2008年03月23日

順調に進むファンデ・ラモスの“テスト” 【FAプレミアレビュー】

Tottenham Hotspur 2-0 Portsmouth
【TH:80.Darren Bent, 81.Jamie O’Hara】

Starting Lineup
Tottenham Hotspur
GK : P.Robinson
DF : A.Hutton, M.Dawson, J.Woodgate, P.Chimbonda
MF : A.Lennon, D.Zokora, T.Huddlestone, S.Malbranque
FW : D.Berbatov, R.Keane

Portsmouth
GK : D.James
DF : G.Johnson, H.Hreidarsson, S.Distin, L.Aubey
MF : J.Utaka, S.Davis, R.Hughes, P.Mendes, N.Kranjcar
FW : N.Kanu


First Half
memo:試合開始直前となったところで、いきなりものすごい勢いで雪が降ってくるなど、ロンドンの天候は大荒れ。かと思うと強い陽が差してきたり、その10分後にはまた雪が降ったりと、コロコロと天候が変わる中で試合は行われた。

12m.:ベルバトフがボックス手前中央でボールをキープし、浮き球のパスを左前方に出す。それにロビー・キーンが走りこむお得意のパターン。キーンは左足でグラウンダーのシュートも、ここはジェームズが身体を倒してキャッチ。

14m.:ゴールやや左からトッテナムにFKのチャンス。ハドルストーンが壁を巻いて直接狙ったが、ジェームズの正面だった。

16m.:ポーツマスにビッグチャンス。ジェームズのロングフィードが右サイドに張っていたウタカに通る。ウタカがボールを中央へ送ると、それを受けたデーヴィスがロビンソンのポジションを見て、ループシュートを狙う。見事にコントロールされたシュートだったが、ロビンソンは下がりながら何とかこれを弾き、ボールはバーの上を通過。

19m.:ディスタンのクリアーボールをシンボンダがボレーで叩く。強烈なシュートだったが、惜しくも右に外れた。

memo:最初の10分ほどはスパーズが優勢。その後16分のプレーがきっかけとなりポーツマスもチャンスを掴むが、20分を過ぎた辺りからは再びスパーズがペースを握った。スパーズの攻撃は、右サイドのレノンが中心。しかしクロスの精度が低く、シュートに結びつかない。スパーズが高いラインを維持して攻撃を行うのに対し、ポーツマスの選手はスパーズの速いプレスの前に、ボールを持ってもずるずると下がってしまい、一向にラインを押し上げられない。

28m.:ハドルストーンが縦に送ったボールをキーンが受け、スルーパス。普段とは逆の形となり裏へ抜け出したベルバトフがゴールに流し込んだが、これはオフサイドだった。

30m.:トッテナムにCKのチャンス。右側から入ってきたボールをボックス中央でドーソンが胸でトラップし、強烈なシュートを放つ。ジェームズも反応が遅れてしまったが、シュートは惜しくもクロスバーを直撃して跳ね返ってきた。

45m.:レノンが右サイドから上げたクロスは、フレイダルソンがクリアー。しかし中途半端なクリアーとなってしまい、それを拾ったハドルストーンがシュート。だがこれは力が入ってしまったか、上に大きく外れた。


Second Half
54m.:マルブランクが相手と競り合って奪ったボールを左サイドに回っていたレノンが受け、一気に中央に切り込む。手前の方でロビー・キーンが手を挙げていたが、レノンはそこには出さず自らシュート。しかし左に外してしまう。キーンは怒っている様子だった。

memo:このプレーに関してはシュートという選択も悪くなかったレノンだが、とにかくクロスの質が悪く、まったく味方に通らないという状況だったために、他の選手がスタンドプレーと思いかねないような動きとなってしまった。そのうち前半はレノンにボールを預けて自らは引き気味にポジションを取っていたハットンが、自ら中央へドリブル突破を仕掛けるようになるなど、レノンへの他選手の信頼が薄らいでいくさまは明らかだった。

70m.:  A.Lennon → J.O’Hara  M.Dawson → D.Bent

memo:ラモス監督はチェルシー戦と同じく、ベルバトフがトップ下の位置に下がってボールを捌き、ロビー・キーンとベントの2トップという状態にシフト。但し今回は3バックではなく、ゾコラがCBに下がっての4バックという体制。ハドルストーンを中盤の底に置く4-1-3-2のような形となり、オハーラが左サイドに入ったため、マルブランクは右に回った。

76m.:ポーツマスにビッグチャンス。右サイド、ハーフウェイライン付近からジョンソンが中にロングボールを入れると、ゾコラがマークを離してしまったカヌが抜け出し、ロビンソンと1対1となる。前進してきたロビンソンに対しカヌはヘディングでその上を越すシュートを放ったが、ロビンソンとの間合いが詰まりすぎたために勢いの無いシュートとなってしまい、戻ってきたゾコラにクリアーされた。ここはロビンソンの思い切りの良い飛び出しが光った。

80m.:GOAL!!!左サイドへの展開から一気にゴールに迫ったスパーズ。一旦は弾き返されたもののボックス右手前でボールを拾ったマルブランクがドリブルで中に進入し、勢い良くシュート。これはディスタンに当たり跳ね返されたが、そのボールをベルバトフが右足でダイレクトに狙う。こちらのシュートはジャストミートしなかったが、そのボールがバウンドして良い感じでベントの方に飛んで行った。ベントが頭で合わせるとさすがのジェームズも及ばず。遂にスパースが先制。

81m.:GOAL!!!スパーズが今度はカウンター攻撃。ハドルストーンが大きく左サイドへボールを送ると、ベントがそれを受け一気に突進。フレイダルソンを振り切ってボックス内を深くえぐってから折り返すと、ロビー・キーンがボールを追い越して相手DFをひきつけ、空いたボックス中央のスペースにオハーラが走りこんでフィニッシュ。鮮やかな攻撃で2点目を奪取した。

83m.: R.Keane → T.Tainio  N.Kanu → M.Baros

memo:途中から明らかに手詰まり感が出ていたポーツマスだったが、2点を取られた段階でようやくバロシュを投入。しかしもはや反撃の力は残っていなかった。

90m.: R.Hughes → A.Mvuemba

90+1m.:タイニオのパスからベントがボックス右で完全に抜け出し、決定的なシュートも、ここはジェームズがファインセーブ。

Full Time:電光石火の攻撃で2点を奪ったスパーズが勝利。シティー戦ではゴールが不可解な判定で取り消されたベントだが、見事に決勝ゴールを決めた。


Summary
今回も途中からキーンとベントの2トップにしたラモス監督。結果的に途中から投入したベントとオハーラがゴールを奪っての勝利という事になったが、以前から書いているとおり、これをただ単に「攻撃的な采配」と言うのでは、この采配の本質を見失ってしまう恐れがある。今のスパーズに関しては、スタメンから交代、その途中の布陣の一つ一つが、来シーズンへの布石となる。そのことを意識しつつ、采配を評価しなければならない。

ここのところダイエットの効果もあって絶好調、攻撃の起点としてチームの核となりつつあるハドルストーンが、この日も素晴らしいパフォーマンスを見せた。シティー戦、チェルシー戦は途中からの投入だったが、90分出場した中でも本人が言っていたとおりパフォーマンスを落とす事無く活躍できた。2点目の起点となったベントへのパスは、素晴らしいものだった。まずこれが大きな収穫と言えよう。


処遇が色々と取りざたされているレノンについてだが、彼を起用するメリットとデメリットが明白になった試合でもあった。まず前半から攻撃にリズムをもたらす突破を見せた。おかげでスパーズはほぼ一方的に、ポーツマスを押し込むことが出来た。しかしその一方、肝心のクロスの精度が著しく低い、というより味方をまったく意識せずに放り込んでいるだけであるため、せっかく突破してもまったく得点に結びつきそうな気配が無かった。いくら支配率が高くても、点を奪えなければ意味が無い。今日の途中交代は、明らかにレノンがラモス監督にマイナスの印象を与えたがためのものだ。

4-1-3-2となってややリズムは悪くなったが、一方で収穫もあった。まずマルブランクが右サイドに回った事により、より周りを生かした攻撃にシフト出来た事。レノンがいた際にはあまり連携を見せなかったハットンだが、マルブランクが入ってからの方が高いポジションを取れるようになった点は興味深い。突破力ではレノンに劣るマルブランクだが、身体の使い方が上手く、周りとの連携という点では彼の方が優れていることを印象づけた。

シンボンダとオハーラの左サイドはまだぎくしゃくした印象だったが、ベントが躍動感を見せたことにより、ベルバトフ、キーンとの同時起用をオプションとして行使できるメドが立ったと言える。テクニックのあるベルバトフはトップ下でも充分に働け、キーンとベントで縦への突破を図る。90分とはいかなくとも、攻撃に出る必要がある展開となった場合、このオプションを行使すればよい。


ポーツマスの方にも少し触れておくと、今日はサスペンション等で中盤の選手を多く欠いた影響がモロに出てしまった。大活躍しているデフォー、ディオップ、ムンタリ、ディアラといった選手を欠き、中盤にいずれも守備的でタイプの被るショーン・デーヴィス、リチャード・ヒューズ、ペドロ・メンデスを同時起用せざるを得なかったことが大きかった。いずれの選手も普段は攻撃面では起点にしかならないため、前を追い越す動きがまったく出来なかった。またバロシュがなかなか投入されなかったことについては、カヌがビッグチャンスを作った事もあるが、そもそもレドナップ監督のバロシュへの信頼度が低いことも一因だろう。

何にせよ、ファンデ・ラモス監督のテストは着々と進みつつある。ここ数試合を継続して見ていると、いかに彼が来シーズンを見据えて采配を採っているかがよく伝わってきた。微妙な立場にいるものと思われるタイニオあたりにも、そろそろチャンスが与えられてもおかしくない。そしてレノンは、本当に構想外にならないためには、精度の良いクロスを送る必要がある。

posted by Alan Hetarade |00:31 | FAプレミアリーグ | コメント(4) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
順調に進むファンデ・ラモスの“テスト” 【FAプレミアレビュー】

3トップというより、キーン&ベントの2トップと1つ下にベルバトフといった形だったような気がします。最近好きでもないのにスパーズを見る機会が多い(プレミアはもちろんUEFA杯なんかも見ました)ため、ある程度ラモスの意図が見えてみましたが、技術が高くキープ力があり視野の広いベルバトフを中盤において支配力を強めたいというのが本音ではないでしょうか。だからむしろベルバトフはCH的な役割を担っていたかな、と。ただ、中盤に入ってからはあまりボールに絡まなかったところを見るとまだ慣れていないようですね。まぁテストですし、オプションを試しているわけですからいいんですけど。

ベントはまた結果を残しましたし、次第に使われる時間が増えてくるかもしれませんね。

それにしても今日の気候はクレイジーでした。今日はばっちり屋根のある2階席で見ていたのですが、にもかかわらず強風にあおられ雪(霰と行った方が正しいかな)が私のところまで普通に来ていましたから。全く、ビックリです。

posted by so-ma | 2008-03-23 04:29

順調に進むファンデ・ラモスの“テスト” 【FAプレミアレビュー】

コメントありがとうございます。

>so-maさん
仰るとおりですね。というか、4-3-1-2と自分で書いているのに、なんで3トップになるんだか・・・・ ということで、こっそり記事を修正しました(笑)
私もこれで3試合連続でスパーズの試合を観たことになるのですが、ラモス監督の意図がよく分かる采配ですよね。ベルバトフが中盤に下がるというオプションは、選手の方も普通に「よしやるぞ」みたいな感じでこなしていましたし、慣れてはいないものの近ごろ練習でも取り入れているのでしょう。まだ上手くいきませんが可能性を感じさせる部分があることも確かです。ベント、シティー戦も良かったですしね。来シーズンの生き残りも可能でしょう。
あの状況で観戦される方は大変だなー、と思って見ていました。イングランドやベルギー、フランス北部の方の天候はコロコロ変わりますよねぇ・・・

posted by Alan Hetarade | 2008-03-23 10:33

順調に進むファンデ・ラモスの“テスト” 【FAプレミアレビュー】

こんな地味なゲーム(失礼)でもここまで完璧にレヴューしてしまう管理人様に感嘆です(何)

まぁレノンは最後の仕事をもっと丁寧に、ですね。突破力はSWP以上だけど、クロスの精度はSWPよりも悪いという、困ったプレイヤーです(笑)ただ、レノンはチンポンダとかと違って、ファンデもポテンシャルは認めていると思うので、期待を込めて敢えて厳しい扱いをしてるんじゃないかと思ったり。

あと、最近のマルブランクはフルアム時代のキレが戻って来た感じなので、これはスパーズにとっては大きいと思いますよ。

posted by ホワイト | 2008-03-23 20:44

>ホワイトさん

まぁ今週に関してはミドルスブラvsダービーというプレミア屈指の地味カードと言って良い対戦がありましたから、それに比べればこの両チームはまだまだメジャーですよ(笑)

昨日の試合は、レノンの良い面と悪い面がはっきり出ましたよね。仰るとおり突破力はあるのですが、そこから先の精度が無いので、課題は大きいなぁといったところでしょうか。ただあの突破力がチームにもたらすリズムは大きいですし、そういう点では練習等も通じて、ラモス監督はレノンにどの程度“やる気”があるかを見極めている段階でしょうね。

マルブランク、良かったですねぇ。どちらかというと右サイドに回ってからのほうが元気があった気がしますが、さて来週のラモス監督はどんなメンバーを組むのやら・・・

posted by Alan Hetarade | 2008-03-23 21:10

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