2009年02月28日
3バックの虚を突いた鹿島 【ゼロックス・スーパーカップ】
Kashima Antlers 3-0 Gamba Osaka 【K:7.Shinzo Koroki, 15.Marquinhos, 40.Takuya Nozawa】 ◆完全に裏目に出た3-5-2◆ 大方の予想通り、3バックで臨んできたガンバ。この弱点を突こうとする鹿島の姿勢は、試合開始直後から明確だった。 ホイッスル直後、攻め立てたのはガンバだった。高いポジションを取る内田の裏を狙い、安田が積極的に仕掛ける。いつものようにキープ力のある中盤でポゼッションを増やし、展開するガンバ。対する鹿島はボールを奪うとことごとく興梠、マルキーニョスに放り込んでいく。 そして得たCKから7分、岩政が山口と競り合いながらボールを落とす。藤ヶ谷がここに突っ込んできたがボールに触れず、落ちた球に興梠がうまく体を倒しながら合わせ、鹿島が先制。さらにサイドのスペースを突いて試合のペースを握ると15分、興梠が左サイドでボールをキープ。パスを受けた新井場がクロスを上げると、マルキーニョスが半ば強引ながら押し込み、あっという間に2点をリードした。 この時間帯は、まさに3バックの弱点、サイドのスペースを見事なまでにガンバは突かれてしまった。寺田、安田の両ウィングは攻撃的なポジションを取ったために裏にスペースが出来てしまい、3バックもそれをカバーできなかった。興梠のスピード、マルキーニョスの強さを生かしつつ、鹿島は巧みにそこを攻め、瞬く間に試合を決めてしまった。 ◆孤立するウィング◆ 2点を取ったことで鹿島もやや気が緩んだのか、この後攻守の切り替えがやや遅くなり、ガンバが再びポゼッションで上回るようになる。2トップ+遠藤という前線の3人に加え、明神、橋本というCHのいずれかが攻撃参加したときに、チャンスが生まれる。22分には橋本が惜しいミドルシュートを放った。 しかし大半の時間、ガンバの攻撃は行き詰っていた。ウィングの寺田、安田がボールをキープしても、4バックの時にはそこにSBがサポートに行くのだが、この試合では3バック、誰もサポートに行かない。孤立した寺田、安田は独力で突破を試みなくてはならなくなり、数的有利を作った鹿島の守備網にことごとく引っかかった。 サイドでの攻撃がうまくいかず、時間が経つにつれガンバの攻撃は中、中へとシフトしていく。だが結局、今度は中央に選手が固まりすぎたために“詰まった”状態になってしまい、これまた人数をかけた鹿島の守備陣に引っかかる。遠藤や橋本がピッチを広く使う形でプレイメイクをする本来のガンバの姿が、見られない。山崎もスペースが無いために、本来の動き出しができなかった。 勿論その間も、やや散発的にはなりながらも鹿島はサイドのスペースを突いてくる。2トップを軸に、そこにSBを絡めてチャンスを作り出す。ガンバとは違い、ボールをキープした選手に対し必ずサポートに行く選手がいる。40分、ダニーロのスルーパスから上手く抜け出した興梠が山口をかわし中央へ折り返すと、野沢が冷静にそれを流し込んだ。 ◆3バックを諦めた西野監督◆ 後半に入るに辺り、西野監督がまず選手交代。中澤と高木を下げて、パク・ドンヒョクと播戸を投入。安田がLB、橋本がRBに下がり、ルーカスが左に出ての4-4-2となった。 これでガンバはようやく、攻守において形を作れるようになった。ルーカスがボールをキープし、安田がオーバーラップしていく形で、サイドに人数をかけて攻撃を組み立てられる。またサイドのスペースを埋めたことで、鹿島の速攻を防いだ。また中央にスペースができ、下がり目になった遠藤がボールを捌けるようになったため、落ち着いてポゼッションできるようになった。ただし遠藤は決して広い視野でボールを捌いていたとは言えず、まだまだ試合勘という点でベストではなかったのだが。 3点取ったこともあるが、アントラーズの後半の方針もハッキリしなかった。マルキーニョスは強いので一応ボールはキープできるものの、今度はガンバのバックラインも人数を揃えており、前半のように決定的なチャンスを作り出せるには至らない。サイドで数的有利を作り出せばチャンスにはなるものの、疲れもあるのか、後半はSBのサポートがやや遅いように感じられた。 結局、手元の集計ではあるが、後半の鹿島はシュートが0本だった(ブロックは除いているので、厳密に言うと0ではないのだが)。ポゼッションでそこまで極端に劣っていたわけではないし、ゴール前にボールを運ぶシーンが無かったわけではないが、如何に後半の鹿島が、決定機を作り出せなかったか。もっともこの試合の位置づけを考えれば、3点差がついた後半、パフォーマンスが落ちてしまうのは致し方ないことではあるが。 ◆“縦への動き”しか無い播戸◆ 時間が経つにつれ、ガンバの前線も硬直化が著しくなってくる。山崎、播戸は前線に張り付いたままで、中盤との有機的な連携がなかなか見られない。山崎は疲れもあっただろうが、播戸の動きに工夫らしい工夫が見られない点が、途中から気になった。 70分、西野監督は山崎を下げて佐々木を投入。これに伴って寺田が中央に入り、播戸が1トップで前線に張る4-2-3-1と、またまたフォーメーションを変えてきた。しかしこの辺りになってくると、遠藤、明神あたりの疲れが著しく、またプレイの判断も緩慢になってくる。左サイドでせっかく安田がフリーになっているのにボールが出なかったり、サイドにボールが出るにしてもそこまでの手数が多く時間がかかりすぎる、といったシーンが何度か見られた。 そんな中で気になったのが、播戸の動きだ。判定に対しては人一倍大きいアクションで不満を露わにしていた播戸だが、流れの中ではまったく機能できなかった。頻繁にラインの裏を狙おうとする動きを見せるものの、それがパスの出し手からすれば不可能としか言いようがないタイミングで、難しい位置でパスをもらおうとする姿は、先日までリヴァプールにいたロビー・キーンのそれを彷彿とさせた。要するに、動きのバリエーションが少ないのだ。 チェイシングもまったくしていなかったわけではないが、自分が追いかけるべき場面でそれを山崎や佐々木に任せたり、曽ヶ端が足元でボールをキープした際、すかさずチェイスに行くべきところを暫く放置してしまい、ガンバサポーターの大歓声と共に突然思い出したように駆け出すなど、集中を欠いているシーンが多々見られた。交代で入った選手としての役割を自覚し、それを実行していたとは言い難い。シーズンに入っていくに辺り、厳しくなるであろうストライカーのポジション争いで本当にアピールする気があるのか、その資質を問われるパフォーマンスとなってしまった。 こうして後半、ガンバがほぼ一方的に押しながらゴールを奪えないまま、試合終了のホイッスルが吹かれた ◆鹿島は及第点、ガンバはこれを刺激に・・・◆ Jリーグ開幕を見据えてという点で言えば、鹿島はまずまず思った通りの試合が出来たと言えるだろう。特にチームの顔である2トップ、興梠とマルキーニョスのコンディションが良いことは証明されたし、そこに絡んでいくSBの連携も良かった。中盤では青木、増田のフィルターがよく機能し、ガンバの攻撃陣を手こずらせていた。後半パフォーマンスが落ちてしまったのは、致し方ないだろう。ひとまずJ開幕に向けて、状態が整ってきていると言える。ただし、ストライカーはやっぱり人員過多だと思うのだが。 対するガンバの方は、もう終わったことは諦めるしかないだろう。3バックは完全に失敗だったが、少なくとも3バックは駄目だという事が分かったという点を、ポジティヴに捉えるべきだろう。おそらく今後、如何に怪我人が出ようと2度とやらないはずだ。 まだ各選手のコンディションが上がりきっていない印象があるため、開幕からのスタートダッシュは難しいだろう。ただ、実力があることには違いない。間違いなく、優勝候補である。昨日も書いたとおり、Jリーグは突出した戦力を持つチームが無いため、今年もシーズン終盤までもつれることが予想される。補強や若手の台頭によって選手層が厚くなっていることは確かなのだから、焦らず徐々にコンディションを整えていき、シーズン終盤にはトップ争いが出来る位置につければいい。悪い面もたくさん出てしまったが、ゼロックスはその第1歩と位置付ければ、今日の敗戦もそう悲観すべきものではない。
posted by Alan Hetarade |17:20 |
Jリーグ |
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3バックの虚を突いた鹿島 【ゼロックス・スーパーカップ】
コメント投稿者ID :
諸所の事情があったとはいえ、急造の3バックで鹿島に戦いを挑むと言うことはいくらガンバといえども厳しかった、ということでしょうね。
前半は鹿島はその3人の両サイドのスペースを仰るとおり見事についてきましたね。
後半明らかにペースダウンしましたが、点差やコンディションなどを考慮すると、同じく致し方ない部分があるかと思います。
ガンバは後半4バックに戻してからはチームのバランスは良くなりましたが、播戸と佐々木の起用は逆だったほうが面白かったかもしれませんね。もちろん結果論ですが。
ガンバ自体はこの結果を必要以上に気にする必要性は無いと思いますが、まだコンディションやパフォーマンスが戻りきっていない遠藤の状態が気になるところです。
posted by M.Y.Prez. | 2009-02-28 20:26
>M.Y.Prez.さん
コメント投稿者ID :
正直ちょっと3バックはキツかったですし、逆に言うと点を取られたのは3バックだった時だけなわけですから、ガンバの守備陣は評価しにくいですね。ただ鹿島のアタッカー陣の動きが良かったことは確かですし、鹿島の側は逆に前半の出来で手ごたえを掴んだのかな、という気がします。
播戸はちょっと1トップではキツそうだったというか、これじゃあ点は取れないわなーといった感じでしたね。佐々木は出場時間が短かったので何とも言い難いのですが、もう少し彼が中に絞っていっても面白かったかな、とは思います。
遠藤はすぐ代表にも呼ばれたわけですし、ちょっとシーズン序盤は苦労しそうですね。個人的には、代表の召集が早すぎだろ・・・・と思ってはいたのですが、まぁゆっくりで良いんで徐々に調子を上げていってもらいたいところです。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-28 23:43
Re:3バックの虚を突いた鹿島 【ゼロックス・スーパーカップ】
コメント投稿者ID :
こんばんは。昨日コメ書かせて頂きましたが、スコアレスどころか大差なスコアに…。
まさに3バックの弱みを突かれましたねえ。
あのスペースは事前の意思確認及び、試合中にはキーパーのコーチングとDFリーダーの統率で消すべきでした。
修正の甘さはいかにガンバファンとはいえ失望しましたよ。大分の西川、森重が欲しい…嫌われますが。
攻撃に関してはボックスフォワードが欲しいなあ…と。
posted by @兵庫と大阪の間 | 2009-03-01 02:35
>@兵庫と大阪の間さん
コメント投稿者ID :
2日しか練習しなかったという事ですし、下手に4バックで崩されるよりは、言い方は変ですがまだ救いのある負け方だったのかな、と思います(笑) 前の世代と違ってクラブレベルでも4バックの中でのCBとしてならした選手ばかりでしたし、仰るとおりコーチング等も含めてそういった3バックの弱点を埋められるだけの経験が無かった、という事なんでしょうね。
先日ちょっと書きましたが、JリーグはGKのレベルが総じて低いですからね~。曽ヶ端もネットでの評価は高いですが、個人的にはまだまだミスが多いと思いましたし。その辺り、頭を抱えているチームやファンは多そうですね。
posted by Alan Hetarade | 2009-03-01 21:58
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