2009年06月13日
08~09プレミアリーグ総括 【ブラックバーン・ローヴァーズ】
Blackburn Rovers(ブラックバーン・ローヴァーズ) 勝ち点41 10勝11分17敗 40得点60失点 得失点差-20 監督:ポール・インス(1~18) サム・アラーダイス(19~38)
マッカーシー ペデルセン ディウフ ウォーノック アンドリュース トゥガイ ジヴェ オーイェル サンバ ネルセン ロビンソン
監督、攻撃、守備、補強、総合の各評価について、S~Dの5段階で評価 最優秀選手 Tugay Kerimoğlu(トゥガイ・ケリモール/MF/元トルコ代表) どちらかというと“功労賞”という意味合いが強い。38歳になっても世界一フィジカルの厳しさが求められるプレミアリーグの中盤において第一線に立ち続け、29試合に出場。衰えない闘士と運動量で中盤を駆け回り、時には鋭いミドルシュートも放って中盤のダイナモとして機能した。引退する間際まで一級の戦力として活躍を続けた点は、アスリートとして本当に素晴らしい。来シーズンからはヒューズ監督の下、マンチェスター・シティーでコーチに就任することが決まっている。 監督:C 期待された若手監督のインスだったが、残念ながら結果を残すことはできなかった。開幕直後はまずまずの出足だったが、不審に陥った中で打開策を見いだせなかった。ポーツマスのアダムズにも言えることだが、苦境に立たされた中で指揮官としての経験不足が出てしまった格好だ。 後を受けたアラーダイスは素早くチームに刺激を与え、モチベーションを高めて粘り強い戦いができるようチームを立て直した点は評価できる。この辺りは、インスとのキャリアの違いが為せる業といったところだろうか。しかしスカッドの特徴を無視し、サンバのトップ起用などで強引な放りこみを強い、相変わらず戦術オプションの引出が皆無であることが露呈してしまった。来シーズン以降の上位進出に向けては、懐疑的にならざるを得ない。 攻撃:C ベントリー離脱、アラーダイスの監督就任により、1つの型が消えてしまった。開幕時はウォーノックの好調も手伝ってよりSBを生かした形でのクロスボールが増えるかと思われたが、インスはその路線を徹底できず、中途半端な立場に置かれたペデルセンはうるささが鳴りを潜めた。またサンタ・クルスが相次ぐ怪我で満足にプレイできなかった最前線は、常に人員が流動的になった。 アラーダイスが監督に就任すると、明らかにチームに合っていない放りこみを実行。結果を出していないわけではなかったマッカーシーをスタメンから外してサンバをトップに起用するなど、愚の骨頂とも思えるような采配を見せた。ディウフにベントリーの代わりが務まらなかったにしても、もう少しマシな戦術オプションがあったはずだ。そのような軸がぶれまくっている戦術の中で散発的ながら10ゴールを挙げたマッカーシーは、健闘したと言える。 守備:C 60失点はウェストブロム、ハル・シティーに次いで多い数字だ。中盤のフィルター役としてここ数シーズン活躍していたダンとモコエナが負傷もあって満足に出場できず、アンドリュースやトゥガイが奮闘するのみとなったが、やはり他チーム相手には厳しかった。 また最終ラインは屈強な選手が揃い、フィジカル勝負では強さを発揮したが、ドリブルにしろパスにしろ足元での勝負が致命的なまでに弱く、失点を重ねる最たる要因となった。ゴールマウスを守るロビンソンはスパーズ時代末期の不振を克服し、前任者フリーデルほどではないにしろ、まずまずの活躍。もう少し下手なGKがゴールを守っていれば、降格していた恐れもある。 補強:D やはりベントリーの穴を埋められなかった点が大きい。夏に本職のウィンガーを獲得せずシーズンに突入してしまったことは大きな失敗であったし、サンダランドからローンで獲得したディウフも、戦力になっていたとは言い難い。またサンタ・クルスが活躍できなかったストライカーのポジションに関しても補強が必要だったはずで、冬にダービーシャーをローン付きとはいえオリンピアコスに放出しながらなぜここが手つかずだったのか、不思議でならない。 シーズンを通してレギュラーで活躍したと言えるのはGKのロビンソンとインスがMKドンズから連れてきたアンドリュースくらいで、チームに刺激を与える選手を誰1人として獲得できなかったという点では、財政的な問題があるにせよ強化部門を評価することはできない。 総合:C やはり広く言われるところではあるが、マーク・ヒューズ体制下での1つのサイクルが終わった事を印象づけられたシーズンであった。チームの象徴であったベントリーやフリーデルが移籍し、トゥガイが引退。“再生工場”と呼ばれ、掘り出し物の選手を安価で獲得しては上手く使いこなしていたヒューズの姿はもはやベンチには無く、アラーダイスが退屈かつ非現実的で勝ち目の薄い放りこみを強いた。トゥガイやペデルセンが時折見せたパス回し、また激しく相手を削るオーイェルの姿などにはまだヒューズ時代の面影を見る事が出来たが、それも来シーズン以降は急速に消え失せていくであろう。 オフの動きなどを見ていてもチームを強化できるほどの資金がクラブにあるとは思えず、残念ながらここから数年は、ヨーロッパ行きを夢見ていた過去数年とは一転し、毎年残留を現実的な目標として戦うシーズンが訪れそうだ。空席が多く寂しいスタンドやホームグロウンの若手選手が少ないことなどもあり、チームの見通しが明るいとは言えない。 私は今シーズンのベストゲームには、敗れこそしたものの、2月のマンチェスター・ユナイテッド戦を挙げたい。オーイェルの積極的なパスカットからサンタ・クルスが素早く抜け出し、ファン・デル・サールの無失点記録を破ったあの一連のプレイは、まさにヒューズ体制下でブラックバーンが強いた、ハードチャージをベースに縦に素早く展開するフットボールが見られた、最後の瞬間であった。在り来たりな表現ではあるが、線香花火が落ちる刹那に放つ、最後の輝きであったように思えてならない。
posted by Alan Hetarade |16:19 |
FAプレミアリーグ |
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