2008年04月20日
新戦力の興隆と去り行くベテラン 【JAPAN SWIM 2008 Day 6】
◇女子100m自由形◇ 上田春佳 55.60 現状では世界と大きく離されてしまっており、萩原智子の日本記録からも遠く離れた戦いとなってしまっているこの種目。しかし大会前の自己ベストを0.5秒も更新した上田の泳ぎは、見事だった。元々リアクションの良い選手では無いが、リアクションタイムが0.9秒台というのは、このレベルは愚か高校の県大会レベルでも相当遅い部類に入るタイム。完全なミスだったが、その後の泳ぎは完璧だった。リレーでは止まった状態からスタートするわけではないので、そういった点でもメドレーリレーでは好記録に期待したい。 2位の山田、また200mに続いて4位に入った山口といった辺りも、自己ベストを大きく更新するレースとなった。まだまだ世界的に見れば厳しい情勢が続いている女子自由形短距離陣だが、着実に歩を進めつつあることを示すレースとなった。 ◇男子100m自由形◇ 佐藤久佳 49.70 一方、女子とは対照的に厳しいレースとなってしまったのが男子。佐藤は本人も話すとおり自己記録から大きく離れたタイムに終わってしまった。後半明らかにピッチが落ちてしまったあたり、やはり本人が言うように、前半から変な力が入り、疲労してしまったのだろう。今大会では精彩を欠いた細川、50秒を切る自己記録を持つ伊藤や小島といった辺りが沈んでしまったのは残念。 その一方、奥村は僅かながら準決勝でマークした自己記録を更新。またスイムオフを勝ち抜いて決勝に残った葛原も、50.34秒と大きく記録を伸ばした。葛原のほうは200mは悔しい結果になってしまったが、元々は400mと200mを主戦場としていたものの、この頃は100mにも積極的に取り組んできている。こうしてスプリント力も徐々につけているという事で、ベテラン勢が多い男子自由形陣にあって、今後の活躍が期待される。 ◇女子200m背泳ぎ◇ 中村礼子 2:08.80 (派遣標準Ⅰ突破) 伊東華英 2:09.41 (派遣標準Ⅰ突破) 序盤から記録を狙って積極的にトライしていった中村だったが、それだけに最後のラップは残念だった。しかし150mまでのタイムは完璧と言ってよく、オリンピックでラストの50mを失速することなく泳ぎ切れれば、メダルがぐっと近くなってくる。さすがにコヴェントリーの力は突出しており、ホールザーも良い記録を持っているが、その次を狙う勢力争いは混戦。ぜひそこで一歩抜け出し、メダルを取ってもらいたいところだ。 自己ベストにほぼ並ぶタイムを出し、派遣標準Ⅱを突破して意地を見せた寺川だったが、2強が強すぎたといったところか。また2分11秒台を出したもう1人、安部の泳ぎも光るものがあった。200mは距離的にやや厳しくなる酒井も自己ベストを大きく更新。その一方で2分10秒台の記録を持つ福田、実績のある五十嵐にとっては、残念なレースとなってしまった。 ◇男子100mバタフライ◇ 岸田真幸 51.86 (日本新記録、派遣標準Ⅰ突破) 藤井拓郎 52.25 (派遣標準Ⅱ突破) 急激に記録を伸ばして代表となった2人だが、2人とも22歳で今春に大学を卒業した選手。遅咲きという言い方が出来ようが、それにしても見事な記録である。準決勝で日本記録を出し、決勝でも最後に素晴らしいスパートを見せた藤井、そしてスプリンターらしく前半からガツガツ行って後半もスピードを維持した岸田。この種目に関してはフェルプスとクロッカーの力が世界的にも抜けているものの、その他の選手は51秒台後半にひしめいており、残りのメダル1つから準決勝敗退まで、どうにでも転びかねない情勢だ。そこにこの2人は飛び込める可能性があり、本番に向けての調整が重要となる。 敗れた選手についても、非常にファンとして思うところの多いレースとなった。どうしても山本に注目が行きがちだが、前回僅か0.02秒差で代表を逃した高安が3位。自己ベストタイの記録を出したが、派遣標準には届かず。しかし本人が非常に清々しいコメントを出してくれたのが、こちらとしても安心できる。ここ数年、日本のバタフライ陣を引っ張ってきた功労者。今後については休養した後に決めるとの事だが、本当に素晴らしいレースを見せてくれたことは確かである。 そして引退を表明した山本。アテネで全てをやり尽くした感があったが、その後しっかりモチベーションを戻し、昨年の世界競泳での活躍等、再びトップフォームで活躍したことは驚異的だったと言える。本人のコメントではアテネ後の経験はそれまで無かったものだということがよく伝わってきた。それだけでも、現役に戻ってきた意味があるというものだ。 2000年代に入りずっとトップを走ってきた2人に変わる、新たな選手の台頭。まさしく世代交代を印象付けるレースとなったが、勝った側にも負けた側にも拍手を送りたい、今大会のハイライトとなる場面だった。 ◇女子200m平泳ぎ◇ 種田恵 2:24.54 (派遣標準Ⅰ突破) 金藤理絵 2:26.28 (派遣標準Ⅱ突破) 150mまでは3者が並ぶ、レースとしては面白い展開となったが、記録としては低調なものに終わってしまった。田村を破り躍進したと思われがちな金藤だが、本人のコメントにもあるように自己ベストからは0.65秒遅い記録に終わっており、本番に向けての課題は大きい。最後のスパートで分かったように、種田のスタミナは抜群。日本記録を出せばメダルも狙えるが、100mでも優勝したようにスピードは着実についてきており、本番ではぜひ200mのレースでもそれを生かしてもらいたいものだ。 また中学生の福留が自己記録を更新して5位に入った。ラップタイムのバランスは非常に良いだけに、この勢いで夏にむけて記録を伸ばして欲しいところである。
posted by Alan Hetarade |23:58 |
競泳競技 |
コメント(0) |
トラックバック(0)


