2007年03月12日

これぞチャイ団!~舞エンジェルスの魅力~

●チャイルド団体、その魅力とは・・・

 全日本クラブチャイルド選手権のおかげで、「チャイルド競技(手具をもたない徒手で競う)」の認知度はかなりあがってきている。しかし、「チャイルド団体」という競技は、まだ見たことがない人もいるのではないだろうか。
 チャイルド団体は公式競技ではないため、ルールもまちまちである。私の知っている範囲でも1チーム5人の大会もあれば、6人の大会もあるし、演技時間が1分半の大会もあれば、2分半の大会もある。入れるべき難度などの規定も大会によって違っていたりする。しかし、このチャイルド団体、私はかなり好きな競技である。
 2007年1月19~21日にかけて長野県で開催された長野県新体操クラブカップ選手権大会の最終日は、ジュニア団体、シニア団体と並行してチャイルド団体競技が行われた。年々盛んになっているこの大会で、今年のチャイルド団体は54チームが出場。それぞれに個性あふれる魅力的な演技を見せてくれたが、なかでも私がその場で演技を見ながらため息の連続、演技がおわったときには拍手喝采だったチームがある。

●音と動きの一致にゾクッ! 
~舞エンジェルスのチャイ団~
 
 長野県の舞エンジェルスから出ていた2チームである。このチームは、昨年のチャイルド団体競技でも目をひいた。そのときに印象的だったのは、ジャンプの高さと5人の空中姿勢が見事に同じ形だということだった。身体能力の高さは昨年の時点ですでに目立っていたのだ。
 その舞エンジェルスが、今年のチャイルド団体には2チーム出してきていたが、これがどちらも素晴らしい演技を見せてくれた。先に登場した舞エンジェルスR.G.Jr.は、『エル・クンバンチェロ』 の軽快な曲にのせて、弾けるような勢いのある演技のスタートだった。
 演技前半最初の見せ場は、5人揃っての後ろバランストゥールのあとの、5人同時のジャンプ! 見事な後屈と高さのあるジャンプが音のアクセントに合わせてバチッ! と決まったときには、見ていて思わずガッツポーズをしたくなった。コサックターンのあとに、5人が縦一列に隊形を変えて、前から順のカノンでかわいらしいポーズを決めるところは、ここがやりたくてこの曲にしたのではないか? と思うほど、音楽にぴったり合ったカノンでため息が出た。その後、30秒ほどはあまり難度は入っておらず、細かい音のアクセントに動きをぴったり合わせて見せる。5人それぞれが音をはずさないので、5人の動きも小気味よいくらいに合っている。5人同時のユニゾンあり、微妙にずらすカノンありだが、本当に曲に合った動きの連続で見ていて気持ちがいい。
 選手達は股関節や腰だけでなく、腕、肩、胸、膝などあらゆる部分を柔らかく、細かく動かすことができ、小さな動きで、あるいは大きな動きで音を表現していく。この音にこだわった振り付けも素晴らしいが、それを体現している選手たちもすごい。チャイルドだからまだ小学生だ。おそるべし・・・。
 比較的難度の少ないパートのあとには、横に5人並んでのバックルジャンプで度肝を抜く。去年もすばらしかったが、更に進化した? と思える高さのある素晴らしいジャンプもぴたっと揃った。
 5人揃っての横バランスの前後の細かい動きも、心憎いまでに細かく音に合っているステップ1つとっても音にのっている。音楽との融合とはまさにこのことだろう。競技作品だから、当然ながら難度が折り込まれているが、この作品に関しては、コサックバランスやC柔軟などの動きが止まってしまう難度が入るのが惜しいくらい、踊りとしての魅力があるのだ。
 後ろバランスターンの後の、ちょっとした振りが本当にかっこよく、かつチャーミング! そしてその後に、もう一度、踏み切り脚を変えてのバックルジャンプ! 今度は5人が斜めになって躍動感あふれる最後の見せ場となった。 最後の最後、後ろバランストゥールが、やや乱れたのが惜しかったが、そこまでの踊りっぷりは文句なし、あっぱれ! だった。これぞチャイルド、これぞチャイルド団体! とワクワクさせてくれた。結果は2位。
 舞エンジェルスは数年前までは、そこまで上位に顔を出すクラブではなかったと記憶している。が、この小学生達の成長でクラブとしての力もしっかりつけてきたことが感じられたし、それが成績にもきっちり反映したことがうれしかった。
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●持ち味の違う2チームに共通する
「音楽を表現する」気持ち
 
 さらに、舞エンジェルスの快進撃は続いた。45番目に登場した舞エンジェルスR.G.の曲は、先に出たチームとは一転して、非常にゆっくりしたテンポの『Warriors』 だった。ロード・オブ・ザ・ダンスの曲で、新体操でもよく使われているおなじみの曲だが、この曲は、とにかく遅い。そして後半で転調するまではかなり単調な曲である。
 しかし、このチームはまずスタートのポーズにインパクトがあった。一見、どうやって止まっているのかわからない、イリュージョンのようなポーズに、会場から「ほおっ」と声がもれていた。そして、動き始めると、とにかく1つの音に1つの動きが徹底して合っているのだ。ゆっくりと「1・2・3・4」とカウントできる曲調だが、「1」でこの動き、「2」でこの動き、という音取りが完璧にできている。だから、5人の揃いっぷりが半端じゃない。
 舞エンジェルスR.G.Jr.といいこの舞エンジェルスR.G.といい、曲や振りは違っていてもそこに共通して感じられるのは、音と動きの一致、曲を表現しようとする思いの強さ。身体や顔の隅々までを使って音を身体で表現しようとしている振り付け、そしてそれを理解してやろうとしている選手達。
 今の新体操では、高い点数を稼げる難度を入れれば入れるほど、止まって見えることが多く、流れるような演技で点数をとることは難しいように思える。チャイルドでさえ、やはり止まるところはびしーっと止まって見せるような演技のほうが点数は出やすいように思う。しかし、こうやって曲を表現することにこだわった、音を大切にした演技にはこれだけ感動できるのだ。舞エンジェルスR.G.の順位は9位と、Jr.には及ばなかった。が、こういう気持ちのいい演技を見せてくれたことに対しての感動はどちらの演技にもたしかにあった。 チャイルド団体という競技だったからできたことかもしれない。手具をもっての演技では手具操作に追われてなかなかこういう曲にこだわった作品つくりは難しいのかもしれないが・・・。と思いながら、この大会のビデオを見直してみたら、ジュニア団体でも舞エンジェルスR.G.は3位に入っていた。そして、この団体の演技も、やはりチャイルド団体で見せたよさをしっかり継承していたのだ。「手具もったら仕方ない」「クラブ10なんだからあわただしくても仕方ない」ではなく、しっかり舞エンジェルスのこだわりを感じさせる演技になっていた。これは、楽しみだ。今のジュニア団体も楽しみだし、今年、チャイルド団体に出ていた子達もいずれジュニアにあがってくる。
 単に強くなる、成績をあげられるチームになるだろうという意味で楽しみなのではない。点数がとれればいい、成績がよければいいではないこだわりを感じさせる演技をこれからも見せてくれるだろうことが楽しみでたまらない。今の舞エンジェルスは、そういうクラブだ。この良さが変わらないことを祈りたい。20070312-06.jpg


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(撮影:榊原嘉徳)



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2006年10月05日

伝統の力・信じる力

●日高舞(安達新体操クラブ)の復活に拍手!~2006夏

 私は新体操が好きだ。観戦もよくしている。基本的には極力平等にいいところを見ようとはしているつもりだ。しかし、どうしても「情」が入ってしまうこともある。
 昔からよく見ている選手、見る機会の多い選手などは、その道のりを知っているだけについ「ガンバレー!」「よくここまできたなぁ」という感慨が入ってしまい、見る目があまくなってしまうこともある。好きなタイプの演技、選手というのもやはりある。・・・それは人間である以上、仕方ないと許していただきたいと思っているのだが。
 
 見る機会の少ない選手に関しては、たまに見る試合(それもたいていは大きな試合)での、その選手の演技でしか判断できない。そこに至るまでの道のりはわからない。だけど、今、目の前で見せる演技で何かを感じることはあり、その「何か」ゆえに、今までとは違う気持ちでその選手のことを見るようになることもある。
 2006年の夏、私には「好きな選手」が1人増えた。
 日高舞選手(安達新体操クラブ)である。
 
 ことさらにそう書くと「今までは好きじゃなかったのか」と突っ込まれそうだが、正直に言えば「好きな選手」とは言えなかったかもしれない。うまい選手だと思っていたし「強い選手」だとは思っていたし、認めていた。ただ、そのうまさや強さゆえに、日高舞は私の「情」が入るタイプの選手ではなかった。
 しかし、この春から夏の日高舞は違った。昨年の世界選手権がおわってから、全日本選手権で個人復帰したものの、決して万全とは言えない演技で10位におわり、この春のユースチャンピオンシップでも9位、インターハイ予選では起死回生の演技で千葉県代表を射止めたが、7月のアジア選手権代表決定戦ではまた乱調で16位。2005年の世界選手権代表決定戦ではすばらしい演技で4位になり、高校生ながらも代表となったものの、その前の年はやはり乱調だった。「にくらしいほど安定していた」ジュニア時代と違って、高校生になってからの日高は、試合のたびに「やってみないとわからない」調子の波の大きな選手になっていたように思う。
 そして、よくないときの演技はなんだか生気がない、とてもだるそうに見えてしまう、それがここ数年の日高だった。今年になってからも私が見たユースチャンピオンシップ、アジア競技会代表決定戦は気迫の感じられる演技とは言えなかった。そして、8月のインターハイ。日高にとっては最初で最後となるインターハイで、どんな演技を見せるだろうかと楽しみと不安が半々、そんな気持ちで見守った。

●インターハイでの日高舞が見せてくれたもの
 フロア横で練習をしている姿を見たとき、日高がここ数年来ないよい動きをしていることに私は気がついた。なんと言ってもアジア選手権代表決定戦のときとは見違えるほど体も締まり、顔もほっそりとしている。その変化は演技にも如実に現れ、もともと高いジャンプがすばらしく高い。そして、練習フロアでよく動く。休むことなく、何度も何度もジャンプを繰り返し、手具の操作を確認する。その姿には、迷いもなければおそれも感じられなかった。そして、大事な試合前にもかかわらず楽しそうにさえ見えた。「練習するのが楽しい。試合前の緊張さえも楽しい」そんな風に見えたのだ。
 インターハイ、日高の1種目目はロープだった。よどみのないすばらしい演技だった。高い高いジャンプターンの見事だったこと。最初から最後までまったくミスするような気がしなかった。「にくらしいほどの安定感」がしっかり戻ってきていた。これが、日高舞! そう思わせてくれる演技だった。
 そして、2種目目のボールでは、今、そのフロアで踊っていることへの感謝の気持ちが伝わってくるような演技を見せてくれた。日高にとってこのインターハイの舞台が、いや、新体操がどんなに大切なものなのかが感じられる演技だった。 「慈しむ」という言葉がふと浮かんだ。この日の日高の演技は、ボールを慈しむように扱い、自分の新体操を慈しむように舞っていた、と私は感じた。涙が出た。インターハイでは庄司七瀬にわずかに及ばず2位。しかし、大きな価値のある2位だった。
 強すぎて、うますぎてちょっと面白みには欠ける選手、私はジュニア時代の日高舞のことをそう思っていた。でも、そうじゃなかった。高校生になってからの日高は、大きな故障もあり、精神的にくじけてしまったこともあったに違いない。思うように練習できない不安で嫌になったこともあったのだろう。試合でうまく演技できずに自信喪失したこともあっただろう。多分、「もう辞めよう」と思ったこともあったんじゃないかと思う。
 だけど、やっぱり辞められなかったんだね、新体操が好きだったんだね、とインターハイでの日高を見て思った。周囲からも高いものを求められるだろう選手なだけに「続けてさえいればいい」ではなかっただろう。そんな中で続ける決意をし、もう一度、一から出直すつもりでやってきたのではないか、そんな風に見えた。
 その「一から出直す」覚悟が、かつて見たことのないほどの新体操への真摯な姿勢となって結実したのがインターハイでの日高舞の演技だったように思えた。こういう瞬間が見られることがあるから、新体操を私は追っているんだな、と思った。だから、夜行バスとネットカフェを駆使してでも大阪にも行ってしまうんだよ、と。
 インターハイに続いて、全日本クラブ選手権でも日高は、すばらしい演技を見せてくれた。リボンでのミスが響き、個人総合優勝こそは逃したが堂々の2位。ボールはまた情感の感じられるいい演技で、またしても私は泣いてしまった。日高舞、完全復活! これは私にとってこの夏の大きな収穫だった。

●日高を、そして団体チームを支えた安達三保子の信念

 9月になり、全日本クラブ団体選手権が行われたが、ここでも日高の所属クラブである安達新体操クラブ(千葉県)が、優勝を果たした。とても小柄な選手が多く、表彰台の上で手を振る写真を見ると「まだまだ子ども」に見える選手達だが演技はすばらしかった。安達らしい、凝った構成、1つ1つの難度や交換が小気味いいほどにぴしっと決まる、その正確さ。なによりもその「団体」としての一体感がすばらしく、これぞ団体! とうならせるものがあった。
 安達新体操クラブは、団体では全日本ジュニアの常連であるし、常に上位にあるチームだ。だから、クラブ団体での優勝も当然といえば、当然かもしれないが、今年の安達の団体には、かなり「文句なし」な強さをうまさがある。
 数年前に安達が団体で全日本ジュニア優勝したときに、安達三保子コーチにお話をうかがったことがある。そのとき安達コーチは「うちの選手達は体型も能力もまちまちだが、団体としてやれることを頑張ってやってきた」と話された。今年のチームにもたしかに、スター選手は多くない。しかし、例年になく「粒揃い」なことはたしかである。
 それでいて、やはり今年も安達コーチは「個々の能力は決して高くない選手たち」と言われた。謙遜なのか、選手たちを諌めるつもりなのか、安達コーチの求めるものがもっと高いということなのか。いずれにしても今年のメンバーでさえ、「個人で勝っていける選手ではない(今はまだ、であろうが)」と言い切るのが安達コーチだ。
 しかし、その言葉の裏には「だから、団体で頑張らせたい。団体でなら個々の力以上のものが出せる。そして、それが個人の力の向上にもつながるはず」という信念がうかがえるのだ。単純に5人の能力を足し算したら、今年も安達より上にきそうなチームはいる。しかし、団体は足し算ではないことを安達コーチは知っているのだと思った。足し算以上の力が出せるはずと選手達を信じ、またそれだけの力を発揮させることのできる自分達指導陣の力を信じているのだろうと感じた。
 高校生になってから、上下動の激しかった日高舞が、ここにきて復活できたのも、おそらく安達コーチが「日高はこのまま終わらない」と信じていたからではないかと思う。日高について聞いたとき、安達コーチは「負けず嫌いな選手なので、故障して満足に練習できなかったときには本当につらかったと思う」と言った。その「本当につらい」思いゆえにおそらく日高は、安達コーチを怒らせたり、失望させたこともあったのではないかと想像できる。安達コーチもおそらく日高を絶望させるような言動をとったこともあったのではないだろうか。
 しかし、心の奥底で安達コーチは、日高を信じていた。いちばんつらいのは日高だと理解していたのではないかと思う。だから、日高舞は復活し、今の日高の演技からは「新体操が大好き!」という思い、そして支えてくれた人への感謝の気持ちが伝わってくるのではないだろうか。どんなに厳しくても、安達コーチは自分のことを信じてくれた、日高はそう感じているように私には見えるのだ。
 日高舞も安達新体操クラブも、私にとっては横綱のようなもので、「強くて当たり前」「勝って当たり前」の存在だった。だから、ついほかの選手やチームに肩入れすることも多かった。
 しかし、ここ数年の安達や日高を見続けてきて、強くあり続けるにはそれだけの努力と信念があることを感じ、畏敬の気持ちがわいてきた。これからは、今まで以上に応援したいと思えるようになった。それが、私にとっての安達新体操クラブであり、日高舞選手なのである。
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↑クラブ団体選手権で表彰される安達新体操クラブと、クラブ選手権での日高舞。(撮影:榊原嘉徳)


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2006年09月02日

この勢いは止められない? 田中琴乃(松永RG)、快進撃!

●田中琴乃、初の国際大会・バルナ大会で大健闘!

 8月22~24日に行われた全日本クラブ選手権大会ジュニアの部で、最終種目のフープでただ1人の13点台をマークして、横山加奈(NPOぎふ新体操クラブ)を逆転し、1位となった田中琴乃(松永RG)だが、表彰式にその姿はなかった。
 5月のユースチャンピオンシップで上位入賞した高橋麻理子、庄司七瀬とともにブルガリアのバルナで行われる競技会に出場するため、表彰式を待たず成田へ直行していたのだ。
 クラブ選手権の直前には徳島での全中もあり、果たして家に帰る時間はあったのか? と心配になるほどの強行軍だが、クラブ選手権での田中の演技には疲れはまったく見えなかった。さらに、そのまま渡航してのバルナ大会でも、はつらつとした演技を見せたようで、体操協会のHPの山崎浩子氏のレポートにもブルガリアでの人気ぶりが記されている。
 ジュニア個人総合で2位、種目別でもロープ3位、ほか3種目は2位という輝かしい海外デビュー戦であった。
 全中で田中選手を見た人から、「足を故障しているようでかなり痛そうだった」という報告を受けていたので、心配していたのだが、クラブ選手権でも演技ではまったくそういう様子は見られなかった。ただ、フロア外ではやや足をかばうような歩き方をしているところが見受けられた。おそらく決して足はいい状態ではなかったのだろうと思う。バルナ大会に向けては不安もあったのではないか。しかし、そんなマイナス要因もプラスに変えるだけの勢いが今の田中琴乃にはあり、あの明るい笑顔がマイナスも吹き飛ばしてしまったように思える。

●「もう一歩」の小学生時代

 田中琴乃を私がはじめて見たのは、田中が小6のときの九州小学生大会のビデオではないかと思う。当時からとてもスタイルがよく、能力も高く、非常に目立つ選手だった。その大会での演技もかなりよくて、「この子が優勝したのかな?」と思ったが、そうではなかった。優勝候補に名前は挙がっていたらしいがたしかこの大会で田中は勝てなかった。
 九州の小学生にとっては大きな目標である九州小学生大会に挑戦できる最後の年・小6のときの敗北はおそらくかなり悔しかったのではないか。たしかにこのときの田中の演技は、よく見直して見ると、すばらしい能力はもっているのだが、やや粗い? そんな印象の演技でもあった。とくにロープの演技で、ロープの端をやけに余らせてもっていることが気になったことを覚えている。
 ただ、そのころからあの笑顔はすばらしく、「なんとまあアピール力のある選手だろう」としっかり記憶に残った選手だったのはたしかだ。
 次に、私が田中琴乃を見たのは、彼女にとって最後のクラブチャイルド選手権。このときも田中は、とてもいきいきとしたチャーミングな演技を見せ、印象には残ったが20位に終わっている。15位までが決勝に残れる試合で20位。紙一重の差でチャイルドでの決勝進出も、九州小学生大会での優勝も逃している、ちょっぴり運のない選手、が小学生時代の田中だったとも言えるだろう。
 田中琴乃が中1だった1年間は、私が見た試合には彼女は出場していなかったと思う。強豪ひしめく大分県、そして九州で、中1から全国まで駒を進めることは難しかったのか、それともスランプなのか、そんな風に思っていた。
 
●静岡全中での鮮やかな全国デビュー!!!

 そして、2005年の夏、台風直撃の中、静岡県で行われた全中で、私はチャイルド以来はじめて田中琴乃を見ることになる。前年は全中まで出てこれなかった田中だが、ブロック大会上位通過と思われる最終グループで登場してきた。チャイルド時代と寸分変わらず細くて長い手足、輝く笑顔、動きも洗練されてきて、柔軟性、ジャンプ力ともにすばらしい。手具操作もよくこなし、リズミカルに動き、「これは文句のつけようがない」・・・そんな演技で4位入賞。 さらに、10月の全日本ジュニアでも4位入賞。あと一歩でメダルに手が届かないという点では、小学生時代の「ちょっと運が足りない」一面ものぞくが、いわば全国デビューしたばかりで、いきなりの4位は鮮やかとしか言いようがない。
 2005年、関東ではまだ「田中琴乃」の名前を知らない人も多かった。全日本ジュニアで初めて見る、という人も多かったと思う。そんななかで、「九州小学生大会、クラブチャイルドでよかった子だよ、ものすごくアピール度があって、全中には出てきていきなり4位だよ、すごくうまくなってたよ!」と語れる優越感(笑)。熱心すぎるほど新体操を見ている醍醐味はこんなところにあるんだなあ、と感じたものである。
 そして、この年、田中琴乃を見た人の多くは、「これだけ能力が高くて、かつ華のある選手はなかなかいない」と言った。私もまったくそう思う。チャイルドやジュニア選手には身体能力の高い選手はどんどん出てきている。ただ、田中のもつ天性の明るさ、スター性といったものは稀有なのではないかと。2005年、田中琴乃はまさに、「将来が楽しみ!」な選手に急成長したのだった。

●2006、田中琴乃の成長は止まらない!

 そして、2006年5月。中3になった田中は、中3~高校生のチャンピオンを決めるユースチャンピオンシップに初挑戦。中3で出場した選手の中では最高順位の5位に入賞する。ユースチャンピオンシップは、シニアルールであり、難度の数も増やさねばならず、またリボンの長さも長いなど、中3にとっては厳しい試合である。しかも、決勝まで残れば2日間で4種目。しかし、そんな試合で堂々の5位。もはや「田中琴乃ってだれ?」という人はいなくなった。
 今年のジュニアチャンピオン争いは、昨年、中2でジュニアチャンピオンとなっている舛中はるな(NPOぎふ新体操クラブ)を中心に、常に舛中とは好勝負をしている横山加奈(NPOぎふ新体操クラブ)、さらに今年度から高1の早生まれまでがジュニア大会に参戦できるようになったため、穴久保璃子(イオン)も最後のチャンスに懸けてくる。
 ただでさえ、熾烈な上位争いが予想されていたところに、ユースでの好成績で「田中琴乃、最有力!」との見方も出てきた。チャイルドでも優勝経験のある舛中、横山、穴久保に対して、小学生の間は「あと一歩」にあまんじていた田中は、いわばダークホース的存在だったが、このクラブ選手権での優勝で一気に「本命視」される存在となった。
 今の田中の勢いには、小学生時代に頂点までは上りつめられなかったからこそ得られた「追う身の強さ」も感じられる。足を故障していてもそれを感じさせない演技をやってのける精神力、初の国際舞台にも物怖じしない度胸のよさなども、田中のなかにある「まだまだこれから!」という気持ちゆえんではないのか、と。

●田中琴乃に死角はあるか?

 田中琴乃はとてもバランスのよい選手である、と思う。スリムでスタイルがいいのはたしかだが、「細すぎる」「脚が長すぎてバランス悪く見える」というほどではない。柔軟性もある。しかしその柔軟性も「ぐにゃぐにゃして気持ち悪い」というものではない。脚も十分に上がるし、後屈もすばらしいが、柔らかすぎない。しっかりと身体の芯がある柔らかさなのだ。だから、ジャンプだって跳べるし、ピボットも回れる。難度に関しては、穴がないのである。
 また、細すぎない脚が功を奏して、ひざや脚のラインの欠点も感じられない。かかとも高く、つま先もよく伸びる。身体能力の高さに頼って手具操作が単調、ということもない。フープの投げ受けも多彩だし、ロープではエシャッペも多用、リボンのかきやクラブさばきを見ても器用性も感じられる。全日本ジュニアのとき、どの種目かで投げのコントロールミスがあったがものすごいスピードで走って落下を防いでいた。運動神経もよさそうだ。
 そして、再三述べるが、あの華やかさである。こればかりは、後からつけること、努力してつけることが難しいが、田中はそれを持っているのだから強い。 
  今年の全日本ジュニアは、どういう展開になるのか。田中の急成長もあり、にわかに楽しみが増してきた。しかも、そんな田中を退けて、全中では新潟の遠藤由華が優勝しているのだから、ますます優勝の行方は混沌としてきた。おそらくここ数年来にないハイレベルな戦いとなりそうな2006全日本ジュニア、田中琴乃がその台風の目になるだろうことは間違いない。


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↑この笑顔で観客を魅了する田中琴乃(松永RG)、小さいころは「引っ込み思案で人見知り」だったというのがウソのようだ。(撮影:榊原嘉徳)


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2006年08月27日

NPOぎふ新体操クラブ、ついにイオンカップ出場を実現!

●「練習量の勝利」・・・全日本クラブ選手権2位・NPOぎふ新体操クラブ
 イオン(横地愛・山本千尋・穴久保璃子)の15連覇で幕を閉じた第15回全日本クラブ選手権(8月22~24日/東京体育館)であるが、2位に入ったのは、昨年に続きNPOぎふ新体操クラブ(岐阜県)であった。
 NPOぎふ新体操クラブのチームメンバーは、シニアは浅野みわ、浅井美彩登と昨年と変わらず、ジュニアは中2の横山加奈が出場した。昨年もクラブ選手権では2位になったものの、シニア選手の浅井が国際的なシニア年齢に達しておらずイオンカップへの出場ができなかったNPOぎふ。今年は年齢問題もクリアして、「2度目の正直」に向けて並々ならぬ意欲があったに違いない。
 今年はシードチームとして1部リーグからの出場となったNPOぎふだが、1部リーグ予選の2種目を終えた時点でのチーム順位はイオン、飛行船新体操クラブ、町田RGに次ぐ4位。ジュニアの横山は予選では1位をキープしたが、シニアの浅野は7位、浅井は17位であった。予選のロープ、クラブの出来が悪かったわけではないが、予選種目はほかの選手達もかなり健闘していたため、チーム成績は4位に留る形となった。3位以内に入らなければイオンカップはない・・・。そのことを選手達が知っていたかどうか、そのことによるプレッシャーがあったかどうかはわからない。しかし、おそらく知らなかったのか、もしくは考えてはいなかったのではないかと思われる。それほど、決勝2種目でのNPOぎふの選手たちに焦りや緊張は見られなかった。

●スーパージュニア・横山加奈に脱帽!
 }横山の決勝種目・フープ、リボンはすばらしく思い切りのよい演技で「ジュニア個人1位を守ろう!」という姿勢はまったく見られなかった。NPOぎふの臼井監督がよく言われる「イケイケの横山」そのもののダイナミックでパワフルな演技で、おわってみればフープ以外の3種目で1位を獲得。フープだけ田中琴乃(松永RG)に1点以上の点差をつけられてしまい、その結果、個人総合優勝は逃してしまったが、その身体能力、運動能力の高さはずば抜けている。
 取材に来ていた某テレビ局のスポーツ担当記者が、横山加奈のことを「新体操には詳しくないボクにはこの子がいちばんすごく見えます」と言っていたのが印象的だった。横山のよさはそういう素人目にもわかりやすい、スポーツらしい能力の高さ、演技の力強さなのだろう。ミスらしいミスはなかったように見えた今大会での横山だったが、試合後にイオンカップへの抱負を聞くと、「今回のミスした経験をしっかり生かして、次の成功につなげたい」と語った。「ミスなんかあった?」と聞くと「ありました」ときっぱり。このへんの負けん気の強さが横山の強さにつながっているのだろうと思う。また、現在のNPOぎふには、舛中はるな、清水花菜など抜きつ抜かれつの好敵手が多いことも、少々のプレッシャーではつぶれない精神力を鍛えてくれているのではないか。そんじょそこらの試合よりも、クラブ内での競争のほうが厳しい、そんな風にも見える。
 いずれにせよ、横山加奈が今回のNPOぎふの2位に大きく貢献したスーパージュニアであることは間違いない。クラブチャイルドで優勝したころから、私は横山の写真を見る機会は多いのだが、横山の写真には非常によいものが多い。動いているときはよく見えても、いざ写真になると美しい瞬間はプロのカメラマンをもってしてもとらえるのが難しいものだが、横山の写真はジャンプの最高点で最高に後ろ脚が上がっていたり、F柔軟も「これでもか」という開脚度を見せていたり、非常に精度が高い。また、それが写真に残せるあたり、いかにきっちり止まって見せているかということだと思われる。また、手具操作の思い切りのよさゆえに、ロープやリボンのような形の定まらない手具でも、ロープの張り、リボンのかきの強さなどが卓越している。手具操作にはあやうさが残るジュニアも少なくないが、横山の手具操作にはあぶなげがまったくない。ただし、これは同じNPOぎふの舛中や清水にも共通しており、その練習量と意識の高さによるものだろう。

●「大くずれしない」粘りの新体操で2位を獲得! 
 そんな横山の活躍が起爆剤になったかのように、決勝2種目でのNPOぎふのシニア選手も見事な健闘を見せた。いや、正確には「くずれなかった」と言ったほうがよいのかもしれない。
 8月下旬のこの時期、1日4種目という長丁場の試合で選手達の疲れはピークにきていたようで、シニア決勝のリボン、ボールに関しては非常にミスの多い試合になってしまったのだ。そんな中で目立ったミスなく演技をまとめたのが優勝した横地愛、それからNPOぎふの浅野、浅井であった。とくにミスを犯す選手の多かったリボンでは浅野は6位、浅井は9位に入っている。「大くずれしないのがうちの選手達の強み」と臼井監督も語っていたが、数あるクラブの中でも屈指の練習量を誇るNPOぎふ新体操クラブの選手達の強靭な体力と精神力の勝利だったと言えそうだ。浅野は予選順位の7位をキープ、浅井は予選17位から15位まで順位を上げた。周囲の選手たちが次々とミスを犯すなか、少々の乱れはあってもなんとかもちこたえる、大きなミスをしない、そんな粘りと根性の新体操で、NPOぎふ新体操クラブは、初のイオンカップ出場を実現したと言えるだろう。
 「イオンカップへの抱負は?」と聞いたとき、浅野は「精一杯がんばります」、浅井は「今回選んでもらったので、その責任を果たしたい」と緊張気味に言葉少なく語ってくれた。
 強いクラブであり、強い選手たちなのだから、表彰されることにも慣れているだろうにどことなく場慣れしない素朴さが感じられる。そんなNPOぎふ新体操クラブの国際デビューとなる2006・イオンカップ! NPOぎふの「努力と根性」が花開く舞台となることを祈りたい。

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「スポーツらしい」爽快感が魅力の横山加奈の演技。(撮影:小林隆子)


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2006年08月16日

2006年、町田RGから目が離せない!~その2~

 町田RGから個人8人、団体3チームが出場した関東ジュニアが8月12日に終わった。
 結果、町田RGの8人は全員が予選通過(上位30位以内)、最終成績として4位・山脇麻衣、5位・山上莉紗、6位・成松エリナが全日本ジュニアに進出。団体では、町田RG(山脇・熊谷・山上・成松・野尻)が2位となり全日本ジュニア進出を決めた。
 個人では、熊谷早希が11位、管家ひとみが13位と全ジュニにあと一歩のところで涙をのんだ。また、団体も町田RGやまさき、町田RGもりのともにミスが出て、順位を上げることができず全日本ジュニアを逃した。これはとても残念だったに違いない。とくに町田RGやまさきは、東京ジュニアでは町田RGにも迫る勢いがあっただけに、全日本ジュニアで見られないことが残念だが、強豪・千葉のチームがひしめく関東ジュニアには1つのミスも許されないという厳しさがあった。関東ジュニア1位の安達新体操クラブ、3位のアミューズ新体操クラブ、4位のインタークオレスはすべて千葉県のチームであるが、どこも演技の確実性がすばらしく、演技がダイナミックで迫力がある・・・。そして、関東ジュニアでは安達以外の2チームはノーミス! その強さに対抗できたのは、公式戦ではおそらく初のノーミスを見せた町田RGだけだった。
 関東ジュニアでの町田RGの演技は、ほんとうにため息が出るほどの美しさだった。ほかの上位チームのような迫力には欠けるものの、その美しさ、繊細な動きには圧倒的なものがあった。くるくるとよく回る町田の選手達だが、この5人が同時に回るフェッテターンの美しかったこと!(昨年はてんでバラバラに回っていた5人だけに、この1年間の進歩には涙が出る)
 今年の町田RGチームのメンバーはたしかにスタイルもいい。みんな細くて脚も長い・・・いわゆる「恵まれた体型」であることは間違いない。しかし、スタイルがいい=美しいではないということが今の町田RGチームを見ているとわかる。たしかにスタイルには恵まれた選手達だったのだろうが、それからさらに必要な筋力をつけ、脚先の美しさを磨き、技を磨いてきた結果が今の町田RGなのだと思う。細くて長い脚ならばつま先は少々ゆるんでいてもOK! ではないから、本当に美しいのだと思う。

 個人で全日本ジュニアに出場が決まった3選手の関東ジュニアでの健闘もすばらしかった。3人とも予選通過順位よりも順位を上げた結果となったが、町田の選手達は概して決勝種目(リボン・クラブ)に強い。そのことを証明して見せたのが予選14位から一気に6位まで順位を上げた成松エリナ選手だった。予選での成松選手は、今ひとつの出来だった。フープでは落下もあり、14位通過。今年は関東から9人しか全日本ジュニアに進めないことを思うと、「今年は全ジュニは無理か・・・」と思われた。
 しかし。決勝の1種目目のリボンで成松選手は目のさめるような演技を見せた。「シングシング」にのってのリボンの演技は、じつは成松選手のおはこである。とにかくダンサブルな動きでは群を抜く成松選手の良さ、華やかさがもっとも発揮されるのがこの作品であるが、決勝での演技は会心の出来だったのではないか。その勢いにのって、クラブでもパーフェクトな演技。決勝種目だけでの成績は3位という快進撃で全日本ジュニア進出をもぎとった。
 成松選手の魅力は、そのキレのよい動き、思い切りのよい手具操作(フープでは7~8回投げている! それも投げ受けが難しいものが多い!)、リズム感のよさ、いきいきとした表情、曲に合った動きやポーズの決め方など。とにかく見ている人が楽しめる、そんな演技を見せてくれる選手である。さらに、今回の決勝での追い上げで見せたギリギリに追い込まれたときに見せる勝負強さにも卓越したものがあるように思う。
 
 私が町田RGのいちばんの良さだと感じている「踊っている!」と思える演技をするという点で、この成松選手は非常に優れていると思うが、もう1人、その点で常に目を引く選手がいる。関東ジュニアでは惜しくも13位で全日本ジュニアには届かなかった管家ひとみ選手だ。
 管家選手の演技も、メリハリがよくとてもチャーミングだ。柔軟性にも恵まれていて、ジャンプの滞空が長く、そり系のジャンプの美しさがとても印象に残る。また、難度以外の動きがよく決まる選手であり、発表会などの集団演技を見ていても動きの良さで目を引く。いわゆる「踊れる!」ところが私はとても好きな選手だ。今年は中学3年生だったのでラストチャンスの全日本ジュニアにぜひ進んでほしかったが、いつくかのミスが惜しかった。ただ、まだ全中というチャンスが残っているのでぜひ頑張ってほしいと思う。
 



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↑関東中体連6位の管家ひとみ選手。メリハリのきいた演技がとてもチャーミング!(撮影:小林隆子)
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↑ダンサブルな演技で、チャイルド時代からのファンも多い成松エリナ選手。(撮影:小林隆子)


posted by rg-lovers |12:19 |
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2006年08月08日

2006年、町田RGから目が離せない! ~その1~

 ここ数年、「新体操は地方の時代」と感じることが多くなっていた。
 NPOぎふ新体操クラブ、山形RG、エンジェルカガワ日中など、生きのいい選手、上位を脅かす選手を輩出するクラブが地方にどんどん出てきたため、かつての新体操先進国だった東京の影がうすくなりつつある、と感じざるを得なかったのだ。

 しかし――。
 今年は東京の巻き返しの年になるのではないか、そんな予感がしている。そして、その原動力になりそうなのが町田RGと言っていいだろう。
 2006年東京ジュニアから関東へ勝ち残った個人選手13人中じつに8人が町田RGの選手であり、団体6チーム中にも3チームが残っている。かねてより町田RGは強いクラブであり、イオンカップにも何度も出場しているがここまで選手が揃った時期は珍しいのではないか。

 じつは町田RGは、私にとって特別なクラブである。現在「新体操ライター」を名乗り、新体操サイトでは日本最大(多分?)のサイト「新体操応援隊」を運営するまでに私が新体操にのめり込むきっかけを作ったのがこの町田RGだったのだ。

 私が新体操の観戦を始めたのは1997年、本格的にビデオまで撮って観戦した最初の試合は1998年の東京ジュニアだった。このころ、東京のトップにいたのが町田RGの山崎ひとみ選手、そしてピュアRGの有野玲奈選手だった。当時の私は、競技の新体操を見ればどの選手も「スゴイ!」と思ったし、手具を落とさなければ「上手だった」と思う、そんなド素人の観客だった。
 しかし、山崎ひとみ選手を見たとき、さらに当時はまだ山崎選手ほど上位にはきていなかった吉田友子選手を見たとき、「スゴイ!」だけでない魅力を感じ、新体操観戦にのめり込んでいったのだ。

 私が新体操を見始めたとき、すでに彼女達は中2だった。当時は今よりもジュニアまでで新体操から離れる選手が多く、とくにトップ選手ほど高校では辞めてしまうことが多かった。山崎、吉田選手が中3になったとき、

「もうこの1年しか彼女達の演技は見られないかもしれない」

と思うと、なるべく多く彼女達の演技を見ていたい! と思い、この年は東京ジュニア、関東ジュニア、東京都中体連、関東中体連、全日本ジュニア、クラブ選手権、イオンカップと可能な限りの試合を見に行ったものだ(それで観戦が癖になり現在に至る・・・)。

 町田RGが練習で使っている成瀬の体育館がそんなに遠くないこともあって練習もよく見に行った。当時、まだ新体操のサイトも開設していなかったし、新体操の記事を書いたこともなかった一介のフリーライターの私だったが、「練習は自由に見てもらっていいです」と町田RG代表の曽我部先生が言ってくださったのでお言葉に甘えて多いときは週1回ペースで半年間ほどよく練習を見に行っていた。
 一度行くと3~5時間、ただただ練習を見ていた。選手とも先生ともほとんど言葉を交わすこともなくじーっと見ていたのだから、かなりコワイおばさんである。だが、この1999年の半年間が私の新体操への思いと見る眼を養ってくれたと思う。あのころの町田は本当に強かった。そして明るく楽しそうだった。


 あれから、7年の月日がたった。町田RGは常に上位に顔を出す選手を輩出し続けてはきたが、それなりの浮き沈みはあったように思う。しかし、ここにきてこの数年、楽しみな芽を出していた選手達が一気に開花しようとしている、そんな予感に満ち溢れている。
 今の町田RGのジュニア選手達の中には、すでに山崎ひとみや吉田友子のジュニア時代を知らない選手達が多い。私が練習を見に通った1999年に在籍していた選手は1人もいない。しかし、今の選手達の演技を見てもやはり「町田スピリッツ」は脈々と受け継がれていることが感じられる。

 スポーツナビプラスのブログ開設に合わせて、今日から何回にわたり、今の町田RGの強さと魅力について書いていきたいと思う。新体操ファン、町田RGファンなら必見。乞う、ご期待!
東京ジュニア個人総合2位の山脇麻衣選手。東京ジュニアでは団体優勝を成し遂げた町田RG団体の小さなリーダーでもある
[写真]東京ジュニア個人総合2位の山脇麻衣選手。東京ジュニアでは団体優勝を成し遂げた町田RG団体の小さなリーダーでもある(撮影:小林隆子)


posted by rg-lovers |22:01 |
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