにしているのですが、今回はあまりに酷過ぎるので、声を上げさせていただきます。
テレビ朝日に対し、全国の水泳ファンへの謝罪を要求すると共に、来年以降、水泳の世界大会における放映権を放棄することを激しく期待いたします(笑)
とりあえず、ゴルフに中継枠を押し出される格好になった事はまぁ仕方ないと言いますか、事実としてゴルフの方が視聴率は取れるでしょうからね。スポンサーの関係もあるかもしれませんし、民間放送局である以上、ここら辺の事情はいたしかたないと思います。
しかし、最終日の放送が競技から7時間後の日本時間午前8時からというのはいくらなんでも酷すぎますし、地上波が無理ならせめてBSかCSで生中継すればいいのに、それすらしていません。何のためのBSとCSなんですか。BSなんてその時間に通販番組やってるんですからね、どう考えても差し替えは可能だろう、と。これはテレビ朝日はBSとCS放送の存在を軽視している、と捉えて良いと言えるでしょう。
しかも今日は、世界記録が出た決勝レースをダイジェスト放送するという暴挙に出ました。編集の都合上、生中継と録画が混ざるのはまだ我慢できますが、レース自体をカットするというのは非常に許し難い。放映権を獲得したテレビ局としての、自覚の欠片も感じられません。少なくとも放映権を取ったからには、それなりにきちんとレースの模様を放映する責任があるはずです。
そもそも今大会のテレビ朝日は、字幕スーパーが間違いだらけで目を覆いたくなりますからね。6コースを泳いでいるはずの選手のコースが「8コース」になっていたり、イギリス人のレベッカ・アドリントンの国籍がドイツになっていたり、オーストラリア人のイーモン・サリヴァンの国籍がオランダになっていたりと、何かの嫌がらせかと思うくらいの間違いっぷり(苦笑)
1つくらいあるのは人間が作っている以上仕方ないかもしれませんが、ここまで続くと流石に怠慢と言わざるを得ないでしょう。
・・・・ということで、かれこれ私の記憶にある限り2001年の福岡から世界水泳を見ているのですが、ここまで酷いのは久々です。北島康介にプールの中でインタビューをしたとき以来なのではないでしょうか(笑)
う~ん、これまでも毎回テレビ朝日の中継を見てきましたが、流石にこれほどとは思っていませんでした。私に初めて、本気で電話で抗議させようかと思わせてくれましたね。べつにキャスターがどうこうとかいうことは個人的にはまったく気にしませんし、松岡さんと宮下さんのコンビは見ていて面白いので全然アリなんですが、放送自体がここまであんまりなものだと、流石に興醒めします。というか、水泳を愛するファンとして、悔しいです。
posted by Alan Hetarade |04:37 |
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2009年07月29日
世界水泳の競泳競技は、3日目まで終了した。
今大会は、希にみる世界記録ラッシュとなっている。ここまで13種目で決勝が行われ、じつに9つの種目で世界記録が出ている(準決勝での更新含む、重複は除外)。
イアン・ソープとマイケル・フェルプスという新旧“怪物”の記録を共に破ったビーダーマン、女子400m自由形で史上初めて4分をカットした地元イタリアのペレグリーニ、4秒も自己ベストを更新しての世界記録を達成したシンデレラガールのクコーズや、弱冠15歳にして快挙を達成したシェーストレーム・・・・などといったように、これらは印象的なものが多い。日本チームも大会初日こそ不本意な出来だったものの、古賀淳也の金メダルはもちろん、内田翔の200m自由形4位という快挙など、良い記録が出てきている。
posted by Alan Hetarade |15:10 |
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2009年02月22日
立石の日本記録も凄かったのですが、彼については昨日書いたのでとりあえず今日は割愛。でもやっぱ、200mのラストは強いですねー。だからこそ、100mでも記録を出せたってのが凄いんですが。
あと世界記録の酒井についても昨日書いちゃったので、同じく割愛。しかしつくづく、日本人であれだけパワーのある泳ぎをしてくれると、頼もしく見えますね。4月も記録に期待したいところです。
という事で、今日も気になった種目だけピックアップ。
男子100m自由形
1.伊藤真 47.54(NR)
佐藤久佳が予選落ちという残念な結果になってしまいましたが、見事に伊藤が魅せてくれました。ウェイト・トレーニングで培った筋力を基にしたスピードには定評があるわけですが、近頃は100mのレースもしっかりこなせるようになってきたのが嬉しいところ。まぁそれでも毎度、最後まで持つのか?とハラハラさせられるわけですが(苦笑)
ただこうして日本記録を大きく更新、前半を22.5秒で突っ込めたレース運びは、見事なものでした。レース後の平井コーチの苦笑いしているかのような表情はちょっと気になりましたが、着実に日本最強のスプリンターとしての地位を築こうとしているのかな、と。
この辺の種目で日本人が欧米と比べて劣るのはある意味仕方のない事だとは思うのですが、それでも何とか記録を縮めて、一歩でも世界で争えるところに近づいてほしいものです。
女子200m個人メドレー
1.北川麻美 2:07.84(NR)
昨日の100m平泳ぎに続いての記録更新。流石に直後の200m平泳ぎでは勝負に絡めませんでしたが、本当にいい感じに伸びているなーということを感じさせてくれました。
以前は国際舞台で弱いイメージがありましたが、北京オリンピックで立て続けに日本記録を樹立し、200IM、100Brの2種目で決勝進出を果たし、そういった苦手意識も完全に振り切った模様。年齢としてもこれからベテランの域に入っていくところですが、まさに今が伸び盛りといった印象です。
もともと平泳ぎの選手ですし、自由形も非常に強いのですが、このレースでもそうだったようにバタフライでも貯金を作れるようになったのが大きいですね。背泳ぎはさすがに福田の方が速いラップでしたが、入りのバタフライが27秒台だった分、2泳法を終えたところでも差はほとんどありませんでした。後半“だけ”だと世界でも厳しいでしょうが、この辺りが彼女の進歩の証なのかな、という気がします。
男子400m自由形
1.張琳 3:34.66
2.ピーター・ヴァンダーカーイ 3:34.81
4.松田丈志 3:39.91(NR)
いやー、張琳とヴァンダーカーイが2人で世界水泳やってくれました(何
最初は世界記録からやや遅れたペースでこりゃあ駄目かと思いましたが、ラスト50mで張琳お得意のスパートが炸裂、ヴァンダーカーイも残り25mで対抗して壮絶な叩き合いとなり、最後は世界記録からわずか0.08秒差での決着。張琳は順位を見て喜んだ直後、タイムを見て思わず悔しがっていましたが、あれは世界記録はモチロン「200万円逃したー!」っていうのも少なからずあったはず(笑)
途中で気がついたんですが、ヴァンダーカーイって4ビートなんですね。彼はステイヤーですから、そう考えると確かにキックは少なめなのかも。だとすると競り合い勝負になると分が悪いわけですが、でもそんな彼が最後必死になって張琳を抑えようと奮闘してくれたので、レースが面白くなりました。
流石にこの2人からは置いて行かれましたが、松田も3分40秒を切って日本記録を更新。キッチリ結果を出してくれました。
もともとアテネオリンピックの同種目で松田が決勝に進出したのがアジア人としては快挙で、その松田を目標にトレーニングを積んだパク・テファンが世界水泳で金メダルを獲得し、そのパクを見て「よし俺もやってやるぞ」と意気込んだ張琳とパクが北京でワンツーですからね。松田が作った流れに、アジア全体でうまく乗っかった結果、日中韓の男子ステイヤー陣は北京で素晴らしい成績を残せたわけです。
そういう点では、今度の世界水泳で松田がこの2人とともに決勝で泳いてくれれば、なかなか感慨深いものになるかと。なので、個人的にはこの種目での出場に期待したいですね。彼がどの種目で世界水泳に出るのか(もちろんメインは200Flyでしょうが)、まだ分かりませんが。
何にせよ松田も、北京後の長期休暇後に順調に練習を積めていることを見せてくれたと思います。200Flyでは金田和也に負けましたが、通常オリンピック後にはややモチベーションが下がり練習ベースを落としてしまう選手が多い中、この時期にこれだけのタイムを出せるという事は、その点に関しては心配いらないのだと思いますし。
修士課程も無事に修了するということで、本当に充実した時間を過ごせているのでしょう。そういえば入江もKONAMIオープンの時に「来週テストで・・・・」みたいなことを言いながらの今大会での日本記録、競技と勉強の両立がうまくいっているようですね。凄いよなぁ・・・・自分も見習わんと(苦笑)
posted by Alan Hetarade |19:06 |
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2009年02月21日
15時からということでTVの前でスタンバってたのですが、放送開始10分前に寝コケてしまい、気がついたら16時くらい。完全にやらかしたーと思いつつTVを点けたら、ちょうど1,500mがスタートしたところでした・・・・
そんなわけで、軽い感想程度にとどめますが。というか、この時期のレースって評価するのが難しいんですよね。まだ冬の泳ぎこみからの流れを受けて・・・・という時期だから、疲労がレース結果に影響しやすい選手は必然的にタイムが悪くならざるを得ない。なので、良かった選手は少なくともいい感じで練習出来ているであろうことは察せられるのですが、悪かったからといって一概に、じゃあ4月の日本選手権でも駄目かというと、そういうわけでもないんですよね。
今日まさにその典型だったと思われるのが、日本人じゃないですが、100m平泳ぎ短水路世界記録保持者ながら7位と惨敗したファン・デル・バーグなわけで。序盤25mは突っ込めながら後半まったく失速してしまったあれなんか、まさに疲労がある状態でレースに臨み、それが裏目に出ちゃった選手の典型なわけで。ま、中西悠子なんかは、本人のコメントを見る限りちょっと事情が違うみたいですけど。
要するに日本人選手にとってまず最初の“本番”となるのは4月なわけで、この試合の結果をどう評価するかというのは非常に難しいわけです。が、とりあえず上述したように“よかった選手”についてはある程度の評価が下せると思うわけで、今日は3種目ほどピックアップしてみようかと思います。
女子200m背泳ぎ
1.伊藤華英 2:03.01(NR)
2.酒井志穂 2:03.03(HR)
3.福田智代 2:03.29
中村礼子の引退後、レベルの高い女子背泳ぎ陣を誰が引っ張っていくかという事は4月に向けて最大とも言える注目点でしょうが、伊藤が強いのは元々分かっていたとはいえ、酒井、福田がここまで四つに組んで勝負できるようになったのは、競争の活性化という点では非常に意味のあることだったと思います。
まず酒井は昨年から短い距離のレースでは結果を残してきて、どちらかというと力強いバサロが持ち味のスプリンターというイメージがあったのですが、しっかり200mでも勝負出来るところを見せてくれました(もちろんバサロがよりタイムに響く短水路という事で、差っ引いて考える必要はあるだろうけど)。100mで福田、150mで伊藤にかわされた時は「ここまでかな?」と思いましたが、ラスト25mでのスパートは凄かった。あれは度肝を抜かれました。
やはり短水路ということで、この結果を受けて即4月の選手権でも代表を狙えるかというとまだそれについては保留せざるを得ないでしょうが、どちらにせよスピードを維持しつつスタミナの強化も進んでいるようで、順調な練習が積めているのでしょう。これは楽しみ。
3位に入った福田も、ここ2,3年くらいは「トップ争いの次の集団」にいたわけですが、大学に入って一層力を伸ばしているようで。伊藤や酒井のようにパワーで押していくタイプではありませんが、今日見せたような前半から積極的に入りつつスタミナを生かしていくレースができれば、代表も狙えるでしょう。
男子200m背泳ぎ
1.入江陵介 1:49.92(NR)
この人には今年以降は、世界の頂点を見据えた戦いをしてほしいのですが、KONAMIオープンに続きこの短水路でも好記録を出せたということで、今のところ上手く行っている模様。宮下純一、森田智己が引退したことで、本人は謙遜していますがもはや国内には敵なし(であってもらわないと困るんですが)なわけで、ぜひ頂点に向けて4月の日本選手権でも良い記録を出してほしいところです。
入江というと今シーズン気になるのが、かなり身体ががっちりしてきたな~という事。同い年なので彼のレースは中学校のころから見ているのですが、当時は本当に身体が細くて、言い方は悪いですが「こんなのが全中1位って、ある意味すごいな」なんて思っていたものです。
ただレース後のインタビューで、苦手の短水路だからといって逃げるわけにもいかないと語ったように、ウェイト・トレーニングにしろ短水路への挑戦にしろ、自分のウィーク・ポイントを課題として練習に取り組み、それらを徐々に克服しつつあるあたりが、この選手の凄いところかと。綺麗なフォームばかりが取り上げられがちで、勿論あれはあれで素晴らしいのですが、こういったアスリートとしての姿勢こそ、今彼がこの位置まで来られた最大の理由だと思います。
男子100m平泳ぎ
1.立石諒 57.55(NR)
そういう点では、この立石も「線が細い」という点で、入江と共通の課題を抱えていた選手。今シーズンはウェイト・トレーニングに取り組んでいるとの事ですが、本来得意とする200mではなくこの100mで北島の記録をまず越せたということは、間違いなくこの筋力効果の成果と見て良いでしょう。
まぁ同じく彼も同い年で、しかも同じ県内でレースをしていた(と言っても高校2年辺りからは海外遠征とかで、地元の試合にはあんまり出てませんでしたが)ので、そういう点では注目しているのですが、昨年オリンピックの代表権を逃したところからよくぞここまで来たな~、と。もともと北京での代表入りも期待されていたわけですが、国体で高校記録を出して以来少々伸び悩み、昨年の4月では自己記録を更新したもののそれ以上に末永が力を見せて代表入りならず・・・・
てな感じで、本人も相当悔しかったと思うのですが、逆にオリンピックに出られなかったことで自分の課題と向き合えたのであれば、結果的には良かったのかな、と。何にせよ北島の“日本記録”までついに越えたわけですし、本来得意なのは200mの方ですから、期待したいですね。
もともと200mの後半には定評があって、高校記録を出した時もラスト50mをトンでもないラップで回っての記録達成でした。そこに筋力強化で培ったスピードが加わって、非常にバランスの良い選手になってきたなーと。見た感じリカバリーが非常に鋭く、あそこでの抵抗の少なさ、及び静止時間の少なさが彼の特徴なのかな、という気がしますが、200mのレースもそういったところに注目しつつ応援したいと思います。一応、同じ大学ですし(笑)
posted by Alan Hetarade |18:20 |
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2008年08月14日
◆男子100m自由形 準決勝◆
競泳の花形種目とはよく言ったもので、このように相次いで各選手が記録を更新してくると、やはり見ている側としても興奮するものである。つい先日まで47秒台を出す選手すら殆どいなかったのが、今ではもう46秒台がすぐそこにまで見えている。この進化の速さは、尋常ではない。
やはり決勝も、イーモン・サリヴァンとアラン・ベルナールの一騎打ちになるだろう。今シーズン、50m、100mで世界記録を更新し合っている2人だが、今大会の勢いではサリヴァンの方が上と見る。ただ決勝ではどちらも後半勝負と踏んでスピードが落ちるようなことがあると、他の選手にも勝機が見えてくる。
ラスト25mのスパート勝負になれば、ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンドに一日の長がある。ここにジェイソン・レザックが絡んでくると面白いことになるだろう。サリヴァンやベルナールにとっては、この経験豊かなベテラン2人の圧力に屈しないことが、金メダル、そして世界記録への条件となる。
メダル予想
金:イーモン・サリヴァン(オーストラリア)
銀:アラン・ベルナール(フランス)
銅:ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンド(オランダ)
◆女子200m自由形 決勝◆
1.フェデリコ・ペレグリーニ(イタリア) 1:54.82 WR
2.サラ・イサコヴィッチ(スロヴェニア) 1:54.97
3.庞佳颖(中国) 1:55.05 AS
本当に素晴らしいレースだった。400mで苦杯を舐めたペレグリーニ、今大会急激に記録を伸ばしたイサコヴィッチ、そしてオリンピック前は無名の存在だった庞。最後やや疲れたペレグリーニだったが、ラスト20mほどで再び伸びを取り戻したのは、執念というべきか。
4位に敗れたケイティ・ホフとしては、たまったものではないレースだっただろう。最後失速したとはいえアメリカ記録を更新しての、4位である。結局のところ、今大会ことごとく敗れてしまっているホフの全レースに共通していることであるのだが、アメリカ選手権と殆ど同じタイムに留まっているのだ。他の選手がオリンピックでさらにタイムを伸ばしているので、相対的に彼女の順位は下がってしまっている。
◆男子200mバタフライ 決勝◆
1.マイケル・フェルプス(アメリカ) 1:52.03 WR
2.ラースロー・シェー(ハンガリー) 1:52.70 ER
3.松田丈志(日本) 1:52.97 AR
レース後フェルプスの表情がイマイチ冴えず、眼を痛そうにしていたことから、もしかしたらゴーグルに浸水したのか・・・とは思ったのだが、本当に浸水していて、それでもキッチリ世界記録を更新して優勝するのだから、本当に脱帽するしかない。水泳の経験者ならお分かりだろうが、ゴーグルに浸水してしまうと一気に視界が無くなるため、大抵の場合タイムは落ち込む。それでもフェルプスは、世界記録を更新しているのだ。もしベストの状態で泳いでいれば、1分50秒台は軽く出ていただろう。
そしてシェーと松田の攻防も、非常に見応えがあった。あのようにお互い積極的に仕掛けあって記録を高めていけるレースを見ると、こちらも気分が良くなる。松田は様々な種目で力を発揮できる選手だが、それ故にこれまでの国際大会では的を絞りきれずに苦しんできた。今回ついにフォーカスを当てた200mバタフライでこのように結果を出せたということで、日本を長い間引っ張ってきた選手が形ある結果を残せた事が、ファンとしても非常に嬉しい限りだ。
◆女子200mバタフライ 準決勝◆
伏兵、劉子歌がアジア記録を更新してトップ通過したが、やはり世界記録保持者のジェシカ・シッパーはまだ余裕を持って泳いでいるように感じられた。決勝では後半ぐいぐいと前に出てくることだろう。優勝候補の最右翼は、やはり彼女だ。
残るメダル争いは中国勢2人、オティリア・イェジェイチャク、オロル・モンゲル、そして中西悠子によって争われるだろう。おそらく最後タッチするまで分からないような大混戦になる。中西は後半型だが、ラストスパートでは他の選手も力を持っているため、できれば150mのターン時にはトップ3に入っておきたいところだ。もっとも今シーズンは好調なだけに、決勝ではしっかりあわせてきてくれると期待したい。
メダル予想
金:ジェシカ・シッパー(オーストラリア)
銀:オティリア・イェジェイチャク(ポーランド)
銅:中西悠子(日本)
◆男子200m平泳ぎ 準決勝◆
北島康介の優位はゆるぎないものだろう。準決勝もスピードを上げたのは150m~175mの約25mだけと見て良い。50m~100mあたりはストローク数が14回、15回ほどで、1回のストロークでおよそ3m進んでいる計算になる。これはどう考えても“少なすぎる”回数だ。おそらく決勝ではもっとピッチを上げてくるだろう。失格にならない限り、金メダルは間違いない。
2番手争いは絶好調のマイク・ブラウン、そしてオリンピック男ダニエル・ギュルタの2人となってくる。いずれも北島を脅かす域には入らないと思うが、2分8秒台の前半は充分に可能。アテネでも勝負強さを見せたギュルタが、再び銀メダルを取るのではないか。
メダル予想
金:北島康介(日本)
銀:ダニエル・ギュルタ(ハンガリー)
銅:マイク・ブラウン(カナダ)
◆女子200m個人メドレー 決勝◆
1.ステファニー・ライス(オーストラリア) 2:08.45 WR
2.カースティ・コヴェントリー(ジンバブエ) 2:08.59 AF
3.ナタリー・コグリン(アメリカ) 2:10.34
まずは何と言っても、日本の北川麻美が素晴らしいレースをした。予選で萩原智子の日本記録をじつに8年ぶりに更新したと思ったら、その後準決勝、スイムオフ、そして決勝と4度も日本記録を更新してみせたのだ。今大会は400mフリーリレー、100m平泳ぎでも日本記録を樹立しており、まさに日本チーム女子のエースとも言える存在になりつつある。
今大会を迎えた段階で、今シーズンの世界ランクで北川は22位であり、準決勝に進出できれば上出来、といった位置であった。それがとんとん拍子に記録を更新し、なんと一気に6位にまで上がってきたのだ。これまで国際大会では悔しい思いもしてきた彼女だが、今大会はその経験を生かし、遺憾なく力を発揮している。小さい身体ながら自由形でも速さを誇るパワフルな泳ぎは、日本人選手の可能性を示していると言えよう。
さてトップ争いは激戦となったが、ライスが制した。この選手もオーストラリア選手権後の半年の間に、またさらに進歩したことを今大会で見せ付けた。コヴェントリーはなかなか金メダルが取れないまま得意の200m背泳ぎに臨むことになる。焦りさえなければ金メダルは有力だが、この結果が何らか精神的な影響を与えることがあるのか、注目だ。
◆男子800mフリーリレー 決勝◆
1.アメリカ 6:58.56 WR
2.ロシア 7:03.70 ER
3.オーストラリア 7:04.98
やはりアメリカの強さはさすがというほか無い。6分台に入ったのはある意味予想通りではあるのだが、つくづく末恐ろしいタイムだ。予選では控えの選手ばかりが泳ぎながらオリンピック記録を更新したが、そのような層の厚さが国内での競争を生み、レベルアップに繋がっている。フリーリレーに関しては当分、アメリカの天下が続きそうだ。
その影に隠れる形にはなってしまったが、2位のロシアもヨーロッパ記録を更新。アンカーのスクウォルツォフを初め、こちらも各選手の力が平均的に高い。全員が1分47秒以内で泳ぎ、しかもスクウォルツォフは1分44秒台だ。オーストラリア、カナダ、イタリアといった辺りは1分47秒台の選手がいてタイムをそろえられず、全員が1分46秒台で泳いだイギリスはしかしながらタイムを稼げる選手がおらず、いずれもロシアには届かなかった。
posted by Alan Hetarade |09:11 |
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2008年08月13日
◆女子200m自由形 準決勝◆
第1レースを見逃してしまったが、タイムを見る限り、好調のイサコヴィッチにホフ、ペレグリーニといった実力者がどこまで迫れるか、というレースになりそうだ。
本来的な実力であればホフを推したいところだが、やはり今大会のホフは流れが悪い。イサコヴィッチも国際大会で本格的に優勝を狙うレースとなるのはこれが初めてということもあり、やや不安要素はあるが、ここは決勝でも彼女が強さを見せると読む。
メダル予想
1.サラ・イサコヴィッチ(スロヴァキア)
2.ケイティ・ホフ(アメリカ)
3.フェデリコ・ペレグリーニ(イタリア)
◆男子200m自由形 決勝◆
1.マイケル・フェルプス(アメリカ) 1:42.96 WR
2.パク・テファン(韓国) 1:44.85 AS
3.ピーター・ヴァンダーカーイ(アメリカ) 1:45.14
マイケル・フェルプスの手に掛かると、世界記録更新がいとも容易いものであるかのように思えてくる。本当に、この人はどこまで速く泳ぐのだろう、という興味が尽きない。入りの50mは50.29と、50秒を切って入れる日がもうそこまで来ているようだ。
またパク・テファンが2位に入り奥村幸大が日本人として初めて決勝で泳いだことは、アジアの男子自由形陣の進歩を示す、明るい話題だ。前回アテネで400m自由形の松田丈志が決勝に進出してから、今大会では400mでパクと張琳がワンツーを達成し、この200mでも2人が決勝に残った。いよいよアジアの自由形陣も世界に追いつきつつあることを、今大会で各選手が証明している。
◆女子100m背泳ぎ 決勝◆
1.ナタリー・コグリン(アメリカ) 58,96 AR
2.カースティ・コヴェントリー(ジンバブエ) 59.19
3.マーガレット・ホールザー(アメリカ) 59.34
コヴェントリーを中心に進むかと思われたレースだったが、予想外の結果となった。前半コグリンが先行することは予想されたことであり、コヴェントリーの50mのラップもそう悪くはなかったのだが、思いのほか後半の伸びを欠く泳ぎとなってしまった。知らず知らずのうちに前夜世界記録を出した疲れが、コヴェントリーの伸びを奪ったのかもしれない。
優勝したコグリンは58秒台に入り、コヴェントリーに続いて2人目の58秒台の選手となった。また4位のジェンマ・スポフォースも59.38とヨーロッパ記録を更新し、この種目も全体としてのスピードアップが著しいことを印象付けた。来年以降、さらに58秒台を出す選手が出てくるだろう。今回は苦戦を強いられた日本勢にもぜひ、その流れに乗ってもらいたいところだ。
◆男子100m背泳ぎ 決勝◆
1.アーロン・ピアソル(アメリカ) 52.54 WR
2.マット・グレヴァーズ(アメリカ) 53.11
3.アルカディ・ヴィヤチャニン(ロシア) 53.18
ピアソルは爪を隠していた。恐れ入った、というような圧倒的なレースだった。少しレース自体からは話が逸れてしまうが、こうなってくると、メドレーリレーでのアメリカ代表の記録が非常に楽しみである。平泳ぎのハンセンは横ばいといったところだろうが、それ以外の3種目、即ち背泳ぎのピアソル、バタフライのフェルプス、自由形のレザックはそれぞれより速いラップで回ることが予想される。とんでもない記録が来たいできそうだ。
日本の宮下純一は最後ややバテてしまったが、大舞台での決勝戦で臆することなく前半から勝負できた点は、評価できる。こちらもメドレーリレーに向けては、良いイメージを持てる泳ぎになったのではないか。
◆女子100m平泳ぎ 決勝◆
1.リーゼル・ジョーンズ(オーストラリア) 1:05.17 OR
2.レベッカ・ソニ(アメリカ) 1:06.73
3.ミルナ・ユキッチ(セルビア) 1:07.34
さすがのジョーンズ、といったところか。おそらくもう暫く、この種目では敵なしの状態が続くだろう。それほど、2番手との差は大きいと見て良い。ラストの10mほどでほんの僅かな伸びを欠いて世界記録更新にはいたらなかったが、それでも昨シーズンと比べると良い記録が出ており、1分4秒台への突入に期待がかかる。
日本の北川は8位に終わったが、順位の上では難しいレースになることは分かっており、そんな中で前半から積極的にレースを展開したことは、好感が持てる。こちらもメドレーリレーに向けて、良い予行演習となったはずだ。
◆男子200mバタフライ 準決勝◆
直前に200m自由形の決勝、そして表彰式を終えたばかりのフェルプスが力を抜いて泳いだことは明らかであり、ここでのタイムはまったくアテにならないだろう。今大会、フェルプスは出場する個人種目の全てで他の選手を圧倒している状況であり、それ故に準決勝までは力を使わずに泳ぐレースを展開できるのだ。決勝では世界記録の更新も確実と思われ、あとはどんなタイムを出すのか、楽しみにしたい。
さて注目される2番手争いだが、松田丈志にニコライ・スクウォルツォフ、ラースロー・シェーの2人が迫る形での争いとなるだろう。このうち個人メドレーでいい記録を出したシェーは、準決勝では後半、余力を残して泳いだように思えた。だが松田も、400m自由形から好調である点では、シェーと同じ。ここはぜひ、力でねじ伏せてもらいたいところだ。
メダル予想
1.マイケル・フェルプス(アメリカ)
2.松田丈志(日本)
3.ラースロー・シェー(ハンガリー)
◆女子200m個人メドレー 準決勝◆
オリンピック記録を出したカースティ・コヴェントリーと、400mで世界記録を樹立したステファニー・ライスの争いとなるだろう。だがおそらく、400mでの勢いを駆って、ライスが優勝するはずだ。レース展開としては400mと同じで、まずはコヴェントリーが先行し、それをライスが追い上げることになるだろう。
また日本の北川麻美がスイムオフで2:12.02と、準決勝で自身がマークした日本記録を再び上回り、決勝進出を果たしている。当初厳しい戦いが予想されたこの種目での決勝進出は快挙と言って良い。
1.ステファニー・ライス(オーストラリア)
2.カースティ・コヴェントリー(ジンバブエ)
3.ケイティ・ホフ(アメリカ)
◆男子800mフリーリレー 予選◆
第3泳者でこのメンバーの中ではエース格と目されるエリック・ヴェントが1分47秒台と大失敗に終わりながら、アメリカはオリンピック記録を更新した。決勝で出てくることが予想されるマイケル・フェルプス、ライアン・ロクテ、ピーター・ヴァンダーカーイはいずれも世界で5本の指に入る選手たちであり、これは一体どこまで世界記録を更新するのか、楽しみでならない。現在の世界記録は7分3秒台だが、7分を切ってくることは間違いないだろう。
2位争いはヨーロッパ勢の争いとなる。イタリア、ロシア、イギリスの3チームが予選のタイムでは僅か0.05秒以内にひしめき合っており、どう勝負が転んでもおかしくない。正直ここまで差が無いと予想もクソもあったものではないのだが、実力者を揃えるロシアが2位に入ると見る。
メダル予想
1.アメリカ
2.ロシア
3.イギリス
posted by Alan Hetarade |07:21 |
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2008年08月12日
◆女子100m背泳ぎ 準決勝◆
とにもかくにも、カースティ・コヴェントリーの調子が良すぎる。元々200mで力のある選手だが、100mではナタリー・コグリンを相手にやや劣っている印象があった。しかし今大会ではメダル候補と目されていなかった400m個人メドレーで素晴らしいタイムで2位に入り、そしてこの100mでも世界記録を更新。よほど体調が良い証拠であろう。コヴェントリーの優勝は、まず硬いはずだ。
2番手はやはりコグリンになりそう。問題となるのが銅メダル争いで、おそらく中村礼子とアナスタシア・ズエワの争いになるだろう。しかし今大会の勢いでは、中村の方が上と見る。これまでややスプリント力では劣る印象があった中村だが、今大会はスピードが非常によく付いている印象がある。メダルに、期待して良いだろう。
メダル予想
金:カースティ・コヴェントリー(ジンバブエ)
銀:ナタリー・コグリン(アメリカ)
銅:中村礼子(日本)
◆男子200m自由形 準決勝◆
まず何はともあれ、奥村幸大の決勝進出を祝したい。この、分類としては短距離に入る自由形の種目で、日本人男子が決勝に残ることが、いかに難しかったか。ほんの昨日までは手が届くとは思えない世界だった決勝の舞台に、日本人が立つ。いちファンとして、感慨ひとしおだ。個人的にはこの奥村の決勝進出は、北島の金メダル獲得と同じくらい評価されてしかるべきだと思う。
さて決勝レースではやはり、マイケル・フェルプスのタイムが気になる。今大会の彼は本当に絶好調であり、いよいよマーク・スピッツ以来のものを我々は目撃しようとしている、と言って良い。
そのフェルプスに次ぐ2位の座を争うと思われるのが、ピーター・ヴァンダーカーイとパク・テファンだ。タイプとしてはいずれも似た選手であり、激しい争いになることが予想される。だがヴァンダーカーイは国際舞台の決勝レースでは、若干萎縮することが多いように感じられる。ここは400mで金メダルを獲得して勢いに乗るパク・テファンが、2位に滑り込むのではないか。
メダル予想
金:マイケル・フェルプス(アメリカ)
銀:パク・テファン(韓国)
銅:ピーター・ヴァンダーカーイ(アメリカ)
◆女子100mバタフライ 決勝◆
1.リスベス・トリケット(オーストラリア) 56.73 OC
2.クリスティーネ・マグヌソン(アメリカ) 57.10
3.ジェシカ・シッパー(オーストラリア) 57.25
やはりトリケットの強さは流石だった。勢いのあるマグヌソン相手にもう少し接戦になるかと予想していたのだが、まだまだ実力差があることを存分に見せ付けた。インへ・デブリューインの世界記録も目前に迫っており、来シーズンでの更新に期待したい。
3番手のシッパーも、得意の200mに向けては順調なレースを見せたといえるだろう。期待されたシンガポールのタオが後半伸びなかったのが残念だったが、この経験を次に生かしてもらいたい。
◆男子100m平泳ぎ 決勝◆
1.北島康介(日本) 58.91 WR
2.アレクサンダー・ダーレ・オーエン(ノルウェー) 59.20
3.ウーグ・デュボス(フランス) 59.37
本当に、本当に、素晴らしいレースを見せてもらった。平泳ぎ史上最もハイレベルなレースだったと言って間違いない。そんなレースで、世界一の力を発揮した北島。本当に、素晴らしかった。
この4年の間に、一時はトップから絶望的なまでに離された。上り続けてメダルを獲得したアテネとは違い、頂点から一度叩き落されて屈辱を味わい、それを乗り越えての金メダル、そして世界新。部外者には計り知れない苦労を、彼はしてきた。しかしその苦労に見合う報いを、こうして受けたのだ。
北島がダーレ・オーエンに精神的な勝負で勝った、と見る向きがあるが、個人的にはそれには賛同しない。ダーレ・オーエンは今大会に入ってから0.5秒以上自己ベストを更新していた。そのタイムが準決勝1位通過のタイム、59.13である。そしてこの決勝のタイムは、59.20。若干遅くなったが、ほぼ同じくらいのタイムだ。過去大舞台で失敗を重ねてきた彼が、初めて実力を出し切ったのが、この北京オリンピックだったと言えよう。
即ち、もはや戦術等は関係なく、純粋に北島の実力がオーエンを上回った、というのが私の見解だ。史上初の58秒台。ここまでタイムを伸ばされては、他の選手としても為す術が無いだろう。単純に「北島が凄かった」というのが、真理であるように思える。
また3位に入ったデュボスの健闘も、称えられるべきだろう。6位の選手までが1分を切ったこの決勝で、トップの北島は58秒台に突入。男子平泳ぎは、また一歩、新たな次元へと歩を進めた。
◆女子100m平泳ぎ 準決勝◆
やはりリーゼル・ジョーンズの力が頭一つ抜き出ている。神がかった泳ぎを見せていた一昨年ほどのタイムが出るかは疑問だが、決勝で普通に泳げば優勝は間違いないだろう。
銀メダル、銅メダルの争いは、実力を発揮しているレベッカ・ソニを、今大会急激に記録を伸ばしているミルナ・ユキッチ、そして若いユリヤ・エフィモワが追い、そこにベテランのターニー・ホワイトが絡んでくる展開となりそうだ。
またこの種目でも、日本人が活躍した。北川麻美が日本記録を更新し、決勝に進出。彼女は日本選手権の100m平泳ぎのレースでは代表権を獲得しておらず、出場枠が空いていたため出たわけだが、そこでいい記録を出せる辺り、出た甲斐があったというものだ。各国の強豪たちと競るのは流石に厳しいだろうが、ぜひ大舞台で日本記録を再びねらってほしいところだ。
メダル予想
1.リーゼル・ジョーンズ(オーストラリア)
2.レベッカ・ソニ(アメリカ)
3.ミルナ・ユキッチ(オーストリア)
◆男子100m背泳ぎ 準決勝◆
これまで圧倒的な強さを見せ付けてきたアーロン・ピアソルに、やや暗雲が立ち込めている、といったところか。フリーリレーに出場することもなく背泳ぎに専念できるはずのピアソルのタイムが、いまいち伸びてこない。アメリカ選手権の際にはそういった兆候はなかったのだが、あまり体調が良くない可能性もあるだろう。
準決勝のタイムでは、ハイデン・ストッケル、マット・グレヴァーズ、アルカディ・ヴィヤチャニンの3人がコンマ1秒以内で接近しており、ここにピアソルが絡んでくる展開となるだろう。ストッケルが先行する展開となるだろうが、ピアソルとしてはあまり前半で遅れすぎると、そのほかの選手も後半に強いため、挽回不可能になる。前半が終わった時点でストッケルから身体半分以上はなされてしまった選手は、脱落と見ていいだろう。
またこの種目でも、宮下純一が見事な泳ぎを見せた。決勝でタイムを伸ばせば5位くらいには入れる可能性はあり、ここはぜひ順位を狙って泳いでもらいたい。
メダル予想
金:マット・グレヴァーズ(アメリカ)
銀:アーロン・ピアソル(アメリカ)
銅:アルカディ・ヴィヤチャニン(ロシア)
◆女子400m自由形 決勝◆
1.レベッカ・アドリントン(イギリス) 4:03.22
2.ケイティ・ホフ(アメリカ) 4:03.29
3.ジョアンネ・ジャクソン(イギリス) 4:03.52
こちらも素晴らしいレースだった。アドリントン、ジャクソン、また4位に入ったフランスのバルミの3人が、先行するホフを追い詰める・・・・ レース展開が非常に面白いレースだった。
それにしても、イギリス勢2人も素晴らしいが、いよいよ今大会のホフは空回りしてきた印象がある。400m個人メドレーで予想外と言っていい大差をつけられての敗戦で、完全に流れが狂ってしまったようだ。先行策は間違っていなかったとは思わないが、やや冷静さを欠いて急いてしまい、最後の一伸びのための体力を浪費してしまった。
夜に行われた200m自由形の予選でも、ホフの泳ぎは冴えなかった。絶対的に有利と言われていた種目での敗戦が重なり、19歳の若手選手は、まさにオリンピックの難しさを実感している事だろう。
◆男子400mフリーリレー 決勝◆
1.アメリカ 3:08.24 WR
2.フランス 3:08.32 ER
3.オーストラリア 3:09.91 OR
理屈抜きで、素晴らしいレースだった。こういったレースを見て、何も考えずに興奮することが出来る。まさに、スポーツの面白さが凝縮された3分8秒だった。
とにかく、全てが凄すぎるレースだった。まずオーストラリアの第1泳、イーモン・サリヴァンが、従来の記録を大幅に上回る47.24というタイムで帰ってきた。またその影にこそ隠れてしまったが、2位のマイケル・フェルプスのタイムも47.51で、従来の世界記録とは僅か0.01秒差。まさにこの瞬間から、リミッターが外れたかのような超高速レースになったのだ。
次いで、アメリカのギャレット・ウェーバー・ゲイルとフランスのファビアン・ジロが47.0秒台のタイムを記録。そして圧巻だったのがフランスの3泳、フレドリック・ブスケで、46.63というとんでもないタイムで回ってきた。このタイムは今レース、引継ぎをした選手の中では2番目のタイムだ。さすがリレー男、といったところか。
そしてアンカーの大逆転劇。フランスのアラン・ベルナールが最後に失速したように見えたが、彼のタイムは46.73。充分に驚異的なタイムであり、ほぼ全力を出し切ったといえるだろう。アメリカのジェイソン・レザックが、あまりにも速すぎたのだ。
46.06というタイムは、引継ぎであることを考慮しても、これまでにはまったく考えられなかったタイムだ。ここまで来ると理屈でどうこうというよりは、ただただスゴイ、と言うほかない。引継ぎなので単純なタイム比較はできないが、このレースのレザックは間違いなく、人類史上最速で100mを泳いだスイマーだろう。
繰り返しになるが、これこそまさに、スポーツというものがなぜ人の心を揺さぶるのか、ということを体現したレースだった。少しでも速く、限界を超えて、チームのために勝利を目指す。まさに歴史にに残る名場面だった。
posted by Alan Hetarade |04:27 |
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2008年08月10日
全般として言えることだが、午前中の決勝にも関わらず記録の面ではかなりいいものが出たということで、午前決勝で懸念された問題は杞憂に終わったようだ。かなり早い段階でこのようなタイムスケジュールになることが分かっていたため、各選手とも怠り無い準備を行うことが出来た。その成果が出ている、という事だろう。
◆男子400m個人メドレー 決勝◆
1.マイケル・フェルプス(アメリカ) 4:03.84 WR
2.ラースロー・シェー(ハンガリー) 4:06.16 ER
3.ライアン・ロクテ(アメリカ) 4:08.09
流石、としか言いようが無い。ここまで来ると素人が映像を見てとやかく言える次元ではない。とにかく、マイケル・フェルプスは圧倒的すぎる。特に圧巻だったのが、苦手と言われていた平泳ぎ。以前はブレスの際の制止時間が長く、非効率的な泳ぎに見えたが、今回はより滑らかなフォームで、抵抗が少なくなったように感じられた。ここでも全体のラップ1位で泳いだことが、大きかった。
ロクテは得意の背泳ぎで飛ばしたまでは良かったが、そこで体力を使い果たし、冷静にレースを進めたシェーにかわされてしまった。ベストタイムから2秒以上遅れるレースは、不本意なものだったろう。とはいえ、彼が一か八かで背泳ぎを飛ばしたのも、本気でフェルプスに勝負を挑み、勝とうとしたからだろう。最後はフェルプスの圧倒的な実力を見せ付けられる格好となったが、レース後の彼の表情が晴れ晴れしかったのも、自分で納得のいくレースが出来たからではないか。
◆女子100mバタフライ 準決勝◆
予選でやや控えめなタイムに終わったリスベス・トリケットが1位通過。やはり予選では、爪を隠していたようだ。本人もタイムを見て納得顔といった様子であり、やはり金メダルに一番近い存在であろう。
ただ2位に入ったクリスティーネ・マグヌソンも、どんどんタイムを伸ばしてきている。昨年以降急激に台頭してきた選手であり、決勝でも驚きの泳ぎを見せる可能性もある。ここに、後半勝負強さを見せるジェシカ・シッパー、リ・タオがどのように絡んでこられるか、という勝負になりそうだ。
やはり実力で上回るトリケットが一枚上と見るが、マグヌソンの爆発力も楽しみ。56秒台での決着を期待したい。
メダル予想
金:リスベス・トリケット(オーストラリア)
銀:クリスティーネ・マグヌソン(アメリカ)
銅:リ・タオ(シンガポール)
◆男子400m自由形 決勝◆
1.パク・テファン(韓国) 3:41.86 AR
2.張淋(中国) 3:42.44
3.ラーセン・ジェンセン(アメリカ) 3:42.78 AR
パクの見事なレースだった。自らがスパートに強いというイメージを逆手に取り、序盤から飛ばしたハケットを上手くペースメーカーにした。おそらくあのレース展開の戦略は事前に練っていたものだろうが、隣のハケットが飛ばすのを見て瞬時にそれを自らの力に変えたのが素晴らしかった。記録としても素晴らしいもので、イアン・ソープの世界記録も視界に入ってきたと言えるだろう。ラストスパートだけで勝った印象のある昨年の世界水泳とは、まったく性質の異なる勝利だ。
逆に昨年のパク・テファンのようにラストスパートでもって強引に相手をかわしていくレースをしたのが、張淋。その勝負では負けてしまったが、ジェンセンもアメリカ記録を更新しており、悔いは無いだろう。先行策に出たハケットは戦術としては間違っていなかっただろうが、メルリとパクに後につかれ、上手く使われてしまった感がある。また全身タイプのレーザー・レーサーを着用していたが、締め付けがきつい同水着でわざわざ全身をシェイプさせて中距離種目を泳いだ点が、持久力という点でデメリットになった可能性もある。このあたりはもう一度、検討が必要だろう。
◆女子400m個人メドレー 決勝◆
1.ステファニー・ライス(オーストラリア) 4:29.45 WR
2.カースティ・コヴェントリー(ジンバブエ) 4:29.89 AF
3.ケイティ・ホフ(アメリカ) 4:31.71
成長株、ライスの力を見せ付けられた。ライバルのホフに対し、課題と思われた後半で逆に差を広げる素晴らしい泳ぎを見せた。記録としても、遂に4分30秒を突破。歴史の中でも大きな足跡を残したと言えるだろう。
予想外に良かったのが、1コースから2位に入ったコヴェントリー。おそらく本気で世界記録を狙っていたのは200m背泳ぎであり、そういった点もあって予選ではあの順位に甘んじていたのだろう。まさかここまで記録を伸ばすとは。個人メドレーでタイムが出たということは全体的に非常に調子が良いということの表れでもあり、これは背泳ぎのレースに向けて、ライバルとなるマーガレット・ホールザーにも、大きなプレッシャーとなるだろう。
◆男子100m平泳ぎ 準決勝◆
とにかく、アレクサンダー・ダーレ・オーエンの調子が良すぎる。予選では前半から積極的にレースを展開したが、準決勝では50mの入りを28秒台に抑えながら、オリンピック記録を更新。自己ベストをさらに大きく縮めて見せた。もしオーエンが決勝で力を発揮できれば、正直なところ北島に勝ち目は無いだろう。
北島が上回れるとすれば経験則、という事になる。オーエンはこれまでの国際大会でも、予選ではメダル圏内につけながら、決勝では大きく失速する、というパターンがあった。精神面という点では不安が残る。しかし今大会での彼の表情を見ると、自信に満ち溢れている印象を受ける。俺の前に敵は居ない、とでも言いたげなように思える。決勝までその自信を失うことがなければ、オーエンの世界記録での金メダル、或いは史上初となる58秒台への突入も、夢ではないだろう。
銅メダルはやはり、ブレントン・リッカードとウーグ・デュボスの争いになりそうだ。ハンセンは前半の入りこそ良かったが、メダル争いという点では一枚劣る印象は拭えない。後半はやや力を抜いたかもしれないが、今の彼にそこまでしている余裕は無いはず。やはり何かがおかしい、と言わざるを得ない。
メダル予想
金:アレクサンダー・ダーレ・オーエン(デンマーク)
銀:北島康介(日本)
銅:ブレントン・リッカード(オーストラリア)
◆女子400mフリーリレー◆
1.オランダ 3:33.76 OR
2.アメリカ 3:34.33 AM
3.オーストラリア 3:35.05 OC
世界記録メンバーが力を発揮した。4選手が穴なく平均的に力を発揮できるのが、オランダの強み。1泳のインへ・デッケルがやや期待はずれの泳ぎに終わったが、その他の選手で充分に挽回可能だった。放送中でも触れられていたが、ナショナルチームぐるみで短距離陣を強化してきた成果が、層の厚さにつながり、この勝利をもたらしたと言える。
2位のアメリカは1泳のナタリー・コグリンが気負いすぎたか後半やや失速し、その後も空回りという印象を受けた。だが最後、アンカーのダラ・トーレスの泳ぎは見事としか言いようが無い。アンカーの中ではオランダのマルリーン・フェルトハイスを上回り、2番手のラップを刻んでいる。またその上を行ったのが、オーストラリアのアンカー、リスベス・トリケット。1泳でオリンピック記録を更新したドイツのブリッタ・シュテフェンらとともに、個人種目の100m自由形を盛り上げてくれるだろう。
中国は順位を下げてしまったが、予選からメンバーチェンジなしでアジア記録を更新したのは立派。ドイツはシュテフェン、アンカーに入ったアンチェ・ブッシュシュルテのダブルエースこそ機能したものの、3泳のダニエーラ・ゴッツが後半激しく失速し55秒台に終わったのが、痛恨だった。
posted by Alan Hetarade |18:55 |
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2008年08月10日
たまには予想もしてみたいと思います。予選(400m以上の種目及びリレー)、或いは準決勝が終わった段階でメダルの金銀銅を予想する、という方式でやってみたいと思います。
◆男子400m個人メドレー 予選◆
各選手とも探りを入れてきた、というのが正直なところだろう。フェルプスのみならず、彼のライバルとなるラースロー・シェー、ライアン・ロクテも、いずれも手の内を見せず。特にライアン・ロクテはおそらく50%も力を出していないだろう。何せ、ベストより4秒以上も遅いタイムに留まっているのだから。
おそらく間もなく行われる決勝レース、フェルプスが世界記録を上回るペースで突っ込み、そこにロクテが喰らいつく展開となるだろう。やはり注目はフェルプスに集まるだろうが、彼はフェルプスと同等、或いはそれ以上にマルチに各種目をこなす力がある成長株。誠に勝手な希望ながら、個人的にいつもフェルプスばかり勝っていても詰まらない、という思いもある。ここは一つ、波乱に期待したい。
3位争いはラースロー・シェーと、大きく記録を伸ばし予選を3位で通過したルカ・マリンの争いになるだろうが、実績で上回るシェーが上と見る。
メダル予想
金:ライアン・ロクテ(アメリカ)
銀:マイケル・フェルプス(アメリカ)
銅:ラースロー・シェー(ハンガリー)
◆女子100mバタフライ 予選◆
やや意外だったのは、リスベス・トリケットの出来。記録的にも今回のメンバーの中では頭一つ抜けている感があったが、予選は非常に控えめな泳ぎに終始した。これが不調によるものなのか或いは意図したところなのかは準決勝で明らかになるだろうが、ジェシカ・シッパーやクリスティーネ・マグヌソン、そして大会にきっちりあわせてきた周雅菲といったライバルから比べると、見劣りする泳ぎだったことは事実だ。
準決勝の注目は、予選4位通過のシンガポールの18歳、タオ・リー。これまでアジアの大会では名を馳せてきたが、世界の舞台でトップ争いに加わるのはこれが初めて。若い選手の勢いが、実績あるベテランたちを追い落とす可能性もある。
◆男子400m自由形 予選◆
本命不在とも言える競技だったが、予選からここまでヒートアップするとは、驚きだった。実力のある8人が決勝に残り、どの選手がどの色のメダルを取るのかまったく読めない状況にある。昨年の世界水泳では驚異的なスパートを見せたパク・テファンだが、今回予選で張琳がそのパクを押さえ込んだ。
おそらく決勝も、ラスト50mでデッドヒートになるだろう。最後のスパート勝負になった場合、グラント・ハケットにとってはやや不利であるように思われる。アメリカ選手権から好調を維持しているジェイソン・レザック、地元中国の大声援を受ける張琳がトップを争いそう。ただ今年のレースでの安定感という点で、ここはレザックを推したい。
メダル予想
金:ジェイソン・レザック(アメリカ)
銀:張琳(中国)
銅:グラント・ハケット(オーストラリア)
◆女子400m個人メドレー 予選◆
こちらも男子同様、有力選手が軒並み力をセーブして泳いだため、各選手のコンディションが非常に読みにくい。4分33秒台の記録を持つハンナ・ミレイの調子があまり良くなさそうなので、おそらくケイティ・ホフ、ステファニー・ライス、エリザベス・ベイゼルの三つ巴になるだろうが、これは分かり難い。
やはり金メダル争いはホフとライスが軸となるだろうが、前半型のライス、後半型のホフ、とタイプがはっきり分かれているだけに、200mまでにどれだけライスがリードを稼げるか、という点が焦点になる。だが最終的なところでは、女版フェルプスとも呼ばれるホフが、力強さを見せライスをかわすのではないか。
メダル予想
金:ケイティ・ホフ(アメリカ)
銀:ステファニー・ライス(オーストラリア)
銅:エリザベス・ベイゼル(アメリカ)
◆男子100m平泳ぎ 予選◆
正直、ここまでハイレベルな争いになるとは思っても見なかった。これまでハンセンと北島だけが戦っていた1分カットの世界が、決勝進出ラインとなりそうである。今日行われた種目の中でも、全体的な記録の伸びが一番著しい種目であり、準決勝、決勝とも過去に類を見ない次元での争いとなりそうだ。
北島は落ち着いた泳ぎを見せたが、彼のライバルとなるのはアレクサンダー・ダーレ・オーエンと見て間違いないだろう。オーエンは自己ベストを更新したが、やはりスプリント力では北島を上回っていることを実感させられた。今年に入って非常に勢いのある選手であり、また国際舞台での経験も豊富。これまで決勝では緊張して失敗するケースもあるが、自信を持って挑んでくれば、厄介な存在となるだろう。
予想通り59秒台半ばまで持ってきたウーグ・デュボス、着実に記録を伸ばして1分カットしてきたブレントン・リッカードも侮れない。また、これまでトップ争いに加わるところまでは来なかったキャメロン・ファン・デル・バーグが急激に記録を伸ばして1分をカットしてきた点も、留意しておく必要がある。
ブレンダン・ハンセンだが、ハンセンの持ち味であるパワー溢れる泳ぎがまったく見られなかった。アメリカ選手権のショックを引きずっているのかもしれない。周囲が急激に記録を伸ばし、また北島も着実に好タイムを出している中、1人だけ明らかに見劣りする泳ぎだった。金はおろか、メダル争いに絡むことも難しいだろう。
◆女子400mフリーリレー 予選◆
まず日本記録を大幅に更新した日本チームを、祝したい。惜しくも決勝進出はならなかったが、これまで世界レベルとは大きく水をあけられていると思われていた自由形短距離で、ここまで肉薄してみせたのだから。特別に速い選手がいるわけではないが、各選手が切磋琢磨して1人1人が記録を縮めた結果の、日本記録更新である。国内で良い競争が生まれていることの表れだ。
さて決勝レースだが、やはり世界記録保持者のオランダが強さを見せるだろう。インへ・デッケル、マルリーン・フェルトハイスのエース2人が決勝では姿を見せることになる。特に今年に入り好調のマルリーン・フェルトハイスは決勝レースが初登場となることが予想されるため、その泳ぎが注目される。
オーストラリアはリスベス・トリケットを温存しており、彼女の上積みだけで中国を上回ることが出来るだろう。予選でのタイムがいまいちだったドイツのエース、ブリッタ・シュテフェンがどこまでタイムを伸ばせるか。2位争いは、両エースの熾烈な争いとなるだろう。
メダル予想
金:オランダ
銀:ドイツ
銅:オーストラリア
posted by Alan Hetarade |04:01 |
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