2006年07月26日

アイ・オブ・ザ・タイガー タイガーの涙  第135回全英オープンより

 タイガーの目からはぼろぼろと大粒の涙がこぼれだした。
「ずっと、父親の姿を思い出しながらプレーしていた。」

 第135回全英オープン、最終日18番ホール。
優勝パットを静かに入れたタイガー・ウッズは今までぐっと抑えてきた感情を爆発させた。両拳をリバプールの空に突き上げ雄たけびを上げた。
今年5月にガンで亡くなった父、アールへ届けとばかりに。
今まで見せたことがない、そして本人自身も止めることもできないほど一気に感情が溢れ出した。
「これまであんな風になったことはない。いろいろ乗り越えてきた最近の出来事を考えてたらね。。私は自分なりに少しずつ感情を隠しながら乗り越えてきた。私にとっての父の思い出や教えてもらったゴルフのすべて、父にもう一度優勝シーンを見てもらいたかった。」

 タイガーの傍らには常に父、アールの姿があった。彼が優勝して真っ先に抱きつくのはいつもアールで我々はこんな二人の姿を何度も目撃してきたはずである。3歳からクラブを持たせ、ゴルフを一から教え現在のタイガーを作り上げたアールは、タイガーにとってはよき父であるとともにゴルフの師であり、そしてゴルフプレーヤーを続けていくうえでの良きパートナーであった。スランプに陥ったり、落ち込んでいる時は必ず父に相談、アドバイスを求めた。そんな心から頼りにしていた父の死はタイガーの心にぽっかりと大きな穴を開けた。父の死を引きずったままプレーした6月の全米オープンでは自身メジャー大会初の予選落ちという経験を味わう。あれから1ヶ月。傷心のタイガーを心配する周囲をよそに、タイガーは見事、王者として舞い戻ってきたのである。
 全英オープンに臨むタイガーはいつもの自信満々の王者としての風格はなく、このタイトルを何がなんでも勝ち取るといった悲壮感さえ感じた。飛距離が自慢の彼は勝負に徹するためにドライバーをあえて封印した。4日間、全72ホールでドライバーを手にしたのは僅か1回のみである。ファンもタイガーの豪快なドライバーショットを期待していたが、最後の最後までセーフティで堅実なゴルフに徹し、眉間に皺を寄せながら緻密で冷静にプレーし続けるタイガーの姿にこのタイトルを絶対獲るといった強い執念を感じた。
 タイガーはこれでメジャー通算11勝目となったが、この1勝は亡くなった父、アールに捧げるべく執念でもぎ取った大きな大きな1勝でもある。
 最終日、必死にタイガーを追い上げ2位に入ったクリス・ディマルコもまた、7月4日に最愛の母を亡くし失意の中での出場であった。
こんな二人が今年の全英オープンのタイトルを懸け優勝を争い、今回の主人公を演じた。全英オープンには毎年様々なドラマがあるが、今年は二人のプレーヤーがそれぞれ亡くなった父と母への思いを馳せながらの戦いでありそれが彼らのプレーに乗り移ったような弔いの4日間とも言うべきドラマがあった。
 私自身、1996年に競泳の現役選手を辞めたのだが、2004年に国体に出場したいと思ったのはガンを患い病床にいた母にもう一度見てもらいたいという強い思いがあったから。いつも試合会場に足を運び、常に最大限のサポートをしてくれ一番のファンであった母に対してもう一度見てほしい、喜んでほしい、そして少しでも元気になってほしい、そんな姿を私も見たかった。結局、母は国体予選の前に亡くなったが、母の為にという執念にも似た思いが国体に出場できる力になったと今でも思っている。あの時は不思議と背中を押してくれた気がしてならなかった。だから、今回のタイガーには少なからず共感できる思いがあるし、優勝という最高の結果を得ることができたことがとても嬉しい。
 
 18番ホールでタイガーは大粒の涙を流し、キャディーと力強く抱き合い、そして妻のエリンと抱擁を交わした。溢れ出てくる感情と興奮が覚め止まない記者会見でタイガーは最後にこう締めくくった。
 「私はマスターズで勝てなかったことが残念で仕方なかった。父が見れる最後のメジャー大会だということを知っていたからね。あの大会は本当に悔しかった。今回の大会で優勝できたけど、父に見てもらえることができなくてとても残念だ・・ 今晩はこのジャグ(優勝トロフィー)で乾杯しようかな。私が好きな飲み物を入れてね。でも1杯だけじゃ足りないだろう、きっと・・」
 1杯じゃ足りない。それはタイガーが亡き父、アールに優勝の報告をして一緒に勝利を分かち合いたいという意味だと私は感じた。

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posted by ブラウンシュガー |06:26 | ゴルフ | コメント(0) | トラックバック(1)
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2006年07月23日

なでしこの熱い挑戦

 ドイツでのワールドカップの興奮、狂乱が余韻から過去のものとなりゆくなかで地球の裏側南半球、オーストラリアでもうひとつのワールドカップ、女子アジア予選の熱い戦いが繰り広げられているが日本女子代表、通称「なでしこジャパン」が快進撃を進めている。A組の中国、ベトナム、台湾と同組に入った日本は初戦のベトナムを5-0と快勝すると2戦目の台湾に11点の大量点を奪って大勝。そして今日、アジアの王に君臨する中国を1-0と撃破した。日本女子が中国に勝利を収めたのは実に97年以来、9年ぶりの快挙。これによって準決勝リーグの進出が決まり27日にB組2位の国との対戦に勝てば来年、中国で開催されるワールドカップ出場の切符を得ることができる。
 ドイツでの世界最高峰のプレーをさんざん見た後だけに女子のスピード、技術などさすがに物足りなさは感じてしまうのだが、なでしこジャパンはそれらを忘れさせてしまうぐらいの素晴らしい戦いを見せてくれている。勝利への貪欲さ、必死にボールに食らいつく執着心、最後まで走りぬくタフネスさ、そしてチームが共通の目的、意識をもって戦うという一体感。これは本来、ドイツの地で見せるべきだった日本代表の姿ではなかったか。代表が果てし得なかったサッカーをなでしこ達が代わって体現しているようだ。こんな姿をドイツで見たかったのにと思っているのは私だけではないだろう。この試合、見ていて中国のほうが1枚上のサッカーをしているのは明らかだったが、最後まで中国にゴールを割らせなかった。なでしこ達の勝利への執着心、気迫が中国を上回ったのである。
 ここ近年の女子サッカーは短期間で一段と成長を遂げている。アテネオリンピック予選、今まで雲の上の存在であった北朝鮮に勝ち、そして今回は中国に勝った。
 1989年のLリーグからはじまり着々と一歩ずつ確かな歩みを踏んできた女子サッカー。こうした土壌が女子サッカーを活性化させ現在代表の中心になっている沢などを生んだ。そして紆余曲折はあったものの当時はまだ見ぬ蒔いた種が新たな芽となって出始めている。今回、代表に選出されて活躍している永里や阪口など才能豊かな10代の選手はその象徴であり、彼女達には物心ついた時からJリーグやLリーグが当たり前のようにあり、それを見て憧れて育ってきた。フランスワールドカップに初めて出場した日本代表に目を輝かせ、沢ら先輩が活躍する姿を見て私もこうなりたいと強く願ってサッカーを始めたのである。今の代表には代表やLリーグ時代からの浮沈を経験をして礎を作ってきた磯崎や山郷、沢。そして世界の舞台を経験してきた中堅の世代がいてそして先の新しく台頭してきた若い力が入り新旧、非常にバランスがとれたチームになっている。
沢は
「今、チームの雰囲気がいいし同じ目標に向かってみんなが何をするかが分かっていてひとつになっている。」と言った。
現在のところ、ワールドカップの切符を懸けた戦いの相手は北朝鮮かオーストラリアになりそう。いずれも日本とは実力が伯仲しておりどちらがきても厳しい戦いになるのは間違いない。
しかし今のなでしこ達はやってくれそうな気がしてならない。
大和撫子とは清楚でつつましい女性といったイメージがあるが、本来のヤマトナデシコは見かけは弱そうで倒れそうだが実は乾燥に強くたくましい植物であるという。
どこまでもタフで男勝りのハートをもったなでしこ達を応援しよう。
27日に彼女達の最高の笑顔をみるために。

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posted by ブラウンシュガー |22:55 | サッカー | コメント(0) | トラックバック(0)
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2006年07月17日

イタリアサッカー カルチョの光と影

1982年以来、24年ぶりにワールドカップ優勝を遂げ、 
歓喜に沸いたイタリア。 
この優勝という眩い光が射したのも束の間、 
カルチョの国、イタリアは、 
不正疑惑という漆黒の闇に包まれようとしている。 

昨シーズン、イタリアのリーグ、セリエAで優勝した 
ユベントスをはじめ2位のACミラン、フィオレンティーナ、 
ラツィオのチーム幹部が審判の選定に加わり、 
自分のチームに優位に働くよう強要したというもの。 

この不正疑惑はワールドカップ前から 
チーム関係者、監督、選手まで事情聴取を受けるなどの 
騒動となり、調査が進められるなか、 
このほど規律委員会が裁定を下した。 

1番多くの関与が確認されたユベントスにはセリエB降格 
および勝ち点マイナス30。昨年の優勝を取り下げ。 
関与したモッジGMは5年間の追放処分と除名の提案。 
ミランはセリエAで勝ち点マイナス15と 
今シーズンの欧州チャンピョンズリーグの出場権剥奪。 
フィオレンティーナ、ラツィオはセリエB降格および 
それぞれ勝ち点マイナス12と7というものだった。 
イタリアで最も歴史がありイタリアサッカー界の顔とも 
いえる名門クラブの処分にイタリアは大きな衝撃を受けている。 

ユベントスは創設108年の歴史で初めてのセリエB降格 
となるが、セリエBにて勝ち点-30ポイントからのスタートは 
事実上、1年でのセリエA復帰が不可能であることを指す。 

新監督に就任したデシャンは 
「マイナス30ポイントでは勝ち抜くことはできない。 
せめて10ポイントに軽減してほしい。」 
と懇願する。 

現在のところ、チームの象徴ともいえるデルピエーロと 
チェコ代表のネドベドは残留を表明しているが 
主力選手の大量流出は否めない。 
それに加え、リーグ戦、およびチャンピョンズリーグでの賞金、 
放映権、観客動員、スポンサーの獲得などの収入源は 
大きく低下するのは明らかで長年、王者として君臨してきた 
ユベントスにとってはこの一件であまりにも大きな代償を 
支払うことになる。 

ワールドカップの期間中、 
昨シーズンまでユベントスでプレー、イタリア代表でも活躍し、 
今年からユベントスチームマネージャーに就任した 
ジャンルカ・ペッソットは 
ユベントスの本部ビルから飛び降り、意識不明の重体となった。 
現在、意識も戻りつつあり命に別状はないとのことだが 
イタリア中、そして当時、 
ドイツにいたイタリア代表にも激震が走った。 
カンナバーロなどユベントスの選手は急遽、イタリアに戻り 
ペッソットの入院する病院に駆けつけ、彼を見舞った。 

「ペッソットの為に」 
ドイツで戦っていたイタリア代表に大きなモチベーションが 
加わったのは間違いない。 

今となっては、ペッソットがこの不正疑惑に何らかの関与、 
あるいは情報を知っていたのかも知れないと想像させられる。 
こうした一連の繋がりがイタリアのワールドカップ優勝を 
導いた一因になっていることが皮肉でもある。 

イタリアと黒い疑惑は今に始まったことではない。 
1982年、24年前にワールドカップで優勝したときも 
1980年にイタリアで八百長事件があり 
得点王となったパオロ・ロッシは 
2年間の出場停止処分から明けての出場だった。 

今回もACミランに対して処分が軽減されたのは 
現首相で前ミラン会長であったベルルスコーニの圧力が 
かかったとの情報もある。 

この国でサッカーをカルチョと呼ぶが、 
カルチョの及ぼす影響はいい意味でも悪い意味でも 
計り知れないほど大きい。政治、経済、文化全てにおいてである。 
それはクラブの会長が 
一国の首相になっていることからも明らかだ。 
どこまでも黒い疑惑は晴れず、引き離すことは難しいだろう。 
これもカルチョと言ってしまえば仕方がない。 
が、しかし今回の一件はそうも言ってられないほどの 
衝撃を世界中に与えたイタリアサッカー界の罪責は大きい。 

スポーツは全ての平等のもとにおこなわれるべきである。 
スポーツとは健全な精神のもとにおこなわれるべきである。 

今回のワールドカップで 
大きな波紋を呼んでいるジダンの退場の引き金に 
なったマテラッツィの人種差別発言もふくめて 
イタリアの優勝という功績が色褪せてしまいそうな 
ネガティブな印象が拭えない。 

スポーツの本来あるべく姿をイタリアサッカー界全体が 
今一度、再考すべく時ではないだろうか。 
このままでは世界が羨む魅力あるカルチョが 
崩壊してしまう。これは全世界のカルチョファン、 
スポーツファンを裏切ることにもなる。 
少なくとも我が日本でも決してあってはならぬ習うべからぬ 
事例であることは言うまでもない。 

スポーツとは本来、美しいものであるのだから。 

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posted by ブラウンシュガー |07:04 | サッカー | コメント(0) | トラックバック(0)
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2006年07月12日

ユベントスの凋落と新たな挑戦

不正疑惑によるユーべのセリエA降格がほぼ確定的で 
カペッロがレアルマドリーの監督になった以上、 
カンナバーロだけでなくユーべ主力のレアルマドリー移籍が 
現実的になりそう。 
選手獲得にあたってミヤトビッチも鼻息が荒い。 
その中にエメルソンの名前も挙がっている。 
ユーべだけでなくACミラン・フィオレンティーナも降格となると 
イタリアでプレーする選手が大量にヨーロッパの各方面に移籍し 
今シーズンのヨーロッパ勢力図が大きく変わるのは間違いない。 

そしてユーべには元フランス代表でユーべでも5シーズンプレーした前モナコ監督のデディエ・デシャン(37)の就任が決定した模様。降格が決まっても指揮を執るとの事。 
「かつて自分がユーべでプレーしていた時と同じくらい 
自分の全てをユーべに注ぎたい。」 
かつて華やかな時代をユベントスで過ごしたデシャンが 
降格したユベントスをいかにして這い上げるのか。 
あえて過酷なチョイスをしたデシャンの挑戦が始まる。 }

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posted by ブラウンシュガー |23:30 | サッカー | コメント(0) | トラックバック(0)
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