2010年03月14日
帳尻合わせは“勝者の証”? 【ハル・シティーvsアーセナル】
Hull City 1-2 Arsenal 【H:28(PEN).Jimmy Bullard】 【A:14.Andrey Arshavin, 90.Nicklas Bendtner】 ■ワンチャンスと、愚かな退場 残留争いの渦中にいるハル・シティーと、優勝を争うアーセナル。いかにハルのホームゲームとはいえ、どちらの実力が上かということは、明らかである。ゲームを圧倒的に支配するとみられていたのはアーセナルの方だったし、実際そうなった。 14分、ベントナーからのパスを受けたアルシャフィンが相手DF2人の狭い間をすり抜け、軽やかにフィニッシュ。あっさり先制に成功。その後もゲームの大半の時間を支配するものの、一瞬のプレイでハルに同点ゴールを許してしまう。 28分、左サイドからのワンバウンドしたクロスボールを、マーニーが意外性のあるダイレクトのヒールパスでアーセナルのラインの裏へ送る。これに反応したのが、フェネホール・オフ・ヘッセリンク。彼はオフサイド気味のポジションを取っていたものの、誰1人として彼のポジショニングを意識しておらず、さらにマーニーのパスで完全に意表を突かれたアーセナルのDFたちはまったくそれをアピールせず、挙句キャンベルが後ろからのタックルでフェネホール・オフ・ヘッセリンクを倒してしまい、PKを献上。ブラードがこれを力強く決め、同点に追いつく。 この同点ゴールで気を良くしたハルは俄然闘争本能に火が付き、ゲームはヒートアップ。しかし前半終了間際、その直前にベントナーと小競り合いを演じてイエローカードをもらっていたボアテンクが、跳ねたボールをキープしようとしたサニャに対し足の裏を見せてカンフーキックを見舞うような形で、まったくもって軽率としか言いようが無いタックルをし、当然ながら退場に。ベテランらしからぬ愚かなプレイを見せたボアテンクのせいで、ハルは後半の45分を10人で戦う事になる。 ■鬼神ブラード、決められないアーセナル だが意外にも、後半開始直後に主導権を握ったのは、ハルの方だった。 ボアテンクの退場を受け、2トップの一角を担っていたアルティドアが左サイドに下がる。しかし1トップとなったフェネホール・オフ・ヘッセリンクをアーセナルが抑えきれず、何度かボールをキープされてあわやというシーンを作られる。さらに50分にはデニウソンが軽率なプレイでアルティドアにボールを奪われ、カウンターから決定的なチャンスを作られ書けるか、ここはオフサイドポジションにいたフェネホール・オフ・ヘッセリンクにパスを出してしまうというアルティドアのまずい判断に助けられ、事無きを得る。 その直後の51分、ゲームの1つのポイントとなるプレイが起きる。勢いに乗って前線に駆けだしたのは、ハルのCBザヤット。ルーズボールをめぐってキャンベルと競り合うが、激しいスライディングタックルに行ったキャンベルに対しザヤットはボールを蹴りに行ってしまい、思いっきりキャンベルの足を蹴ってつんのめる格好になる。この際に足首を痛めたザヤットは、クーパーと交代。この治療に要した時間が、後の試合展開に影響を及ぼす。 ヴェンゲル監督は66分、エブエを下げてウォルコットを投入。彼の突破力に勝負を託す。しかしウォルコットは得意のドリブルでハルのDFを圧倒はするものの、ラストパスの判断が非常に甘く、なかなか決定的なチャンスを演出できない。さらにアルシャフィン、ベントナーらのフィニッシュもことごとく精度を欠き、スペースを消すハルの粘り強いディフェンスの前に、動きの少ないアーセナルは各局面で数的有利を作れず、なかなかゴールに迫れない時間が続く。 特に素晴らしかったのは、ハルの同点ゴールを決めたブラード。中盤の底での献身的な守備から、カウンターでのボールの展開、さらに1トップのアルティドアと共に前線からのプレッシャーをかけ、身体を張ってのボールキーピングで時間を稼ぐなど、まさに獅子奮迅の働きを見せる。 ■アディショナルタイムの奇跡と“前兆” 遂にアーセナルが決め手を欠いたまま、試合はアディショナルタイムに突入。しかしザヤットの治療に要した時間を考慮し、6分という非常に長い追加時間が取られる。そしてこの6分で、遂にアーセナルがハルの息の根を止める事に成功する。 アディショナルタイム3分、ロングレンジで一瞬ハルのプレッシャーが弱くなった隙を見逃さず、デニウソンが強烈なシュートを放つ。20mほどの距離はあったものの無回転で蹴られたボールはブレながら落ち、GKのマイヒルはたまらず弾き返す。そのこぼれ球を狙っていち早く反応していたのが、ベントナー。泥臭く合わせたハーフボレーは、ワンバウンドしてマイヒルの腕をかすめ、ゴールネットに転がりこんだ。 だがこのシーンも、私から言わせれば、前兆が無かったわけではない。1つはこのゴールが生まれる1分前に、左サイドを駆け上がったクリシーが放った、強烈なシュート。これはマイヒルにセーブされたものの、それまで枠を捕えられないシュートに終始しかなり閉塞感のあったアーセナルが息を吹き返すキッカケとなり得る、力強いシュートだった。 もう1つは、2つのセットプレイにおけるハルの選手の動き。80分台だったと思われるが、CKの際にアーセナルが早いリスタートを選択した際、明らかにハルの選手の集中が切れていたというシーンがあった。またアディショナルタイムに入る直前にゲットしたCKでは、ボールキーピングに行かず、中央にボールを放り込んでゴールを狙った。確かに勝ち越しゴールを狙いたいという姿勢は分からないでもないが、アーセナル相手にこの時間帯にカウンターを受けるリスクを負うことを考慮すると、果たして適切な判断と言えただろうか。ブラウン監督、及びハルの選手たちに若干の心の隙、或いは欲が見えていたように思えてならない。 ■“内容より結果”体現するアーセナル このゲームのアーセナルは、本当に苦しんだ。近ごろややコンディション面で不安定な戦いを見せる場合があるアーセナルだが、この試合では先制点こそ奪ったもののアルシャフィンの身体のキレが悪く、フィニッシュの場面で彼特有の絶妙なバランス感覚を発揮できないケースが多かった。また中盤の各選手の動きだし、ボールの持ち手に対するサポートの動きも少なく、ボールの動きと共に人の動きも要求されるアーセナルのフットボールを体現するには、至らなかった。 戦力も、いまひとつ噛み合っていない。この試合ではセスク、ロシツキーが欠場。さらに本来ジョーカーとして終盤に決定的な働きが求められるウォルコットは、精度を欠いた(と言うより意識の低い)プレイで、何度もファンのため息を誘った。またベントナーもゴール前での決定的な強さをフィジカル、テクニックの両面で見せる事ができず、何となく埋没していまう時間帯が殆どだった。 ハルの健闘があったとはいえ、アーセナルのゲーム内容は、このように決して褒められるものではなかった。しかし一方で、苦しい状況ながらアディショナルタイムで結果を出した事が、3月中旬というこの時期になっても優勝戦線に留まるチームの強さを示している。 ストーク戦では、ゲーム終盤にラムジーのショッキングな負傷があった。だが2シーズン前、エドゥアルドが怪我をしたバーミンガム戦とは異なり、このゲームでは90分になってから2点を奪い、きっちり3ポイントをゲット。そしてこのゲームでも、苦しい内容ながら3ポイントを得た。これで4試合連続で、アディショナルタイムにゴールを奪った事になる。 シーズン終盤のこの時期になると、順位争いの上ではより“内容より結果”が求められるようになる。いかに次に繋がる良い内容のゲームをしても、残り試合数はもう少ない。つまりそれはあまり意味を為さず、より直近のゲームでポイントを拾っていく事が重要となる。ここからシーズン終盤にかけて出来るのは、コンディショニングと、メンタルの維持くらいだ。戦術的な熟成をしている時間は、無い。 今回の6分というアディショナルタイムは、ザヤットの怪我、治療という不慮の事故があったためのものだ。しかしそのようなチャンスをモノに出来るチームこそ、チャンピオンの座に近付ける。怪我人が相次ぎ、各選手のコンディションが明らかに落ち込んでいたアーセナルだが、3ポイントをゲットする事ができた。やはりそれを呼び込んだのは、選手1人1人の最後までゲームを諦めない強い気持ちであったり、ゴールを狙う姿勢であっただろう。俗に“勝者のメンタリティ”と言われるものは、まさにこれではないか。 確かに不満は多い内容だったが、結果は残した。今のアーセナルは、2,3シーズン前までとは明らかに違う、精神的に成長した、優勝争いをするにふさわしいチームであるように思える。
posted by Alan Hetarade |15:17 |
FAプレミアリーグ |
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帳尻合わせは“勝者の証”? 【ハル・シティーvsアーセナル】
コメント投稿者ID : OOH00002349
相変わらずゴール前が激込だと点が取れないアーセナル。ファン・ペルシーの不在がここまで大きく響くのはどうなの?と、思っていたけれど、今シーズンは何となくちょっとずつ今までの「お子ちゃまチーム」とは違う一面を見せ始めている気がする。セスクが言う「僕らはもう若いだけのチームじゃない」を行動と結果で示し始めている様な気がする。
けど、ベントナーはな~相変わらずまだ「お子ちゃま」部分が抜けてないし(そこが魅力でも有る)、ウォルコットがもう少し大人になってくれればもっと攻撃や戦術の幅も選択肢も増えるのに残念である。
綺麗なだけじゃ勝てない。時に泥臭く(ロシの様に)責めることに皆が目覚めてくればアーセナル、生けるかもね!
posted by アッシュ | 2010-03-15 09:19
帳尻合わせは“勝者の証”? 【ハル・シティーvsアーセナル】
コメント投稿者ID : NID00000183
ハルのディフェンスが結構がっちりしてたんで楽しめたんですが、ホントにぎりぎりのところで切れちゃった
降格脱出請負人 ジミー・ブラードの復帰で後ろのみっつから脱出できるか 観てるんですけどね
アーセナルは離されたり追い着いたり、忙しい限りですが厳しいプレミアであの陣容が潰れずにゲームをこなしていけるか?
タフネスとウィズダムが要るような・・・
posted by candy | 2010-03-15 16:49
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