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2012高校選抜レポート④ 井原高校団体

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2012高校選抜レポート④ 井原高校団体

「NEXT ONE」

やっぱり、と言っては失礼かもしれないが、

それでも、「やっぱり」と言いたくなるほどに…。

春も井原は強かった!
そして、美しかった。

出場した16チーム中、井原高校の試技順は、15番目だった。

直前には、神埼清明高校が、「ノーミスで井原にプレッシャーをかける」と言っていた中山監督の言葉通りの演技(少なくとも観客にはそう見える演技)で、18.875を出し、トップに立っていた。

そして。
井原の演技が始まった。

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                                            <撮影:小林隆子> いつもの通り。 いつもの通りの美しい演技。 見る者の期待を裏切らない演技、だった。 ミスらしいミスはなかった。 強いて言うならば、見せ場のパンシェバランスでほんのわずか上げた脚が動いた、ようではあった。しかし、それも一瞬のこと。ぴたっと止まってからの6人そろっての静止は、少しばかりハラハラしたインターハイでのバランスを凌駕していたようにも見えた。 この本番の演技だけを見ていた人の目には、おそらく「盤石」に見えただろう。 それくらい、井原の演技は、今回も安定していた。 しかし、決して「横綱相撲」ではなかった。 試合後の長田監督の話からも、また、前日や当日の朝からの公式練習からも、夏の王者・井原にも、やはり危機はあったということがわかる。 「おめでとうございます」と、声をかけると長田監督は苦笑いしながら、「なんとか辛くも勝った感じですね」と言った。 井原の得点は、19.025。出場チーム中唯一の19点台である。2位の神埼とは、0.15差。神埼と3位の青森山田の得点差が0.025であることを考えれば、やはり井原が「頭ひとつ抜けていた」と言える得点だと思うが、どこが「辛くも」なのだろうか。
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                                            <撮影:小林隆子> 「いざこの会場に入ってから、やはり選手たちが硬くなっていたな、と思います。学校で練習している間は、ずっと夏の優勝のことは忘れて、やってこれたと思いますが、会場に来たら周りの雰囲気がちょっと違っていて、すこし気持ちが守りに入ってしまった感じがありました。」 その結果、ミスこそはなかったものの、インターハイからの8か月間、目指してきた「よりよい演技」をやりきるところまで、攻められなかったという思いは、残ったのだと言う。 なんとまあ、贅沢な。 優勝には十分な演技だった。 観客もきっと満足している。 それでも、「もっとやれたのに…」と、いつも穏やかな長田監督が、このときは少しばかり悔しそうだった。
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                                            <撮影:小林隆子> 夏のメンバーから1人しか代わっていない自分たちのチームは、ほかよりも有利なんだということを、選手たちはわかっていた。 だからこそ、負けるわけにはいかない。 その思いが、やはり彼らには重くのしかかっていたのだ。 とくに、今回、新しく団体メンバーに入った佐能諒一。昨年は個人に専念していたため、彼が団体をやるのは、高校1年の夏のインターハイ以来だったという。今大会、個人でも2位の佐能は、もちろん能力的には十分だが、個性的な動きが持ち味の佐能が、団体の一員となりこの作品の世界観に溶け込むには、それ相当の苦労もあったのではないかと思う。 実際、公式練習では、佐能だけがミスをするという場面も何回かあった。そして、本番が近づくにつれ、彼の表情には緊張の色が濃くなっていた。 それでも。 本番では、見事に重責を果たし、ミスも犯さなかった。 しっかりと団体に溶け込み、この作品に溶け込んで見せた本番の演技は、佐能に「井原の一員として、自分もこの作品に参加したい!」という強い思いがあったからこそできたのでは、と思えた。 2010年のインターハイ8位から、最強のチャレンジャーとして、青森インターハイに乗り込んでいけた8か月前とは、やはりなにもかもが違っていたのだ。 そして、それでも彼らは勝った。 おそらく、この大会でまた井原は強くなった。 インターハイに向けては、新しい作品を作っているという。 こんな伝説的な作品のあとでは、やりにくいのではないですか? と長田監督に聞いてみたが、「いやいや、そんなことはないです。まだやりたいこともありますから。」と笑顔でかわされた。 たしかに。 練習を見ていても、彼らの動きの引き出しはじつに多い。 今回の作品には入れきれなかったものもたくさんあったに違いない。 「井原団体2011」は、たしかにすばらしい作品だった。 だが、かつてチャップリンが言ったように、次こそは最高傑作、と言えるように、また彼らは前を向いて進んでいくのだろう。
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                                            <撮影:清水綾子> そして、彼らの背中を、神埼が、青森山田が、小林秀峰が、またその他すべてのチームが、猛追する。 井原が強ければ強いほど、追う側も強くなる。 2012年度、高校生達の戦いはさらにヒートアップしそうだ。




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椎名桂子 競技経験者でも指導者でもない一介のフリーライターだが、1998年から新体操にはまり、本業もおろそかになるほどのめり込み現在に至る。その執念が実り、2004年からスポーツナビで新体操コラム執筆の機会に恵まれる。「R25」「DDD」「Number」等にも、活動の場を広げている。2010年は、ついに女子新体操のみならず、男子新体操にも本格的にはまり、ますます切実に新体操情報の発信の場を求めている。

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