2008年04月18日

積極的な姿勢が実ったリレー陣 【JAPAN SWIM 2008 Day 3】

Semi Final

◇男子50m自由形◇
22秒台を出した岸田、山本春基、小林の3人に関しては、文句のつけようがない泳ぎだった。いずれも自己ベストを更新しての決勝進出ということで、好感触を持っているはず。さすがに派遣標準には遠いが、こうして相次いで22秒台を出す選手がでてきたということで、これは明るい話題である。

一方、優勝候補と見られた伊藤や佐藤がやや遅れてしまったのは残念。ただいずれも100mでの派遣標準突破を目指して練習を重ねてきており、そういった点ではタイムと言うよりも、本人がどのような感覚をもって泳げるかという方が重要だろう。良い感触で22秒台が出れば、なお100mに向けて弾みがつくが・・・・


◇女子50m自由形◇
1組目では山田のリズムの良さが群を抜いていた。自己ベストにも迫るタイムということで、調子もかなり良さそう。決勝ではぜひ自己記録を更新しての優勝を期待したい。

対抗となるのは、やはり湯本と金子。湯本は最後の伸びが素晴らしく、また彗星のごとく現れた金子も、準決勝は26秒台だったが、体の動きは悪くないように見えた。できればこの3人には、25秒台で優勝を争ってほしいものだ。


◇男子200mバタフライ◇
やはり松田、柴田、山本の3者の争いとなりそうな情勢。ただ山本に関しては年齢のこともあり、どちらかというと100mの方で勝負をかけてくる可能性が高いかもしれない。そういう点では、松田と柴田が優勝を争い、そこに山本や坂田がどこまで迫れるか、という展開になるだろう。

戦前に予想されたとおり、150mまでは柴田が先行し、ラストの50mで松田が追い上げて叩き合いになるものと思われる。いずれも準決勝では爪を隠していた感があり、最後の爆発力にも期待したいところだ。

ただ準決勝全体でみると、タイムは低調だったと言わざるを得ない。坂田や高本といった辺りは本来もっと良い自己記録を持っている選手たち。序盤から積極的に行く姿勢は見られただけに、決勝では期待したいところだ。

余談となるが、レース終了後の山本の行動は、興味深かった。本来はレース中の興奮が残って各選手がピリピリしているミックスゾーン手前のところで、他の選手に気さくに話しかけていた。その人柄も勿論だが、それ以上に個人的に面白いと感じたのが、そこでジャージ等を受け取るや他の選手はすぐミックスゾーンへ行くのに対し、山本はその場で入念にセームタオルで身体を拭いて、最後の滴の一滴まで取ったところで、ようやくミックスゾーンに向かって行った。

すべての選手がミックスゾーンでインタビューを受けるわけではないが、しかし山本ほどの知名度がある有力選手ともなると、数分以上続く長いインタビューを受けなければならない。本来ならばレース後すぐにクールダウンをするのがベストだが、それが出来ないときにどうするか、ということで、山本は彼なりに最善を尽くしているのだろう。身体に付いた水滴は体温を奪い、少なからず良くない影響を及ぼす。この身体を拭く作業は他の選手もやっていることだが、山本のように神経質とも思えるくらい長い時間をかけてこれをやっていた選手は、他に居なかった。


◇女子200m個人メドレー◇
1位の藤野から7位の加藤までのタイム差が、僅か0.58秒。これは決勝でも、今大会一番の大接戦となる可能性が高い。400mでオリンピック出場を決めて勢いに乗る藤野と春口が精神的には優位と思われるが、春口に関しては直前にバタフライの準決勝が控えており、それに出場するようなら決勝への影響は避けられない。このレースが終わった際にも、直後に行われる200m自由形の決勝のために、慌しくサブプールへ行く姿が印象的だった。結果的にその200mでも準決勝のタイムを大きく下回る結果に終わっているが、このIMの決勝に向けて何らかの判断が成されるかもしれない。

レース展開としては、バタフライと背泳ぎでは春口と坂井が引っ張り、平泳ぎで北川、森下、天野といった辺りが追い上げてくるだろう。最後のフリーを得意としている選手が多く、そこで誰が伸びるかが勝負を分けるポイントとなりそう。ここでは分が悪い坂井としては、平泳ぎまでに何とか差を広げておきたいところだ。


◇男子200m個人メドレー◇
順当にいけば、佐野と藤井の一騎打ちとなるだろう。特に藤井に関しては、得意としている最後の自由形を思いっきり流して準決勝を終えており、決勝では日本記録を更新する可能性が大いにある。もともと100m自由形では49秒台のベストタイムを誇る。準決勝では150mのターン時に日本記録のラップを大きく上回っており、決勝でもそれくらいのタイムで行って最後の自由形を本気で泳げば、記録更新はほぼ間違いないものとなるだろう。

一方の佐野も積極的なレースで派遣標準Ⅱを超えるタイムを出した。優勝を狙うには150mのターンで、藤井に身体1つ分のリードはほしいところか。日本記録保持者の高桑はタイムが伸びておらず、苦しいレースを強いられそうである。



Final

◇女子200m自由形◇
上田春佳 1:59.09
三田真希 1:59.95
真鍋絵美 2:01.39
山口美咲 2:01.64
(4人合計 8:02.07 で800mフリーリレーの派遣標準Ⅱ突破)
序盤から上田が積極的にレースを作り、それにつられるようにして他の選手も良いタイムを出すことが出来た。上田は1分58秒台まであと一歩ということで、その点は本当に惜しかったが、しかしそれ以上にチームとして北京へ行ける原動力となったということで、本当に良いレースをしたと言える。

春口が、直前に行われた個人メドレーの影響もあって記録を伸ばせなかったのは残念だったが、4位の山口も準決勝で春口が出したタイムを上回っており、非常に良いレースだった。レース直後に喜び合う4人の姿が、印象的だった。


◇男子200m自由形◇
奥村幸大 1:47.90
内田翔 1:48.57
松本尚人 1:48.97
物延靖記 1:49.04
(4人合計 7:14.48 で800mフリーリレーの派遣標準Ⅱ突破)
こちらも素晴らしい結果となった。奥村も勿論素晴らしかったが、個人的にMVPに挙げたいは、前半から積極的に泳いでレースを作った物延だ。150mまでで大きく先行して他の選手を引っ張り、最後はやや疲れたものの根性で最後の15mで再び伸びを見せ、僅差ながら4位に入ってオリンピックへの出場権を得た。

インタビューが終わった直後には立つこともままならなくなり、その場に膝をついてしまうくらい、全力を振り絞ってのレースだった。しかしそこまでがんばった彼が4位でオリンピックに行けるというのも、このレースにかける思いの強さの賜物だろう。400mを棄権して200m一本に絞り、そして見事にリレーでの出場に繋げた。単なる記録以上に、彼がこのレースで果たした功績は大きい。

また内田の涙も感動的だった。高校時代に素晴らしい記録を出したが、その後環境を変えて不振に。本人もインタビューで語ったとおり、こちらにはなかなかわからない葛藤が、いろいろな場面においてあったのだろう。それを克服しての大復活。また頼もしい選手が1人、表舞台に戻ってきた。


◇女子100m背泳ぎ◇
伊藤華英 59.83 (日本新、派遣標準S突破)
中村礼子 1:00.16 (派遣標準Ⅰ突破)
オリンピックへ進んだ2人に、高校新記録をたたき出した酒井を加えた3者による、素晴らしいレースだった。中村のバランスの取れた泳ぎ、酒井の場差路、そして伊藤の強烈なスパート。各選手が持ち味を発揮したレースだったが、それを制した伊藤は本当に力強い泳ぎだった。これまでは中村の陰に隠れがちだったがここで1位を取れたということで、オリンピックでも活躍が期待される。

中村は勿論、3位に入った酒井も素晴らしいレースだった。ここ数年、同じような顔ぶれの選手が日本のトップを争っていたが、新たな刺激が加わり、中村や伊藤の日本記録にもつながっただろう。来年以降はもちろん本人も、世界を目指しての戦いとなる。


◇女子100m平泳ぎ◇
種田恵 1:07.91 (派遣標準Ⅱ突破)
種田の派遣標準突破はもちろん喜ばしい出来事だが、それ以上に落胆のほうがやや大きかったと言わざるを得ない。日本記録の期待もかかった田村が最後に失速し、派遣標準Ⅱも突破できなかったのは痛恨としか言いようがない。失速した原因はいまいち分からなかったが、泳ぎのバランスが崩れてしまったことは確か。途中でうまくいかなくなり、その焦りがさらに悪い方向に出た感もある。

また田村と同着となった三輪も100mのレースにかけていただけに、残念。2人とも僅か0.17秒届かなかっただけということで、これは本当に残念である。

posted by Alan Hetarade |13:26 | 競泳競技 | コメント(4) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/s_co_log/tb_ping/439
この記事に対するコメント一覧
積極的な姿勢が実ったリレー陣 【JAPAN SWIM 2008 Day 3】

水泳はマイナースポーツだけあって誰もコメントしませんね(笑)
私も水泳をやっていた社会人一年目の者です。
分析はなかなかおもしろいですね。過去の記事を結果が出た後に振り返ると的外れなコメントも多いですが。
記事とは関係ないですが、ちょっとコメントさせてください。
大学一年生というと、受験が終わったばかりということで、自分のことがちょっと賢いと思いがちです。私もそうでした。それが文章にそのまま表れています。
正直言って、どこの大学に入ろうとも学生生活が充実しなければ、社会的に成功できないといって過言ではありません。いい大学に入学しても、俗に言う「いい会社」に入れる人は三分の一程度です。今の自分に自信を持つのも大いに結構ですが、今から夢を持って自分をさらに成長させてください。

posted by ちょっとコメント | 2008-04-18 21:56

積極的な姿勢が実ったリレー陣 【JAPAN SWIM 2008 Day 3】

五輪では男子800Mリレーではぜひ10秒を切り8秒台を出して欲しいね。この4人に100mの佐藤や400mの松田を加えて豪華な顔ぶれでさらに800mの記録を更新して欲しい。

posted by ゲインズ | 2008-04-19 22:29

>ちょっとコメントさん

まぁ予想が覆されるのが、スポーツの面白さですからね(笑) 何でもかんでも予想通りにいくとしたら、今頃スポーツなんて誰も見てないと思います。それでも何たらと予想したがってしまうのが、人間の性ってヤツなのかもしれません。

記事に関してのご指摘、甘んじて受けます。個人的にはむしろ逆で、近ごろあまり「これだっ」というような記事が書けていなかったのですが、逆にそういうので生じた文章の歪みが出ているのかもしれませんね。

因みにですが、私は高校から大学に進学する際、受験はしておりません(笑)

posted by Alan Hetarade | 2008-04-20 13:04

>ゲインズさん

仰るとおり、佐藤は準決勝では失敗してしまいましたが、元々200mも速い選手ですからね。今回は出場できなかった松田や若い葛原など、色々と選手も出てきていますから、今後の数年間でどんどん日本記録を更新してくれると思います。

posted by Alan Hetarade | 2008-04-20 13:06

コメントする