2008年02月18日

岡田監督を安田が救う

 東アジア選手権の初戦、対北朝鮮戦は1-1のドローに終わった。4-4-2のスタメンの両サイドバックは、予想通り右が内田で左が加地。1点を先制される劣勢の展開に、岡田監督は安田を左MFで起用。「守って下がられて失点している。1対1で勝負できる選手ということで安田を使った。嘉人(大久保)や山瀬がいなかったから」とその理由を述べ方、安田は期待に応えてドリブル突破から前田の同点ゴールを導き出した。そして、終盤には内田に代わり駒野が右サイドで登場。大会にエントリーしているサイドアタッカー4人を北朝鮮戦で起用した。

 サッカー専門誌の評価なら、10点満点で平均点の6を上回るのは内田と安田の二人だろう。試合は1-1のドローのため、6.5くらいが妥当なところか。駒野は出場時間が短いことから「評価なし」、そして加地は5点という低評価になってしまいそうだ。

 まず内田だが、出場した76分間でスルーパスを含めて11本のラストパスを供給。そのうち少なくとも3本はFWがダイレクトでシュートした、文字通り「ラストパス」のセンタリングを上げていた。ドリブル突破も試み、2回ほど相手を抜き去っている。岡田ジャパン発足以来、チリ戦から4試合連続スタメン出場しているが、この試合が攻守に渡り一番貢献したのではないだろうか。

 安田は26分間の出場で1回のドリブル突破と2本のセンタリング。そのうち最初の一発がGKのクリアミスを誘発し、同点弾に結びついている。指宿合宿ではアピールしようと意気込むあまり、独り善がりなドリブル突破からセンタリングを上げるタイミングを失い、今大会のメンバーからも外れていた。しかし、この日の試合を見ていると、頭の中がだいぶ整理されてきたよう。持つところと簡単に離すところの切り替えで、チームメートと意識を共有できるようになっていた。

 対照的に加地は、やはり左サイドに違和感があったようだ。不用意なボールの持ち方から奪われてカウンターを食らい、失点のきっかけを与えてしまったし、後半は鄭大世のマークでもインターセプトに失敗し、冷やりとするシーンを招いていた。攻撃では4本のセンタリングを上げたが、最初の3本は右足からクロス気味のボール。ドリブル突破にトライしたのも1回だけで、正直物足りなさが残った。失点のきっかけを作ってしまったこと。試合途中で瞼の上を切り、プレーに専念できないハンデもあったのだろう。次の中国戦は出場が微妙だが、徳永同様に左サイドでのプレー、コンバートは難しいかもしれない(もちろん、もう少しチャンスを与えて様子を見てみたいが)。

 駒野は内田に代わって14分間の出場にとどまったが、センタリングは3本、ドリブル突破にトライしたのも1回だけだった。出場時間が短いこともさることながら、駒野は指宿合宿から精彩を欠いていた。ミドルやロングのサイドチェンジのパスが、受け手の前方ではなく後方に出てしまい、受け手が戻りきれずにサイドラインを割ってしまうシーンを何度か見かけた。移籍等で環境の変化が、メンタル面にも影響を及ぼしているのだろうか。

 これまで豊富な運動量を要求される両サイドのアタッカーは、加地と駒野におんぶに抱っこの状態だった。彼らに代わるバックアッパーの育成は、日本代表にとって優先課題であり、急務でもあっただろう。彼らの不調を目の当たりにして、改めて内田と安田の成長は頼もしく感じる。今後はお互いに切磋琢磨して、少しでもセンタリングの質を向上させ、日本の決定力不足の解消に貢献して欲しい。

 最後に岡田監督だが、前日練習でトライしていた練習パターンが、そのまま試合に反映されていて、分かりやすかったとの印象を受けた。今大会はテストと確認の場であり、それほどチーム情報の漏洩には警戒していないのかもしれない。北朝鮮戦でも、「残り10分でリードされていれば、パワープレーをする方法もあるが、今の(チーム状況)時点では、その必要はないと思う」と語り、選手個人には勝負にこだわらせながらも、自身は「目先の勝ち負け」に拘泥していないことを言外にうかがわせていた。


※写真は北朝鮮戦のスタメン表です。川島が「DF」登録になっていたり、「10番のYAMASE Koji」の日本語名が「水野晃樹」、鄭大世の漢字表記もまったく別人で、ハーフタイムに修正スタメンが配られた


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posted by roku03 |01:46 | コメント(4) | トラックバック(1)
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2008年02月17日

加地は左サイド?

 いまは重慶のホテルでパソコンに向かっている。明日から始まる第3東アジア選手権の取材で、15日から重慶一の繁華街にある(独立碑の近隣)新華酒店(1泊3500円のホテル)の一室で、カメラマンと同宿しながら大会取材に備えているところだ。

 今日16日は、午後5時30分から日本代表が、市内のグラウンドで1時間ほどの練習を公開した。ダイレクトを基本としたパス回しによるフォーメーション練習を中心に、ハーフコートではトップに楔のパスを入れてサイドに展開に、サイドからのクロスにゴール前で3人のアタッカーが飛び込むパターン練習を繰り返していた。

 その際に目を引いたのが、サイドアタッカーの人選だ。すでに新聞等でも報道されているように、左に追加招集された安田と、加地。右には岡田ジャパンの申し子とも言える内田と、駒野。これまでの人選からすると、駒野と加地を入れ替えた格好だ。加地自身、左サイドDFは大分在籍時代以来7~8年ぶりのコンバートだという。

「基本的にサイド(ライン)を背負ってプレーするので違和感はありません。むしろ新しい発見があります」と加地は左DFを歓迎していた。FC東京時代、右サイドから中に切れ込んで左足でのシュートを練習していただけに、逆に左サイドに位置すれば、中に切れ込んだ時には得意の右足でシュートを狙うことも出来る。もちろん東アジア選手権で、加地が左DFで起用されるかどうか現時点では不明だが、加地自身にとって、さらにはチームにとってもトライする意義はあるだろう。

 ただし、岡田監督の真意がどこにあるのか。それが正直、分からない。今年1月の指宿合宿では、サイドアタッカーとして駒野、加地、内田、安田、徳永を招集した。これまでサイドアタッカーは、右の加地、左の駒野で定着している感が強かったように思う。そこで岡田監督は、レギュラーに近い2人に危機感を与えると同時に、バックアップメンバーの底上げも図ろうとしているのではないかと想像した。

 指宿では徳永は左サイドでも起用された。彼自身、昨シーズンはFC東京で目立った活躍をすることができず、まして左サイドでの起用は全くの予想外だった。その結果、これといったアピールも出来ずに代表からは漏れている。安田は、若さゆえの経験不足かもしれないが、指宿合宿では突破にこだわっている印象を受けた。ゴール前で巻や播戸が飛び込もうとしているのに、クロスを上げずにDFに勝負を挑み、大学生相手に抜けきれずCKを獲得するシーンが多かった。結果として、FW陣の動きは無駄に終わることが多く、チームメイトからも怒られていた。

 サイドアタッカーは、突破の回数もさることながら、精度の高いラストパスを何本供給できたかで、攻撃時の評価も決まるのではないだろうか。浦和に移籍した相馬は、確かにドリブル突破は魅力だが、ラストパスの本数は今季復帰した三都主と比べると少ないはずだ。そうした観点からすると、徳永や安田は最初のハードルをクリアできなかったのではないかと思っていた。

 そして、加地である。もともと右サイドは加地の独壇場だった。内田を起用したのは、まず加地は計算できる戦力のため、バックアッパーを必要としていたのではないか。そのために徳永も招集して底上げを狙ったと思っていた。左サイドも同様で、駒野一人しかいない現状を考え、ジーコ・ジャパン時代の固定メンバーが負傷した時の反省から、若い安田に可能性を見出そうとしていたのではないかと、指宿合宿の意図を想像していた。競争原理の導入により、個人を触発し、さらなる成長も期待しているのではないか。左サイドに関して言えば、浦和に復帰した三都主もいる。今後代表に呼ばれるかどうかは別にして、選択肢は広がるだろう。

 こうした状況で、試合前日の練習で駒野を右DF、加地を左DFで使う意図がどこにあるのか。本当にコンバートを狙うなら、指宿合宿からトライすべきではないだろうか。対戦相手をかく乱する意図からなのか。だとしたら、冒頭に書いた、加地の正直なコメントはどう扱ったらいいのか判断が難しい。選手は正直にコメントしていると思いたいが…。

 今大会は様々なことをテストする大会と、岡田監督は位置づけている、そのテストとは、新戦力の発掘なのか。それともオシム・チルドレンの粛清なのか。こうしたステレオ・タイプの判断は短兵急かもしれないけれど、今後の岡田ジャパンの方向性を探るには絶好の大会でもあると思っている。

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posted by roku03 |02:43 | コメント(2) | トラックバック(1)
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