2009年01月03日
冷静さ保った東洋に軍配 【箱根駅伝復路】
6区 ○佐藤匠(大東文化) 板垣辰矢(帝京) 川内優輝(学連選抜・学習院) △加藤創大(早稲田) 藤山修一(駒澤) 芳村隆一(東海) 6人が1時間をカットするという、過去にないハイレベルな争いとなった。昨年も活躍した佐藤はタイムを縮めて区間記録を獲得。前日の5区に続き、奈良監督の下“山の大東”が完全復活したことを印象づけ、復路のレースに勢いをつけた。帝京の板垣、学連選抜の川内も、後半区間へもたらした影響は大きい。 東洋の富永をかわし首位に立った早稲田の加藤だが、わき腹痛で不本意な走りになったことは間違いない。本来この区間でもっと貯金が作れるはずだった早稲だのレースプランの狂いは、後々にも響いた。 追い上げが期待された駒澤の藤山、東海の芳村もピリッとしない走り。特に藤山は着実に襷を繋ぐことが求められたが、ラスト3kmで失速。見事に6区の罠にはまってしまった。 7区 ◎飛坂篤恭(東洋) ○八木勇樹(早稲田) 梶原有高(学連選抜・松陰) △我妻伸洋(駒澤) 思い切って序盤のペースを抑え、後半勝負にかけた飛坂の走りは見事だった。前が見える位置で襷を貰うとついつい突っ込んで入ってしまうものだが、一旦それが見えなくなるくらい離れながらも焦ることなく自らのペースをままおる走りに徹するのは、相当勇気要ることだ。それをやってのけた精神力は、並大抵のものではない。 その飛坂に若干詰められこそしたものの、早稲田の八木も区間2位であれば及第点の走りだろう。ラストで見せた粘りのある走りは、来年以降にも繋がるものだ。また中位の争いで活躍した学連選抜の梶原も、期待以上の走りだった。一方駒澤の我妻は完全に気持ちが空回りしてしまい、区間19位と失速。この区間でも駒澤は、着実に次区間に託す走りができなかった。 8区 ○高林祐介(駒澤) 千葉優(東洋) 園田稔(東農大) △大野紘崇(中央学院) 佐藤健(帝京) ×石田亮(城西) 今大会の駒澤でまともに走れたのは、2区の宇賀地とこの高林だけだったと言っても過言ではないだろう。他の選手が前を追う気持ちが強すぎてことごとく実力を出し切れなかった復路において、彼だけは自らの走りに徹して、きっちり結果を残した。長い距離でもしっかり走れることを示せたという意味でも、来年にも期待したい。 トップ争いにおいて必要以上に早稲田を意識することなくペースで引き離した千葉の走りも、冷静そのもの。農大を一気にシード圏内に引き上げた園田も見事だった。中央学院の大野は失速してしまい、3位争いから脱落。佐藤はそれまで順調に順位を上げていた勢いを切ってしまい、ここから一気に帝京は転落していった。同じく復路に驚異的な追い上げを見せていた城西がここでリタイヤしてしまったのは、残念だった。 9区 ◎伊藤一行(城西) 中川剛(山梨学院) ○大津翔吾(東洋) △池田宗司(駒澤) 野口功太(日体大) ×朝日嗣也(早稲田) 前川剛己(帝京) これまで箱根では苦杯をなめ続けてきた、城西の伊藤。以前から実力はありながら箱根ではことごとくブレーキをしてきたが、4年生の今年は、遂に自らの力を最大限に発揮した。しかしその前にチームが棄権していたというのは、まさに皮肉としか言いようが無い。“幻の区間賞”となってしまったが、この伊藤の走りを後輩が来年に繋げられるだろうか。 山梨の中川は、モグス以外の日本人でも区間賞を取れる人材がいることを証明してみせた。モグスへの依存度が高いチームの体制下でも、他の選手も進歩していることをアピールできたのは大きい。東洋の大津は序盤もたついたかに見えたが、終わってみれば区間2位のタイム。長距離への適性を見せた。 鶴見直前の生麦までは区間トップのタイムで来ていた池田は最後に失速。キャプテンまでもが、焦りで空回りしてしまった。区間賞も期待された野口も、やや不本意な走りか。そしてオーバーペースで入り後半潰れるという典型的な失敗レースをしてしまった朝日のレース運びは、東洋と早稲田の明暗をくっきりと分けるものとなってしまった。 10区 ◎佐野広明(学連選抜・麗澤) ○永井大隆(日体大) 三戸格(早稲田) △倉持貴充(東農大) 渡邉克則(帝京) 熾烈を極めたシード圏争いにおいて、まさに矢のように突っ込んできた学連選抜の佐野。大逆転で順位を3つ上げ、ゴール後は胴上げで祝福されていたが、前とやや差がありながら諦めずに追っていたからこその区間2位の走りだろう。序盤は向かい風の中で、国士舘の実力者、羽島の後ろについて体力を温存した事も、大きかった。 その風の中で集団を引っ張ってしまい、後半一気に失速したのが東農大の倉持。外丸が上位に押し上げ、園田が再びシード圏内に導いた順位を失ってしまったのは、痛恨という他なかった。単独走行ながら区間賞を獲得した日体大の長井は見事な走り。好調が伝えられた三戸は前区間の選手とは異なり冷静にペースを保って前を追い上げたが、遅れが大きすぎた。 ◆総括◆ まず早稲田が東洋を大きく引き離すと思われた6区で加藤が予想以上に伸びなかったことが、東洋の総合優勝への大きなキッカケとなった。その後も長い距離を苦にしない自信に満ちた走りを東洋の各選手が見せたのに対し、早稲田は7区、10区は実力を発揮したものの、8区、9区が後半で失速。特に序盤で極端に差を詰めながら後半だけで逆に1分の差を広げられた朝日のレース運びは、痛恨と言う他なかった。 終わってみれば、東洋は復路優勝も果たし、総合優勝。持ちタイムの良い選手を揃えた2年前のチャンスは山登りの失敗でフイにしたが、今回その山登りで柏原が活躍したことも大きかった。またその前に、3区で大西が5人を抜いて柏原のトップ奪取をお膳立てしたことも見逃せない。往路で2人の看板選手が機能し、復路では逆に平均して実力のある選手が力を発揮した東洋は、まさにバランスが取れたチームだった。 山の登り下りで上位につけてその流れを保ったのが、3位の日体大、4位の大東文化、5位の中央学院といったところ。柏原の一発大逆転のみならず、とにかく上位進出のためには山をソツなくこなすことが求められるが、そういった点でこれらのチームは成功したと言える。 6位には山梨学院が入った。モグスの貯金はあったにせよ、その他の日本人選手がキッチリ走ったのは大きい。8区で岸本が区間21位とブレーキになってしまったが、直後に区間賞の走りでまた順位を押し上げた中川の走りは、モグスと並んで山梨学院ではMVP級といえるだろう。 久々のシードを獲得し大躍進を果たしたのは、7位の明治。7区にエントリーされていたエースの東野を欠きながらのこの結果は、評価できるだろう。松本、安田といった主力選手は3年生で、来年に向けてもさらなる活躍が期待できる。 かろうじてシードに滑り込んだのは、学連選抜と中央。学連選抜は6区の川内、7区の梶原、10区の佐野が、中央は6区の山下、9区の平川がそれぞれ区間5位以内に入り、チームを押し上げた。どちらも出入りの激しいレースとなった感は否めないが、学連選抜のシードへの思い、また中央の伝統的な安定感は、流石といったところだ。 昨年の戦力が多く残った国士館は、あと一歩。6区の村川が区間21位に終わったのが痛恨だった。東農大は園田の大活躍もあって10区に襷を繋いだ時点では笑いが止まらない状態だっただろうが、10区でまさかの失速。残念ながらチーム全体の出来というよりは、倉持個人の失敗でシードを逃してしまったという事になる。 優勝も期待されながら、駒澤は13位に終わった。3区で渡邊が中位をキープするどころか下位に落ちてしまったのが痛恨で、復路も焦らずに走れば良かったところを、6区、7区と完全に気負いが裏目に出た走りに。9区、10区の4年生2人も実力を発揮できず、実力伯仲のレースの中、完全に足元をすくわれた格好となってしまった。 その駒澤以上に最悪のレースとなってしまったのが、城西。まともに走っていればシード入りは間違いなかっただろうに、事もあろうか往路の選手が全員失敗レースをしてしまった。復路では心機一転し、6区の三田、7区の篠原が区間1桁台の順位で走ったが、8区でまさかの棄権。9区、10区でも伊藤が区間賞、田村が区間10位に相当するタイムで走っただけに、本当にもったいないとしか言いようがないレースをしてしまった。これほど実力がありながらそれを出せなかったチームは、そう無いであろう。
posted by Alan Hetarade |21:54 |
陸上競技 |
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冷静さ保った東洋に軍配 【箱根駅伝復路】
コメント投稿者ID :
明けましておめでとうございます!
今年もプレミア、チェコ関連の記事を心待ちしております。
駅伝を見ていて改めて思ったのは、
やはりスポーツに限りませんが、限られた場で優れたパフォーマンスを披露するにはメンタル面が非常に重要だということです。
火事場の馬鹿力的に、持っている以上のパフォーマンスをしてしまう人もいる一方で、大半は気負いによって著しく調子を落としてしまいますよね。
サッカーでもそうですが、やはり日本人はそのあたりの
切り替えが本当に弱い様に思えます。これはFWが海外で成功できない要因にも繋がっているかなと。
要は開き直りってことなんでしょうけど…自分の限界を知る一方で、そこに固執しないだなんて言葉で言うほど簡単なことではないですからね。
しかし、実力が拮抗しているのは本当にスリリングで楽しいですよね。ヨーロッパサッカーもそういった魅力が欲しいなぁ…なんて 笑
今年もよろしくお願いいたします。
posted by コータロ | 2009-01-06 10:43
>コータロさん
コメント投稿者ID :
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
今年もよろしくお願いします。昨年下半期はちょっとサボり気味でしたが、今年はチェコの話題もしっかり取り上げていく所存です。
駅伝の場合、メンタルは非常に重要ですよね。「流れ」というものがこれほど選手個々人のパフォーマンスに響くレースというのも、そうそう無いと思います。今回は城西と駒澤がその点で大失敗して、一方東洋は成功を収めたわけですが、精神状態如何ではだいぶ違った結果になっていたのでは、と思います。
理想はレースの展開とその中での自分の実力、役割を冷静に判断して走るということなんですが、やっぱり人間なかなかそう機械のように冷静には判断できないですからね(苦笑) それがまたスポーツの面白いところなのかな、という気がします。
近年は各大学とも優秀な指導者が増えてきて、選手も進学に際して色んな大学を選択するようになったので、差が縮まりつつありますよね。競争が活性化されるという点では、良い傾向でしょう。ヨーロッパのフットボールは・・・・まぁあれは指導者云々というよりは資本主義至上社会みたいなもんですから(笑)
posted by Alan Hetarade | 2009-01-11 16:32
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