2008年12月27日
ヴィラが見せた4強入りへの執念
Aston Villa 2-2 Arsenal 【V:65(PEN).Gareth Barry, 90.Zat Knight】 【A:40.Denilson, 48.Abou Diaby】 ◆スタートダッシュに賭けたヴィラ◆ まだシーズンは半ばであるが、このゲームが“6ポイントの価値を持つゲーム”であることは、戦前から明らかだった。既に首位リヴァプールから大きく離された上、大黒柱のセスクを怪我で長期欠くこととなったアーセナルの現実的な目標は、CL出場権の確保だ。 そこに立ちはだかるのは、好調アストン・ヴィラ。エミレーツ・スタジアムでは3ポイントを奪っており、この試合でもその再現を狙ってくることは明らかだった。ダブルを達成すれば単なるポイント差は勿論、ヴィラがビッグ4の一角を崩したという強いメッセージにもなる。ヴィラの側からすれば、是非とも3ポイントが欲しいところだ。 そのヴィラの思惑が如実に現れたのが、序盤の展開だ。ルーズボールには素早く反応、ボールを持ったアーセナルの選手を2,3人で囲んで奪取し、圧倒的なポゼッションでゲームを支配した。アーセナルの最終ラインはいきなりの猛攻に面食らった感は否めず、序盤はハイクロスへの対応もがたがた、ロングフィードへの最初の競争では勝ってもことごとくセカンドボールを拾われ、ピンチの連続となってしまった。 ◆耐え抜いた先に・・・・◆ ところが幸運にも、この苦しい時間でアーセナルは失点しなかった。6分にはCKからシッドウェルがヘディングシュートを放ったが、バーに当たって垂直に軌道を変えたボールは、マーキングを見ていてCKが蹴られたことにすら気づいていなかったデニウソンの頭に当たり、これが運よく前方へ跳ね返った。その後もカーティス・デイヴィスがフリーで当てたヘッドはジャストミートせず。 徐々にアーセナルもヴィラのリズムに慣れてきたが、それでも決定機が続いたことに変わりはなかった。34分にはヤングのクロスボールにミルナーが走りこんで上手く右足であわせたが、シュートは右ポストを直撃、跳ね返ったボールもアルムニアの懐に収まった。直後の37分には混戦からデイヴィスが技ありのループシュートを放ったが、これもバーに嫌われた。 この段階でヴィラのほうは、いやな予感がしていたに違いない。往々にしてこのような決定機をモノに出来なかった後には、流れは相手に傾くものだ。しかもキックオフからハイテンションで突っ込んだヴィラもこの時間になるとややクールダウンしてきている上、アーセナルの側もさすがに対応してきている。序盤でゲームを決めに掛かったヴィラとすれば、明らかに目論見が外れた展開となってしまった。 案の定40分、レオ・コーカーの一瞬の判断ミスから高い位置でボールを奪ったデニウソンがフリーデルの股を抜くシュートを決め、アーセナルが先制。前半のシュートはこの1本のみであったが、運も味方したとはいえまさに劣勢のチームがゴールを決めるときのお手本のような形で、アーセナルはヴィラを出し抜いたのだ。 ◆我慢比べに屈したギャラス◆ これでゲームの流れはがらっと変わった。プランが崩れた上に失点を喫したヴィラの選手は後半は立ち上がりから動きが鈍く、逆にアーセナルはその隙を一気に突いた。前半とは、両チームの立場が全く入れ替わってしまったのだ。アーセナルはこの機を逃さず、こちらもデイヴィスにプレッシャーをかけボールを奪取したディアビがエブエとの連携から抜け出し、あっさりと2点目を決めてしまった。 だがここでゲームを決めきれなかったのが、アーセナルの運の尽きだった。ヴィラの選手は完全に足が止まってきたが、それでもまだ精神的に試合を投げ出すところまでは行かなかった。3点目が入ればさすがにヴィラのほうも諦めただろうが、彼らはエヴァートン戦でのアディショナルタイムの攻防をはじめ、彼ら自身の今シーズンの戦いに自信を持っている。以前ならアーセナル相手に2点のビハインドとなれば諦めていただろうが、「何とかなるのでは」という思いがあったからこそ、劣勢だったとはいえ反撃の姿勢を失わなかったに違いない。 結果、ゲームは膠着した。序盤からハードワークをしたヴィラの選手がまず先に潰れたが、それに付き合わされた上後半は自らゲームを動かす立場におかれたアーセナルの選手も、時間が経つにつれ疲労の色を隠せなくなった。両チームとも1つのプレイの精度が落ちてしまった。 そんな中、突発的にスルーパスから抜け出したのが、アグボンラホールだった。対応に行ったのはギャラスだったが、ボックスに入ったところで突っかけたアグボンラホールに対し完全に後手に回り、タックルに行ってしまった。 あの時間帯は互いにゲームを上手く進められなくなり、我慢比べといった様相を呈していた。また突っかけてギャラスの前に身体を入れた瞬間、アグボンラホールがペナルティを意識していたことも間違いない。この場合どうしてもFWの選手というのは倒れてPKを貰いたがるものだが、その気持ちばかりが先走ってしまうとシミュレーションを取られる。ああいった場面では、まさに相手DFとどちらが目前の欲求を抑えられるかという、我慢勝負となる。 それまでは粘り強い対応と最近には見られなかったリーダーシップを発揮してアーセナルのラインを統率していたギャラスだったが、この瞬間だけは、“我慢”することが出来なかった。そしてヴィラはPKを貰い、これをバリーが冷静に決めた。 ◆またしてもアディショナルタイム◆ この1点で、ヴィラの選手は息を吹き返した。アグボンラホールがさすがに疲れてしまったため序盤のような放り込みは出来なかったが、ボールをワイドに展開して、アシュリー・ヤングとミルナーの両ウィング、ルーク・ヤングとレオ・コーカーという両SBを起点に、クロスボールからチャンスを作った。ただレオ・コーカーに関してはパスを出す場面でことごとく難しいオプションを取っていたことは確かで、ビルドアップの局面においてブレーキになっていた感は否めなかった。 そして試合はアディショナルタイムに突入。ここまで来るとさすがにヴィラとしてもスリリングな心境だっただろうが、それでもエヴァートン戦で奇跡的な勝利を収めた彼らに、「また何かやってくれるのでは」という期待を抱いた者は、少なくなかったはずだ。ヴィラ・パークも、逃げ切りを図るアーセナルをなかなか崩せないというフラストレーションは溜まっていたにせよ、ゲームを諦めた雰囲気は一切無かった。 そして92分になろうかというところで、ペトロフのロングボールをサニャが何とか足に当てたが、そのボールがザット・ナイトの前に転がった。ナイトはぎこちなく左足でシュートを放ったが、これが狙い通りゴール左を捉え、遂にヴィラが同点に。またしてもアディショナルタイムのゴールにより、ヴィラは貴重な1ポイントを得ることとなった。 ◆手負いの中で両者が得たもの◆ この試合は両チームとも、主力選手数名を欠いた状態で臨まざるを得なかった。アーセナルはアデバヨールがサスペンション、またセスクは長期の離脱で不在。さらに試合直前には先発を予定していたジュルーがウォームアップで負傷するという不運に見舞われた。対するヴィラもカリューが長期離脱している上、この試合ではラウルセン、さらにクエイジャルと、安定していたバックラインから2人を欠くこととなった。 このように手負いの中、互いに良い面と悪い面が見えたはずだ。アーセナルはディアビ、デニウソンの2人がセスクの穴を埋めるべく中盤から前線まで汗をかいて走り回ったことは収穫だったが、一方でやはりプレイメイカー不在の影響は隠す事ができなかった。ヴィラは最終ラインを仕切ったデイヴィスのコーチング能力は、今後の彼の成長という事を考えても収穫だったが、一方でRBのレオ・コーカーは守備はいいものの、やはり攻撃では機能できないことが明らかになってしまった。 この試合の選手交代、またベンチ入りのメンバーを見ても、やはりお互いに選手層が厚いとはいえない。これから厳しい日程をこなしシーズン終盤戦を戦っていくなかで、監督にはよりデリケートなマネジメントが求められる。これから先の戦いは選手の戦いでもあるが、それ以上にヴェンゲル監督とオニール監督の手腕が試される、胸突き八丁でもある。
posted by Alan Hetarade |13:13 |
FAプレミアリーグ |
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ヴィラが見せた4強入りへの執念
こんばんわ。
アーセナルは主役不足と、そしてヴィラはここっていうときに決めきれない力不足を感じました。やはり今までずっと雲の下で頑張っていたチームでしたから、トップでの戦い方に慣れていないのかもしれませんね。
私も最初はヴィラが有利ではと予想していましたが、大いに裏切ってくれましたね。引き分けたとはいえ、ガンナーズの攻撃陣が最奮起したものだと思いますね。ヴィラの執念も恐ろしや。私は少なくとも真似できません(笑)
posted by mioeight17 | 2008-12-27 22:54
ヴィラが見せた4強入りへの執念
アストンヴィラはカリューがいればもっと得点力が上がってるんだろうがそれは仕方ない
この試合のナスリの出来が気になる、セスク不在だとナスリにはそれなりに仕事してもらわないと厳しい
ダシウバがどれくらいのパフォーマンスを披露出来るかはわからないし冬の移籍市場で誰をとるんだろうか
posted by タッディ | 2008-12-28 10:51
ヴィラが見せた4強入りへの執念
アーセナルも苦しい中でここまでなんとか戦って来た感じはしますけど、そろそろ疲れも出て来る時期…やはり駒不足が深刻になって来たところでしょうか。
今までならば、強豪相手にはある程度の意地も見せてたところなんでしょうけどねえ。
とりあえず、CLではローマとの面白そうな対戦だと思ってるんですけど、さすがに今の状況では多くを求めるのは厳しい…のかなあ。
ロシツキ…まだぁ?
(´・ω・)
posted by がちゃ | 2008-12-28 19:50
ヴィラが見せた4強入りへの執念
ヴィラ 1点取られる前にバーやポストに3点嫌われてたからね 挙句にこぼれたところを取られて失点だもんなあ
ギャラスのはあれペナルティですかね
それよりオニール なにウェンゲルに絡みに行ってたんだろう?
posted by candy | 2008-12-28 22:17
ヴィラが見せた4強入りへの執念
ヴィラもこういうゲームで確実に勝たないと4位以内は厳しいと思いますね。ガナーズはいずれ今よりは良くなって来ると思うので、今のうちに離しとかないと厳しいです。上3つは落ちて来ないでしょうし。ヴィラは凄くいいチームになってると思いますけど、決めるべき所はしっかり決めるえげつなさが欲しいところ。
posted by ホワイト | 2008-12-29 01:13
ヴィラが見せた4強入りへの執念
私はこの試合MOMはナスリだったと思います。80分に交替で下がっていきましたけれども、前半無失点で凌ぎきったのはナスリの前線からの懸命な守備があったからであって、後半に入り膠着しだした時間帯というのは、本当にアーセナル側にゲームを作る選手がいなかった。ナスリは疲労で潰れちゃってましたからね。
あとはトゥレの復帰も大きいものでした。監督や選手間での綿密なコンタクトを怠らず、勝とうとする意識がチーム内に着々と築かれていったのは目に見えて分かりましたから。ギャラスというよりもあの試合守備陣を統率していたのはトゥレですね。ギャラスも素晴らしい働きでしたが、彼が引っ張っているとは思いませんでした。
単純にこれが現状のアーセナルの力であって、よく引き分けたなと思いますね。
ただ、デニウソンのプレーはよくはなってきてますけれども、まだアーセナルのサッカーができる域には達していないなと。終盤の失点はエブエの集中力の欠如にもあると思いますし、まぁ、デニウソンやソングの致命的な部分というのはアーセナルの試合を見ている方々にしか分からないと思いますけれどね。
posted by ko | 2008-12-30 08:47
Re:ヴィラが見せた4強入りへの執念
前半はヴィラが圧倒的に押してましたが、終わってみれば引き分けで妥当な内容だったかもしれませんね。ヴィラも欧州カップ戦と並行して戦うには層の薄さや決定力は気になるだけにビッグ4に食い込めるかは微妙。今年も主力のケガがタイトル争いの行方を左右するかもしれませんね。
posted by takkun | 2008-12-30 09:06
>mioeight17さん
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
ヴィラは確かにまだ上位チームとしての戦いという点では不満が残りますが、新興勢力であることを考えるとこれに関してはこういう厳しいゲームをこなしつつ経験を積むしかないのかな、と思いました。まぁしかしエヴァートン戦に続き、彼らの根性、いや執念には溜飲が下がる思いです(笑)
アーセナルもよく頑張りましたよね。やっぱり何だかんだでポテンシャルは高いチームですよね。高いんですけど・・・・ねぇ(苦笑)
posted by Alan Hetarade | 2009-01-07 23:12
>タッディさん
カリュー、今シーズンは好調でしたからね。そんな彼を欠きながら、アグボンラホールが本当によくやっていると思います。
ナスリは確かに良くありませんでしたね~。セスクがいない今、彼がチームを引っ張るべき時なんですが・・・・移籍1年目じゃ荷が重いかなぁ。期待してるんですけどね。
冬の移籍に関しては、ヴェンゲルは獲らないみたいなことを言ってますが、本当に大丈夫なのでしょうか・・・・
posted by Alan Hetarade | 2009-01-07 23:14
>がちゃさん
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
アーセナルはよくやったと思いますが、よくやっても勝ちきれなかった、といったところなんでしょうね。序盤だいぶ押し込まれたのもおよそ彼ららしくない姿でしたし、これから先、疲労が出てくる時期も心配ですねぇ。
ローマのコンディションにも拠るでしょうが、ここであっさり負けるとヴェンゲルへの批判も高まりそう。
ロシツキーは・・・・まだ・・・・・ですねぇorz
posted by Alan Hetarade | 2009-01-07 23:18
>candyさん
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
あのPKに関しては、アグボンラホールがダイブした云々というより、タックルにいっちゃった時点でギャラスの“負け”だったと思います。ヴェンゲルが判定に文句垂れるのはいつものことですし、正直相変わらずだな、って感じですね。
オニールはFAカップでジリンガムの監督にも絡んでましたが、興奮すると他人にケチつけたくなるみたいですね(笑)
posted by Alan Hetarade | 2009-01-07 23:28
>ホワイトさん
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
ヴィラがこんな位置で争うのはオニール体制化で初めてなわけですからね。若い選手も多いですし、やはりまだこういう駆け引きには慣れてない部分が大きいのかな、という気がします。それを言ったら、アーセナルの選手も同じなんですけど。
互いに、あと一歩のところまでは行ってたと思うんですけど、でも勝つには足りないものがあった・・・・そんな試合でしたね。
posted by Alan Hetarade | 2009-01-08 22:21
>koさん
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
う~む、個人的にはナスリには攻撃での働きも期待したかったところでしたね。確かに守備のほうに体力を割かれたということはあるにせよ、セスク不在の今、ナスリには中盤を引っ張る存在であってほしいですから。移籍1年目の選手に対して大きすぎる期待だということは分かっていますが、それでもナスリの才能を考えると、それくらいやってくれる選手になると思うので・・・・
実際ピッチでどんな会話がなされていたのかは分かりませんが、あれだけ声を出しているギャラスも久々に見たなー、という気がしました。ただ仰るとおり、トゥーレが戻ってきたのも大きかったですよね。やっぱり彼がいるのと居ないのとじゃ安定感が違います。
デニウソンはだいぶマシにはなってきたものの、まだまだですよね。まぁ昨シーズンの彼から比べるとだいぶ改善してきているとは思いますが、色んな所で指摘されているとおり、まだフラミニの穴を埋めるレベルには至ってませんから・・・・
posted by Alan Hetarade | 2009-01-08 22:33
>takkunさん
レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
最初に試合を決め切れなかった辺りが、ヴィラがまだまだなのかな、ってところですね。けが人も勿論ですし、スカッドのトータルでの層ということになると、冬の補強もシーズン終盤にかけて大きく影響しそうな気がします。アーセナルは、獲らないみたいですけど・・・・
posted by Alan hetarade | 2009-01-08 22:35


