2007年08月10日

選手の名前

 8月7日は、プレマッチのマリノス対バルサ戦を取材した。バルサはスタメンでエトー、ロナウジーニョ、アンリの豪華FW3人を起用したが、まだアンリは身体が重たそう。アーセナル時代のキレ味鋭い突破は陰を潜め、マリノスDF陣を混乱させる場面は皆無だった。

 試合はバルサが1-0で勝利し、対戦成績を1勝2分けとしたが、果たして8月末から始まるリーガ・エスパニョーラで、ライカールト監督は超豪華な攻撃陣をどのように起用していくのか。こちらの方が気になって仕方がない。今回は来日しなかったメッシやデコなど、攻撃的なタレントは世界一と言っても過言ではないだろう。問題は、彼らのほとんどが守備に関して効果的な動きができるかどうか疑問符がつくということだ。

 例えばロナウジーニョが10人いても、勝負となれば話は別のはず。ライカールト監督のような守備的プレーヤーのスペシャリストも必要になってくるし、むしろ現代サッカーでは彼のようなタイプの選手の方が重宝される傾向にある。たぶんリーグ戦とカップ戦で「ターンオーバー制」を導入するのだろうが、その際にスーパースターたちのモチベーションをいかにコントロールできるか。超豪華な攻撃陣は、ライカールト監督にとって諸刃の剣となるかもしれない。
 
 マリノス戦は18歳の新鋭ジオバンニが決勝点を決めたが、翌日のメディアでは彼のことをドス・サントスと表記する媒体もあった。こうした海外選手の表記の統一は、編集者にとって頭痛のタネの一つでもある。彼に限らず、ロナウヂーニョ、エトオと表記する雑誌もあるように、似ていて微妙に変わってくるから厄介だ。

 ライカールトにしても、彼の氏名が日本のメディアに登場したのはEURO88ドイツ大会でのこと。当時の大会を取材した僕は、なんて日本語に置き換えたらいいのか分からず、オランダ人サポーターに聞きまわったものだ。そこで得たニュアンスは「ライカー」の後に「ル」の促音が巻き舌で入り、最後は「ト」で終わるというものだった。しかし、それでは日本語として不自然だと思い、「ル」の促音巻き舌を省略して「ライカート」として、当時勤めていたサッカーダイジェスト誌で紹介した。

 結果的に「ライカート」は定着することはなく、当時ライバル誌だったサッカーマガジンの採用した「ライカールト」が彼の日本語表記としてこれまで使用されている。とはいえ、それもオランダとスペインで通用するのか、常識を疑ってかかることも必要だ。例えばライカールトと同時期に活躍した「フリット」は、イタリアでは「グリット」と呼ばれていたし、「ファン・バステン」もイタリアでは「バン・バステン」だった。基本点に日本は、母国語での発音を優先するが、所属するクラブでは当然その国の言語となって表記されるため、微妙に変わってしまうのだ。

 オランダ人を例に挙げれば、クライフの大ファンである清水カメラマンが、オランダで「自分はクライフのファンだ」と言っても、それは誰だと怪訝な顔をされたそうだ。オランダ人によると、「クリュフ」というのが正確な発音らしい。かつてデンマークに「シモンセン」という名選手がいたが、彼の所属するドイツのボルシアMGで金子達仁氏が清水氏と同様なトライをしたところ、「ジーモンジー」と訂正されたこともある。同じアルファベットでも、ラテン系とドイツでは発音も随分と変わってしまうようだ。

 一見すると些細な問題のようだが、選手の名前一つを取っても、日本に紹介し、定着させるまでには様々な紆余曲折がある場合もある。

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posted by roku03 |10:25 | コメント(9) | トラックバック(0)
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