2008年06月30日
本当は等々力に見に行きたかったのですが、ユーロ観戦による連日の疲労具合等の点から断念しました。来年はぜひ行きたいものです・・・・
おまけに疲れで寝コケていたら1日目のTV放送すら見逃すという大失態をやらかし、軽く自己嫌悪に陥りましたorz おかげであまりとやかくは言えないのですが、とりあえず個人的に気になる種目の競技&代表について、順不同で軽く書くことにします。
男子10000m
松宮隆行(27:51.27 代表決定)
男子5000m
松宮隆行(13:47.81 代表決定)
竹澤健介(13:49.73 代表決定)
2冠を達成した松宮。いやぁ~、強い!やっぱり今の国内の長距離トラック界では、一歩抜けた存在でしょうね。怪我もしないし、速いし、強い。高岡の日本記録も5000mに続き10000mも更新できそうなところにいますから、北京のみならずその先に、そちらの方も期待したいですね。
そして今回は5000mに絞ってきた竹澤。箱根駅伝の際にも故障がクローズアップされていて、その後も思うように練習が積めなかったと思いますが、ここに合わせてくるあたりは流石です。早稲田大学には強力な1年生が入りましたし、彼らにとっても先輩がオリンピックに行くというのは、大変良い影響を与えるでしょう。そういう点でも、良かったと思います。
女子10000m
渋井陽子(31:15.07 代表決定)
赤羽有紀子(31:15.34 代表決定)
福士加代子(31:18.79 代表決定)
文句なしで、今大会のベストレースでしょう。それぞれ思うところがあったと思いますが、とりあえずこの3人のガチンコ勝負が見られたということだけでも素晴らしい。そして3人ともオリンピックに行けて良かった。本当に心からそう思います。
渋井はマラソンで失敗しましたが、そこからハーフマラソン等でしっかり調整し、春のトラックシーズンには絶好調の状態で臨めた。一方赤羽は昨シーズンから好調でしたが、それゆえ調子を維持する難しさもあったはずです。そして福士は名古屋で失敗してから春は出遅れ、6月に入ってからようやく試合に出られるような苦しい状態でしたが、そんな中でも着実に代表権は掴んできた。
いやぁ本当にレベルが高い争いをこの3人はしたと思います。世界もスピードアップしていますが、3人で上手く競いながら北京でも良い記録を出してくれれば良いですね。
女子5000m
小林祐梨子(15:11.97 代表決定)
福士加代子(15:16.27 代表決定)
う~む、何なんでしょうね、今年の日本選手権の「苦労した者に報いが」みたいな流れは。小林の昨年の問題についてはわざわざここで書き起こすようなことはしませんが、今シーズンその鬱憤を晴らすような大活躍を見せている辺り、やっぱりこの人もあらゆる意味で強い選手なんだな~、と。そう思います。
男子3000mSC
岩水嘉孝(8:29.75 代表決定)
岩水強し!というレースだったのですが、それにしても、篠藤・・・・(ノД`)・゜・。
今年の箱根駅伝9区で区間新記録を樹立し、見事金栗杯を獲得した篠藤。山陽特殊製鋼に進んで活躍が期待されたわけですが、なんと1台目のハードルで転倒。大きく遅れてしまい、最下位の22位に終わってしまいました。
岩水を負かせたかというとそうは思いませんが、にしてもこの結末はあまりにも残酷すぎる・・・ 個人的に好きな選手なので、巻き返しに期待したいですね。ご存知のとおりロードでも強い選手ですので、冬のレースで活躍してほしいものです。
男子走高跳
土屋光(2m18)
いや~、醍醐はやらかしてしまったというか、本人がどういう感覚で飛んでいたのかは分かりませんが、傍から見れば完全に土屋のマインドゲームにしてやられましたね。
2m10で初登場し1発で成功させたところまでは、土屋と醍醐はまったく同じ動きをしていました。ところが土屋がその次、2m15をパス。醍醐はこれを1発で成功させたものの、試技数が気になった(同じ記録の場合、試技数が少ないほうが上位)か、2m18をパス。土屋は3回目で2m18を成功させ、2m21をパス。醍醐は流石に2m21は飛ばざるを得ませんでしたが、そこで3回失敗してしまい、土屋の優勝となりました。
う~む、勝利は堅いかと思われていた醍醐ですが、やってしまいましたね。ここら辺は当日の自身の体調との相談にもなるのでしょうから、門外漢の私がとやかくは言えたものではないのですが、結果的に試技のチョイスとしては、土屋の方に軍配が上がったわけで・・・・ 思わぬところで躓いてしまいましたね。
・・・ま、こんなところですかね。あの男子1,500mでの転倒事件なんかもありましたが、あれはレース自体が何だかなぁと思わざるを得ない展開だったので省略。結局、トラックの長距離種目ばかりになってしまいましたが(笑)
さて残る代表枠は4つなわけですが、今のところ有力なのはこの辺でしょうか。
男子110mH
田野中輔(B標準突破 日本選手権2位)
大橋祐二(A標準突破 日本選手権3位)
男子走高跳
醍醐直幸(A標準突破 日本選手権2位)
男子50kmW
谷内雄亮(A標準突破 日本選手権3位)
男子走幅跳
菅井洋平(B標準突破 日本選手権優勝)
女子100m
福島千里(B標準突破 日本選手権優勝)
女子400m
丹野麻美(B標準突破 日本選手権優勝)
女子走幅跳
池田久美子(A標準突破 日本選手権3位)
この中で、醍醐と池田に関してはかなり有力と言えるはずです。両種目とも代表選手が今のところゼロですし、この2人はA標準を突破している。池田は南部記念での“追試”に挑むわけですが、普通にやればまず間違いなく代表にはなれるでしょう。
となると残りの2つ、という事になりますが、うち有力と思われるのが、いずれも今年に入って日本記録を樹立している福島と丹野。いずれも上り調子の選手で、ここはリレーが参加資格を得られるかどうかという点も関わってくるはずですが、もしこの4人の枠に入れるのであれば上記2名の次に有力かと。
後は110mHの田野中と大橋、走幅跳の菅井が南部記念でどれくらいの記録を出すか、でしょうね。田野中がA標準を突破した上で大橋に勝つようなことがあると田野中が有力でしょうが、逆の場合は大橋の可能性が高くなりそうな気が。菅井はA標準突破があと一歩のところまで来ているだけに、それを突破すれば大きなインパクトがあるでしょうね。
・・・・とまぁ、こんなところでしょうか。正直フィールド競技にはあまり精通していないので何とも言い難いのですが、とりあえず南部記念の結果と、7月16日に確定するというリレーの参加資格に注目ですね。
posted by Alan Hetarade |18:43 |
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2008年04月30日
今、NHKスペシャル“ミラクルボディー”の第3回、ハイジャンプ 翼なき“天才”を見ました。
この番組は、各競技のトップアスリートを多角的に分析、解説するドキュメンタリーです。スーパースローカメラを使った、“瞬間”の技術の分析、また身体的なデータの計測、練習内容のピックアップ、そして各選手へのインタビュー等から、トップアスリートがどのようにしてその競技をこなしているのか、とても詳しく解説されています。
第1回は100m走にスポットを当て、アサファ・パウエルを中心に、タイソン・ゲイとの走りの比較や朝原宣治との身体的なデータの比較を行い、また身体能力でゲイを上回るパウエルがなぜ世界陸上ではゲイに負けたかということも、メンタル面から解説していました。第2回は水泳のマイケル・フェルプスの特集で、彼の泳ぎのメカニズム、その根底にティーンエイジの頃の厳しいトレーニングがあったこと、またフェルプスが行っているトレーニングに日本記録保持者である佐藤久佳がチャレンジした様子や、佐藤のストレートアームについても、スーパースローカメラを使って解説していました。
そしてこの第3回は、タイトルにもあるように走り高跳びの特集。アテネオリンピック金メダリストで、現役選手としては最高の記録を持つスウェーデンのステファン・ホルム、そして昨年、競技生活僅か1年半で世界陸上の金メダルを獲得したバハマのドナルド・トーマスの2人にスポットが当てられました。
あまり詳しい内容を書くことは一応避けておきますが、垂直飛びの比較、科学的な理に適ったホルムの跳躍の分析、一方自らの身体能力を生かして飛ぶトーマスの跳躍の分析、幼いころからハイジャンプに憧れてきたホルムの思い、そして直近の試合で自らのジャンプを改造しようと試行錯誤を重ねるトーマスの“変化”、・・・・などなど、とても興味深い内容でした。自分はハイジャンプという競技には疎いのですが、この番組は非常に楽しく見ることができましたし、第2回で水泳が取り上げられた時にも目からうろこの話の連続でしたから、その競技を知らない人でも経験者でも、誰もが楽しめる番組構成になっていると思います。
・・・・で、べつに私はNHKの回し者というわけではありません(笑) ただ、この番組は自分にとって、やたら新鮮なものだと感じられました。少なくとも、スポーツドキュメンタリーとしては、珠玉の出来とも言える番組です。
じゃあなんで、これまで見てきたスポーツドキュメンタリーと呼ばれる番組に比べ、この番組が優れているように思えたかという事を考えてみたのですが、それはこの番組が、心・技・体の全てをフォローしているからではないかと思いました。
この番組は、表向きはスーパースローカメラを使った“技”の解説、データの測定や同じくスーパースローカメラを使って示される“体”の解説がメインとなっています。しかしそこに上手い具合に選手のインタビューや試合の模様を取り入れることにより、“心”の部分も非常によくクローズアップされています。例えばパウエルの場合には、世界陸上前夜のプライベートな彼の映像や、走っているときに感じていた事をパウエルが応えるインタビューを元に、それらの感情が実際に世界陸上決勝での走りにどのような変化をもたらしたか、写真を通して解説することにより、“心”が“技”と“体”に与えた影響を解説しています。
スポーツではよく“心・技・体”という言葉が使われます。それは、スポーツでベストなパフォーマンスを発揮する上で、これら3つが全て万全な状態にあることが必須であるためです。いくらこのうちの一つが優れていたからといって、べつの一つが劣っていれば、勝利は遠のきます。この3つのバランスが取れ、いずれも高いレベルにある選手が、素晴らしい結果を残すのでしょう。
ただ、短い時間で視聴率を稼ぎたい場合、TVのドキュメンタリーというのは大抵の場合、“心”に入れ込みすぎる傾向にあるように思えます。先日、某深夜のニュース番組のキャスターが北島康介にインタビューしているものを見ましたが、アレなんかは完全に“心”の部分のみがクローズアップされているものの典型と言えるでしょう。まぁその心の部分でも、アスリートの思いとかを到底無視した質問をそのキャスターは連発していたわけで、こんなくだらない質問にもきちんと答える北島はやっぱり人間が出来ているというか、対応もプロフェッショナルだよなぁ、なんて感心したりしたわけですが(笑)
今回のNHKの番組は相当に手間とお金をかけているので、特に番組の制作費が著しく違ってくるであろう民放の番組に、このレベルを求めるのは困難なのかもしれません。ただ、どうにもお涙頂戴路線に大衆を導きやすく、それがためにスポーツの本質から離れているように思えるマスメディアの報道が多い中、この番組はスポーツドキュメンタリーの“あるべき姿”のようなものを体現しているのではないでしょうか。
posted by Alan Hetarade |01:47 |
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2008年03月27日
先週あたり駅を歩いていると、高橋尚子が1面トップになっているスポーツ紙がコンビニの前に置いてありました。まぁ個人的には高橋尚子が好きってわけでもないですし、どうせまたどうでもいい事をスポーツ紙が書きたてただけだろう、と思って、どんな報道だったのかチェックすることもなくスルーしたわけです。
で、じゃあ今になって何で書くかと言うと、昨日偶然にランニングマガジン・クリールの編集長、樋口幸也さんのブログでこれについて書いておられたのを見かけたのです。これを見てはじめて、彼女がどんな発言をしたのか知りました。
まぁこれを見て思ったのが、あぁもう高橋尚子はトップクラスのアスリートではないんだな、と。それに尽きます。
元々、彼女のレースに対する臨み方というか、そういうスタイルがあんまり好きではありませんでした。レースの直前に怪我をしてしまうことは彼女以外の選手でもやることですし、それは仕方の無いことです。ただ彼女の場合、それをネタに自分を引き立て、演出していた。それが個人的には好きませんでした。
前回東京で優勝した際にも、肉離れであることを事前に明かしていました。で、レースでは見事に優勝しました。ただその後の報道、そして彼女が翌朝もランニングに出る姿などは、違和感を感じ得なかった。なんか“怪我をネタにお涙頂戴”みたいな部分があった気がするんですよね。ここら辺は人それぞれ捉え方が異なるでしょうし、心理戦の部分もあるのでしょうが、その後マスコミがいかにも「高橋尚子は怪我に耐えてよく走った!」みたいに書き立てるのを見て、なんかおかしいなぁと。
そして先日の名古屋後の話。あの話は本当に情けなかったとしか言いようがありません。言い訳にしか聞こえなかった。完走したことは立派でしたが、一方であの手術云々という話は、負け惜しみ以外の何物でもありません。事前に話さないのであればそれこそ墓まで持っていくべき。少なくとも、本人が堂々と言うようなことではありません。
なんでここまで彼女をこき下ろすかというと、男子マラソンの第一人者、高岡寿成と、あまりにも対照的な競技意識としか言いようが無いからです。
アテネオリンピックの選考から落ちた際の高岡の話は皆さんもご存知かと思いますが、一応書いておきます。福岡で3位となり、マラソンでの代表入りが絶望的になった彼には、トラック競技でのオリンピック出場という選択肢も残されていました。しかしマラソンの補欠になった時点で、彼は“補欠として”最善を尽くすことを決めました。
当時既に33歳、4年後に再びチャンスがあるかどうか怪しいという中で、レースに出られない可能性の方が圧倒的に大きいという条件があったのにもかかわらず、高岡はオリンピックのマラソンに向けてのトレーニングを積みました。
もちろん、オリンピックで高岡が走ることはありませんでした。
ただ、だからこそ、翌年の世界陸上で高岡が粘りの走りを見せて4位に入ったときには、メダルにこそ届かなかったものの、1人のファンとして狂喜乱舞したものです。彼のレース一つ一つに対する思い入れの深さには本当に頭が下がる思いでしたし、だからこそ心から彼を応援できました。
先日の福岡で高岡は破れました。東日本実業団駅伝を見ても、調整が上手くいっていなかったことは明らか。そうでなくとも、年齢的な衰えもあってマラソンを走るのは難しかったかもしれません。ただ彼は、事前の会見から一貫してそういうことは表に出さず、負けても言い訳はしませんでした。その後、全日本実業団駅伝でも彼は出場することなく、チームのサポートに回っている姿が映されていました。で、今度はパリマラソンを目指すようです。相変わらず怪我が相次いでいますが、彼のようにひた向きに競技に臨む選手は、本当に尊敬できます。
高岡だけではなく、競泳の柴田亜衣や北島康介の発言を見ていても、彼らは怪我をしてもそれについては一切言わなかったり、それを言い訳にしたりはしていません。解説者が選手の怪我について言及し、フォローするような発言をしていても、彼らは決して弱音を吐きません。
まぁ何も、そこまで選手に求めるのも酷かもしれません。しかし、オリンピックの金メダリストが惨敗して、そこで負け惜しみを言ってしまうさまは、はっきり言って無様としか言いようがありません。
その上で、今回の発言ですよ。要するに彼女は、競技の第一線からは身を引いたということを、自ら示したというわけです。
というのも、元々怪我が多い選手で年に1回のマラソンすら走れるかどうか、という状況。そんな選手が年に3回もマラソンに出ようなんて、土台無茶な話です。全力でレースに臨むのであれば、そんな事が出来るはずが無い。即ち、もう私は全力でレースはしないよ、という事でしょうね。もはや1レースの重みが、高岡なんかとはわけが違うということです。
要するに高橋尚子は、扱いとしては市民ランナーと同等になった、と。そういうことです。まぁ彼女がどういうナンバーをつけてマラソンを走りたいのかは分かりませんが、もし本当にこのマラソン3つを走るのであれば、普通の招待選手としては出て欲しくないですね。一般参加、若しくは特別招待選手という枠でも作って出て欲しいです。
まぁ今後彼女がどうしようが彼女の勝手ではありますが、これ以上自らの功績に泥を塗るようなことはしてほしくないな、と。かつて世界のトップクラスだったランナーだけに、なおさらそう願ってやみません。
posted by Alan Hetarade |20:08 |
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2008年03月09日
自滅しまくった有力選手たち
今回のレースでは残念ながら、各有力選手がスパートどころの前で、自ら失敗してしまう場面が目立った。
10km手前で遅れた高橋尚子は、はっきり言って“論外”。完走したことは立派だが、勝負という観点で見ると、調整ミスは明らかだった。解説者の方々が指摘した“悪いポイント”はそれぞれ違っており、ようするに全体的に勝負できる状態では無かったという事なのだろう。やはり年齢から来るピーキングの難しさがあるのか、そこで失敗してしまったと言える。元々故障がちで、コンディショニング、ピーキングに関しては上手い選手とは言えないだけに、この年齢でとなるとなおさら厳しいものがあったはずだ。
また大南は序盤から給水に失敗し、動きがどんどん悪くなってしまった。今日の気候コンディションで給水が取れないというのは、かなり苦しい。弘山は後輩の平田とペース走をする際のように集団を長らく引っ張る形となってしまい、他の選手に利用されてしまった。原と坂本はスパートにキレが無く、結果的に良い感じで集団を引っ張る事となってしまった。
結局のところ、本格的に勝負を決められる可能性があったスパートという点では、堀江の仕掛けが初だったのだ。その他の選手は集団の前に出ただけで、集団の人数は減らせたものの、1人で抜け出す事はできなかった。この辺り、原はスライドした影響、坂本は怪我で練習が積めなかった影響を感じずにはいられなかった。
しかし各選手とも、もうちょっと上手くレースをマネジメントできていれば、違った結果となった可能性もある。昨日の予想を外してしまい私も恥ずかしい限りだが、有力選手にあった不安要素が、全て出てしまった格好となった。
“想い”が強すぎないからこそ・・・・
そんな中で優勝したのは初マラソンの中村、2位にも同じく初マラソンの尾崎が入った。加納も含めてそうだが、これらの選手は早い段階でスパートすることなく、ペースが上がった際にはただそれに付いていっただけ、というレースを展開した。
ああいうじれったい展開となると、やはり「このままではオリンピックに・・・・」という想像は、どの選手もしたはずだ。
そして、このままではまずいと考え、ペースを上げる。しかしそれでは早すぎるのだ。実際の勝負どころはまだ先。そうは思っていつつも、遅い記録への焦りがあるため、前に出ざるを得ない。やはりオリンピックへの想いがより強いほど、早めに仕掛けたくなるのが人間の心理というものだろう。大島、弘山、原、坂本が前に出たシーンは、勝負というよりはむしろこの焦りに動かされた部分が大きいと言える。
だが、レースの勝敗に関わるスパートは堀江と中村のものだけだった。堀江は世界レベルでの経験は無く、中村は初マラソン。逆にその分だけ、“オリンピック”というレース自体にとっては雑念とも言える発想が無く、冷静にレースを見られたのだろう。その結果が、真の勝負どころへのスパートに繋がった。ここいらが、マラソンを走る上での心理的な難しさであり、また競技としての奥深さ、ということになる。
代表“残りの1枠”は中村か
男子は最後の選考レースを終え、尾方、佐藤、大崎の3人で決まった感がある。女子も今回の結果を踏まえると、世界選手権のメダルで当確の土佐、東京での圧倒的なタイムと強さ、そして実績も抜群の野口は文句なしで決定。残るは大阪で2位の森本とこの中村の比較という事になる。
が、やはり優勝というのはポイント大だ。大阪で勝ったマーラ・ヤマウチも力のある選手だが、今日の名古屋に出場した日本人の実績は、大阪の外国人招待選手を大きく上回っている。そういう点もプラスのポイントとなる。後半にペースを上げ、また仕掛けどころも見誤らなかったということで、中村を評価できる要素は多い。タイムも2時間25分台ということで最低限のレベルには持ってきたと言え、残りの枠は中村が有力ではないか。
posted by Alan Hetarade |15:52 |
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2008年03月08日
11.高橋尚子(ファイテン)
私からすれば彼女は一番の優勝候補ではないのだが、とはいえやはり特別な選手。他の選手からマークを受けることは間違いない。ポジティブな要因を挙げるとすれば、ここ最近はあまり故障の話を聞かないこと。ただ年齢的な衰えを感じさせるレースが続いているだけに、30kmからのスタミナが課題となる。
12.坂本直子(天満屋)
昨年のベルリンマラソンではまずまずの走りを見せ、その段階では順調に復帰の階段を登っていたが、その後また故障したという情報もあり、どこまでピーキングを合わせてこられたか、疑問符がつく。4年前の選考レースでは30kmからの5kmのラップが15分台という神がかった走りを見せたが、今回も後半に力を溜めることができるだろうか。
13.弘山晴美(資生堂)
長らく日本の女子長距離界を引っ張ってきた大選手も、今回が本当に最後のオリンピックへのチャレンジ。しかし昨年のレース、そして先日行われた丸亀ハーフを見ても分かるとおり、力は未だ衰えていない。昨年は向かい風の中で自らレースを引っ張ったことが仇になったが、今回は集団で自重することが必要になる。スパート力は持っているだけに、なおさらだ。
14.大南敬美(トヨタ車体)
優勝候補の最右翼とまではいかないが、しかし充分に力を持った選手。順調に練習が積めたようで、こちらもやはり前半どれだけ自重できるかが鍵となる。
15.原裕美子(京セラ)
大阪からのスライドということで調整がきちんと出来ているか気がかりだが、本来の力を発揮すれば、優勝候補の筆頭と言って良い。後半の根性勝負となれば日本人選手でも土佐と並ぶ素晴らしいものを持っているだけに、他の選手にスパートされた際にはなんとしてもついていきたいところ。粘り倒せば、勝機が見えてくる。
16.加納由理(セカンドウィンドAC)
大阪で途中棄権した加納だが、原因が故障ということで、一時的な体調不良だった原と異なり、影響が残っている可能性が大きい。まずはまともにレースが出来るか、ということになるが、残念ながら優勝は難しいか。
20.嶋原清子(セカンドウィンドAC)
スピードは無いが、ペース配分が巧みで、他の有力選手が総崩れという事態になれば、可能性が出てくる。明日の予想最高気温は15℃とやや暑くなることが予想され、これも北海道マラソンやアジア大会など、夏のレースで実績がある嶋原には追い風となる可能性がある。
展望
今回は外国人招待選手に力が無く、優勝はほぼ上記の7人の誰かとなると見ていい。しかし多くの選手が何らかの不安要素を抱えている。高橋は久々のレースとなる上、近ごろはやはり衰えを隠しきれてはいない。坂本は故障の影響が心配され、原、加納はスライドしたため本来の力を発揮できるかどうか疑わしい。となると、順調に調整を積んでいる弘山が有利なのではないか、と個人的には考える。現実的にその次に可能性があるとすれば、原。やはり国内マラソンで強さを誇っている点が、他の選手と比べると良く見える。
名古屋というと風によってレースが左右されやすいが、今回もその影響を受けるかもしれない。ましてやこれだけ有力選手が割拠するが、逆に言えば誰かがスパートする可能性も高い。特に原、坂本、大南といった選手は過去に圧倒的なスパートで勝負を決めたこともあり、これらの選手の動きが注目される。
ただ上記のとおり、気温が15℃とやや高めなのが気がかりだ。もしこの暑さに高橋や坂本がやられて失速するようなことがあると、嶋原がダークホースとなるだろう。暑いレースでの安定感は抜群で、優勝タイムが2時間25分前後になるようなペースならば、この選手にも注目しなければなるまい。
posted by Alan Hetarade |23:02 |
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2008年03月02日
大崎の代表入り確実、残りは実績で尾方
まずはレースについてはさておき、北京オリンピックの代表選考について。今日の走りで、大崎の選出は確実なものとなった。後半に追い上げて藤原のタイムを上回り、また先着したシャミ、アスメロンとの差も小さいものだった。両者とも世界選手権で実績を残した選手であり、その選手らと僅差でゴールできた事は、評価を高める事になる。
また過去の実績も抜群。4年前には、突然出てきた、という状態で惜しくも代表入りは逃した大崎だが、この4年間のマラソンでは失敗する事無く安定した成績を残し続け、アジア大会でメダル獲得、世界選手権で入賞と、着実に自身のキャリアに“はく”を付けていった。世界選手権も選考レースに入っていることを考えても、大崎の代表入りを妨げる要因は何もない。
福岡を走った佐藤敦之はタイム的にずば抜けており、これも当確。残りの1枠は世界選手権5位の尾方、東京マラソン2位の藤原が争うという形になるが、世界選手権の選考レースで失敗しながら実績を評価されて代表に選ばれ、その舞台できっちり結果を残している尾方が有利。藤原はまさしく、4年前の大崎と同じような状況となってしまっており、代表入りは厳しくなってしまったと言わざるを得ない。
ハイペースで全員が潰れる展開
今日のレースは、多くの日本人選手にとっては誤算続きだっただろう。風が追っていた序盤のハイペースだけならまだしも、南郷洗堰を渡って風向きが変わった後も、アスメロンあたりがペースメーカーをけしかけた事により、そのままのペースでレースが進んでしまった。
おまけにそのせいで日本人のペースメーカーだった稲垣と松山が予定より早く脱落してしまい、そこから外国人ペースメーカーによるアップダウンが激しいペースメークに変わってしまった。このせいで余計に選手に負担がかかり、結果として上位陣が後半揃ってペースを落とす要因となってしまった。優勝したシャミも中間点でのタイムからすると最後は遅くなってしまった印象があるが、レース前半のペースメイキングが大失敗に終わった事が、その要因だろう。だからこそなおさら、最後の最後でペースアップした大崎の強さが評価されるというものだ。
ただそういった中でもシャミとアスメロンが強さを見せたということで、やはりこの2人は本当に実力を持った選手だったということだろう。この2人が大阪の世界選手権での2位と4位、またそのレースで6位だった大崎が今回3位に入った。思えば東京で優勝したロスリンも、銅メダルを獲得している。そう考えると、多くの有力選手が出場を避けた大阪のレースだったが、そこで結果を残した選手はその後のマラソンでも着実に結果を出しているということで、当初の予想以上に質の高いレースだった事を示している。勿論この事も、選考という点での尾方の評価を高めるポイントになるだろう。
ビッグヒットは大西と清水、池永も健闘
大崎は去ることながら、やはり今大会で大躍進した選手というと、この2人になるだろう。
大西はこれまでのマラソンではパッとしないレースが続いた。今日も集団から遅れた時はいつものようにこのままずるずると下がってしまうのではないかと思ってしまったが、そこから粘りの走りをすることが出来た。大崎という目標が見える位置でレースを続けられたことが大きかったろうが、序盤から集団の前の方で積極的にレースを展開できた辺り、かなり体調が良かったのだろう。
日本大学時代には箱根駅伝で清水兄弟として活躍した清水智也だが、このように元気なレースを見られたことは非常に喜ばしい。中間点付近で遅れた後、25km地点で池永や秋山らと集団を作っている様子が確認できたが、そこからきちんとペースメイクを出来たということで、会心のレースとなったのではないか。旭化成に進んだ清水将也も近ごろマラソンでは安定した成績を残しており、マラソンの舞台で2人がトップレベルでの争いをするシーンも、もうすぐ見られるかもしれない。
また上述したとおり、初マラソンとなった池永だが、こちらも立派な走り。ラップタイムを見る限り35kmまでは清水と並走していたようだが、そこに至るまでに遅れた際も冷静さを保ち自ら集団を形成できたことは、マラソンを上手く走るという点では非常に評価できる。集団に入れれば1人くらいは調子の良い選手がいて、それに付いていくことでタイムを高める事ができる。やはり後半もう一つスタミナが欲しいところだが、初マラソンとしては充分評価できる内容だった。
次に繋がるレースに・・・・
その他の選手について。まず中間点付近から大きく遅れてしまったバラノフスキーだが、序盤から汗を多くかいており、やはり今日のコンディションは彼にとっては“暑すぎた”ようだ。この辺りは彼の体質からすると、どうしようもない部分もあったのかもしれない。気温は低かったが日は照っており、選手は見た目以上に暑さを感じていたかもしれない。
5年ぶりのマラソンとなった藤原は、2時間12分07秒でゴール。ひとまず復活の第一歩としては、良い結果と言えるだろう。先頭から遅れた際には著しくペースダウンしたように思えたのでその後のレースを危ぶんでしまったが、冷静にペースを保ちまずまずのタイムで完走できたという事で、これは来年以降のマラソンにも繋がるはずだ。
大学生で初マラソンを走った堺は、2時間17分14秒、21位でのゴール。今日は序盤の展開としては初マラソンの選手には酷なものとなってしまったが、そう考えるとまずまずのタイム、順位で完走できたと言える。実績ある選手たちと走った経験を、富士通に入っても生かしてもらいたいものだ。
最後に、このレースで引退された磯松大輔選手、ご苦労様でした。特に全日本実業団駅伝での活躍、また法政大学時代からチームリーダーとして他の選手を引っ張っていた姿勢が、強く印象に残っています。指導者としてのこれからの活躍を、期待しています。
posted by Alan Hetarade |15:10 |
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2008年03月01日
例によって、注目選手を以下に挙げたいと思います。
1.ドミトロ・バラノフスキー(ウクライナ)
体質もあって、「寒いマラソンの方が得意。夏のマラソンに興味は無い」と語る、異端の選手。明日の最高気温は10℃ということで、ぎりぎり許容範囲内だろうか。ゲブレセラシエとガリブという世界でもトップに君臨する2人と互角に渡り合った過去があるだけに、やはり大本命という事になろう。
2.ムバラク・ハッサン・シャミ(カタール)
アジア大会で大崎と入船に対し完勝を納めた後、自己記録を大幅に更新、さらには世界陸上で銀メダル獲得と、一気にスターダムをのし上がった選手。こちらはバラノフスキーとは対照的に熱いレースで絶対的な強さを見せるイメージがあるが、まだまだ発展途上にあるように感じさせるポテンシャルの高さを持っている。好条件が揃いそうな明日のレースで、爆発的な記録を出す可能性もある。
3.ホセ・リオス(スペイン)
過去には圧倒的な強さを誇っていたが、ここ最近は少し元気が無いようにも感じられる。スペイン勢はとにかく実力はありながらオリンピックや世界選手権で結果を出せない状態が続いているが、北京こそ挽回したいと思っているであろうこのホセ・リオス。オリンピックへ向けて弾みになるようなレースが出来るか。
4.リー・トループ(オーストラリア)
オーストラリアの男子マラソンにおける第一人者。優勝争いとなると厳しいかもしれないが、2時間10分前後でコンスタントに走れる実力は持っているだけに、特に後半苦しくなった日本人選手にとっては一つの指標となるかもしれない。
6.ヤレド・アスメロン(エリトリア)
こちらは世界選手権で尾方、ロスリンとデッドヒートを演じて4位に入った選手だが、ロスリンと異なりベストタイムは遅く、冬のマラソンでの実力は未知数といわざるを得ない。優勝争いには絡まないのではないか。
31.大崎悟史(NTT西日本)
4年前のシンデレラボーイも、その後着実に歩を進めて今度はしっかりとオリンピック代表の座が射程圏内に入ってきた。ベストタイムでは東京で藤原新が出した記録には及ばないがスピードも持ち合わせたランナーであり、明日のレースでは記録更新も充分に可能。ただ安定感はあるものの勝負がかかる場面で競り負ける事が多く、35km以降での力強さを見せられるかどうか、見ものである。
32. 佐藤智之(旭化成)
言うまでも無く、名門旭化成の大エース。ただ全日本実業団駅伝の2区ではブレーキとなってしまい、調整に不安を感じさせる内容となってしまった。あのレースから2ヶ月でコンディションがどれだけ上向いているだろうか。後半の粘り勝負になると、他の日本人選手よりも強みがあるだろう。
33.高橋謙介(トヨタ自動車)
昨年の福岡国際マラソンではこれまでの中で最高のレースをし、調子は上向きと見ることが出来る。この選手もやはり35km以降で集団についていけるかということになる。
34.瀬戸智弘(カネボウ)
昨年のベルリンマラソンでは日本人最上位に入り順調な調整ぶりを披露したものの、全日本実業団駅伝で故障。そこでの怪我がどれほどのものだったのかということになるが、練習量という点ではやはり不安材料があるか。
37.久保田満(旭化成)
世界選手権の代表だが、今回のオリンピック選考に絡むことを望むのは酷ではないか。昨年見せた後半の粘りは素晴らしいものがあったので、ひとまずサブテンを目標に頑張ってもらいたいところ。足立、堀端といった後輩の選手が別大と東京で良い走りをしただけに、それに続いてもらいたいところだ。
101.渡辺共則(旭化成)
こちらは同じ旭化成でも大ベテランの選手。ただ自己ベストでは良いタイムを持っているだけに、やはり侮りがたい選手だ。おそらく勝負どころまでは確実に集団に残っているであろう。
152.坪田智夫(コニカミノルタ)
昨年のレースは大失敗に終わってしまったが、今回は二度目ということで、キッチリ結果を出したいところ。駅伝でも良い走りをしていただけに可能性は感じさせるが、スタミナの浪費は避けたいところ。集団の中で我慢できるかどうかが鍵となりそうだ。やはりどうしても前に前に出てきたがるだろうが、そこで集団を引っ張ってしまっては、昨年の二の舞となることは間違いない。
201.野口憲司(四国電力)
私が注目する、ダークホースの1人。マラソンでの実績はまったく無いと言って良いが、全日本実業団駅伝の2区では松宮と三津谷に次ぐ区間3位、即ち尾方らを上回るタイムで走っており、めっぽう調子が良いものと思われる。スピードのある選手だけに、35kmで先頭集団に残っていると、面白い。
204.池永和樹(コニカミノルタ)
マラソンでの実績は無いが、若い選手だけに勢いの良さがある。うまく走れば、上位争いに絡めるかも。
215.藤原正和(Honda)
まさに“失われた5年間”を取り戻すレースとなる。とにかく5年前の鮮烈なレースが思い出されるが、あれから怪我で長いこと苦しみ、昨シーズンあたりからレースをこなせるようになり、今シーズンになってようやく表舞台に戻ってきた。全日本実業団駅伝での区間賞獲得が示すように、往年の力を確実に取り戻しつつある。マラソンという点では未知数といわざるを得ないが、この人に期待しているファン、関係者は多いはず。やはり願わくば、あの頃のような素晴らしい走りを見たいものだ。
264.堺晃一(駒澤大学)
優勝争いには流石に絡まないであろうが、どんな走りをするのか楽しみな選手。スピードは無いものの、ロードでの安定感は抜群なだけに、マラソンへの適性を感じさせる選手である。出来れば2時間12分から13分くらいでゴールしてほしいところ。
268.浜野健(トヨタ自動車)
地味ながら抜群の安定感を誇り、かつてはサブテンを連発していたランナー。さすがに年齢のこともある上、全日本実業団駅伝では故障が発生してしまうという不運に見舞われておりコンディションにも疑問があるが、しかしもう一度、輝いて欲しい選手の1人である。
展望
フラットなコースに加え、昨年と異なり気象条件も抜群となるため、かなりの好記録が期待できる。例によって30kmくらいまでは大集団のままレースが進むだろうが、そこから一気にバラけるのがびわ湖のレース。という事で、誰が決定的な仕掛けを行うか、という点が重要になる。
大崎、佐藤といった選手は、どちらかというと仕掛けた選手に付いていくタイプ。一方ホセ・リオスはスペイン人特有の、頻繁にペースのアップダウンを繰り返す駆け引きを得意とし、ハッサン・シャミはここぞと見るや残りの距離が長かろうが一気にスパートする力を持っている。となるとやはりシャミがスパートをした時こそ、本当の勝負どころと見るべきだろう。バラノフスキーもスパートする力をもった選手だが、仕掛けどころはシャミの方が早いと思われる。
日本人で自ら行く可能性があるのは、坪田や藤原あたりか。ただ坪田に関しては私は、できる限り誰かに付いて行った方が良いのではと思っているが・・・・ 坪田には失礼な言い方になってしまうが、彼が集団を引っ張ってペースメーカの役割を果たした後、誰かが本当のスパートを仕掛ける可能性が高いように思われる。
どうでもいい一言
べつにファンというわけでもないのですが、このレースに関しては、藤原が優勝したら泣くと思います(笑)
posted by Alan Hetarade |18:18 |
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2008年02月17日
完璧だったロスリン、大健闘の藤原
優勝したロスリンは圧巻だった。序盤からの展開、仕掛けどころと全て冷静だった。オリンピック代表が内定している中、ともすればモチベーションを失いがちになりそうな状況だが、そこでもしっかりとレースが出来るあたり、さすがはベテランか。
実績を見る限りここ2,3年ほどで台頭してきた選手という印象を受けるが、2時間7分台中盤のタイムは立派。とくに臨海部の橋を相次いで超えた35kmからの5kmのラップが15分を切っており、最後の2.195kmも6分27秒。最終盤でのこのスピードは特筆に価する。世界陸上では尾方を上回る粘りを見せたが、こうしてベストを1分ほど更新するなど、絶好調と言って良い。北京オリンピックでのメダルの有力候補に名乗りを挙げたと言える。
そして大健闘は2位の藤原。私も名前を知らない選手だったが、今年の全日本実業団駅伝ではエース区間の2区で区間8位のタイムで走っており、好調をこの大会に繋げたようだ。ジェンガが前に出た際には集団の後ろにいたので危ないかと思ったが、いざロスリンが抜け出そうとしたところで先頭に出てきた辺り、きちんとレース全体を見ることが出来ていたと言える。痙攣にもきちんと対処できたということで、まだマラソンは2回目ながらトップレベルで勝負できる、走り以外での柔軟性を見せ付けることとなった。
びわ湖の結果次第だが・・・・
さて代表選考という点では、やや難しくなってきた感がある。尾方はこの冬はマラソンを走らないことを表明しているので、世界選手権5位という実績のみでの比較ということになる。2時間7分台前半を出した佐藤敦之はほぼ当確だろうが、この藤原のタイム、順位と尾方の実績を比べると、なかなか甲乙つけ難い。
びわ湖はコースの難易度が東京よりも低く、タイムが出やすい。オリンピック選考の際には東京を走った選手は不利になることが多いが、この藤原のタイムも実に微妙なラインである。もっとも昨年のように、暑さで有力選手がことごとくびわ湖でつぶれるようなことがあれば、藤原も尾方も代表になるはず。
ただ今日の東京はこの上なく良いコンディションであったとも言え、さらにびわ湖には大崎や佐藤智之、藤原正和、国近といった強力なメンバーが出場することが予想される。誰かが2時間7分台をたたき出す可能性は充分にある。気候条件などのファクターも、選考の際には重要になるだろう。
ジェンガの不可解な動き
その他の選手について。優勝候補の最右翼だったジェンガだが、序盤から給水の際に取りたいのか取りたくないのか、イマイチ判然としない動きが目立った。途中から表情が明らかに苦しくなっていたのだが、それでも給水は取らず。しかしチラチラと給水テーブルに目をやる・・・・という、意図がよく分からない動きに終始してしまった。何が原因かは分からないが、ああいったところで精神的に無駄な動きをしてしまうと、マラソンでは厳しい。今回も選考レースで失敗してしまったということで、つくづくオリンピックには縁が無い選手である。
最後は流石の粘りを見せた諏訪だが、やはり悔しいはず。タイムも2時間9分台の前半ということで決して悪くは無いのだが、日本人1位になれなかったということで、代表は厳しくなってしまった。日本人1位になってさえおけば実績も相まって優位に立てたことが予想されるだけに、残念。入船はラスト10kmのスタミナという課題を克服できなかったが、ベストは更新しており、精一杯のレースだったか。
そのほか、7位に入った小林誠治は自己記録を更新。途中までしっかり先頭集団で走りその後も粘れたということで、良いレースだったのではなかろうか。高塚は途中まで良いリズムで走れていただけに、遅れてしまい残念だった。初マラソンの堀端は2時間11分台のゴールだが、21歳という年齢を考えると立派なタイム。別大で優勝した足立と共に、今後の活躍が嘱望される。
そしてベテラン勢2人も大健闘。11位でゴールした実井謙二郎は39歳という年齢を考えれば驚異的なタイム。アトランタでは残念なレースをしてしまった実井だが、この年齢で未だにモチベーションを失わずトップレベルで競技を行っていることは、賞賛に値する。そして引退レースとなった清水康次も、2時間24分台でゴール。きっちり完走して引退を果たした。
改善された点と課題
さてレース以外の要素について、昨年の第1回大会との比較をしてみる。
まずは、今回のレースは非常に各選手の記録が良かった。コンディションが最高だったということはあるにせよ、5位までが2時間10分以内でゴールし、その後も続々と選手が入ってくるような状態にあったことは、やや驚きだった。昨年のレースを見る限り、記録を出すには厳しいコースかと感じられたが、そうでもないことが証明された。
改善された点は、まずはテレビ中継。昨年のフジテレビは芸能人を交えて、市民マラソンとエリートレースを混同して伝えたために、どちらも中途半端な形となり、特に35km以降の勝負どころでのレース展開がまったく分からなくなるという非常に腹立たしい中継に終始した。しかし今年の日本テレビはまずは先頭の模様をきっちりと伝え、午後の特番で市民マラソンとしての東京マラソンにスポットを当てるという、メリハリのついた良い中継をしてくれた。流石は箱根駅伝を長年放送している日テレ、といったところだろうか。
ただ映像を見ていて、大会の運営面で気になったことが幾つか。まずは一部で見られた、給水所のスタッフの意識の低さ。選手に手を振ることは結構だが、そのせいで選手が給水を取るのに邪魔になっている場面が見られたのは非常に残念だった。またゴミ箱の位置も、改善の余地がある。エリート選手が通過するときには、もっと奥に引っ込めておいた方が良い。
ゴール後の選手のケアは必須
そして、ゴールした選手にスタッフが駆け寄るのがあまりにも遅すぎる。こればかりは運営側に対して非常に怒りを感じたのだが、来年絶対に改善してもらいたいポイントである。トップレベルの選手は自らの限界を超えた域で走っており、ゴール後に倒れこむこともしばしば。それなのにスタッフは、ゴールしてから10mくらい進まないと、選手に歩み寄らない。これは非常に危険な事である。
現に藤原は転倒してしまったし、その他にも足が痙攣してゴール直後にその場にうずくまる選手が見られた。続々と選手がゴールする単なる市民マラソンならば、ゴール直後に人が溜まり過ぎないようにそうするのもやむをえないが、少なくとも2時間30分を切ってゴールするような選手に対しては、きちんと配慮してもらいたいものだ。
posted by Alan Hetarade |12:15 |
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2008年02月16日
明日は東京マラソンということで、そのプレビュー記事を書こうかとも想ったのですが、駅伝・マラソンのファンとしてはこの2人の引退に言及しないわけにはいかないと思い、こちらについて書くことにしました。
まず11日に行われた姫路城ロードレース大会を持って、富士通の三代直樹が引退。やはりこの人の競技人生のハイライトはあの箱根2区での区間記録、ということになるのでしょう。先日モグスに記録は破られましたが、それにしてもあの渡辺康幸の記録を破る驚異的な区間新は、センセーショナルでした。
あの時は確かラストの不動坂で驚異的なスパートを見せて記録を更新したのだったと思いますが、とにかくあの時のアナウンサーの絶叫は今でも忘れることが出来ません。その後も権太坂までは三代の記録に迫る選手は数多くいましたが、大抵は不動坂での三代のスパートに“離されて”、記録を更新することは出来ませんでした。
そういうわけで、実業団に入ってからも活躍が期待されたのですが、怪我のために殆ど思うような走りが出来ませんでした。一度東京国際マラソンで2時間9分台の記録を出したときには、これでまた本来の彼の走りを取り戻してくれれば・・・・と思ったのですが、残念ながらその後また故障に悩まされ、こうして引退することになりました。
同僚で同い年の藤田も怪我に悩まされましたが、彼がマラソンの日本記録という結果を出し、いくつかのマラソンで優勝できた事を考えると、三代ももっと出来たはずなのになぁ、と残念に思います。とはいえ、ともすれば知らぬ間にフェードアウトしてしまう陸上選手にあって、こうしてキッチリと引退の場を持つことが出来たというのがせめてもの救いなのかなぁ、という気がします。
今後についてはまだ分かりませんが、ひとまずお疲れ様でした。
そして明日の東京マラソンで、「特別招待選手」としてNTT西日本の清水康次がラストランを走ります。
清水というと東京国際マラソンでの衝撃的な優勝で一気に名が知られましたが、スピードでは劣るものの冷静な戦略でもって多くのマラソンで上位に入るその走りは、個人的に大好きでした。集団の後ろでペースを保ち、30kmを過ぎたあたりでようやく先頭の方に顔を出してくるという渋いレース展開は、まさしく日本人ランナーらしい走り、と言えたのではないでしょうか。
そして何より清水のキャリアで欠かせないのは、NTT西日本の陸上部が解散された後も1人で走り続け、その後の同部の復活につなげた事でしょう。NTT中国時代には現SB食品でアテネオリンピック代表の国近なんかもいて活気があった同部ですが、2002年に解散され、同好会扱いに。
清水はその後もシンボル選手制度ということで1人で会社の支援を受けて走り続けましたが、結果が出なければ契約を見直す、という厳しい条件下での活動でした。それでも粘り強く活動を続け、その後大崎悟史の登場もあって陸上部が復活することになりました。が、それはやはりこの清水の頑張りなくしては不可能なものだったでしょう。惜しむらくはアテネの選考レースとなった東京国際マラソンで、スタート直後の転倒のせいで思うようなレースが出来なかった事でしょうか。そのレースで大崎が2位になったというのも、何かの因縁のように思えます。
なんか上手いこと書けませんが、とにかく日本のマラソン界においてもNTT西日本陸上部においても、清水康次の功績は大きなものがありました。明日は気持ちよく走って、良い引退レースにしてもらいたいものです。
posted by Alan Hetarade |14:56 |
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2008年01月28日
ってことで、敢えてこのタイミングで書いてみます(笑) 箱根駅伝の際にも書こうかな~と思ったのですが、その時はまだ時期ではないかな、と思ったので。
というか冒頭で他のブログ様を批判するのもどうかとは思うんですけど、優勝がヤマウチで日本人最上位の2位が森本だったにも関わらず、そのいずれかに、或いはその2人についてまったく言及しないで福士が云々ということだけ書いているのは、「アレを見て感動したと言っているのはバカだ」と言うのと同じ次元のことだと思うんですけどね。
もちろん福士の件もレースの中では大きなことでしたが、勘違いしてはいけないのはあくまでも優勝したのはヤマウチであって、日本人最上位でオリンピックの選考候補に残ったのは森本だ、という事です。福士の失速よりこの2つの事実のほうがよほど大事なのに、それを無視して他の事について騒ぎ立てるのは、あんた本当にちゃんとレースを見ていたのかい、本当にマラソンファンなのかい、と。そう言いたくなります。
まぁテレビをみた感想程度ならそれでも構わないのでしょうが、勝者を無視してその他の事だけについて大真面目に語られてもなぁ、と思うわけです。これは箱根駅伝のときにも似たようなことがありましたけど。
福士の件については昨日の記事でも私なりの見解を書きましたが、練習不足で体力が切れたという事のみならず、気温も影響していたのかな、と思っています。終盤での失速自体は福士に限らずどのマラソン選手にも起こり得ることですが、あそこまで何度も転んでしまうのは確かに珍しいですね。
ただ箱根駅伝のランナーはリタイヤしたのになんで福士は走れたのか、という事になりますが、あれは森本もレース後話していたとおり、脱水症状というよりは単純に足が疲労で動かなくなったことが原因だからではないでしょうか。長い距離を走った経験をお持ちの方なら分かると思いますが、疲労が極限状態に達すると脚がまったく動かなくなってがくっとペースが落ち、ジョギングになってしまいます。昨日の福士はそれが酷くなったのかなぁ、と。
まぁ途中で汗もかいていましたし脱水症状も併発していたかもしれませんが、意識はハッキリしていましたしね。あとはコースが平坦だった、ということも完走できた要因でしょう。箱根で小野と住田がなぜリタイヤしてしまったかというと、コース特性にも一因があるのではないでしょうか。5区も9区も、程度の差はあれど最初に登ってから下るコースです。こういったレイアウトは脚に負担が掛かりやすく、ひとたび痙攣をおこすと立て直すことは不可能でしょう。下りで脚にかかる負担というのは、非常に大きなものがあります。
それは福士が、立ち上がった後に歩くのではなく走れていることからも読み取れます。ロス五輪のアンデルセンは最後は走ることはできませんでしたが、福士は走れた。転びましたが、小野なんかとも違って立ち上がることは簡単にできていましたからね。危険であることに変わりはないでしょうが、まったく同列に扱うのはどうかと。
で、ワコールの永山監督についても批判が出ていますが、個人的に思ったのが、そもそも今回のマラソンについて、福士は本気で北京オリンピックの代表枠を狙っていたわけではないのでは、と。
福士という選手は明るい性格で知られますが、当然ながら競技についてはシビアな面も持ち合わせていて、アテネオリンピックや先日の実業団駅伝など、本当に悔しいレースとなったときには人目をはばからず泣いてしまうこともあるくらいです。しかし昨日の福士は失速した後も笑顔でしたし、帰る際にも報道陣に笑顔でコメントができるくらいの、レース後の状態でした。
本格的なマラソン練習をしていなかったことについても、そこまでする必要が無いと判断しての事かもしれません。エチオピアではゲブレシラシエなんかとも交流していましたが、そういう点で“一度マラソンを経験してみたい”という興味本位の部分もあったのかな、と。べつにこれ一回きりというわけでもないですし、とりあえずここで一回走っておいて、どういう結果になろうが、それで今後のプランを考えていく、と。そういうわけで、「何がなんでもここで」という姿勢では無かった、とも考えられます。
べつにこれでこの後トラックで北京オリンピックに出て、それから本格的にマラソンをやってもぜんぜん遅くは無いわけですしね。それは敢えて準備期間を短くしてでも名古屋でなく大阪に出場したことからも伺えるでしょう。
そんな具合で心も身体も充分にマラソン仕様となっているとは言いがたい状態ですから、レースプランとしてもハーフのように、集団の中で走るのではなく設定タイムどおりに走らせるしかないのではないか、と。でまぁそれがあまり遅すぎても意味が無いですから、2時間20分くらいのタイムにしておく、つぶれたらそれはそれで仕方ない、くらいの認識だったのではないでしょうか。
そんなわけで、この福士の失速というのは本人たちもある程度予測していたとまでは言わないまでも、起こり得る可能性は充分に考慮してのレースだったのではないか、というのが私の見解です。べつにワコールの選手がマラソンを走るのはこれが初めてではないわけですしね。まぁ永山監督という人がマラソンについてどれだけのノウハウを持っていたかは定かではありませんが、どちらにせよ今回の件についてはそんなに騒ぎ立てることなのかなぁ、と思いました。
・・・・まぁそうこう言いつつここまで長文を書いてしまったあたり、私も少なからず注目はしていた、ということなのですけれど(笑)
posted by Alan Hetarade |20:08 |
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