2009年12月02日

事業仕分けの見直しを強く望む

既に一般の報道でも大きく報じられている通り、昨日オリンピックのメダリストらが一堂に会し、記者会見が開かれた。先に行われた事業仕分けでスポーツ関連の予算が「削減が妥当」と判断された事に対する、抗議を表明した。

JOCが主導したにせよ、このようにアスリートたちが自ら前面に出てその言葉で事業仕分けの見直しを訴えた事には、まずそれ自体に価値があったと言えよう。残念ながら連日報道された事業仕分けの中で、このスポーツ関連予算はあまり話題に上っておらず、不肖ながら私も昨日の記者会見で、初めてこのような事があったというのを知った。おそらくそのような人が、殆どのはずだ。

さて、このようなブログを運営している者として当然ではあるが、私は今回の件に関して、全面的にアスリート、JOC側の主張を支持する。予算の削減など、もってのほかだ。そしてそこには、もちろんアスリートたちが主張するような面もふくまれているが、これまでも全くと言っていいほどスポーツに興味を示してこなかった政治が、今回このような立場でアスリートたちを切り捨てるような暴挙に出た事に対する、強い憤りもある。


そもそも、日本の政治家たちは、あまりにもスポーツに無関心である。無関心と言うと言いすぎかもしれないが、少なくとも諸外国に比べ、政治としてスポーツに関する取り組みを行ってこなかったことだけは確かだ。

ヨーロッパや南米、またはアジアなど、多くの国では“スポーツ大臣”という役職が存在する。もちろん内閣の中での役割、パワーバランス等については議論の余地があるだろうが、少なくとも日本に“スポーツ大臣”はいない。一応JOCを統括するのは文部科学省であり、文部科学大臣だが、彼らが何か日本のスポーツの問題に対し、政府として介入してきたかというと、そういった過去は無いと言っていいだろう。

昨日アスリートたちが訴えたように、そもそも日本はスポーツ関連の予算が非常に少ない。それを支えてきたのは、企業の支援だ。「実業団スポーツ」という日本独特の文化に支えられているスポーツは非常に多い。

だが昨今の不況で、スポーツから撤退する企業が相次いでいる。実業団スポーツの花形として栄えてきた駅伝などの陸上部は、名門の日産自動車や沖電機が廃部となるなど、如実に影響が表れている。それは社会人野球でも同じだ。F1からも、ホンダ、トヨタ、ブリヂストンが相次いで撤退を決めている。

さらにこの影響をモロに受けているのが、ウィンタースポーツだ。元々日本国内での関心度がそれほど高くないウィンタースポーツの世界は、数少ない企業の支援によって何とか成り立ってきた。だがその数少ない企業の中でも撤退する会社が相次ぎ、もはや日本国内で選手が活動を行うことすら難しくなってきている。スキージャンプの日本代表選手ですら、所属先が廃部となって退社した後、再就職するまでに半年もの期間がかかっている。

つまり今こそ、政治の力でアスリートたちを支援する時なのだ。これまで政府がないがしろにしてきたと言っていい、メダリストを官邸に招いて人気取りの駒として使うことしかしてこなかった政治家たちが、アスリートのために動くべきタイミングである。



ところが、だ。政治家たちが下した判断はその逆で、この不況時にさらにアスリートたちの首を絞めるような判断をした。

もちろん世論の動向を見れば、生活に直結しないアスリート支援より子供手当を、といった声もあるだろう。だが、何もかも生活生活と言っていては、スポーツ界にもロストディケイドが訪れてしまう恐れがある。不況の中だからこそ、スポーツで明るい話題を・・・・と思うのは、何も私だけではないはずだ。

またトップアスリートの活躍は、それ自体でスポーツ関連産業の業界の刺激にも繋がる。例えば北島康介らがアテネオリンピックで活躍した直後は、水泳ブームが訪れた。子供をスイミングクラブに通わせる親が増えたという。もちろん幼少期にスポーツを通じて子どもが学ぶ事は多く、心身の成長に繋がるし、全国のスイミングスクールは多少なりとも、その恩恵に肖ったはずだ。経済効果はあったと言えよう。


今回の事業仕分けが何より腹立たしい、と言うよりハッキリ申し上げて間違っているというのは、この判断が全くスポーツに関して無理解としか言いようが無い仕分け人、及び政治家たちによって下されたことだ。

「有名なスポーツならともかく、リュージュ、ボブスレーなどマイナーな競技にも補助が必要か」

まさに、スポーツに関して全く無知な輩にしか言えない発言だ。むしろ野球やサッカーなど、プロスポーツとして既に大きなマーケットを獲得しているスポーツほど、支援を必要としない。先ほど挙げた陸上や水泳なども、まだ状況はマシな方だ。不景気のあおりを真っ先に受け、協議継続が困難になるのは、マイナースポーツの選手たちだ。むしろマイナーなスポーツを行う選手ほど、補助が必要なのだ。


スポーツは常に我々の心に、興奮と、そして元気を与えてくれる。選手たちが国境の垣根を越えて奮闘する姿を見て、何か感ずるところがあるという人が、殆どのはずだ。

そのスポーツが何になるかというのは、分からない。トリノオリンピックでは、それまではそれほど関心が高く無かったカーリングが話題になったし、先の北京オリンピックでの大田の活躍も印象的だった。どの競技でも、世界を目指して戦っている選手たちはいる。少なくともJOCの下にある競技に対する補助は、行うべきだ。

もちろんそういった中で、以前協会が不祥事を起こしたテコンドーのような事件が起きないように、しっかりと予算のみならず、管理を行っていく必要がある。だが本来そういった役目を果たすべきなのにそれを怠り、挙句仕分けだ何だと声高に叫んで有識者でも何でもない烏合の衆をかき集めて予算を削るのは、まさしく政治の横暴だ。


このような場ではあるが、断固スポーツ関連予算の削減に反対することを、私は強く訴えたい。

posted by Alan Hetarade |07:44 | 競泳競技 | コメント(8) | トラックバック(1)
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2009-12-03 12:32 | 続きを読む
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Re:事業仕分けの見直しを強く望む

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私は選手には同情はするけど、JOC始め各協会は自分の襟も正せと思う。これまで本当に選手の為に金を使ってきたのか?必要以上にいるとしか思えない役員、中身の無い海外視察(役員の海外旅行?)、さらに森や石原等自民保守系政治家との関係を見れば、民主党政権がメスを入れたがるのは十分想定されていた事。
そして選手達にもあえていうが、政府にこれだけ言う以上自分達の協会・上部機関にも厳しい目を向けなければならない、本当に協会は自分達の為にお金を出してくれているのか、無駄に使われてはいないか。有力選手になればなる程、協会等上に逆らえないと言われるが、最初にもいったように自分達の襟も正さないと段々理解されなくなるよ。

posted by sakaetyauai | 2009-12-02 08:53

事業仕分けの見直しを強く望む

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まったくもって今回の事業仕分けに怒りを感じます。
景気不安定の中、企業がスポーツにサポート出来ない時代に、国がすべてのスポーツに対して支援していくべき!
こんな時代に予算削減とは…?
オリンピック競技種目のような、マイナースポーツほど国の支援が今以上に必要なのに?
このような状況では衰退していくばかりです…
メダリストには国からボーナスを出してもいいくらいなのに…
今一度考え直すべき(今回の事業仕分けで影響を受けた団体すべて)
事業仕分け人の無知さに呆れます。

posted by hayahaya | 2009-12-02 09:28

事業仕分けの見直しを強く望む

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ちょっと的外れな、短絡的なお怒りだと思います。

少々頭を冷やした方が良いかも知れませんよ。
確かにあの「ボブスレーなどのマイナーな云々」発言はスポーツ好きとしては到底受け入れがたいものです。

が、それと事業仕分けの内容や結果は別問題。
アテネの頃にバレーで問題になったように、役員がビジネスクラスに乗り選手がエコノミーで移動するというようなまさにその「使い方」が問題になってます。
スポーツ界の重鎮を自民党大物議員がこぞって占めているように、スポーツを隠れ蓑にした天下りが横行しているのも事実です。

そういうのを根こそぎさらう必要が絶対にあります。
そうして逆に選手にキチンと強化費が流れるシステムにする必要があります。


金メダリストがこぞって反対表明してましたが、ああいう浅はかな行為は止めた方がいいです。
金メダルという権威でモノを言ってはいけない。
スポーツを愛しつつも、スポーツを食い物にしている不届きな連中をまず排除する。
それが今一番大事なことです。

posted by 通行人C | 2009-12-03 12:43

事業仕分けの見直しを強く望む

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JOCの意見を全面的に支持する?うそでしょう?
そもそもアスリート自身に資金がつぎ込まれているなら、現在のJOCの主張を支持してもいいが、協会の役員や関係者と称する所謂、純粋な競技者以外がどれだけ存在していて、その人たちにどれだけの資金が使われているか・・・・役員がゼロでは協会運営ができませんが必要以上にはいりません。オリンピックの選手行進で一体どれだけの関係者が行進しているか・・・・・・そのようなスポーツゴロ(ブローカーなど)を強制的に排除してJOC自らが自浄作用を現実に実行したならJOCを支持しますよ。

posted by 襟を正す | 2009-12-03 19:59

>sakaetyauaiさん

コメント投稿者ID :

お返事が遅れてしまい、申し訳ございません。

仰る通り、その体質等においてJOCが抱える問題は多いと思います。ただ、本来そういった事が無いように監督者としての機能を果たすべき政治家は、これまで何もしてこなかった。これは自民党でも民主党でも同じです。そんな無責任な事をしておきながら、さらに無責任な決定で予算を削り、アスリートの首を絞める。本文にも書きましたが、私はまさに政治の横暴としか言いようがありません。

もしアスリート側に負担を求めるのであれば、まず政治家が自らの責任を果たしてからにしてほしい。それすらしていない、自分たちが本来するべき仕事すらしていないのに一方的に現場の予算を削るというのは、あまりに酷過ぎる話だと思います。

もっとも仰る通り、アスリート側ももっと自分たちの統括団体に対し、厳しいメッセージを発していかなければならないでしょうね。そういった点では今回自らアスリート側が上の決定に抗したことが1つの契機になれば、と思います。

posted by Alan Hetarade | 2009-12-09 17:59

>hayahayaさん

コメント投稿者ID :

お返事が遅れてしまい、申し訳ございません。

何と言うか、何も知らん連中が何も調べずに、何も知らないまま勝手な偏見で持って予算を削ってるのが、本当に横暴としか言いようが無いんですよね。元々知らないのは仕方ないと思いますが、せめてちゃんと調べてからものを言えと。

事業仕分け全体に言えることですが、総じて仕分け人、及び政治家側の勉強が圧倒的に足りないように思えます。官僚たちの説明力不足が指摘されても、その点を指摘するメディア、論調って少ないんですよね・・・・

posted by Alan Hetarade | 2009-12-09 18:01

>通行人Cさん

コメント投稿者ID :

お返事が遅れてしまい、申し訳ございません。

本来その「スポーツを食い物にしている連中を排除し、そのような者が暗躍しないよう監督する」のが、政治家、行政の役目なんですよね。でも日本の政治にそういった機能を果たすポストはありませんし、そういった事をしてきた政治家もいないんですよね。

まずJOCの体質をしっかり見直し、組織を再編する枠組みを作って、その上でこれまで無駄にかかっていた分の予算を削るのであれば、理解できます。しかし今回の事業仕分けでは数字の上で金を削っただけで、そういった組織云々の話はまったく出てこなかったんですよね。

無駄があるといって予算を削るのは簡単ですが、その無駄を無くすにはどうすれば良いかという具体論が何らなされていない以上、真っ先に金だけ減らすという結論を出すのは、私は順序が間違っていると思います。ましてや本文にも書いたような不況下でアスリートが置かれている現状を鑑みると、なおさらこの決定は間違っているとしか思えません。

posted by Alan Hetarade | 2009-12-09 18:06

>襟を正すさん

コメント投稿者ID :

お返事が遅れてしまい、申し訳ございません。

他の方へのコメントとも重複しますが、やはり私としては、順序が間違っていると思うんですよね。いたずらに数字上の金額を削る前に、本当に無駄だというのなら、JOCの体質改善、組織の再編を先にやるべきだろうと。金だけ削って組織の改編を促すという事なのかもしれませんが、そうであればJOCの自浄作用に期待している事になります。でも、JOCにそういうものがありますかね?

独立行政法人にしてもそうですけど、自浄作用が無い団体にメスを入れるのが行政の役目であって、そういった仕事をまるで放置しておきながら、スポーツに対してまったく間違った認識をもった連中が予算を削るのが、許せないのです。

また今回の件に関してはJOCの主張を支持していますが、決してJOCの体質に問題が無いと思っているわけではないということは、ご理解いただきたいと思います。

posted by Alan Hetarade | 2009-12-09 18:14

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