2010年02月11日

鉄則が崩れ、破れたレッズ 【アーセナルvsリヴァプール】

Arsenal 1-0 Liverpool
【A;72.Abou Diaby】
■ウェブの重大な“見逃し”
う~ん。まず始めに言及しなければならないのは、最後のジェラードのFKを、セスクが思いっきりハンドで止めて、しかもそれをレフェリーのハワード・ウェブが見逃してそのまま試合終了となったシーンが、このゲームの後味を悪くしているという事ですね。

確かにFK時のハンドのジャッジというのは難しく、どのレフェリーでもミスを犯す可能性はあるでしょうが、セスクに関してはジャンプすらせずモロに手だけ上げて止めていたわけで、流石にそれを見逃すのは怠慢という要素も排除できないだろうなぁ、と。

しかもジェラードのキックは壁を越えていれば枠に飛んでいた可能性が高い弾道を描いていましたし、直前に遅延行為でイエローカードを貰っていたセスクは、あのハンドを取られていればおそらく2枚目で退場になったでしょうから、そう考えるとウェブがあのハンドをスルーしてしまった事による影響は、単なるハンドの見逃し以上に大きいものがあるわけです。うーん、何だかなぁ。

ハワード・ウェブは基本的には良いレフェリーだと思うのですが、ユーロ2008やコンフェデレーションズカップの際にPKを巡る判定で物議を醸していますし、どうもこう、ビッグマッチで数多く疑問の残るジャッジをするというのは、どこか危なっかしい気がします。これでも、ワールドカップの“イングランド代表”レフェリーなので、しっかりやってほしいんですけどね・・・・


■低調な試合内容
これもタイトルの通りなんですが、正直なところ内容としては、両者ともあまり良くないゲームだったと思います。

まず勝ったアーセナルの方は、ここ数試合で見られたコンディションの落ち込みが、この試合でも解消されておらず。特にセスク、ロシツキー、アルシャフィンといった攻撃陣のイージーミスがあまりに多くて(これはベントナーも含めてという事にはなりますが)、ちょっとそこで試合のテンションを下げちゃったかなー、と。単純なトラップとか、パスとか、そういった面での技術的なミスはもちろん、プレイの選択の判断ミスも散見されました。

対するリヴァプールの方も、やはり何度やっても機能している気がしないエヌゴグの1トップがやっぱり機能せず、ラファの采配も迷走気味。確かにマキシは頑張ってはいましたが、まだ色んな意味でフィットしきれていないわけで、なんで試合終盤、彼に代えてゴールに直結する動きが出来るリエラを入れなかったかなぁ、と。

結局いくらリヴァプールが復調してきたと言っても、それは今のところアンフィールドに限った話であって、アウェイではストークとドロー、ウルヴズとドロー、そしてアーセナルに負けているわけです。守備陣に関してはキルギアコスがいなくなったこの試合でもまずまずやっていましたが、如何せん攻撃がなぁ・・・・ 持ち直してきたと言っても、要するにジェラードのコンディションが上がってきただけ、って気がするし。


■エヌゴグは何で勝負したいのか?
しかしエヌゴグが今のまんまだと、結局スカッド全体としてはトーレスの復帰待ちという事になっちゃいますし、この辺りラファはどうしてカイトをトップに起用しないのか、つくづく何を考えているのか分かりません。

確かにエヌゴグは若くて将来性のあるストライカーですが、その期待以上に不安になってしまうのが、彼が何を武器とするストライカーなのか、ゲームを通して見ても全く理解できないこと。

上背がある割にはポストプレイでは相手CBに全敗といって良いくらい全く太刀打ちできませんし、この試合でもギャラスのカットが良かったとはいえ、ゴール前で1対1になりかけたチャンスを不意に。前の試合でもドリブルで一気に駆け上がった後、そのままシュートに行けばいいのに切り返して相手DFにコースをふさがれてしまうシーンがありましたし、どうもこの辺を見てると並はずれた得点感覚があるようにも思えない。とはいえスピードで押していくタイプでも無いし、パワーがあるシュートや卓越した足元のテクニックがあるわけでもない。

もっとも、ポーツマス移籍後にポストワーカーとしての花が開いたクラウチのように、あれくらいの体躯の選手はふとしたきっかけで大きな飛躍を遂げる可能性もあります。しかし、現状のエヌゴグに関してラファの使い方を見ていると、どうも“現時点での実力”を見誤っているんじゃないかなぁ、と。確かに彼に経験を積ませることも大事ですが、一方的にゲームに出すだけでもいけないと思うわけで、もう少しその辺りを考えてほしいものです。


■“鉄則”は崩れたのか、崩したのか?
そんなこんなで、両者ともイマイチだったという割にはアーセナルの方が勝ったわけですが、そのカギとなったのは、リヴァプールの守備にあるのではないでしょうか。

チェルシー、ユナイテッドの2チーム相手に1点しか奪えなかったアーセナル。この両者が共通して布いた戦術は、ボックス周辺に人数を固めてスペースを消し、アーセナル得意のパス回しを“回すだけ”の状態にさせる。その上でボールを奪ったら素早くカウンターに転じ、ゴールを奪う。やや形は違ったにせよ、両者ともほぼ同じやり方で、アーセナルを打ち負かしました。そしてこの試合序盤のレッズも、同じように守っていました。

ところが、時間が経つにつれて徐々にレッズは前がかりになり、次第に最終ラインをサポートする中盤が手薄になっていきます。そして後半に入ると、中盤がスカスカになり、52分辺りでエヌゴグ、ロシツキーが互いに決定機を逸したシーンのように、中盤を省略した大味な試合展開となりました。

そしてその結果、アーセナルは得意のパス回しでリヴァプールの守備をたった1度とはいえ完全に撹乱し、虎の子の1点を取った。

この辺り、リヴァプールがアーセナル封じの鉄則を敢えて破ったのか、はたまた自然と破れてしまったのかは、定かではありません。ただかつて、CLでバルセロナやレアル・マドリーを相手に徹底した堅守速攻の戦術を敷き、見事に相手を掌の上で踊らせて陥れたリヴァプール。あの時と比べるとこの日のリヴァプールには明らかに、“芯”がありませんでした。

posted by Alan Hetarade |22:27 | FAプレミアリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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