2006年08月27日
●「練習量の勝利」・・・全日本クラブ選手権2位・NPOぎふ新体操クラブ
イオン(横地愛・山本千尋・穴久保璃子)の15連覇で幕を閉じた第15回全日本クラブ選手権(8月22~24日/東京体育館)であるが、2位に入ったのは、昨年に続きNPOぎふ新体操クラブ(岐阜県)であった。
NPOぎふ新体操クラブのチームメンバーは、シニアは浅野みわ、浅井美彩登と昨年と変わらず、ジュニアは中2の横山加奈が出場した。昨年もクラブ選手権では2位になったものの、シニア選手の浅井が国際的なシニア年齢に達しておらずイオンカップへの出場ができなかったNPOぎふ。今年は年齢問題もクリアして、「2度目の正直」に向けて並々ならぬ意欲があったに違いない。
今年はシードチームとして1部リーグからの出場となったNPOぎふだが、1部リーグ予選の2種目を終えた時点でのチーム順位はイオン、飛行船新体操クラブ、町田RGに次ぐ4位。ジュニアの横山は予選では1位をキープしたが、シニアの浅野は7位、浅井は17位であった。予選のロープ、クラブの出来が悪かったわけではないが、予選種目はほかの選手達もかなり健闘していたため、チーム成績は4位に留る形となった。3位以内に入らなければイオンカップはない・・・。そのことを選手達が知っていたかどうか、そのことによるプレッシャーがあったかどうかはわからない。しかし、おそらく知らなかったのか、もしくは考えてはいなかったのではないかと思われる。それほど、決勝2種目でのNPOぎふの選手たちに焦りや緊張は見られなかった。
●スーパージュニア・横山加奈に脱帽!
}横山の決勝種目・フープ、リボンはすばらしく思い切りのよい演技で「ジュニア個人1位を守ろう!」という姿勢はまったく見られなかった。NPOぎふの臼井監督がよく言われる「イケイケの横山」そのもののダイナミックでパワフルな演技で、おわってみればフープ以外の3種目で1位を獲得。フープだけ田中琴乃(松永RG)に1点以上の点差をつけられてしまい、その結果、個人総合優勝は逃してしまったが、その身体能力、運動能力の高さはずば抜けている。
取材に来ていた某テレビ局のスポーツ担当記者が、横山加奈のことを「新体操には詳しくないボクにはこの子がいちばんすごく見えます」と言っていたのが印象的だった。横山のよさはそういう素人目にもわかりやすい、スポーツらしい能力の高さ、演技の力強さなのだろう。ミスらしいミスはなかったように見えた今大会での横山だったが、試合後にイオンカップへの抱負を聞くと、「今回のミスした経験をしっかり生かして、次の成功につなげたい」と語った。「ミスなんかあった?」と聞くと「ありました」ときっぱり。このへんの負けん気の強さが横山の強さにつながっているのだろうと思う。また、現在のNPOぎふには、舛中はるな、清水花菜など抜きつ抜かれつの好敵手が多いことも、少々のプレッシャーではつぶれない精神力を鍛えてくれているのではないか。そんじょそこらの試合よりも、クラブ内での競争のほうが厳しい、そんな風にも見える。
いずれにせよ、横山加奈が今回のNPOぎふの2位に大きく貢献したスーパージュニアであることは間違いない。クラブチャイルドで優勝したころから、私は横山の写真を見る機会は多いのだが、横山の写真には非常によいものが多い。動いているときはよく見えても、いざ写真になると美しい瞬間はプロのカメラマンをもってしてもとらえるのが難しいものだが、横山の写真はジャンプの最高点で最高に後ろ脚が上がっていたり、F柔軟も「これでもか」という開脚度を見せていたり、非常に精度が高い。また、それが写真に残せるあたり、いかにきっちり止まって見せているかということだと思われる。また、手具操作の思い切りのよさゆえに、ロープやリボンのような形の定まらない手具でも、ロープの張り、リボンのかきの強さなどが卓越している。手具操作にはあやうさが残るジュニアも少なくないが、横山の手具操作にはあぶなげがまったくない。ただし、これは同じNPOぎふの舛中や清水にも共通しており、その練習量と意識の高さによるものだろう。
●「大くずれしない」粘りの新体操で2位を獲得!
そんな横山の活躍が起爆剤になったかのように、決勝2種目でのNPOぎふのシニア選手も見事な健闘を見せた。いや、正確には「くずれなかった」と言ったほうがよいのかもしれない。
8月下旬のこの時期、1日4種目という長丁場の試合で選手達の疲れはピークにきていたようで、シニア決勝のリボン、ボールに関しては非常にミスの多い試合になってしまったのだ。そんな中で目立ったミスなく演技をまとめたのが優勝した横地愛、それからNPOぎふの浅野、浅井であった。とくにミスを犯す選手の多かったリボンでは浅野は6位、浅井は9位に入っている。「大くずれしないのがうちの選手達の強み」と臼井監督も語っていたが、数あるクラブの中でも屈指の練習量を誇るNPOぎふ新体操クラブの選手達の強靭な体力と精神力の勝利だったと言えそうだ。浅野は予選順位の7位をキープ、浅井は予選17位から15位まで順位を上げた。周囲の選手たちが次々とミスを犯すなか、少々の乱れはあってもなんとかもちこたえる、大きなミスをしない、そんな粘りと根性の新体操で、NPOぎふ新体操クラブは、初のイオンカップ出場を実現したと言えるだろう。
「イオンカップへの抱負は?」と聞いたとき、浅野は「精一杯がんばります」、浅井は「今回選んでもらったので、その責任を果たしたい」と緊張気味に言葉少なく語ってくれた。
強いクラブであり、強い選手たちなのだから、表彰されることにも慣れているだろうにどことなく場慣れしない素朴さが感じられる。そんなNPOぎふ新体操クラブの国際デビューとなる2006・イオンカップ! NPOぎふの「努力と根性」が花開く舞台となることを祈りたい。
「スポーツらしい」爽快感が魅力の横山加奈の演技。(撮影:小林隆子)
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2006年08月16日
町田RGから個人8人、団体3チームが出場した関東ジュニアが8月12日に終わった。
結果、町田RGの8人は全員が予選通過(上位30位以内)、最終成績として4位・山脇麻衣、5位・山上莉紗、6位・成松エリナが全日本ジュニアに進出。団体では、町田RG(山脇・熊谷・山上・成松・野尻)が2位となり全日本ジュニア進出を決めた。
個人では、熊谷早希が11位、管家ひとみが13位と全ジュニにあと一歩のところで涙をのんだ。また、団体も町田RGやまさき、町田RGもりのともにミスが出て、順位を上げることができず全日本ジュニアを逃した。これはとても残念だったに違いない。とくに町田RGやまさきは、東京ジュニアでは町田RGにも迫る勢いがあっただけに、全日本ジュニアで見られないことが残念だが、強豪・千葉のチームがひしめく関東ジュニアには1つのミスも許されないという厳しさがあった。関東ジュニア1位の安達新体操クラブ、3位のアミューズ新体操クラブ、4位のインタークオレスはすべて千葉県のチームであるが、どこも演技の確実性がすばらしく、演技がダイナミックで迫力がある・・・。そして、関東ジュニアでは安達以外の2チームはノーミス! その強さに対抗できたのは、公式戦ではおそらく初のノーミスを見せた町田RGだけだった。
関東ジュニアでの町田RGの演技は、ほんとうにため息が出るほどの美しさだった。ほかの上位チームのような迫力には欠けるものの、その美しさ、繊細な動きには圧倒的なものがあった。くるくるとよく回る町田の選手達だが、この5人が同時に回るフェッテターンの美しかったこと!(昨年はてんでバラバラに回っていた5人だけに、この1年間の進歩には涙が出る)
今年の町田RGチームのメンバーはたしかにスタイルもいい。みんな細くて脚も長い・・・いわゆる「恵まれた体型」であることは間違いない。しかし、スタイルがいい=美しいではないということが今の町田RGチームを見ているとわかる。たしかにスタイルには恵まれた選手達だったのだろうが、それからさらに必要な筋力をつけ、脚先の美しさを磨き、技を磨いてきた結果が今の町田RGなのだと思う。細くて長い脚ならばつま先は少々ゆるんでいてもOK! ではないから、本当に美しいのだと思う。
個人で全日本ジュニアに出場が決まった3選手の関東ジュニアでの健闘もすばらしかった。3人とも予選通過順位よりも順位を上げた結果となったが、町田の選手達は概して決勝種目(リボン・クラブ)に強い。そのことを証明して見せたのが予選14位から一気に6位まで順位を上げた成松エリナ選手だった。予選での成松選手は、今ひとつの出来だった。フープでは落下もあり、14位通過。今年は関東から9人しか全日本ジュニアに進めないことを思うと、「今年は全ジュニは無理か・・・」と思われた。
しかし。決勝の1種目目のリボンで成松選手は目のさめるような演技を見せた。「シングシング」にのってのリボンの演技は、じつは成松選手のおはこである。とにかくダンサブルな動きでは群を抜く成松選手の良さ、華やかさがもっとも発揮されるのがこの作品であるが、決勝での演技は会心の出来だったのではないか。その勢いにのって、クラブでもパーフェクトな演技。決勝種目だけでの成績は3位という快進撃で全日本ジュニア進出をもぎとった。
成松選手の魅力は、そのキレのよい動き、思い切りのよい手具操作(フープでは7~8回投げている! それも投げ受けが難しいものが多い!)、リズム感のよさ、いきいきとした表情、曲に合った動きやポーズの決め方など。とにかく見ている人が楽しめる、そんな演技を見せてくれる選手である。さらに、今回の決勝での追い上げで見せたギリギリに追い込まれたときに見せる勝負強さにも卓越したものがあるように思う。
私が町田RGのいちばんの良さだと感じている「踊っている!」と思える演技をするという点で、この成松選手は非常に優れていると思うが、もう1人、その点で常に目を引く選手がいる。関東ジュニアでは惜しくも13位で全日本ジュニアには届かなかった管家ひとみ選手だ。
管家選手の演技も、メリハリがよくとてもチャーミングだ。柔軟性にも恵まれていて、ジャンプの滞空が長く、そり系のジャンプの美しさがとても印象に残る。また、難度以外の動きがよく決まる選手であり、発表会などの集団演技を見ていても動きの良さで目を引く。いわゆる「踊れる!」ところが私はとても好きな選手だ。今年は中学3年生だったのでラストチャンスの全日本ジュニアにぜひ進んでほしかったが、いつくかのミスが惜しかった。ただ、まだ全中というチャンスが残っているのでぜひ頑張ってほしいと思う。
↑関東中体連6位の管家ひとみ選手。メリハリのきいた演技がとてもチャーミング!(撮影:小林隆子)
↑ダンサブルな演技で、チャイルド時代からのファンも多い成松エリナ選手。(撮影:小林隆子)
posted by rg-lovers |12:19 |
2006年08月08日
ここ数年、「新体操は地方の時代」と感じることが多くなっていた。
NPOぎふ新体操クラブ、山形RG、エンジェルカガワ日中など、生きのいい選手、上位を脅かす選手を輩出するクラブが地方にどんどん出てきたため、かつての新体操先進国だった東京の影がうすくなりつつある、と感じざるを得なかったのだ。
しかし――。
今年は東京の巻き返しの年になるのではないか、そんな予感がしている。そして、その原動力になりそうなのが町田RGと言っていいだろう。
2006年東京ジュニアから関東へ勝ち残った個人選手13人中じつに8人が町田RGの選手であり、団体6チーム中にも3チームが残っている。かねてより町田RGは強いクラブであり、イオンカップにも何度も出場しているがここまで選手が揃った時期は珍しいのではないか。
じつは町田RGは、私にとって特別なクラブである。現在「新体操ライター」を名乗り、新体操サイトでは日本最大(多分?)のサイト「新体操応援隊」を運営するまでに私が新体操にのめり込むきっかけを作ったのがこの町田RGだったのだ。
私が新体操の観戦を始めたのは1997年、本格的にビデオまで撮って観戦した最初の試合は1998年の東京ジュニアだった。このころ、東京のトップにいたのが町田RGの山崎ひとみ選手、そしてピュアRGの有野玲奈選手だった。当時の私は、競技の新体操を見ればどの選手も「スゴイ!」と思ったし、手具を落とさなければ「上手だった」と思う、そんなド素人の観客だった。
しかし、山崎ひとみ選手を見たとき、さらに当時はまだ山崎選手ほど上位にはきていなかった吉田友子選手を見たとき、「スゴイ!」だけでない魅力を感じ、新体操観戦にのめり込んでいったのだ。
私が新体操を見始めたとき、すでに彼女達は中2だった。当時は今よりもジュニアまでで新体操から離れる選手が多く、とくにトップ選手ほど高校では辞めてしまうことが多かった。山崎、吉田選手が中3になったとき、
「もうこの1年しか彼女達の演技は見られないかもしれない」
と思うと、なるべく多く彼女達の演技を見ていたい! と思い、この年は東京ジュニア、関東ジュニア、東京都中体連、関東中体連、全日本ジュニア、クラブ選手権、イオンカップと可能な限りの試合を見に行ったものだ(それで観戦が癖になり現在に至る・・・)。
町田RGが練習で使っている成瀬の体育館がそんなに遠くないこともあって練習もよく見に行った。当時、まだ新体操のサイトも開設していなかったし、新体操の記事を書いたこともなかった一介のフリーライターの私だったが、「練習は自由に見てもらっていいです」と町田RG代表の曽我部先生が言ってくださったのでお言葉に甘えて多いときは週1回ペースで半年間ほどよく練習を見に行っていた。
一度行くと3~5時間、ただただ練習を見ていた。選手とも先生ともほとんど言葉を交わすこともなくじーっと見ていたのだから、かなりコワイおばさんである。だが、この1999年の半年間が私の新体操への思いと見る眼を養ってくれたと思う。あのころの町田は本当に強かった。そして明るく楽しそうだった。
あれから、7年の月日がたった。町田RGは常に上位に顔を出す選手を輩出し続けてはきたが、それなりの浮き沈みはあったように思う。しかし、ここにきてこの数年、楽しみな芽を出していた選手達が一気に開花しようとしている、そんな予感に満ち溢れている。
今の町田RGのジュニア選手達の中には、すでに山崎ひとみや吉田友子のジュニア時代を知らない選手達が多い。私が練習を見に通った1999年に在籍していた選手は1人もいない。しかし、今の選手達の演技を見てもやはり「町田スピリッツ」は脈々と受け継がれていることが感じられる。
スポーツナビプラスのブログ開設に合わせて、今日から何回にわたり、今の町田RGの強さと魅力について書いていきたいと思う。新体操ファン、町田RGファンなら必見。乞う、ご期待!
[写真]東京ジュニア個人総合2位の山脇麻衣選手。東京ジュニアでは団体優勝を成し遂げた町田RG団体の小さなリーダーでもある(撮影:小林隆子)
posted by rg-lovers |22:01 |