2009年01月02日
スピーディ且つスリリングな展開 【箱根駅伝往路】
1区 ◎矢澤曜(早稲田) ○染谷和則(神奈川) 鎧坂哲哉(明治) 松村康平(山梨学院) 小島康彰(国士舘) △末松裕一(駒澤) ×関戸雅輝(順天堂) 全日本の1区では5位に終わった矢澤が見事にその教訓を生かし、トップで襷を繋いだ。序盤は集団の中で我慢し、勝負どころと見るや一気に他の選手を引き離した冷静さは、まさに1年生らしからぬもの。その後の早稲田各選手の快走に繋がる、勢いと刺激を与えた。 各局面で素早く反応しつつ区間2位に入った染谷も見事。また鎧坂、村松、小島といった辺りの走りは、その後往路を通じてのチームの順位に大きな影響を与えた。特にトップに近い位置でモグスに襷を渡したという点で、4位に入った村松の貢献度は大きい。 駒澤の末松は、優勝を狙う上では最低でもトップ10圏内で2区に繋ぎたかったところ。同じく優勝を狙っていた日大の堂本も遅れてしまった。順天堂の関戸はアクシデントもありまたも1区で失敗、悔しい箱根となった。 2区 ◎メクボ・ジョブ・モグス(山梨学院) ○ギタウ・ダニエル(日大) 木原真佐人(中央学院) 外丸和輝(東農大) 徳地悠一(中央) △天野峻(神奈川) 佐藤直樹(城西) まさに天晴れ、としか言いようが無い2区のレースとなった。トップをひた走ったモグスは4年間で培った経験を最大限に生かし、力を発揮。序盤抑えてから中盤以降ペースを上げ、昨年の自らの記録をさらに短縮した走りは、まさに箱根史上最速のランナーのものだった。今シーズン、トラックではダニエルに先を行かれたが、ロードでの力をまざまざと見せ付けた。 そのダニエルはモグスから遅れはしたものの、記念大会ということもあったためおそらく不滅の記録となるであろう20人抜きを達成、出遅れたチームを一気に上位に引き上げた働きは、貢献度が高い。またそのダニエルに食らいついた木原、外丸、そして戦前あまり名は挙げられなかったものの立派に彼らと組した徳地らが繰り広げたデッドヒートは、見ている者の心を揺さぶるものだっただろう。ロードで強い木原、外丸は、今後日本の陸上界を引っ張っていくであろう逸材。その走りで、大きなインパクトを残したと言える。 神奈川の天野は1区で染谷が作った流れを引き継ぐことができず、ずるずると後退。期待が高かった城西の佐藤も不発に終わり、完全にチームが悪循環に陥ってしまった。 3区 ◎竹澤健介(早稲田) ○大西智也(東洋) 井上裕彬(大東文化) △高橋優太(城西) 渡邉潤(駒澤) 竹澤の走りはさすがという他無い。元々の自力が他の選手とは違うが、それを遺憾なく発揮、まさにオリンピックランナーのレベルを見せ付ける走りとなった。4年目にして終に区間記録で箱根の歴史に名を残し、本人も満足だろう。 今年の3区は、メンバーを見ただけならまるで2区かと見紛うように各校のエースが集まったが、そんな中でも竹澤、佐藤に続きキッチリ区間3位に入り、チームを上位争いに押し上げた大西の走りは見事。安定感抜群だった駅伝シーズンの調子そのままに、3区を走り抜けた。また大東文化の井上も、国士舘の高谷、神奈川の森本といった実力者を抑えての区間5位は、価値あるものだったと言えよう。 佐藤悠基は順位を大きく押し上げた走りは見事だったが、タイムという点ではやや物足りなかったか。チームを大きく引き上げることも期待された高橋は完全に不発に終わり、残念なレースに。この区間が“谷間”であることは分かっていたにせよ、2区で宇賀地が上げた順位をパーにしてしまった渡邊の走りも不本意なものだっただろう。 4区' ◎三田裕介(早稲田) ○馬場圭太(帝京) △高橋徹(駒澤) ×先崎祐也(青山学院) 梁瀬峰史(中央) 区間記録を更新しトップに立った三田の走りは、これまた1区の矢澤に続き、1年生らしからぬものだった。競り合った山梨学院の後藤も実力者だったが、その後藤をペースで振り切ってしまった走りからは、大学に入ってからも彼が力を伸ばしていることを強烈に印象づけた。 同じく村上の区間記録を破った馬場は、昨年走れなかった鬱憤を晴らす、見事な走り。ここ2年ほど帝京を引っ張ってきたエースだけに、最後の箱根で努力が報われたという点で、本人も満足いくレースだっただろう。 駒澤の高橋は前区間の悪い流れそのままに走ってしまったという印象。またチームのエース格で順位を上げることが期待された先崎と梁瀬は、それぞれ区間21位と23位に沈んだ。 5区 ◎柏原竜二(東洋) ○小野裕幸(順天堂) 竹下正人(日体大) 辻茂樹(中央学院) 下條誠士(大東文化) △高宮祐樹(城西) 高瀬無量(山梨学院) ×河野晴友(東海) トラックシーズン、駅伝シーズンとも結果を残し続けてきた柏原。私も彼のことは高く評価していたつもりではあったが、まさかここまで、あの暫く破るのは難しいかと思われたような今井の区間記録を大幅に更新しようとは、思ってもみなかった。本人はオーバーペース気味で押していったと語ったが、通常オーバーペースで突っ込んでは最高点を越えた後の下り坂で脚がやられてしまい、失速するものである。それでも最後まで押し切れるのだから、その精神力はもちろん、走力な並みのランナーのそれではないことを示している。まさに、圧巻だった。 山は大きく差がつく区間だけに、区間順位のよしあしがチームに与える影響は大きい。昨年は悔しいリタイヤを喫した小野は見事に雪辱を果たし、竹下、辻といった4年生は、チームを上位でフィニッシュに導いた。下條は区間5位の好走で、“山の大東”を体現。学生時代には山を制した奈良修監督の指導が効いたのだろうか。 1時間25分を越えてしまった選手達にとっては、苦しい5区となってしまった。高宮は最悪の展開となってしまった城西の往路を象徴するかのような走り。一時はトップに立った高瀬だが、結果的に序盤オーバーペースとなってしまったようだ。一時はリタイヤも心配された河野は、襷を繋げただけでも良しとすべきか。 ◆往路講評◆ 2区から5区まで4区間連続で区間新記録が樹立されるというスピーディなレースは、今の学生陸上界が着実に前進していることを印象づけるものだったと言える。昨年は3チームがリタイヤしたことで、スピード化が根拠もなくそれと結びつけられて議論されたものだが、トラック、マラソンともアフリカ勢を筆頭に急激にタイムが伸びている世界に対抗するためには、学生のうちからスピードに磨きをかけることは必須。その意味でも、速いタイムが多く記録されているここまでのレースは、評価すべきだろう。 また2区でダニエル、木原、外丸、徳地らが繰り広げた壮絶な2位争いや、3,4,5区で熾烈になった3位争い、またもちろん最後は柏原の大逆転で幕を閉じた首位争いなど、随所で競り合いが見られた展開は、エンターテインメント性も高かったと言える。各校の実力が伯仲し、全体として高いレベルで競っての争いは、見応えがあった。 レース全般で力を見せ付けたのが、3人が区間賞を獲得した早稲田。オリンピックランナーの竹澤の走りは当然と見ることも出来るが、矢澤、三田という期待の大型ルーキーが大学入学後も着実に進歩を遂げている姿を見せてくれたことは、今後に向けても明るい材料と言えるだろう。 今回は2区までに流れを引き寄せたチームが、その後も上位に留まった。モグスで大量リードを築いた山梨は5区で高瀬が失速してしまったものの、5位という結果は悪くない。また木原の勢いをその後もチームメイトが受け継いだ中央学院、全体として崩れることなくうまくレースを進めた日体大は、総合力を感じさせた。 往路優勝を果たした東洋は、山本、大西智、柏原というエース級3人を突っ込み往路勝負に出たが、それが見事に成功。柏原が大逆転を演じたことは事実だが、3区で大西がしっかりトップを狙える位置にまで順位を上げたことも、評価すべきだ。 その一方、序盤から流れを失ってしまったのが、駒澤、順天堂、城西といったあたり。特に優勝候補とされていた駒澤は3区、4区で大きく遅れてしまい、前々回大会で失敗したときとイメージが被る。また上位進出の期待も高かった城西はすべての区間が不発に終わってしまい、まさしく悪夢のようなレースだったと言うほかない展開となってしまった。 ◆復路展望◆ 東洋にかわされはしたものの、総合優勝に向けて早稲田の視界は明るい。6区には区間記録更新も見込まれる加藤がいる上、全日本では区間賞を獲得した高原が9区に控える。また長い距離への適正もある朝日、そしてもう1人の1年生、八木もエントリー変更で走ることが予想され、各選手のクオリティが平均して高い。 逃げ切りを図る東洋は、まず6区の大西一がどこまで加藤に食らいつけるかが鍵となる。また9区にはスピードのある市川もいるだけに、できればここで早稲田を捕らえられる位置にはつけたいところ。佐藤監督代行はエントリー変更を示唆したが、そこで入ってくると思われる高見、大津、千葉といった選手の走りが勝敗を左右するだろう。 この2チームにばかり目が行きがちだが、ダークホースは3位につけた日体大。9区には昨年同区間で3位には入る好走を見せた安定感のある野口攻が控えており、補欠にも石谷、永井、谷野といった経験あるメンバーがいて、大幅にエントリーを変更してくるものと思われる。いずれも長い距離にやや不安はあるものの、ツボにはまれば面白くなることは間違いない。早稲田、東洋にもたつきがあるなら、その間隙を突くことができるだけのメンバーは揃えている。 優勝争いは、この3チーム。残りのチームは、シードを目指す戦いとなるだろう。 15位と出遅れた駒澤だが、キャプテンの池田を筆頭に、我妻、深津、太田といった安定感のあるメンバーがエントリー変更で走ることが予想されるため、この差であればまずシード入りは確実。せめて復路優勝を達成して、チャンピオンとしての意地を見せたいところだ。 シード争いでの注目は、まず東農大の清水、明治の東野という両校のエース格が登場する7区。昨年から大きく躍進している2チームは、この2人の走りで上位に進出し、シード入りを手繰り寄せたいところだ。明治に関してはエントリー変更で入るものと思われる安田もハマれば、更なる上位進出も狙えるだけに、復路注目のチームだ。 ただ全体的に力が拮抗しているだけに、例年通り10区までもつれての熾烈な争いとなることは間違いない。1区間でもブレーキになればそれが致命傷となりかねないだけに、各チームともまずはミスをせず、しっかり襷を繋ぐ走りが求められる。
・・・それにしても、沿道で能天気に旗振ってるあの有象無象のやつら、どうにかならないものですかね。 配るほうも配るほうですが、振るほうも振るほうですよ、あれ。世界を見てもあんなバカらしいことをやってるのは日本だけですし、ランナーに与える悪影響も考えんとそれを振ってるやつらは本当に何を考えてるんだと。ああいうヤツラを駅伝ファンとは認めたくないですね、まったく。 正月早々毒を吐いてしまって申し訳ないですが、こればっかりは本当に頭に来る。ちょっと頭を働かせれば分かることでしょう、あの旗がいかに危険で、レースの進行を妨げ、選手に悪影響を与える危険性があるか。今日も柏原は最短コースを走ろうと道路をいっぱいに使って走っていましたが、心無い人間が振る旗が彼に当たらないか、見ていてひやひやしました。 命を削って走る選手に対し、それへの何のリスペクトも感じられないあの旗振り、いい加減にやめてくれませんか?
posted by Alan Hetarade |14:31 |
陸上競技 |
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スピーディ且つスリリングな展開 【箱根駅伝往路】
コメント投稿者ID :
旗の件、全く同感です。私も現場/テレビで見てはらはらしてます。
けれど、確かに振る方も振る方ですが、沿道に応援に出るとテレビと新聞の旗を無理矢理渡されますからね。
折角こういうブログを公開されているんですから、ぜひ、渡す側にも文句言ってください。主催しているマスメディアの意識がその程度のものなんだから、渡されたら振らないといけないのかと思う人が多くても仕方ないのでは…
posted by JIM | 2009-01-02 18:26
スピーディ且つスリリングな展開 【箱根駅伝往路】
コメント投稿者ID :
私もTV見ていてはらはらしました!
TVに映りたくってきてんのか???!!と思わずさけんでしまった!
ちょうどカーブのところで引き戻される おじさんの姿が目に焼きつきました。
応援してるのか・・邪魔しに来てるのか?モラルを疑う!
なんとかして!
posted by 箱根ファン | 2009-01-02 20:53
>JIMさん
コメント投稿者ID :
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
近ごろ旗の配布をしない主催者も増えてきた中、未だに配りまくってる主催者も確かに問題ですよね。ただ、いい加減沿道にいる人も気づかないのかな、という思いは正直あります。彼らが振らなければ、いいわけですから。実際、少数ではありますが敢えて旗を持たないで拍手を送っている人も中にはいましたからね。
箱根駅伝に関しては注目度が高いことは良いことでもあるのですが、他方「箱根しか見ない」という人があまりにも多く、そこから生まれている弊害が多々ある気がしますね。昨年の棄権問題にしてもそうですけど。
渡す側への抗議は、少し時間が取れたら改めて行うことにします。
posted by Alan Hetarade | 2009-01-11 16:23
>箱根ファンさん
コメント投稿者ID :
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
アテネオリンピックのように故意にレースを妨害する奴が一番厄介だとは思いますが、一方で“罪の意識なく”旗振りを行っている人間があれだけいる日本も、ある意味危険な状態なのではないかと思います。しかもそれが、日本で一番伝統、知名度がある大会で行われているわけですからね。いかに陸上競技というものを、スポーツというものを大衆が理解していないと言う事なのか・・・・
北京オリンピックのときに「人の振り見て我が振り直せ」みたいなことを書きましたが、ホント日本のスポーツを見る人、それを取り巻く人にはもっと高い意識を持って欲しいと思います。
posted by Alan Hetarade | 2009-01-11 16:26
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