2007年11月18日
野口みずき、完璧な強さ 【東京国際女子マラソン】
北京五輪は“当確” 久々にマラソンを走る野口を見たが、以前にも増して完璧な形で勝利を手にした。本人は周りも気になったという旨のことを言っていたが、しかし走りはまさに別格。タイム、内容とも完璧だった。 何より、これまで幾多の選手を苦しめてきた四谷の上り坂を一気に駆け上ってしまった様は、衝撃的だった。いくら後半にスタミナを貯めていたとはいえ、あのラスト10kmの走りはそうそうできるものではない。これまでも強い勝ち方をしてきた選手だが、今日ほど“強い”と思わされた走りはない。 解説の益田氏も途中で仰っていたが、私も野口の走りに変化が見られたように思えた。以前はもっとぽんぽんと跳ねるように、ダイナミックな走りをしていた。しかし今日の走りは腰の上下動がより少なくなり、より効率よくエネルギーを前に前にと持っていくような走りだった。それが無理なく出来ているあたり、さすがである。結果として、前半は少しおとなしい印象さえあったその走りが、後半へむけた力を貯める事となり、最後の爆発的なスパートに繋がったのではないか。 早くもメダルに期待したくなる走り また個人的には、大変気の早い話ではあるが、北京オリンピックでのメダルへの期待というものを思わず抱いてしまう、今日の野口の走りだった。これでマラソンを6戦して5勝。唯一負けたのがパリ世界陸上での2位。そして特筆すべきは、これまでの6戦が、全て異なるレースだとういことだ。まさに速くて強い、そしてどんな環境にも対応できる、穴のないランナーであることを示している。 となると、未知のコースとなる北京についても、不安は無いだろう。どんなレース展開にも対応できるだけの力を持っている。先日行われた大阪の世界陸上では、ヌデレバと周春秀が圧倒的な強さを見せたが、私はこの2人に野口を加えた3人で北京の表彰台は独占される可能性がかなり高いのではないかと思う。今のところ世界的にもこの3人が、強さ、安定感で突出している。ラドクリフももちろん速い選手だが、どんな条件にも対応できる力という点では、この3人のほうが何枚も上手だ。 とにかく今は、怪我無くオリンピックまで順調に調整してほしい、と願うだけだ。北京オリンピックを見据えて大阪の世界陸上をパスし、そして臨んだレースで見事に優勝、タイムも文句のつけようが無く、代表にほぼ当確。ここまでまさに彼女が狙ったプランどおりに事が運んでいるだけに、この流れをぜひ継続してもらいたいものだ。 粘り強さを見せた尾崎、健闘したコスゲイ その他の選手について。2位に入ったコスゲイも、立派な走りだった。今日はあまりにも相手が悪すぎた、としか言いようが無い。その野口に35km地点まで、何度も粘りをみせて喰らいついたというだけでも、素晴らしい選手であることを示している。後半の坂ではさすがに遅れてしまったものの極端な失速というほどではなく、評価できる走りだった。 また4位に入った尾崎は、昨年のレースで出した自己記録を更新。昨年の寒さ、今年の暑さと、厳しい条件化できっちり結果を出してくるのは見事である。やはり力量ではどうしても上位陣に劣ってしまうのは致し方ないところだが、しかし自分の持てる力をしっかり出せるというのは、アスリートとしては非常に評価すべきポイントである。 最後に、渋井について。またも悔しいレースになってしまったが、しっかり勝負しての結果。今回は野口の力の方が上だったということである。外野が言うのもなんではあるが、いつかチャンスをつかめるだけの素質を持った選手であることは間違いないだけに、次の機会に期待したい。
posted by Alan Hetarade |15:12 |
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