新体操研究所

2014全日本選手権 「猪又涼子(伊那西高校)」

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「タフガイ」

本来「タフガイ」という言葉は、男性に対して使うものだ。 女性で、それも華奢でまだかわいらしいイメージも残る高校生に使うのは相応しくない。

しかし、今年の全日本選手権での猪又涼子の3日間の戦いぶりを見ていて、この言葉が頭に浮かんでしまった。 個人総合3位。 団体でも、1日目の「クラブ10」、2日目の「リボン&ボール」ともに出場。 3日目の種目別決勝にも4種目とも出場。

女子の全出場選手の中で、もっともたくさんフロアにのったのが、この猪又だった。 そして、3日目の種目別決勝こそは、さすがに疲れも出たのか、ミスの出た種目もあったが、フープは2位、リボンでは3位。 今大会、女子は中高生の活躍が目立ったが、その中でも、優勝した河崎羽珠愛に次ぐ結果を残した。 それも、他の選手とは違って、団体と兼任でだ。 心身ともに、凄まじいタフさだ。

本当にいつの間にこんなに強い選手になったのか? と驚くしかない変貌ぶりだった。

ジュニア時代から、線が美しく表現力のある選手ではあった。しかし、線の細さゆえに不安定さも同居する選手だった。 とくに手具操作では、もったいないミスが出てしまうことも少なくなかった。 それが、ほんの数年でこんなにたくましく、強い選手になるとは。驚きだった。

全日本選手権での最初の演技・ボールは、カンツォーネ。 ピボットではやや回り切れていないように見えたところもあったが、手具操作の連続性がとにかくすごい。 そして、歌の迫力に負けずに明るくダイナミックに踊りあげ、13.950。

2種目目のフープは、インターハイでも素晴らしいパフォーマンスだった「火の鳥」。 この作品での、猪又の「強さ」はもはや貫録すら感じられるようになってきた。 決して大柄な選手ではないが、本当に羽ばたいて行ってしまいそうな迫力あるノーミス演技で、14.300。

1日目を終えた時点での猪又の暫定順位は7位だった。 これでも大健闘と言える順位。 しかし、今大会の彼女はここで終わらなかった。

圧巻だったのは、2日目の1種目目・リボンだ。 バレエ「白鳥の湖」の中の、黒鳥のパ・ドゥ・ドウの曲の一番華やかな部分を使っているこの作品は、曲が流れたとたんに、フロアにぱあっと光が注いだように見える。猪又の笑顔もいちだんと華やいで見える。 ひとつひとつの動きが本当にバレエのように洗練されていると同時に、リボンがかたときも止まらない。 「黒鳥」はバレエの中でもテクニックの見せ場の多い役で、コンクールなどでも踊られることが多い。 つまり、とても挑戦的な曲なのだ。

そんな「黒鳥」の演技を、猪又は演じるたびに自分のものにしてきた。 リスキーな手具操作も次々に行っているのだが、見ていてもまったく不安がない。 ただただ、見とれていられた。

彼女の手元からリボンがしゅるしゅると遠くに飛んでいく。 そのリボンの軌跡までもが、音楽を奏でているようだった。

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椎名桂子 競技経験者でも指導者でもない一介のフリーライターだが、1998年から新体操にはまり、本業もおろそかになるほどのめり込み現在に至る。その執念が実り、2004年からスポーツナビで新体操コラム執筆の機会に恵まれる。「R25」「DDD」「Number」等にも、活動の場を広げている。2010年は、ついに女子新体操のみならず、男子新体操にも本格的にはまり、ますます切実に新体操情報の発信の場を求めている。

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