2006年06月29日
オシムの言葉から学ぶこと
次期日本サッカー代表監督が有力視されている
現ジェフ千葉の監督、イビチャ・オシム。
以下に記してあるのは、彼の言葉の数々である。
サッカーファンには既によく知られているジェフのホームページに
ある「オシム語録」より抜粋したものである。
ここでは、試合前やハーフタイムのミーティングで
選手に投げかけた言葉、試合後の会見での記者とのやりとり、
サポーター、ファンへのメッセージ、日本人のメンタリティ、
サッカーを通しての自分の人生観など幅広く、
彼の鋭くも冷静でかつウィットにとんだ言葉が並べられている。
これを読めば、もし言葉の中の名詞を変えれば、現在の日本代表からはじまり日本サッカー界いや、日本のスポーツ界全体の問題に
あてはめることができるし、
教育という現場に立つ指導者、教師達にも非常に役立つ
教育論、指導論としても捉えることができる。
また自分の日常、あるいは人生にあてはめて考えさせてくれる
生きていくうえでの教訓になりうる言葉があるし、
それはそれぞれに直球で突き刺さって
自分に向かって強烈に問いかけてくる言葉がここにはある。
この偽りのない実直な言葉は彼の決して順風とはいかなかった
今までの人生から得た実体験から発せられている。
故に、リアルなのだ。
とくに故郷であるボスニアでの長く続いた
ユーゴ分裂の内戦、紛争は彼の中で大きく影を落としている。
現実として受け入れざるを得なかった
自分の生まれ育った国の内戦、紛争は
結果、数年間、彼と戦火の故郷サラエボに取り残された
自分の家族、妻、娘を引き離すことになった。
サラエボに戻ることも出来ず、しかも家族がいる
故郷サラエボを攻める勢力の敵軍、
セルビアのチームを率いて監督を続けた
彼の苦悩は計り知れない。
「サッカーとは私の人生だ。人生からは逃げられない。」
という言葉はこうした体験からくる悲壮な覚悟の言葉でもある。
彼の言葉は非常に物事を現実的に捉えているが、
ただ悲観することなく希望があることを教えてくれる。
ある一人のサッカーの監督の言葉としてでなく、
そしてサッカー、スポーツ興味あるなしに関係なく
全ての人の胸に響く
リアルなこのオシムの言葉を1人でも多く知ってほしい。
それぐらい重みのある厳しくも優しい言葉がここにある。
●大事なことは、昨日どうだったか、明日どうかではなく、一日一日を大切にすること。
●何もしていないし、何もしようとしていない。何かをやろうとしなければ、何も起こらない。
●「(今日の試合の感想をお願いしますという言葉に対して)何をお願いするのですか? ここは教会ではないので、何かをお願いするのはやめてほしい。私が何かを言うのを待つのではなく、まずは記者のみなさんが考えてほしい。私が逆に聞きたいぐらいだ。私は何が起こったか全部知っている。」
●「君たちは何か勘違いをしている。自分だけが良い生活をして、良い車に乗っていれば良いということは絶対にない。サポーター・街・市原市・千葉市のためにも最高のプレーをみせないでどうする。」
●「ゲームに負けることはある。ただ負けるにしても自分たちのプレーをやりきって負けるのと、そうでないのでは大きな違いだ。」
●クリスマスも近いですが、まずクリスマス以前に実際ヨーロッパでは長い間ちょっとした戦争が起こっていました。例えばそれがアフリカでも起こっていて、クリスマスから子供達はすごく離れた存在にあった。もちろんクリスマスが出来る環境であって欲しい。そして日本に生まれたということは、戦争から今はかけ離れている。それはすごくすばらしいことですし、ある意味運をもっていたということもあるでしょう。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんに見守られて日本でサッカーをしていて、将来的にサッカー選手になれる子どもたちもいるでしょう。そうじゃない子どもたちもいるかもしれないけれど、みんなが幸せであってほしい。
●サッカーは戦争ではない。政治がスポーツに悪影響を及ぼさないことを、強く願う。
●「たなぼた」という言葉は、母国にはない。ぼたもちが五つ見つかっても、優勝は難しいだろう。可能性があることは知っている。しかし、私は現実を見て話をしている。
●結局、結果を出したいい監督だからといって、別のチームに連れてきても同じように力を発揮するとは限らないわけです。
重要なのは自分の所にいる選手が何ができるかということを見ることなのです。
●ことわざにもあるが、こぼれたミルクは元には戻らない。
列車は行ってしまったのだ。ただ、こういった経験を覚えておき、ミスを繰り返さないことが大事。
●サポーターの皆さんに分かってほしいのは、サッカーというのは人生と同じであって、必ずしも自分の思った方向に物事が動くとはかぎらない。勝つこともあれば負けることもあるのだ。勝ちだけを望むサポーターであってほしくない。このフクアリで、ジェフの新しい文化が生まれることを期待している。
●日本は裕福な国だし、逆に貧しい国もある。しかし、環境の違いはあっても、スタジアムに来れば自分が大声を出して熱狂できるものがある。特に、近代サッカーというものは自分の生活の次に大事な要素になりつつある。 だからこそ監督やスタッフ、スポンサー、そして観客と、チームにかかわっている人間が一体にならなければならない。そういう意味で私にとってはサッカーが宗教であり、スタジアムが教会なのかもしれない。世界中に有名な教会があって人々がそこに集まるけれど、その数よりも有名なスタジアムのほうが知られているんじゃないだろうか。
●日本の長所は、あくせく、すばやく動き回れる点だ。体が小さい分、ぴったり厳しいマークにつくこともできる。日本人としての特性を、自分たちのやり方で生かさねば、もったいない。体の大小や、肌の色など関係ない。知恵と工夫次第では、弱点を利点に変えることもできる。だからサッカーは、おもしろいのだ。
●骨折したら試合に出てはいけないのかい。何なら骨折したことにメダルでもあげようか(笑)。
●メンタリティーというものは、勝った、負けたで、落ちたり上がっていくようじゃダメ。自分がずっと暮らしていく、毎日戦っていく中で、いつも持ち続けていなければいけない。
●人間というのは本質的に一般階級から抜け出したい、上に行きたい、という気持ちがある。それを実現しかけているのだから、その分もっとやってやろうという気持ちがあって当然だ。それがいまいる立場を「逆転」することでもある。 試合に負けた後、ロッカーに戻ると、みんな帰る準備をしていて、誰も言い合ったり、負けたことに対して話し合う人間がいない。結局監督が言うしかない。誰かがミスした人間に文句を言うとか、そういうことがまったくない。オレは負けたときは寝られないし、買い物に行ったりなんかできない!オレはこのチームを一つ上に上げるためにやっている、それをやっている選手がついてこなければしょうがない。
●実際に選手が何かを学ぶなら、勝ったときより負けたとき、敗北から学ぶことが本当に大きい。勝つことからは学べないことがある。ここ何試合かいい試合をしていたが、負けから学ぶことがある。
●疲れていて神経質になっているときこそ、自分をコントロールすることが大事なのだ。今、彼らの人生は一気に変わっている。彼ら自身も一生懸命やっているが、もう一回り大きくなるためには、プレーだけではなく人としてのふるまいなど、すべての面で頑張っていく必要があると思う。
●心理的な動きというものは必ずあるもの。だからこそ、そこで落ち着いてプレーすることが重要になってくる。自分たちの方が強い気持ちをもてれば、落ち着いてプレーすることが出来るだろう。いつものような気持ちでいつものようにプレーする。冷静に!!
初心に戻ろう。走ることを忘れるな!走ることの出来ない選手は、ボールを受けたくないから隠れているのと同じ。気持ちで負けているという事。走るというものはそういうものだ!!
●(記者会見を終えて)
もう質問がないということは、皆さん、試合に満足していただいているということですね。
(さらに去り際に)
このように質問が少ないときは、いい試合か最悪の試合ということです(笑)。
●監督は観客ではない。観客とは違う視点で試合を見ている。選手たちもそれを知るべきだ。新聞記者がいいプレーだと書き立てたり、観客が拍手しても、監督は別の視点から見ている。
正直、記者の皆さんやサポーターといった第三者的な立場の人は、監督よりも物事を正しく見ているのかもしれない。なぜなら観客席の上のほうから見ているのと違い、私はベンチで平面で見ているだけだからね。だけど、監督のほうが正しいというときもあるということを覚えておいてほしい。
●練習でできなかったことがゲームで出来るようになるはずがない。人生も同じ。日々の生活でのことが重要なときに必ず出てしまうもの!
●攻撃的ないいサッカーをしようとする。それはいい家を建てようとするのと同じ意味。ただ、それを壊すのは簡単です。戦術的なファウルをしたり、引いて守ったりして、相手のいいプレーをブチ壊せばいい。作り上げる、つまり攻めることは難しい。でもね、作り上げることのほうがいい人生でしょう。そう思いませんか?
●どこで何が起こるかわからないもの!人生とはいつも危険と隣合わせだ。サッカーも同じだ。
●勝とうという気持ちが山をも動かすことも出来るってことをこのゲームで見せて欲しい。
まず自分たちを信じ、そして相手を尊敬すること。だが相手を恐れてはいけない。
●夢ばかり見て後で現実に打ちのめされるより、現実を見据え、現実を徐々に良くしていくことを考えるべきだろう?
●サッカーはひとりの人間がすべてを知っていることはあり得ません。他人の意見も尊重するべきです。その意見が良くても悪くても、尊重するべきです。他人の意見を聞けないような人間は、必要ありません。人間は他人を尊重できるという面で、ロバよりは優れているでしょう。
●誰かを「不要だ」などと言う人間は、いつか自分もそういう立場に陥るようになる。人生とはそういうものだ。その時、自分はどう感じるか、考えてみるがいい。ただ中田英を含めた、海外組に一つ、注文がある。外国のリーグやクラブで見たこと、聞いたことを自分の中で消化するだけではなく、母国に持ち帰って広めるべきだ。そういう先駆者の自覚と行動も、日本サッカーの質を上げる原動力の一つだから。
●監督というものは、常に何がうまくいっていないかを探さないといけない。私はブラシのようなもの。常にホコリをはらうことをしないといけないのだ。
●記者の皆さんは失望しているかもしれないが、ということは私はもっと失望しているということ。
でも人生はこれからも続くよ。
●私にとって、サッカーは人生そのものだ。人生からは逃げられない。
●私の人生にサッカーは欠かせない、だから昨日も試合(チャンピオンズリーグ準決勝)を見ていたし、サッカーを選んだ。人生において結婚もしたし、子供もできた。数学の教師になる道もあったが、サッカーがあって、今がある。友人にはサッカーはサッカー、プライベートはプライベートと分けている人もいるけど、私にとってはプライベートもサッカー。お金ができて家内と旅行に行っても、結局サッカーを見に行ってしまう。でもそれが私の選んだ人生だし、いい人生だと思っている。
●人生は常にスタートではない。過去から物事が連結して、ずっと続いているものなのだ。いきなり落ちたり、いきなり上がったりするかもしれない。それはわからないが、ただ言える事は、常に上にはいけないということだ。
●「私の国の言葉で『こんにちは』をドバルダン(dobar dan)という。いわゆる『良い日』だが、常に毎日が良い日とはかぎらないですよね。
●「やったことが返ってくるのが人生というもの」
●選手のメンタリティを変えるには、監督だけでなく周囲の人々による力も必要なのです。
●本当のファンというのは、いいときばかりではなく、負けたりしても足を運んでくれて、応援をしてくれる人を指す。そういう意味では、ファンもチームが何をできるかしっかり見極めてほしいい。決して負けたり引き分けたりしたいわけではないのだ。なぜ、そのような結果になったのか、現実を見つめてほしい。
●サッカーというものは紙に書いてすべてを説明できるものではない。いろいろな 情報やビジョン、
アイデアがあり、それらが全部混ざって成り立っているものだ。
●人生は100年も続かない。選手のサッカーキャリアなど短いものだ。その短い選手生命の中で、
何か歴史に残ることをしよう。
●日本人コーチに即興性、柔軟性、創造性が欠けているから、選手にもそれが欠ける。コーチが本や紙を
見ながらやっているうちに選手には違う現象が起こっている。その現象を見てコーチが判断する。サッ
カーはそういうスポーツ。コーチが変わらないと選手は変わらない。(中略)創造性に欠ける指導者は
ヨーロッパにもいる。そういう指導者からは、創造性に欠ける選手しか生まれない。
文化、教 育、世情、社会に左右されることはよくない。サッカーは普遍的なもの。そして、 常に変わって
いくからコーチも常に変わっていく必要がある。
●監督には監督の視点があり、選手にも選手なりの
視点がある。だけど両者の考えがあまり開いてはダメなので、自分がやろうとしていることと、選手たちが
できることをしっかりと分析してすり合わせる。そのなかで選手たちに自由を与え、自分たち自身で試合を
クリエートできるようにしてやる。その過程で、選手たちを信じることが監督として一番大事なことだ。
●日本人は平均的な地位、中間に甘んじるきらいがある。これは危険なメンタリティーだ。受け身過ぎる。
フットボールの世界ではもっと批判に強くならなければ。
●日本では選手が気楽過ぎるんだよ。プレーし、勝つ。もちろんオーケー。プレーし、0-3で負ける。
オーケー。プレーし、0-8で負ける。それでもオーケーなんだ。何をやっても周囲から批判される
ことがない。
●どの選手に対しても、常に満足することはない。なぜなら、満足してしまうと成長が
止まってしまうからだ。
●監督は選手一人ひとりの思いをしっかり把握しておくことが大事。私は彼らが変わろうとする
手助けをするだけ。重要なことは選手に『もっとできる』と思わせること。
●コーチが変わっても、やることは変わりません。ジェフはジェフです。監督、選手、コーチが変わっても、「ジェフ」というチームは続いていきます。誰がいなくなっても、ジェフは続きます。たとえスポンサーが撤退しても、サポーターが残っています。みんなで話し合ってジェフは続いていくでしょう。
●とにかく、ここ(ジェフ)には一緒にやってきた人たちとのいろんな交流があり、積み上げてきたものがあります。だからこそ、私はここで監督を続けることを決めたのです。
●私は心のどこかでまだ、友愛と共存を信じていたかった。サッカーとサラエボの両方への思いの中で気持ちは揺れていましたが、他にもう手の打ちようがないと思った時に身を引くことを決意しました。戦争の始まる数週間前に、サラエボで代表の最後の親善試合を行いました。あの時は満員のスタジアムでサポーターから近年にないものすごく熱い応援をもらった。今までにない平和なムードに驚くほどでした。今、思えば、それは多民族が平和に共存する国家への最後のラブコールだったのではないかと思います。平和を求めるあの時の人々の柔和な表情を私は忘れることができない。
●ぜひ試合を見に来てください。そこではきっと、素晴らしい出来事が待っています。
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posted by ブラウンシュガー |22:17 |
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26/8/2006: 「オシムの言葉」を聞く前に 【虹のように(by Rintaro)】
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