2008年01月30日
フットボーラーの幸せな死期
人間に限らず命あるもの、必ず“死”というものは存在する。 いつ、どこで、どのようなタイミングで死を迎えるかなど、誰も知ることはできない。誰しもが人生の終焉を迎える運命にあり、苦痛を味わうことのない死期を切望する。 人生を振り返る時間はあるのか? 納得のいく答えを見出せるのか? 経験談を聞くことはできず、自分が理解するのは未知の領域だ。 知人のライターが「フットボーラーは人生で2度死ぬ」という言葉を使う。 端的に訳せば、サッカーをやめるとき、そして人生を終えるときだ。 大げさな表現かもしれないが、フットボールには人生の楽しみをはるかに凌駕する興奮と、終焉を感じさせるほどの魅力が存在する。 スペイン、リーガ・エスパニョーラの強豪セビリア。その左サイドを努めていたアントニオ・プエルタ。 彼がこの世をあとにしてから、半年が過ぎようとしている・・・。 セビリアのカンテラ(下部組織)出身で、生粋のセビジッタ。現ビルバオ監督のホアキン・カパロスに才能を見出され、レアルマドリードのセルヒオ・ラモスらと共に育ち、今日伝わるセビリアの黄金時代を築いた一人の選手だ。 若くしてポジションを勝ち取り、UEFA杯2連覇、国王杯優勝など輝かしいタイトルを手にした。2006年からはスペイン代表にも招集されるようになった。 テクニックに満ちたドリブル、鋭いクロス。縦横無尽に左サイドを動き回り、幾多も好機を演出してきた。右サイドのダニエウ・アウヴェス、左サイドのプエルタ。世界中のビッグクラブに決して引けをとらない攻撃的かつ魅力的なサイドバック。 22歳という年齢からしても、フットボーラーとしての彼の人生は、まさにこれからという時だった。 07-08シーズン第1節。ホームサンチェス・ピスファンで行われたヘタフェ戦。 前半35分、自陣ゴール近くで意識不明の状態に陥り倒れこむ。突然のことにドクターが走り、ディフェンダーのドラグティノヴィッチが彼の舌を出す。 一度は意識を取り戻し、プレー続行は不可能なものの、自らの足でロッカールームまで引き下がる姿を目にした時は、誰しもが“最悪”を予想することはなかったであろう。 しかし、彼は再び意識を失い、そのままICUに直行した。 懸命の治療が続くなか、容態が回復することはなく、スペイン中、いや世界中の祈りも届かずその3日後、彼は22歳という若さで帰らぬ人となった。 医師による発表は、遺伝や突然変異等によって起こる心臓疾患であった。先天的なものが大きく左右しているらしく、発症を事前に予測することは不可能であったと発表している。 ビッグビジネスへと発展した現代サッカーを語る上で、試合数の多さやピッチ外の過密日程は懸念されて当然の実情である。選手は商品であり、クラブやサポーターの欲求を満たす為に汗水流している部分さえある。その中に十分な休息はあるか?規律を乱してでも休みが欲しいという選手は、さらし者にされて当然なのか!? 本当にフットボールが好きなファンであるなら、現状に意義を唱える必要性はあって当然である。 先述した「フットボーラーは人生で2度死ぬ」という言葉にプエルタをあてはめると、彼は一度しか死ななかったことになる。サッカー選手を終えるということが彼の人生にはなかった。彼が息を引き取ったのは勿論病院のベッドの上だが、死に場所はピッチの上であった。しかし、これは真のフットボーラーならある意味誰しもが望むことではないか。 観客に応援される幸せのなか必死で走り、ボールを蹴る。全身に苦痛と責任を抱えながら、心の中で楽しさと幸せを感じながらボールを追いかける。その瞬間にピッチへ倒れこみ、芝生の匂いを感じながら人生を終えていく。もしかすると最高の終わり方なのかもしれない…。 残された者は悲しみにくれる。もう二度とその勇姿を見ることはできない。 故人の幻影に浸りながら、忘れないように生きていく。 その年齢やキャリアを考えれば後悔はあるかもしれないが、案外プエルタは幸せ者だったのかもしれない。 大好きなセビリアのピッチの上で、ユニフォームを着たままサッカー人生を終えたことを・・・。
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posted by romania |20:46 |
世界のサッカー |
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人間に限らず命あるもの、必ず"死"というものは存在する。 いつ、どこで、どのようなタイミングで死を迎えるかなど、誰も知ることはできない。誰しもが人生の終焉を迎える運命にあり、苦痛を味わうことのない死期を切望する。 人生を振り返る時間はあるのか? 納得のいく答えを見出せるのか? 経験談を聞くことはできず、自分が理解するのは未知の領域だ。
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