2008年02月17日

代表選考はもつれるか 【東京マラソン】

完璧だったロスリン、大健闘の藤原
優勝したロスリンは圧巻だった。序盤からの展開、仕掛けどころと全て冷静だった。オリンピック代表が内定している中、ともすればモチベーションを失いがちになりそうな状況だが、そこでもしっかりとレースが出来るあたり、さすがはベテランか。

実績を見る限りここ2,3年ほどで台頭してきた選手という印象を受けるが、2時間7分台中盤のタイムは立派。とくに臨海部の橋を相次いで超えた35kmからの5kmのラップが15分を切っており、最後の2.195kmも6分27秒。最終盤でのこのスピードは特筆に価する。世界陸上では尾方を上回る粘りを見せたが、こうしてベストを1分ほど更新するなど、絶好調と言って良い。北京オリンピックでのメダルの有力候補に名乗りを挙げたと言える。

そして大健闘は2位の藤原。私も名前を知らない選手だったが、今年の全日本実業団駅伝ではエース区間の2区で区間8位のタイムで走っており、好調をこの大会に繋げたようだ。ジェンガが前に出た際には集団の後ろにいたので危ないかと思ったが、いざロスリンが抜け出そうとしたところで先頭に出てきた辺り、きちんとレース全体を見ることが出来ていたと言える。痙攣にもきちんと対処できたということで、まだマラソンは2回目ながらトップレベルで勝負できる、走り以外での柔軟性を見せ付けることとなった。


びわ湖の結果次第だが・・・・
さて代表選考という点では、やや難しくなってきた感がある。尾方はこの冬はマラソンを走らないことを表明しているので、世界選手権5位という実績のみでの比較ということになる。2時間7分台前半を出した佐藤敦之はほぼ当確だろうが、この藤原のタイム、順位と尾方の実績を比べると、なかなか甲乙つけ難い。

びわ湖はコースの難易度が東京よりも低く、タイムが出やすい。オリンピック選考の際には東京を走った選手は不利になることが多いが、この藤原のタイムも実に微妙なラインである。もっとも昨年のように、暑さで有力選手がことごとくびわ湖でつぶれるようなことがあれば、藤原も尾方も代表になるはず。

ただ今日の東京はこの上なく良いコンディションであったとも言え、さらにびわ湖には大崎や佐藤智之、藤原正和、国近といった強力なメンバーが出場することが予想される。誰かが2時間7分台をたたき出す可能性は充分にある。気候条件などのファクターも、選考の際には重要になるだろう。


ジェンガの不可解な動き
その他の選手について。優勝候補の最右翼だったジェンガだが、序盤から給水の際に取りたいのか取りたくないのか、イマイチ判然としない動きが目立った。途中から表情が明らかに苦しくなっていたのだが、それでも給水は取らず。しかしチラチラと給水テーブルに目をやる・・・・という、意図がよく分からない動きに終始してしまった。何が原因かは分からないが、ああいったところで精神的に無駄な動きをしてしまうと、マラソンでは厳しい。今回も選考レースで失敗してしまったということで、つくづくオリンピックには縁が無い選手である。

最後は流石の粘りを見せた諏訪だが、やはり悔しいはず。タイムも2時間9分台の前半ということで決して悪くは無いのだが、日本人1位になれなかったということで、代表は厳しくなってしまった。日本人1位になってさえおけば実績も相まって優位に立てたことが予想されるだけに、残念。入船はラスト10kmのスタミナという課題を克服できなかったが、ベストは更新しており、精一杯のレースだったか。

そのほか、7位に入った小林誠治は自己記録を更新。途中までしっかり先頭集団で走りその後も粘れたということで、良いレースだったのではなかろうか。高塚は途中まで良いリズムで走れていただけに、遅れてしまい残念だった。初マラソンの堀端は2時間11分台のゴールだが、21歳という年齢を考えると立派なタイム。別大で優勝した足立と共に、今後の活躍が嘱望される。

そしてベテラン勢2人も大健闘。11位でゴールした実井謙二郎は39歳という年齢を考えれば驚異的なタイム。アトランタでは残念なレースをしてしまった実井だが、この年齢で未だにモチベーションを失わずトップレベルで競技を行っていることは、賞賛に値する。そして引退レースとなった清水康次も、2時間24分台でゴール。きっちり完走して引退を果たした。


改善された点と課題
さてレース以外の要素について、昨年の第1回大会との比較をしてみる。

まずは、今回のレースは非常に各選手の記録が良かった。コンディションが最高だったということはあるにせよ、5位までが2時間10分以内でゴールし、その後も続々と選手が入ってくるような状態にあったことは、やや驚きだった。昨年のレースを見る限り、記録を出すには厳しいコースかと感じられたが、そうでもないことが証明された。

改善された点は、まずはテレビ中継。昨年のフジテレビは芸能人を交えて、市民マラソンとエリートレースを混同して伝えたために、どちらも中途半端な形となり、特に35km以降の勝負どころでのレース展開がまったく分からなくなるという非常に腹立たしい中継に終始した。しかし今年の日本テレビはまずは先頭の模様をきっちりと伝え、午後の特番で市民マラソンとしての東京マラソンにスポットを当てるという、メリハリのついた良い中継をしてくれた。流石は箱根駅伝を長年放送している日テレ、といったところだろうか。

ただ映像を見ていて、大会の運営面で気になったことが幾つか。まずは一部で見られた、給水所のスタッフの意識の低さ。選手に手を振ることは結構だが、そのせいで選手が給水を取るのに邪魔になっている場面が見られたのは非常に残念だった。またゴミ箱の位置も、改善の余地がある。エリート選手が通過するときには、もっと奥に引っ込めておいた方が良い。


ゴール後の選手のケアは必須
そして、ゴールした選手にスタッフが駆け寄るのがあまりにも遅すぎる。こればかりは運営側に対して非常に怒りを感じたのだが、来年絶対に改善してもらいたいポイントである。トップレベルの選手は自らの限界を超えた域で走っており、ゴール後に倒れこむこともしばしば。それなのにスタッフは、ゴールしてから10mくらい進まないと、選手に歩み寄らない。これは非常に危険な事である。

現に藤原は転倒してしまったし、その他にも足が痙攣してゴール直後にその場にうずくまる選手が見られた。続々と選手がゴールする単なる市民マラソンならば、ゴール直後に人が溜まり過ぎないようにそうするのもやむをえないが、少なくとも2時間30分を切ってゴールするような選手に対しては、きちんと配慮してもらいたいものだ。

posted by Alan Hetarade |12:15 | 陸上競技 | コメント(0) | トラックバック(3)
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ゴール速報 優勝 ビクトル・ロスリン 2:07:23 2位 藤原 新  2:08:40(日本人トップ) 3位 ジュリアス・ギタヒ 2:08:57 4位 諏訪利成 2:09:16 5位 入船 敏  2:09:40 佐藤敦之2:07:13(福岡07) ☆スイスのロスリンが好タイムで優勝。藤原も8分台でゴールし北京五輪代表へ前進。

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