2010年01月03日

東洋、黄金時代幕開けの予感 【箱根駅伝・復路】

6区
千葉健太(駒澤)
山下隆盛(中央) 田口恭輔(山梨学院) 高関伸(大東文化)
池谷健太郎(日大)
×加藤創大(早稲田) 高尾博教(日体大)
何と言っても駒澤の1年生、千葉の走りに尽きる。クロスカントリーで鍛えた佐久長聖出身選手のアップダウンへの対応という点で、往路の村澤と同様、強さを見せつけた格好。昨年6区に起用された藤山を押しのけての起用となったが、その期待に見事に応え、駒澤復路優勝の一里塚を築いた。

トップを走った東洋の市川は最後に失速したものの、まずまずの走り。序盤を突っ込んで入り転倒というアクシデントに見舞われながらも最後まで押し切って1時間をカットした中央の山下、また逆に後半に向けて足を溜め、残り3kmでスパートした山梨の田口の走りが光った。また大東大の高関は区間5位と健闘し、往路の嫌な流れをリセットさせた。

日大は実力者の池谷を起用してシード権を目指したが、浮上ならず。早稲田の加藤も1時間2分台と、ベストな状態ではなかったにせよ完全に期待外れの走りに終わった。そして日体大の高尾はブレーキとなり、一気に10位まで転落。日体大の上位進出の芽を潰してしまった。


7区
田中貴章(東洋)
石田亮(城西) 市岡敬介(青山学院)
小山大介(山梨学院) 早川智浩(日体大)
×梶原有高(学連選抜・松蔭)
柏原、宇野に続く2年生の選手として評判は高かった田中だが、大舞台で予想以上の走りを見せた。昨年同区間で区間賞を獲得した飛坂に続き、2年連続で東洋の選手が区間賞を獲得。細かいアップダウンと気温の上昇が続く難コースで、長い距離でも冷静さを保ちイーブンペースで走れる東洋の選手の強さが、発揮された格好だ。

そのほか、城西の石田、日大の井上、駒澤の撹上といったトラックで好記録を持つ選手が軒並み区間上位につけ、実力を示した。そんな中に混じり、青山学院の市岡が区間5位と健闘。青山学院の上位進出を決定的なものにした。一方上位陣では、山梨学院の小山、日体大の早川といった辺りの走りはやや物足りなかった。昨年活躍した梶原は残念ながらブレーキとなってしまい、学連選抜のシード権獲得という夢は潰えた。


8区
木之下翔太(中央学院)
土田純(大東文化) 赤染健(東海)
岩田真澄(山梨学院) 吉田和矢(日大) 小柳俊介(中央)
木之下の区間賞は、今大会で区間賞を獲得した選手の中では最大のサプライズと言っていい。東洋の千葉、駒澤の井上といった実力者を上回り、10000mのベストが30分台の選手が区間賞を獲得したその走りは、大健闘と言えよう。今大会はあまり明るい話題が無かった中央学院だったが、キャプテンが最後に見せた意地の走りは、必ず来年以降に繋がるはずである。

1秒差で区間賞を逃した東洋の千葉だったが、こちらも実力を発揮した見事な走り。昨年に続き、後半の遊行寺の坂を難なく攻略し、脚力の強さを見せた。その他、事前にほぼ名前が挙がっていなかった大東大の土田、東海の赤松がそれぞれ区間4位、5位と健闘した。一方上位陣の中では、山梨の岩田がやや実力を発揮できなかったか。


9区
高林祐介(駒澤) 河野健一(帝京)
中川剛(山梨学院) 遠藤寿寛(明治) 丸林祐樹(日大)
圧倒的な区間賞候補だった高林は、流石の走り。コンディションの整わなかった中央の斎藤を全く寄せ付けず、こちらも不本意な走りとなってしまった山梨の中川を力づくで振り切った走りは、圧巻だった。駒澤のエース格としての役割を立派に果たし、堂々の2年連続区間賞。年を追うごとに逞しくなっていった姿を、最後の箱根で見せつけた。

そのほか、城西の田中や東農大の田村といった有力選手に混じって、帝京の河野が区間3位に入った。トラックの記録と比べるとハーフのタイムが良い選手だが、長距離での適性を発揮し、復路のエース区間での起用に応えた格好だ。ラストでバテてしまった明治の遠藤、腹痛を抱えた日大の丸林は、厳しい走りを余儀なくされた。


10区
福島弘将(上武)
辻幸佑(中央) 藤山修一(駒澤)
高見諒(東洋) 渡辺真矢(明治) 福島法明(学連選抜・創価)
地味ながら23.1kmという長丁場で、スタミナのある選手が配される10区。その区間にエース格の1人を温存していたのが、上武大学だった。既にシード争いにも決着がついた後であったが、福島が素晴らしい走りを見せ、区間賞を獲得。8区の木之下や9区の高林同様、4年生としてチームに置き土産を残す結果となった。

同じく4年生の中央の辻、駒澤の藤山の激走も光った。特に藤山は6区でブレーキとなった昨年の借りを返して余りある走り。この1年で力をつけた事を印象づけた。無難に首位をキープした東洋の高見だったが、彼の実力からすれば区間賞を狙って欲しかったところ。練習不足の影響はあったにせよ、やや物足りない走りだった。



復路・総合総括
往路の段階であまりにも差がつきすぎたため、トップの東洋、2位~10位のチーム、そして11位以下のチームと、完全にレースが3分割されてしまった。そのため優勝争い、シード権争いともに殆ど盛り上がりを見せないまま終わってしまったが、内容としては非常に濃いレースとなった。

東洋は10区の高見こそやや不調だったものの、それ以外の選手は軒並み期待通りの走りを見せ、危なげなく優勝。脅威的なのは、箱根の経験の有無に関わらず、各選手が物おじすることなく着実に己の力を発揮し、走りきることだ。豊富な練習に裏打ちされたスタミナ、及び大舞台にも動じない精神鍛錬があってこその、あの走りだろう。6区を走った市川が、1年生にして「楽しかった」と自らの走りを振り返った事は、まさにその象徴である。

大津、千葉、高見といった2年続けて優勝に貢献した3年生、柏原を筆頭に宇野、田中らが力をつけた2年生、そして渡辺と市川が大舞台を経験した1年生・・・・と、今大会で主力を担った選手たちは、軒並み来年も出場してくることが予想される。柏原のみならずチーム全体が強化されており、今後2年ほどは、こと箱根に限っては東洋の黄金時代が続く可能性がある。


復路優勝を果たし2位に入った駒澤は、往路とは一転して下級生が強さを見せつけ、来年以降へ弾みをつけた。千葉と高林の区間賞をはじめ、全員が区間4位以内で走りきるという圧倒的な強さだった。昨年は復路に良いメンバーを残しながら惨敗してしまったが、今年は逆にそこで強さを発揮し、1年前の二の轍を踏まなかった。宇賀地や高林ら4年生は卒業してしまうが、今日快走を見せた千葉や撹上、井上らを中心に、強豪駒澤が復活する狼煙を上げた大会となった。

4年生を中心とした山梨学院は、復路の選手はやや期待外れだったものの、総合3位。モグスが抜けた後、日本人選手が着実に力を付けていることは出雲や全日本の結果からも明らかだったが、箱根でも上位に入ったことでそれを改めて証明。多くの経験者が抜ける来年は厳しい戦いも予想されるが、常に安定して上位で戦い続けた今大会は、1つ“モグス後”の山梨の足跡として意味のあるものとなった。

そのほか健闘したのは、悲願のシード権を獲得した5位の東農大、6位の城西。共に外丸、高橋という低学年時から活躍してきた絶対的なエースを擁しながら、それ以外の選手でも予選会で上位に食い込むような戦力が育ち、チーム全体の底上げがなった上でのシード入りとなった。いずれも昨シーズンとの違いは、3番手、4番手から10番手までの選手のレベルアップである。両エースが他部員を鼓舞して盛り上げる姿は、TV中継を通じても多く見られたはずだ。

そして殊勲のシード獲得となった青山学院。やはり2区での米沢の快走が光ったが、シード獲得の真の立役者は、1区、4区、5区、8区で起用されながら健闘を見せた、1年生たちだ。9区の川村は区間15位だったものの、その他の選手はほぼミスをすることなく、上位でレースを展開。来年に向けては米沢の穴を埋めるエースの成長が待たれるが、更なる上位進出の可能性を感じさせる大会となった。

往路でレースを盛り上げた明治は、残念ながら松本の出場は叶わず、復路では後退。2年続けてシードを守り、往路5区間に渡って首位争いをした点は評価できるが、北条、石川、安田、松本というエース格の4人が卒業。鎧坂は残るものの、来年に向けては他の選手の奮起が待たれる。

期待外れの結果に終わったのは、優勝候補と目されていた早稲田と日大。特に早稲田は本来レースに出場すべき選手のコンディションが上がらず、上位争いが出来なかった。昨年は矢澤と三田が区間賞を獲得、八木も区間2位の走りを見せ、入学当初から黄金世代として期待されていた2年生は、矢澤以外が今シーズンはまったく活躍できず。この結果を糧に、来シーズンのトラックシーンから奮起を期待したい。

posted by Alan Hetarade |17:09 | 陸上競技 | コメント(0) | トラックバック(3)
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