新体操研究所

オールジャパン直前企画⑩ 注目の男子高校生選手たち②

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オールジャパン直前企画⑩
注目の男子高校生たち②

女子に続いて男子も今回は、高校3年生特集にしてみます。たまたまなぜか東北特集でもあります。いや、たまたまというより、やはり男子新体操における「東北」の存在は大きい、としみじみ思います。大学も青森大学はもちろんのこと、今年は仙台大学も団体を組んでインカレに出てきていましたから。東北で育った新体操ボーイズは、高校を卒業しても続ける道が身近にあるのですから、ぜひ続けてほしいな、と思います。すでに魅力的な演技を見せてくれた彼らですが、やはり男子は年齢を重ねるごとに、演技の深みは増してくるし、技術も向上しますから。2年後、3年後の彼らの演技がぜひ見たいです。
そういう意味で、今、注目しておいてもらえると、数年後に「この選手は高校のときは・・・」とうんちく語れるかもしれません。そんな有望株の男子高校生たちです。

☆谷 俊太朗(青森山田高校)

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今年の青森山田高校の団体メンバーの中でも、中心的な役割を果たしていた彼。大きな体で、タンブリングも強く、きりりとした表情で演技をぐっと締めていた。表現力も感じられる選手で、「オトコ!」という感じのかっこいい演技がとてもよく似合っていた。 ユースチャンピオンシップのときのクラブの演技では、あの大きな体で、フロアを縦に使って(助走が短い)の宙返りを入れていたり、ロープでも宙返りしながらの見事な手具操作を見せたり。ダイナミックさと同時に高い技術も見せてくれる選手だ。激戦区・青森県だけに、インターハイへの個人での出場経験はないが、実力は十分にもっている選手だ。 ☆佐藤 秀平(聖和学園高校) 彼の演技は、まだインハイのDVDでしか見ていないのだが、インハイのときからAさん評は高かった。そして、DVDを見て、私もかなりお気に入りになってしまった選手だ。 彼のよさは、「行間の余韻ある演技」かな、と思う。これでもかというほどに技のつまった演技構成ではないように思うが、それだけに動きや間合いで見せる部分がたっぷりあり、そこで彼の魅力が存分に発揮されいている、そんな印象だ。 とくに腕の柔らかい動きと、それに伴う肩や顎の動かし方など、心にくいばかりだ。指導されている方の力に負うものも大きいだろうが、指導すれば誰でもできるというわけでもないのがこういった「ニュアンス」の部分であり、彼はその点で長けているように思う。 こういう力(才能と言ってもいい)をもった選手が、あと4年なり新体操を続けて、技術を磨いてくれたら…どんなステキな選手になるだろう、と思わずにいられない。 ☆横澤 勇気(盛岡市立高校) 選抜大会で8位だった彼を見たAさんが、彼につけたキャッチフレーズが「男子新体操のジョニー・ウィアー」、インハイのDVDでやっと彼の演技を見て、私はやっとその意味がわかった。たしかに。男子新体操にしては独特の個性をもった選手だ。 男子新体操の代名詞である「ダイナミック」「迫力」などという言葉とはすこし距離がある。「しなやか」であり、「艶やか」でもある。男子新体操としてはすこしばかり評価されにくそうなそんな個性的な選手でありながら、インハイでは見事5位。本番の演技が終わったときの満足そうな表情には、「出し切れた」感があった。繊細な印象のルックスや演技からは想像できない精神的なたくましさも併せもっているようにも思えるインハイでの見事な演技だった。 大学生を見ても、ジュニア選手を見ても、こういう個性の選手はあまり見かけない。そういう意味では、この先、どういう成長を見せてくれるのかとても見てみたい選手なのだが。 進学するのかどうか、新体操を続けるのかどうかもまだ聞いていない。ことによっては今回が最後の演技になるのかもしれない。だとしたらなおさら、絶対に見逃さないでほしい選手だ。 ☆籠島 遼(青森山田高校)
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あえて言わせてもらうならば、今年、Aさんをもっともがっかりさせた選手である。 春の選抜大会で2位。そのときの演技を生で見たAさんの、評価はかなり高かった。「今回は2位だけど、インターハイの優勝にはからんでくる力は十分にある。技術も高くて穴がないし、大人びた演技で魅力がある」と言っていた。 そして、ユースチャンピオンシップでは、やや不調気味で、8位に終わったとき、「最後の年というプレッシャーがあったのかな。彼の力はこんなものじゃないのに」と、わが子のことのように案じていた。そして、チームメイト達との激戦を勝ち抜いて彼が、個人でのインハイ出場を決めたときには、涙を流さんばかりに喜んでいた。 そして、沖縄でのインターハイ。1種目目のスティックでは、良さが見える演技を見せてくれた。ミスも最小限におさえ、優勝圏内にとどまっていたときに、「やはりスゴイ! うまい!」と、会場にいたAさんは本当に喜んでいたのだ。が、2種目目のクラブでの大崩れ。Aさんは、本当にがっかりして、半ば怒って私にメールを送ってきた。「あきらめんなよ!」 私も、あとになってインハイのDVDをやっと見て、Aさんの怒りの意味がわかった。籠島遼は、インハイでは15位。だけど、本来の力はもっとずっと上にあったのだ。「出し切れなかった」それも、最後まで必死に頑張ったけれど出し切れなかったというよりも、ちょっと「あきらめてしまった」のが見える演技だった。それが、期待して応援する気持が強かったAさんには悔しかったのだ。私もDVDを見ながら、同じことを思った。「これで15位なんて悔しい・・・」ミスしたのだから仕方ない。結果は結果だ。コンディションも万全ではなかったのかもしれないし。 だけど、ミスしていない部分では、こんなにもうまい! こんなにも美しい、深みのある演技をしているじゃないか! どうして、この力が結果に結び付く演技ができなかったのか…。 籠島選手を責めているわけではない。じつは私たちはそういう選手こそ好きなのだと思う。「なぜここで」というミスをしてしまう。好きでミスするわけではないし、ミスしないための努力をしていないわけではない。だけど、ミスしてしまう。その弱さなのか運のなさなのか、そこが愛おしくなってしまい、応援せずにはいられないのだ。 彼には、頑張ってほしい! 私たちの勝手な思い入れに応える責任は彼にはまったくないけれど。「弱い自分に勝った!」という彼の晴れ晴れとした顔が見たいのだ。彼にはその力は十分にある。そう信じている。 ※横澤選手、佐藤選手の写真がなくて申し訳ありません。                                       <撮影:小林隆子> ※小林隆子(こばやしたかこ)  ⇒AJPS(日本スポーツプレス協会)会員のカメラマン。『DDD』『クララ』『スポーツナビ』などで活動するとともに、自ら運営するWebサイト『Figgym』では、感性豊かな新体操の写真を公開している。




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椎名桂子 競技経験者でも指導者でもない一介のフリーライターだが、1998年から新体操にはまり、本業もおろそかになるほどのめり込み現在に至る。その執念が実り、2004年からスポーツナビで新体操コラム執筆の機会に恵まれる。「R25」「DDD」「Number」等にも、活動の場を広げている。2010年は、ついに女子新体操のみならず、男子新体操にも本格的にはまり、ますます切実に新体操情報の発信の場を求めている。

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