2009年02月25日
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
Internazionale 0-0 Manchester United ◆浮足立つインテル◆ キックオフ直後から試合のペースを握ったのは、ユナイテッドだった。右サイドではロナウドが今シーズンでは一番かと思うような、軽快なドリブルを披露。サントンを完全に振り切り、チャンスを作った。また中央ではギッグス、ベルバトフが巧みに縦の関係を利用し、入れ替わりに波状攻撃を繰り返す。左サイドからはパク・チソンに加えエヴラが積極的にオーバーラップ、さらにCHのキャリック、フレッチャーも積極的に前線に顔を出し、インテルの守備陣は完全に混乱に陥った。 結果、インテルの守備陣はこれらをファウルで止めるしかなくなり、序盤はロナウドのFKショーと化した。ユナイテッドの守備陣が殆どファウルなくマイコン、イブラヒモヴィッチ、アドリアーノらからボールを奪うのとは対照的に、カンビアッソ、キヴ、サネッティといったインテルのフィルターは、ファウルでしかユナイテッドを止められなかった。 おまけに最悪だったのが、欠場のサムエルに代わって起用されたCBのリヴァス。26分にはギッグスとの1対1の場面で軽率な対応をして転んでしまい、ジュリオ・セーザルがスーパーセーブで防いだからよかったものの、ギッグスにゴール前3mにまで迫られてしまった。相棒が不安定であれば、キヴもそちらに気を取られてしまう。29分、右サイドからのクロスボールに対し中央で完全にフリーとなったロナウドが頭で合わせる。ジュリオ・セーザルはまったく反応できなかったが、シュートは辛くも右に外れ、事なきを得た。 インテルはまったく突破口が見いだせなかった。ユナイテッドはCBのファーディナンド、エヴァンズのみならず、キャリックやフレッチャーも労を惜しまずイブラヒモヴィッチ、アドリアーノに身体を当て、ファウルなくボールをカットしていく。一方左サイドのムンタリとサントンはいずれもブレーキに。右サイドではマイコンが懸命に突破口を見出そうとするも、そこに絡んでいく選手がサネッティしかおらず、必ず数的不利に陥り決定的なボールを供給できない。 前半のインテルは正に「手も足も出ない状態」だった。 ◆堅守あってこその・・・・◆ 後半開始にあたり、モウリーニョ監督はリヴァスを諦め、コルドバを投入。本来であれば試合途中でのCBの交代というのはリスキーなものだが、それを補って余りあるくらい、前半のリヴァスは酷い出来だった。 これでインテルは一安心したのか、途端に攻勢に出る。まず良かったのが、イブラヒモヴィッチが左サイドに流れてチャンスを演出する動きを、前半よりも徹底させたことだった。イブラヒモヴィッチはファーディナンドとの1対1では封じ込まれたが、レギュラーではないRBのオシェイに対しては、突っかければほぼ抜けるという状態だった。サントンは守備に専念し、左サイドはイブラヒモヴィッチとムンタリで崩すという形を見出し、おもに2人でチャンスを作った。ただしムンタリは後半に入ってもクロスの精度がめちゃくちゃで、相変わらずブレーキになっていたが。 一方右サイドでもマイコンの突破が奏功し始める。それにはマイコン個人のみならず、カンビアッソが積極的にパク・チソンからボールを奪い、それをすばやくマイコンに預けることで、ただボールを回すだけではなくスペースに向けて、マイコンが長い距離のドリブルを仕掛けられるようになったからだ。 後半はこのようにカンビアッソ、サネッティ、スタンコヴィッチが中盤できちんとボールを奪取できるようになり、必然的に2トップにボールが収まる機会も増えた。またユナイテッド得意のカウンターからピンチも招いたが、サントンは本来の輝きを取り戻しスピードを生かした冷静な対応そ見せ、またキヴもそのカバーリング能力をいかんなく発揮。コルドバも75分、ギッグスのゴール正面からの決定的なシュートに対し身体を投げ出してこれを制するなど、インテルの最終ラインは連携して粘り強さを見せた。 守備の憂いが解消されれば、中盤の選手も積極的に前に飛び出していける。後半のインテルが攻勢に出られた要因、また2トップにボールが収まる機会が増えた要因は、スタンコヴィッチ、カンビアッソといった辺りがより2トップに近い位置でプレイする機会が増え、前半とは異なり攻撃に厚みを持たせることができたからだ。特にカンビアッソの運動量は格段に増加し、攻守にわたり大車輪の活躍を見せた。 ◆勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド◆ ゲーム終盤、それぞれの“目標”を達成するための、選手交代。ここでモウリーニョ監督、ファーガソン監督が取った手は、対照的なものだった。 76分、まずインテルが選手交代。ムンタリとアドリアーノを下げ、バロテッリとフリオ・クルスを投入、4-3-3にシフトした。言うまでもなく、3ポイントを狙う姿勢を明確に示した。 対するファーガソン監督は、ぎりぎりまで動かない。ようやく83分、パク・チソンに代えてルーニーを投入。しかしこれは積極的な交代とは言えず、確かにカウンターにおいてルーニーにチャンスを作らせるという効果もあったにせよ、決して前線の枚数を増やしたわけではない。試合終了間際にはスコールズがアップのペースを速めたが、結局ピッチには投入されないまま、ロナウドのFKをジュリオ・セーザルが弾いたところでホイッスルが鳴った。 この試合がサン・シーロで行われたことを考えれば、ゲーム終盤で両監督が採った采配は、当然といえば当然のものである。モウリーニョ監督は勝利を得るための選手交代をし、ファーガソン監督はうまくいっている守備陣には手をつけず、運動量が限界に達していたパク・チソンを下げてルーニーを入れるという、極めてソリッドな策を打った。繰り返しになるがこれは両監督としては当然の手であり、そして重要なのは、それを踏まえた上でこのゲームがスコアレスドローに終わったという事である。 ◆インテルはウィークポイントを徹底的に突くべし◆ オールド・トラッフォードでの試合は、間違いなくユナイテッドの方が有利だろう。ネヴィルをはじめとした怪我人がどれくらい戻ってくるかは未知数だが、少なくともこの試合より戦力が整うことは間違いない。ヴィディッチもサスペンションから復帰するし、次はルーニー、ベルバトフの2トップで、より積極的にインテルのゴールを脅かすことだろう。またこの試合で露見したハイクロスへの対応の甘さについては、オールド・トラッフォードでの決戦に向け、インテルは修正をしなければならない。 では、インテルが勝つにはどうすればいいか。それはこの試合の後半、イブラヒモヴィッチが対オシェイにおいて相手を圧倒しては繰り返し決定的なチャンスを演出したように、ユナイテッドの弱点、綻びを徹底的に突くことである。 正攻法では、ほぼノーチャンスと言っていい。アドリアーノとイブラヒモヴィッチの個人能力に任せただけの前半の攻撃では、ユナイテッドの守備を突破することはならなかった。守勢に入ってから前線に単純にボールを放り込むだけのカウンターでは、通用しない。たとえばロナウドがオーバーラップして出来たスペースに対し、サントンが多少リスクを冒してでも突っかけていき数的有利を作るだとか、そういった攻撃が求められる。 またオールド・トラッフォードの雰囲気に物おじしてずるずるとラインを下げるだけでなく、より高い位置でボールを奪い、素早く展開していくことが重要だ。この試合の後半、カンビアッソやサネッティが見せたように、献身的な守備からいい位置でボールをカットすれば、チャンスを作ることができる。不発だったムンタリと合わせ、3センターのフィルターがきっちり機能すれば、ノーチャンスという事はない。 何より、試合中すべてとは言わないが、時にはリスクを冒してでも人数をかけて、中盤の選手が積極的に2トップをサポートすることが必要だ。インテルは勝ちに行って引き分けてしまったとはいえ、とにかくユナイテッドのアウェイ・ゴールを0に抑えたのだ。これを生かさない手はない。最初からスコアレスのPK戦狙いにいくのではなく、守勢の中でも先にアウェイ・ゴールを奪い、逆にユナイテッドを追い詰めてやろうという野心を常に抱いてプレイできるかが、重要となる。 虎穴に入らずんば虎子を得ず――――まさしくこの心意気が、オールド・トラッフォードでのインテルには求められることになる。
posted by Alan Hetarade |17:53 |
UEFAチャンピオンズリーグ |
コメント(18) |
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勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
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評論家気取りか
posted by 、 | 2009-02-25 19:11
>、さん
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気取っているつもりもありませんが、とりあえずこの試合を見た上での、小生なりの所感を書いたまでです。
何か問題点があるのであれば、指摘していただければ幸いです。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-25 19:20
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
コメント投稿者ID :
自分はヘタレイド様の口調好きですよ。ただ普通にレポートするだけじゃ面白くないし、何より下手な日本語サイトの試合レポより詳細に正確に伝えてくれてるのがありがたいです(笑)
マンUはアウェイゴール取れなかったのが不気味ですね。ただ、次はOTなので普段通りのゲームが出来れば勝てると思います。次はルーニーも万全の体調に戻っているでしょうし、ヴィディッチも戻って来ますしね。インテルはどうなんでしょう。中盤にもっと変化を付けられる選手がいた方がいい気がするんですが。例えば、ヂエゴとか。CLで勝ち進めない原因は決して偶然じゃないとちょっと思いました。
posted by ホワイト | 2009-02-25 19:43
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
コメント投稿者ID :
こんばんは、初めまして。
興味深く拝見させていただきました。
「評論家気取り」の1人としての意見を言わせてもらえば…
ルーニー&ベルバトフの2トップになったとしたら、逆にインテルにチャンスが出来るんじゃないかと思います。インテルは中盤をメイン使うサッカーですから。それに今日の試合では、不気味なギグスが物凄く効いていたように思うからです。
正直、最近のマンU(4-4-2)の攻撃は単調ですからね。ロナウドなんて、フリーキッカーに転職しちゃったみたい(-_-;
また読みに来ます。大変でしょうが頑張ってください。
posted by チェルシー大好き | 2009-02-25 20:05
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
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どちらも守備陣に離脱者を多く抱えていることもあってどうなることかと思いましたが(ユナイテッドはある程度慣れてる?だろうけど特にインテル)、ジュリオ・セーザルが神がかってたみたいですねー。
ユナイテッドの日頃の安定感を見ると、前年優勝チームのジンクスなんて簡単に打ち破りそうにも思えてしまいますけど、モウリーニョだけにちょっと期待してみたりとか…。
あ、でもアドリアーノのネタにも期待したいかも(笑)。
(゜∀゜)
今日のネタ担当はトルドだったみたいですが(笑)。
posted by がちゃ | 2009-02-25 20:31
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
コメント投稿者ID :
60分はユナイテッドが支配していたと思います。モウリーニョは2回もOTへ敵情視察に来ていたのに、あまり対策ができてなかったような。もしくはあれがベスト(DF以外)だとしたらあまりにバリエーションのない攻撃だ。
posted by sami | 2009-02-25 20:38
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
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こんばんわ。
〉単刀直入に言って、やっぱりこの試合の勝敗を決するのはタイトルにもあるとおり、両チームとも欠員が出ている最終ラインの出来如何だと思うのです。
〉個人的に勝敗云々を抜きにして一番楽しみにしているのが、マイコンvsエヴラのどつき合いであります(笑)
前のヘタレイドさんの記事[インテルvsユナイテッド、手負いの最終ラインが鍵?]からの引用です。これについては、どんな感想を持ちましたか。今回の記事ではあまり触れられていませんが…
posted by Zorro | 2009-02-25 21:53
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
コメント投稿者ID :
ヴィエラもそろそろ戻ってくるんじゃ~往年の存在感があればジョーカー的な存在にはなるんじゃないかと
ローマは負けたんで大将格のインテルがこの出来だとイタリア勢は不安だがなんとか頑張ってもらいたいです
posted by タッディ | 2009-02-26 01:44
>ホワイトさん
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たぶんユナイテッドが勝つとは思うんですが、アウェイゴールが無いってのが悪い伏線と捉えられなくもないんですよね。まぁとりあえず、ファーストレグであっさり勝負がつかんで良かったです(笑)
インテルはけっこう無骨なスタイルですからね。ヂエゴも面白いかもしれませんが、クアレスマ、マンシーニをあのモウリーニョですら使いこなせなかったという点では、チーム全体として人を選ぶと思うんで、誰がフィットするかというのは難しいところだと思います。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 02:16
>チェルシー大好きさん
コメント投稿者ID :
ありがとうございます。今後もご贔屓にしてくださるよう、精進してまいります。
ルーニー、ベルバトフの2トップになったときの守備面については、自分も同じことを考えました。ただルーニーの攻守にわたる運動量は半端ないですし、ベルバトフも最近がつがつとではないにしろかなり守備をしますからね。2トップの配置にしても、前に2人並べるのではなく、おそらくこの日のギッグスの位置にベルバトフが入り、トップはルーニー1人、といったような感じになるはずですから、ここで中盤が薄くなるということはないと思います。むしろCHの攻撃参加がどうなるか、そこで隙ができるか、ということがポイントになりそうな気がします。
あとユナイテッドの前線はルーニーがいるのといないのとでは別物ですから、その辺がこれからの試合でどうなっていくか、見ものですね。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 02:22
>がちゃさん
コメント投稿者ID :
ユナイテッドはオシェイはともかく、エヴァンズが普通に出てきて普通にやってしまったので、殊の外まともでしたね(苦笑) インテルはリヴァスが酷すぎましたが、本当にジュリオ・セーザルが頑張っていました。
順当にいけばつユナイテッドの勝ち抜けなんでしょうが、おっしゃる通り監督がモウリーニョですし、アウェイゴール無しってのが不気味ではあります。
今回はダークホースのトルドがネタをやらかしてくれましたが、次はいよいよアドリアーノの本領発揮ですかねぇ。またここで、マテラッツィあたりがマクってこなけりゃいいんですが(笑)
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 02:28
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
コメント投稿者ID :
よ 評論家
ルーニーを最初から使って欲しかったです ファガソンさま
つまみ食いみたいなニュースのフィルムしか観てませぬ
が
インテルのキーパー 好いす
この引分けでマンUの勝ちぐせにもケチがついてせめてドロー街道まっしぐら なんて ならないかしら
posted by candy | 2009-02-26 02:33
>samiさん
コメント投稿者ID :
結局、そうやって研究してもなかなか穴が見つからないってのが、今のユナイテッドなんでしょうね。並のチームならインテルの選手が1対1で負けることはまず無いんでしょうけど、ユナイテッドはそうじゃない。そういう点で、普段は半ば力づくでやっているインテルの選手が戸惑った、という事だと思います。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 02:35
>Zorroさん
コメント投稿者ID :
まず前者については、強調はしませんでしたが文中でだいたい触れたつもりです。前半はユナイテッドの守備陣が堅実にやったのに対し、インテルはリヴァスが不安定で、この点での不安が当たってしまった。一方後半に入ると、インテルがコルドバ投入で落ち着いたのに対し、ユナイテッドはオシェイが1対1での弱さを見せてしまった。そう考えると、やはり最終ラインの“穴”がゲームのペースを変える1つのポイントになったかな、という気がします。
そして後者ですが、ゲーム中のマッチアップはむしろマイコンvsパク・チソンというものの方が多かったです・・・・が!試合後マイコン&エヴラでユニフォーム交換してたんで、それ見てニヤリとしてました(笑)
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 02:41
>タッディさん
コメント投稿者ID :
ヴィエラはどうですかね~。セリエAでも自分が見た試合ではあんま出てないんですが、CLでまた意地を見せるシーンがあるのでしょうかね。
流石にここでイタリア勢全滅なんてことになったらあんまりだと思いますからね・・・・ 自分はイングランド最優先ですが、イタリアも1つくらいは残っといて欲しいですね。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 03:07
>candyさん
コメント投稿者ID :
ルーニーは、とりあえずドローで良かったから使わなかったてのと、あとは無理をさせなかったのでしょうね。セカンドレグではスタートから出るはずです。
ユナイテッドはドローだったものの内容は問題なしなんで、たぶん勝ち続けるでしょう。ただ週末は、リーグカップ決勝戦ですからね。スパーズが気合いで1発当てられるかどうか、気になるところです。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 03:16
勝ちに行ったインテル、守りに入ったユナイテッド
コメント投稿者ID :
応答、ありがとうございました。
でも、ちょっとイタい答ですね。実は、海外のサッカー解説者のコメントやネット記事を、その時々でかなり参考/引用されてませんか。
posted by Zorro | 2009-02-26 09:46
>Zorroさん
コメント投稿者ID :
現地の意見の流れを知るうえで、勿論海外の記事も参考にしていますし、国内の雑誌や解説者のコラム等も読んでますよ。が、一応当ブログの記事は、自分なりの文章で書いているつもりです。もちろんそれらの情報を咀嚼したうえでの、ということにはなるので、そう思われてもいたしかたない部分があるのかもしれませんが。
posted by Alan Hetarade | 2009-02-26 20:45
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