2009年09月26日
カボレ離脱で城福監督は
9月26日はJ1リーグ第27節、FC東京対磐田戦を取材した。FC東京が石川のゴールで先制した試合は、直後のCKから磐田が前田のシュートで同点に追いつくと、さらに左CKをイグノがヘッドで決めて逆転する。しかし、終盤に猛攻を見せたFC東京は、長友と赤嶺のゴールで再逆転して会心の勝利を収めた。 試合後の記者会見に現れた城福監督は、笑みをこらえながら試合を振り返ったような印象を受けた。それも当然だろう。1-2とリードを許した2分後、まず羽生に代えて赤嶺を起用し前線の枚数を増やす。さらにその3分後、石川に代え中村を、鈴木に代え椋原を投入する。システムこそ4-4-2と試合開始時と変わらないが、椋原を右DFに入れ、徳永を左DFに回す。そして左DFの長友はMFへとシフトした。そして右MFの中村はレシーバ&パサーとして、石川とは異質な攻撃と起点となった。 このシステム変更は7分後に同点ゴールに結びつく。中村が、低く早いクロスをニアに送ると、平山が飛び込んだため、GKは身体でブロックするのが精いっぱい。このこぼれ球をゴール前で長友が拾い、まず1点を返す。平山にはついつい高いクロスを送りたくなるが、高校時代からコンビを組んでいる中村ならではの好判断だろう。さらにロスタイム、ゴールキックのボールを平山が競り勝つと、赤嶺が拾い長友、梶山、長友とつないでセンタリング。これを赤嶺がヘッドで決めて逆転に成功した。 決勝点を決めた赤嶺、同点弾をアシストした中村、椋原投入で左MFにシフトした長友ら、選手交代がことごとく結果を出したのだから、城福監督の笑いが止まらないのも当然だろう。国見、鹿児島実、東福岡と九州出身の攻撃陣が大活躍したFC東京でもあった。 そして興味深かったのは、試合後の城福監督のコメントだ。「元々、今季の我々はバックアップメンバーのレギュラー突き上げ、底上げは大事なテーマだった。機能しなくて苦しい時期もあった」と素直に語った。そこで思い出したのが、8月1日の川崎戦だった。 カボレもいたベストメンバーでの川崎戦は、好調だった石川のゴールで先制したが、ジュニーニョのヘッドで同点に追いつかれると、ロスタイムに今野が自陣ペナルティーエリアの浮き球をクリアせずにヘッドでつなごうとしたところ、ジュニーニョにカットされ谷口に決勝点を許してしまった。試合後の城福監督は、決定的なチャンスに決め切れなかったことを悔やみつつ、主審のジャッジにも不満を漏らし、試合後の会見でも記者からの質問を受け付けたくないかのような憤怒を漂わせていた。 そして当時は、「バックアップの選手には、先発以上のスイッチが入るようにしているところだが、まだまだ。バックアップの底上げがこのチームには必要で、我々の持てる技術でフィニッシュまでしっかり持っていきたい。そのためにもバックアップの選手を育てていきたい」と語っていた。ちなみに、この試合は同点となってから米本に代え田邊、カボレに代え鈴木、石川に代え赤嶺を投入したが、勝ち越すことなくロスタイムに失点した。 で、再び磐田戦である。城福監督は、先のコメントに続いて次のように言葉を発した。「(交代は)FWからFWではなく、FWを投入しなくてもいい。攻撃的な選手ではなくてもいいと頭を切り替えた。後ろの選手が前に押し出されることで、(チームの)最大公約数を出せる。苦しんでいた時にヒントになった。今日はうまくいった」と。 カボレを引き抜かれ、移籍金こそプールしているが、新戦力の補強はない。城福監督は、現状の戦力で戦うしかない。そこで監督としてどうするか。バックアッパーの育成はどのチームも永遠のテーマだろう。しかし、選手育成ほど難しいことはない。そこで、現有戦力をどうやりくりするかが問題になる。城福監督は、2試合前の京都戦で試合途中に長友を左MFに起用したが1-2で敗れた。攻め合いとなった前節のG大阪戦では、左DFに長友、そして左MFに徳永を起用したもののドローに終わった。磐田戦は3度目の正直と言っていいだろう。 同じことは川崎にも当てはまるだろう。9月23日のACL名古屋戦。これまで4-2-3-1でトップ下に中村憲を置くスタイルから、寺田の負傷で最近は中村憲をボランチに置くことが多かった。しかし、名古屋戦では4-4-2にして、中村憲を左MFに固定し、90分間ポジションを動かさなかった。キーとなったのはDF森だった。スタメンでは左DFで、CBは伊藤と菊地、右DFが井川というスタートだ。中村憲、森とも名古屋の右サイド攻撃、小川をケアしての関塚監督采配と想像した。 そして60分前後、CB伊藤を左DFに、右DFの井川をCBにスライドさせ森を右DFに回し攻勢に出る。このシステムチェンジが奏功し、森のアシストから川崎が決勝点を奪った。当然ながら、試合後は関塚監督に対して中村憲の左アウトサイドでの起用法とDF陣のポジションチェンジについて質問が出た。しかし関塚監督は「まだシーズン中なので戦術に関する質問にはお答えできません」と言う。これも今季のお馴染みのシーンだが、城福監督同様、関塚監督も現有戦力をキープしながら、ポジションチェンジで結果を出した試合だった。 思うに、今季のJリーグは外国人選手に関し、ブラジルか韓国発→Jリーグ経由→中東リーグという図式が成立しつつあるのではないか。そこで引き抜かれたからといって資金力に限界があるJクラブにとって、新戦力の補強は難しい。だからこそ監督の手腕が結果を左右する。このことに気付けるかどうか。現有戦力をいかに生かしてチームを強化できるかどうかが、今後のJリーグのトレンドのような気がしてならない。もちろん城福監督や関塚監督はその流れをしっかり把握していると思うのだが……。
posted by roku03 |21:38 |
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