2007年09月13日

反町ジャパンの弱点

 反町ジャパンは敵地サウジのダンマンで、狙い通り0-0のドローから貴重な勝ち点1を手に帰国した。森島、内田を始め柏木らU-20組も違和感なくチームに溶け込み、DFラインも伊野波の不在を感じさせない安定ぶり。前掛かりになって攻めたいサウジを弄ぶかのように、DFラインでボールを回す姿には成長を感じたものだ。

 欲を言えば水野のヘッドが決まっていたら良かったのだが、サウジもノールの決定的なシュートがあっただけに、相手が10人になったとはいえ、ドローで満足するべきだろう。あとはしっかり地元でカタールを叩き、得失点差でもアドバンテージをつかんでおきたい。そう期待して取材したカタール戦だったが、結果は1-0の辛勝。勝ち点3というノルマは果たしたものの、今後に不安を抱かせる中東勢との2連戦だった。

 反町ジャパンの目指すサッカーは、「ボールも人も動き」つつ、ボールポゼッションを高めながら日本人の特性であるアジリティと運動量で勝負するスタイルだと思っている。オシム・ジャパンほどボールポゼッション率は高くないものの、同じベクトルでチームを強化しようとしているはずだ。

 そんな日本のスタイルを、アジアのライバルたちは百も承知している。特に中東勢は、じっくり守備を固めつつ、前線からプレスを掛けて日本のパスミスを誘い、ボールを奪ったら一気にカウンターを仕掛けるというのが「対日本対策」となりつつある。ボールを回されるのは仕方がない。しかし、虎視眈々といつでもパスカットを狙って牙を研いでいる。

 そして日本の弱点、とりわけ経験値の低い反町ジャパンの弱点は、スリッピーなグラウンドではないかとサウジ、カタール戦を見て思った。ダンマンのピッチがなぜスリッピーだったのか詳しい理由は分からないが、東南アジアと違ってスコールがあるはずもない。とすると、意図的にピッチに水を撒いたのではないだろうか。

 スリッピーなグラウンドにすることで、日本が得意とするパスサッカーの精度を下げる。なおかつカウンタースタイルのサウジにとっては、前線へのタテパスを日本DFが処理する際に、不測の事態からチャンスが転がり込むかもしれない。事前に水を撒いておけば、湿度も高くなるため、これも日本にとってはハンデとなるだろう。国際大会に出場するためなら、ありとあらゆる手段で最善を尽くす。もしかしたら考えすぎかもしれないが、ドローの結果に安堵して眠りについたサウジ戦だった。

 そして迎えたカタール戦。当日は午前中から大雨が降っていた。雨中での戦いに慣れていない中東勢にとって、この大雨は恵みの雨になるかと期待したものの、夕方前にはあがってしまう。ピッチはサウジ戦以上にスリッピーだ。そして日本の選手たちは、慎重を期するあまり、DFラインからの球出しが遅く、MF陣とのタイミングが合わない。

 梶山や柏木、家長らがマークを外してフリーでボールを受けに顔を出しても、水本、青山直、伊野波らは、MF陣が欲しがるタイミングでパスを出すことができない。彼らが出そうとした時には、すでにMF陣は再びカタールのマンマークを受けている。この結果、出しどころを失ったDF陣は自陣内でボールを回すことに終始してしまった。後半に入ると退場者を出したこともあり、自陣でのパス回しもままならない。目指す「ボールも人も動く」パスサッカーは影を潜め、ひたすらカタールの猛攻に耐えるしかなかった。

 1トップに入った森島も、立ち上がりはトラップミスを狙われてカットされるより、確実に味方にボールをつなごうとダイレクトでの落としを選択したが、味方との距離が遠いためほとんどつながらない。ようやく前半なかばから連動性が出てきたものの、後半に入ると彼へのパスそのものが減少してしまい、持ち味を発揮できなかった。

 ちょうど1年前のことである。アジア杯予選でサウジとイエメンを転戦したオシム・ジャパンは、デコボコのピッチにドリブル突破を禁止し、プレスを受けたらロングボールを蹴るよう指示していた。カタール戦のように、日本のミスを誘ってカウンターという相手の狙いが明確なら、ピッチ状態から判断してロングパスに切り替えるなど、プレースタイルを変える柔軟性を持って欲しいのだが、今の反町ジャパンには高すぎる望みだろうか。

 ともあれ日本はホームで貴重な勝ち点3を獲得した。アウェーでは0-0で引き分け、ホームではきっちり1-0で勝ち、確実に北京へと近づいている。結果だけを見れば、「大人のサッカー」で勝ち点を積み上げていると評価する海外のメディアもあるかもしれない。しかし実態は、いつも薄氷を踏むような試合内容での「立派な結果」である。なんだかジーコ・ジャパンを思い出してしまう、反町ジャパンの「北京への道」である。

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posted by roku03 |12:26 | コメント(10) | トラックバック(0)
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2007年09月07日

平山は復活するか? 反町監督は耐えられるか?

 日々の取材で感じたことや、サッカーにまつわる話を紹介しようと始めたブログだが、ここ最近は反町ジャパンに関する話題が中心になってしまった。今日の深夜にはオーストリア対日本戦、そして明日はサウジ対日本戦があるのだから、代表関係の話題になってしまうのも仕方のないことかもしれない。

 といったところで、もう一つ五輪話しにお付き合い願いたい。「くらげ」さんもコメントで述べていた平山について、ちょっと気になることがあるからだ。

 僕が始めて平山のプレーを見たのは高校選手権の時だから、それほど熱心なウォッチャーではない。その後は五輪最終予選やオランダでのワールドユースで彼のプレーを見続けたが、当時の印象としては「シュートの割にゴールを決める決定率は高くないものの、シュートを枠に飛ばす割合はかなり高いストライカー」というものだった。

 いくらシュートを放っても、ゴール枠に飛ばないようでは話にならない。その点、平山は、バーやポスト、GKに防がれて得点にこそならないものの、シュートをゴール枠に飛ばす技術は高いFWだと思っていた。そしてもう一つ、自身の恵まれた身体を生かして、ディフェンダーの足が届かないところにボールを出してシュートポイントを作る、天性の巧さにも驚かされたものだ。

 ところがオランダから帰ってくると、ポストプレーを求められた弊害なのか、ボールを足元に置きたがる癖がついてしまったようだ。いくら恵まれた体格でも、足元でボールをキープすれば、マーカーも背後から簡単にボール奪取を狙える。スクリーンしている意味がないのだ。シュートにしても、足元にトラップしてからの動作になるため踏み込みが浅くなりがちで、パワーも伝わりにくい。そしてディフェンダーのタックルも届きやすくなってしまう。かつてのスケールの大きなプレーは、影を潜めたままなのだ。

 05年の東アジア選手権で、団長を務めていた釜本副会長とお茶を飲む機会があった。同氏いわく、「体格のあるFWなら直線的にゴールへ向かい、相手DFを身体でブロックしてシュートが打てる。しかし小柄なFWだとそうもいかないので、抜き去る必要が出てくる。抜くという動作が入ることで、シュートの態勢までに余計な手間が入ってしまう」と、当時の日本FW陣の弱点について教えてくれた。

 果たして平山が、自身の武器である恵まれた体格を生かす術を思い出すことができるのだろうか。シュートを枠に飛ばす技術は相変わらず高いので(そのぶん、GKやDFに当ててしまい、決定力不足を指摘される不運もついて回るが)、一日も早く彼がトップフォームを取り戻すことに期待した。

 さて、スポーツ紙の報道によると、反町監督は風邪気味の若手選手を、体調管理ができていないと批判したそうだ(シニカルな性格と言われる、反町監督らしい発言かもしれない)。現地で取材していないので、反町監督がどんな意図で語ったのかわからないが、新聞の報道通りなら、選手の体調を把握していない反町監督こそ、「選手管理」ができていない証拠ではないだろうか。

 前回のアテネ五輪最終予選でのことだった。アブダビで原因不明の下痢に選手たちは苦しめられた。同じ食事を摂っていたのだから山本監督以下スタッフも下痢に苦しめられたのは当然だ。しかし山本監督はスタッフに、自分たちが下痢で苦しんでいることを選手たちに悟られてはならないと通達し、食事の時などは明るく振る舞い、率先して食べ、選手たちにも食事を摂るよう促したという。

 また、アブダビでの3試合にはケガで帯同できなかった大久保と阿部に対しては、別のアプローチでケアしていた。勝気の性格で、メンバーから外れたことに憤慨している大久保にはあえて何も伝えず、彼の反発心に期待した。一方、落ち込む性格の阿部には、「日本ラウンドでは必ずお前の力が必要になるから、焦らずにケガを治して、日本ラウンドに間に合うよう準備をしてくれ」と伝えて、阿部の気持ちが切れないよう配慮していた。

 結果として大久保と阿部は日本ラウンドでゴールを決める活躍を見せ、アテネ行きの切符獲得に貢献した。今回、風邪を引いてしまった青山敏と柏木は、プロとしてはまだサッカー人生が始まったばかりのニューフェイス。体調管理なども、これから経験を積んで覚えていく年頃だろう。むしろ監督としては、どう対処すべきかを教える立場にあるのではないだろうか。もしかしたら、その余裕すら反町監督にはないくらい、極度のプレッシャーが掛かっているのかもしれないが……。

 そして、メディアを通じて反町監督にプレッシャーを掛けているのが、監督に任命した川淵キャプテンというのもおかしな話しで、本来任命者ならフォローすべき立場にあるはず。それとも五輪切符を逃したら、監督任命者として責任問題を問われかねないので、今のうちから反町監督に批判的な立場に回ることで、自身に批判が及ぶのを避けているのだろうか。だとしたら、立派なリスクマネジメントと言うしかない。世間ではこれを、「トカゲの尻尾斬り」と言うのだろう(たぶん)。

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posted by roku03 |13:23 | コメント(11) | トラックバック(0)
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2007年09月04日

梶山は生まれ変わったか?

 先週、先々週と2週連続してJ1リーグのFC東京戦を取材した。8月11日に再開したリーグ戦は大分、磐田、柏に3連敗。8月25日の浦和戦にも2-3で敗れて4連敗となり、再び降格争いに巻き込まれる可能性が出てきた。と同時に、下位に低迷するFC東京の原監督の進退も問われるのではないかと思ったものだ。
 
 8月25日は浦和に敗れた。8月29日にはアウェーで広島戦、そして9月1日にはホーム(国立)で神戸戦がある。連戦が続くため、例え原監督が結果を残せなかったとしても3連戦途中での解任はないだろう。ただし、その後は日本代表のオーストリア遠征があるためリーグ戦は15日までない。もしも広島戦に敗れて5連敗、さらには神戸戦でも結果を残せなければ、「Xデー」があるのではないかと予想したものだ。
 
 この予想は見事に外れ、アウェーの広島戦で5-0と圧勝。そして神戸戦でも河本に先制点を許しながら3-1の逆転勝利を収めた。その原動力になったのが、ボランチに復帰した今野であり、プレースタイルの変わった梶山だった。
 
 梶山の能力については改めて述べる必要もないだろう。180センチの長身ながらプレーは柔軟で、フィジカルコンタクトにも強い。パスセンスに優れ、右サイドからのドリブル突破も得意としている。指導者なら、その潜在能力に魅了されて「使いたくなってしまう」選手だ。しかしながら、天才的な選手にありがちな、難しいプレー、意外性に富んだ(ともすれば独りよがりな)プレーを好む傾向にあり、時としてチームに決定的なピンチを招くこともあった(98年フランスW杯のクロアチア戦で、中田英がハーフライン付近でまた抜きを試みて失敗した例もある。彼もまた孤高の将軍だったのではないか)。
 
 そんな梶山が、浦和戦ではダイレクトかツータッチでボールをさばいていたのを見て驚かされたものだ。赤嶺の先制点も彼のダイレクトによる前線へのフィードが起点をなっていた。しかしながら、前線のルーカス、赤嶺との距離が遠いため、梶山のダイレクトプレーはサイドに散らすかバックパスに終始して、効果的な攻撃に結びつかなかった。

 しかしながら、生まれ変わった梶山を救った選手がいる。広島戦からボランチに入った今野だ。本来のポジションに戻った今野は、ディレイしてボール保持者にプレッシャーを掛けるのではなく、果敢にインターセプトを狙い、ボールをカットするとそのまま前線に飛び出して攻撃に絡んでいた。彼の動きに刺激されたかのように、左サイドの栗澤&金沢、右サイドの石川&徳永は意欲的な攻め上がりを見せる。
 
 パッサーにとって選択肢が増えることは願ってもないことだ。ポストプレーヤーがマンマークを受けている場合、確実にキープしてくれるという信頼関係がないと、なかなかパスを出しにくい。出し手にも勇気がいる。しかし2列目から選手が飛び出してくれるなら、オープンスペースにパスを出すことができる。ヒフティヒフティのケースで、なおかつ敵陣に向かってのプレーであれば、インターセプトからの逆襲を心配しないですむ。
 
 梶山のようなパッサーに必要なのは、やはりパスの受け手であることを再認識しつつ、サウジに乗り込んだ反町監督はジーコ・ジャパンをどう評価いていたのか気になった。
 
 僕自身、過去にジーコ・ジャパンに関して、「月刊サッカーズ(休刊中)」という雑誌で何回か原稿を書いたことがある。その内容は、中盤にパッサーばかり揃えているため、攻撃が閉塞状況にあるということだった。中田英、小野、中村俊らはパスを出すことに生き甲斐を見つける選手だと思う。彼らのパスの受け手は柳沢と高原になるのだが、前線ではプレスも厳しいため、2人ともサイドに流れてパスを受けたがる傾向に強い。その結果、相手ペナルティエリアにはフィニッシャーが不在となり、小野や稲本が飛び込まないとゴールは生まれないという悪循環に陥ったと思っていた。

 例えば大黒などは、久保と同様にペナルティエリアの幅から外ではプレーしないため(サイドに流れてパスを受けてセンタリングを送るプレーを好まない、生粋のストライカー)、ゴールの予感はあったものの、残念ながらドイツでは活躍の場を与えられなかった。
 
 そうしたジーコ・ジャパンのチーム作りにおける失敗(と僕個人は思っている)、上手い選手ばかりを集めてもチームとしては機能しないことを、反町監督は理解して梶山を使おうとしているのかどうか疑問に感じる。梶山を使うなら、サイドには本田圭のようなキープ力があり、起点となれる選手よりも、飛び出せる選手を使った方が、結果として梶山も生きると思う。

 そしてもう一人、平山をFW陣の軸に据えるなら、サイドから正確なクロスを入れられる選手とセットでないと平山の良さも生かされないのではないだろうか。五輪チームの軸を誰にするか。それが平山と梶山なら、彼らの良さを引き出せる選手を招集することが、北京へと続く最善の道だと思う。

繰り返しになるが、ジーコ・ジャパンの総括を日本サッカー界は今からでもす るべきで、反町監督は同じ轍を、経験不足から(ジーコも監督としては同様に)踏んでしまうのではないかと危惧している。

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posted by roku03 |20:31 | コメント(5) | トラックバック(0)
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