2008年01月03日
鹿島の継続性
新年明けましておめでとうございます。 といったところで、サッカー界は元旦から慌しいのが恒例だ。天皇杯決勝の日は、大会を運営するサッカー協会関係者や、決勝に進出したチームのスタッフ、テレビ解説者、そして同業者たちと新年の挨拶を交わす場でもある。そして翌日からは高校選手権の取材に奔走するのが例年のパターンで、さらに今年に限って言えば、15日からは鹿児島県の指宿で岡田ジャパンの初合宿も控えている。2月中旬は東アジア選手権の開催される重慶に行くか、それともG大阪が初出場するパンパシフィック大会を取材するか、日程が重なっているのが残念でもある。 2月の予定と、日本代表の合宿が久々に指宿に決まったことはさておき、今回は天皇杯決勝について触れてみたい。晴天に恵まれた決勝は、鹿島対広島という、守備をベースにした、どちらかというと地味なカードにもかかわらず、有料入場者数4万7千という大観衆が詰め掛けた。この傾向はすでに数年前から続いていて、対戦相手に関係なく天皇杯の決勝を観戦するリピーターが定着したとも言えるだろう。元旦は「国立詣で」をするのが、サッカーファンの年中行事になったようだ。 試合そのものは、広島が柏木を欠いていたこともあり、鹿島が狙い通りの展開から11個目のタイトルを獲得した。興味深かったのは、試合後のオリヴェイラ監督のコメントである。同氏いわく、「守備が安定しなければ、攻撃をしようにも負担がかかる。来日してJリーグには、攻撃的意識の高いチームや選手が多いと分析した。そういう相手に攻撃的に戦っても、叩き潰されるだけだ。そこでまずは守備をしっかりして、選手の守備の意識を高める。守備を安定させれば、相手が攻めている時は錯覚していることにもなる。そして我々は、相手が攻めている間に反撃の準備が進めることができた。そのためのベースを作る必要があったし、継続性も必要だった。現代サッカーでは攻撃も守備もできる選手が要求される。私の求めるクオリティも同じだ。攻撃的な(ポジションの)選手でも、守備にスイッチを切り替えた時には守備での役割がある。どのポジションであろうと、攻撃か守備か、時間帯、場面によっての関わり方がある」と勝因を述べていた。 鹿島といえば、Jリーグ元年から堅固な守備をベースに、接戦をしぶとくモノにするチームという印象が強い。もちろんチャンスと見るや、畳み掛けるような攻撃力も披露する試合巧者ぶりも発揮して、数々のタイトルを獲得してきた。破壊力を秘めているものの、全盛時のヴェルディや磐田のような、攻撃力を前面に押し出すよりも、まずは守備をベースにチームを構築してきた伝統があるのではないだろうか。 しかしながら近年は、チームの世代交代に苦しみ、伝統でもある「試合巧者」という最大の武器を見失っていたような印象が強い。堅守速攻型からの脱皮を目指した故のジレンマなのかどうか。それほど頻繁に取材していないので詳しいことは分からないが、タイトルを獲得した昨シーズンは、かつての名門が復活の狼煙を上げたということに間違いはないだろう。前線のマルキーニョスは清水や東京V時代とは見違えるように守備に奔走し、田代も巻に負けない運動量で攻守に貢献していた。オリヴェイラ監督が指摘するように、夏場を過ぎてからの鹿島は接戦に強い伝統が復活したと言える。 もちろん、ここまで選手たちの意識を統一するには、チーム内で監督自身の戦術を浸透させるための闘争もあったことだろう。それができたからこそ、オリヴェイラ監督は勝者となれたはずだが、天皇杯決勝後のコメントで一番印象深かったのは、彼が残した「継続」という言葉だ。それには二つの意味があるように思う。 まず一つは、タイトルを奪回するためベテラン監督は頑ななまでに選手に守備意識を要求し、それを1シーズン通じて実践させたこと。そしてもう一つは、鹿島というチームが、Jリーグ元年からブラジル人監督を採用し続けたということだ(初年度は故・宮本監督、途中で関塚監督代行=現川崎F監督の時代もあったが、スタッフはブラジル人だった)。 93年のJリーグ創設以来、鹿島はブラジル人監督の伝統から、4-4-2システムの、ボックス型の中盤というスタイルをベースとして踏襲してきた。試合状況に応じてシステムは変化するものの、基本的にこの伝統に変わりはない。CBの2人は屈強さを武器に、堅実な守備を誇る。両サイドバックは攻撃的なセンスを要求され、中盤は守備的なボランチを2人置きつつ、一人は攻撃的なポジションにシフトする。このセントラルMFが両サイドのMFとポジションチェンジしながら攻撃を組み立て、2トップを生かすシステムは、15年間普遍とも言える。 チーム創設以来、紆余曲折はあったものの、ブラジル人監督を招聘し、そのスタイルを継承したフロントの「ブレない姿勢」。これこそが、もしかしたら鹿島の伝統的な強みであり、今回のリーグ制覇と天皇杯奪還だったのではないか。今回の勝利はフロントの「継続性」がもたらした、アントラーズ復権のような気がしてならない。
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posted by roku03 |10:31 |
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[Football] 鹿島、見事な試合運びで天皇杯を制す 【タイで想う日々の日記】
鹿島 2-0 広島 得点・内田、ダニーロ 試合終了寸前までタイトルは「1-0勝利の美学」にしようと想っていました。 最後の最後、広島は前掛かりだし、確かに失点は致し方ないと想いますが、それ以上に最後に魅せた、見事な鹿島のカウンター攻撃、美しいシュートでした。
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鹿島の継続性
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しかも鹿島は過去に在籍した助っ人外国人選手は全てブラジル人。まぁ、Jリーグ2年目の2ndステージ辺りで一時期、3バックを採用していたのを覚えていますけどね。以前はジーコ、レオナルド、ジョルジーニョのような超大物助っ人がいたけどベベットで懲りたのか、今はあくまでも日本人選手が中心で外国人はあくまで助っ人というのも気に入っています。浦和のような派手さはないかもしれないけどそう言うチームほど強い。07年のリーグ優勝も浦和が息切れしたと言うよりは鹿島が最後まで諦めず、浦和を落としたというイメージが僕にはあります。現に直接対決では勝ってるし。けど柳沢の京都移籍が決定的のようですね。
posted by ブラジル産 | 2008-01-03 11:00
鹿島の継続性
コメント投稿者ID :
>ブラジル産さま
早速のコメントありがとうございます。
これまで多くのJ2チームが、昇格を目的に外国人選手を攻撃の中心に据えたものの、彼らがいなくなるとチーム力がガクッと落ちる弊害を見てきました。チームのベースは日本人で、という姿勢も鹿島にはあるかもしれません。
ただし、鹿島という地域性と観客動員(チーム運営)を考えると、強いだけでは限界があるのではないでしょうか。首都圏のファンもカシマに行きたくなるような「華」のある選手の獲得も、営業的には必要な気もします。
柳沢は、彼をユース時代から高く評価していた加藤監督(当時は強化部長)率いる京都への移籍が濃厚だと思います。
posted by 六川 | 2008-01-03 11:16
鹿島の継続性
コメント投稿者ID :
あけましておめでとうございます。
初めてカキコします。
オリヴェイラ監督の言葉には「世界最強ブラジル国のサッカーの歴史からくる言葉」を感じます。
日本より格段にレベルが上のブラジルリーグと比較すればJリーグなどまだまだ幼児期のようなものでしょう。なぜならプロ化してまだたったの15年しか歴史がないからです。指導者だってアマチュア出身が殆どです。
またブラジルリーグでも100年近く歴史があれば今回の鹿島の様な大逆転で優勝したこともかつてはあったでしょう。もしかするとその時にオリベイラ監督の様なコメントが出ていたかもしれません。もうブラジルでは歴史と技術が国民レベルで日本より上ですから欧州に目を向けるのもいいですがもっともっとブラジルリーグに目を向けることも必要ではないでしょうか?
鹿島の分析は指摘されている通りだと私も思いました。鹿島の強さはJ1創設期にブラジル代表でも10番をつけたカリスマ性のある【ジーコ】の指導が脈々と受け継がれている点でしょう。「プロとは」「最後まで諦めるな」など本物のプロからの指導が徹底されていたのが今の鹿島の原型になっていると思います。
posted by POP kashima | 2008-01-03 14:51
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